扇型範囲の計算プロセッサを使用して、イベント レコードのポイント ジオメトリの前方に扇型範囲を動的に生成できます。 扇型範囲は、扇形の形状をした効果的な 2 次元フィーチャです。これは、イベント レコードに視覚的範囲またはコンテキスト範囲を表すために使用されます。 このプロセッサでは、アンカー位置と、[範囲]、[方位]、および [円弧角] パラメーターに指定された値が扇型範囲ポリゴンの計算に使用されます。
例
扇型範囲の計算プロセッサの使用例を次に示します。
- 扇型範囲の計算プロセッサを使用して、移動中の車両のおおよその視覚的範囲を計算して表示できます。 車両が移動中のとき、車両の扇型範囲 (視野) と地上のアセットの交差を使用して、通知を開始できます。
- このプロセッサを使用して、嵐または火災から立ち上る煙などのイベントによる影響を受ける可能性がある地域を表示できます。
使用上の注意
扇型範囲の計算プロセッサを使用する際には、以下の点に注意してください。
- 通常、このプロセッサで処理されるのは、ジオメトリが扇型範囲のアンカー位置を提供するイベント レコードです。
- このプロセッサは、属性フィールドから取得された座標値からポイント ジオメトリを構築するように設定できますが、受信イベント レコードには、このプロセッサが計算済みの扇型範囲ポリゴンの格納に使用できるジオメトリ フィールドが必要となります。 ジオメトリ フィールドは、[GEOMETRY] タグが付いたフィールドで識別されます。 このプロセッサは、ソース イベント レコードのジオメトリを計算済みの扇型範囲ポリゴンに置き換えます。
扇型範囲を計算するには、[範囲]、[方位]、および [円弧角] パラメーターに値を指定する必要があります。 方位は、北から時計回りに計測して 0° より大きく 360° より小さい角度と見なされます。 円弧角は、方位の両側での不確実性の度合いを表します。 範囲は、指定した単位 (メートル、キロメートル、フィート、マイルなど) で計測された長さの値を表します。
- [範囲]、[方位]、および [円弧角] パラメーターは、数値リテラル値として指定するか、フィールド マッパー プロセッサでサポートされている式によく似た式として評価することができます。 入力した値は正の数値に変わります。
- センサーの方向が固定されていて、センサーが移動しない場合は、[範囲]、[方位]、および [円弧角] パラメーターに定数値を指定します。 たとえば、東向きに 160° の視野を持つカメラの固定扇型範囲を計算するには、プロセッサで範囲の値を 100 (メートル)、方位の値を 90°、円弧角の値を 160° に設定します。
- センサーの方向または位置が変化する場合は、[範囲]、[方位]、および [円弧角] パラメーターにフィールド名を入力します。 たとえば、車両の移動方向が変化すると、その方位も変化します。 動的な扇型範囲を計算するには、イベント レコードの属性から車両の方位を取得するようにプロセッサを設定します。これで、扇型範囲が常に前を向き、車両の移動方向に従うようになります。
- [処理に使用する座標系の WKID] パラメーターを使用する必要があります。 この座標値によって、扇型範囲の計算に使用される長さの計測単位と空間参照が決定します。 処理に使用する座標系は必ず投影座標系でなければなりません。 投影座標系とその WKID の詳細については、「投影座標系の表」をご参照ください。 扇型範囲のアンカーとして使用する座標値からポイント ジオメトリを構築する場合は、処理に使用する座標系として指定した座標系が使用されます。
- バッファーの中心点として使用