イベント データは、多くの場合、緯度と経度を使用して地理空間内で座標値を表します。 プロジェクター プロセッサを使用して、イベント レコードのジオメトリーを元の座標系から別の空間参照に投影することできます。 たとえば、特定の座標系を背景にしてイベント データの座標値を確認するために、明示的にイベント データを投影することができます。
例
プロジェクター プロセッサーの使用例を次に示します。
- このプロセッサを使用して、ジオイベント サービスで追加のフィルタリングや処理が発生する前に、異なる座標系にイベント レコードを明示的に投影できます。
- ある地理座標系から別の地理座標系にリアルタイム データを移動させる特定の地理座標系変換方式を利用する場合は、このプロセッサを使用します。
使用上の注意
プロジェクター プロセッサを使用する際には、以下の点に注意してください。
- イベント データの元の座標系を把握し、それがジオフェンスなどのインポート可能な他の空間データにどのように関連しているかを理解しておくことをおすすめします。 ArcGIS Server と GeoEvent Server は、通常、必要に応じてジオメトリーを投影します。そのため、共通の空間参照において、空間評価が実行されます。 ArcGIS Server は、受信したデータを、たとえばフィーチャを作成したり更新したりする前に、フィーチャ サービスの空間参照に一致するように投影します。 GeoEvent Server は、ジオフェンスとの交差のデータを評価する前に、空間データをリアルタイムで投影します。
- このプロセッサでは、ジオメトリーが格納されたフィールドを指定する必要があります。 イベント レコード フィールドを識別するジオイベント定義内のジオイベントのフィールド名またはフィールドに適用されたタグを指定できます。
- このプロセッサーでは、受信イベント データが投影される座標系の (WKID Well-Known ID) を指定する必要があります。 たとえば、WGS 1984 World Geographic 座標系の WKID は、4326 です。
- このプロセッサーは、イベント レコードのジオメトリーを投影されたジオメトリーに置き換えるか、投影されたジオメトリーを新しいフィールドに挿入するように構成できます。 新しいフィールドをイベント レコードに追加すると、イベント レコードのスキーマが変更されるため、GeoEvent Server は新しいジオイベント定義を作成する必要があります。 新しいジオイベント定義は GeoEvent Server で管理され、プロセッサーまたはプロセッサーが使用されているジオイベント サービスに対して変更が行われた場合に削除されます。
- ユーザー定義変換を使用する場合は、少なくとも、適切な WKID (WKT) を使用して手順 1 地理座標系変換を指定する必要があります。 たとえば、108190 (WGS_1984_(ITRF00)_To_NAD_1983) などの地理測地基準系変換 WKID を正方向で使用して、受信イベント レコードの測地基準系を WGS 1984 から NAD 1983 に変換できます。 その後、イベント レコードのジオメトリーは、測地基準系が NAD 1983 を共有する空間参照に投影されます。
- ユーザー定義変換を使用すると、測地基準系変換から高い精度を得るために手順 1 と手順 2 の地理座標系変換を指定しなければならない場合があります。
- ArcGIS Desktop の手順 1 と手順 2 の地理座標系変換の例には、WGS_1984_(ITRF00)_To_NAD_1983 + NAD_1927_To_NAD_1983_NADCON があります。 この地理座標系変換は、基本的にフィーチャ レコードの測地基準系を WGS 1984 から NAD 1927 に変換するために使用されます。
- GeoEvent Server の同じ地理座標系変換は、手順 1 地理座標系変換の WKID 108190 (WGS_1984_(ITRF00)_To_NAD_1983) として指定する必要があります。 その方向は、最初に WGS 1984 を NAD 1983 に変換する正方向です。 その後、手順 2 地理座標系変換は WKID 1241 (NAD_1927_To_NAD_1983_NADCON) として定義する必要があります。 その方向は、NAD 1983 を NAD 1927 に変換する逆方向です。
パラメーター
プロジェクター プロセッサのパラメーターを次に示します。
| パラメーター | 説明 |
|---|---|
|
Name |
GeoEvent Manager で参照用として使用されるプロセッサの記述名。 |
|
プロセッサ |
選択されたプロセッサを示します。 |
| ジオメトリー フィールド | プロセッサが空間投影の実行に使用する受信イベント データのジオメトリー フィールドまたは [GEOMETRY] タグ付きのフィールドの名前。 |
| ジオメトリーの置換 | アクティブなイベント レコード ジオメトリーを、投影されたジオメトリーに置き換えるかどうかを指定します。 デフォルトは [はい] です。
|
| 新しいジオメトリー フィールド名 (条件) | 投影されたジオメトリーが格納される新しいジジオメトリーフィールドの名前。 このパラメーターは、[ジオメトリーの置換] が [いいえ] に設定されている場合に表示され、[はい] に設定されている場合は非表示になります。 |
| 新しいジオメトリー フィールドをジオメトリーとしてタグ付け (条件) | プロセッサーによって作成された新しいジオメトリー フィールドに [GEOMETRY] タグを付けるかどうかを指定します。 [GEOMETRY] タグは、複数のジオメトリー フィールドが存在する場合に、GeoEvent Server がイベント レコードの実現済みジオメトリーを識別するために使用します。 デフォルトは [いいえ] です。 このパラメーターは、[ジオメトリーの置換] が [いいえ] に設定されている場合に表示され、[はい] に設定されている場合は非表示になります。 |
| 新しいジオイベント定義名 (条件) | 新しいジオイベント定義に与えられる名前。 新しいジオイベント定義は、受信イベント レコードのスキーマと新たなジオメトリー フィールドの組み合わせです。 このパラメーターは、[ジオメトリーの置換] が [いいえ] に設定されている場合に表示され、[はい] に設定されている場合は非表示になります。 |
| 出力データの空間参照 | 送信イベント レコードの空間参照。 空間参照は、WKID (Well-Known ID) または WKT (Well-Known Text) のいずれかで定義されます。 WKID または WKT は、受信イベント レコードのジオメトリー上で投影を実行するために使用されます。 |
| ユーザー定義変換 | 手動で定義された地理座標系変換を使用するか、自動地理座標系変換方式を使用するかを指定します。 デフォルトは [いいえ] です。
|
| 入力空間参照 (条件) | 受信イベント レコードの空間参照。 空間参照は、WKID (Well-Known ID) または WKT (Well-Known Text) のいずれかで定義され、地理座標系変換に使用されます。 このパラメーターにはデフォルト値が設定されていません。例を次に示します。
このパラメーターは、[ユーザー定義変換] が [はい] に設定されている場合に表示され、[いいえ] に設定されている場合は非表示になります。 |
| 手順 1 地理座標系変換 (条件) | 手順 1 地理座標系変換を識別する WKID (Well-Known ID) または WKT (Well-Known Text)。 WKID または WKT refers は、出力データの空間参照ではなく地理座標系変換を参照します。例を次に示します: 108190 - WGS_1984_(ITRF00)_To_NAD_1983 このパラメーターは、[ユーザー定義変換] が [はい] に設定されている場合に表示され、[いいえ] に設定されている場合は非表示になります。 |
| 手順 1 地理座標系変換方向 (条件) | 手順 1 地理座標系変換の方向。 地理座標系変換は常に特定の方向 (正方向) で定義されますが、反対 (逆方向) も使用できます。 変換は双方向に行われます。 デフォルトは [Forward] です。
このパラメーターは、[ユーザー定義変換] が [はい] に設定されている場合に表示され、[いいえ] に設定されている場合は非表示になります。 |
| 手順 2 地理座標系変換 (条件) | 手順 2 地理座標系変換を識別する WKID (Well-Known ID) または WKT (Well-Known Text)。 WKID または WKT は地理座標系変換であり、出力データの空間参照ではありません。例を次に示します: 1241 - NAD_1927_To_NAD_1983_NADCON このパラメーターは、[ユーザー定義変換] が [はい] に設定されている場合に表示され、[いいえ] に設定されている場合は非表示になります。 |
| 手順 2 地理座標系変換方向 (条件) | 手順 2 地理座標系変換の方向。 地理座標系変換は常に特定の方向 (正方向) で定義されますが、反対 (逆方向) も使用できます。 変換は双方向に行われます。 デフォルトは [Forward] です。
このパラメーターは、[ユーザー定義変換] が [はい] に設定されている場合に表示され、[いいえ] に設定されている場合は非表示になります。 |
検討事項および制限事項
プロジェクター プロセッサーを使用する際には、以下の点を考慮してください。
- 特定の地理座標系変換が必要な場合を除き、[ユーザー定義変換] パラメーターを [いいえ] のままにしておくことをおすすめします。 プロセッサーは、測地基準系変換を自動で処理します。
- ジオイベント サービスの開始時にはプロジェクター プロセッサを使用することをおすすめします。 これにより、ジオイベント サービスの他の処理エレメント (フィールド エンリッチャー (フィーチャ サービス) プロセッサーのジオフェンスまたはフィーチャ レコードなど) で使用される他の地理データとともに、受信イベント レコードを共通の空間参照に含めることができます。
- イベント データをフィーチャ サービスに送信する前に、既存のイベント レコード ジオメトリーを投影されたジオメトリーに置き換えることを検討してください。 フィーチャ サービスでは 1 つのジオメトリー タイプ フィールドのみをサポートします。このフィールドは [GEOMETRY] タグが付けられていないフィールドが付けられている必要があります。 2 番目のジオメトリー フィールドの値は、イベント レコードのデータ値を保持するよう文字列に変換できます。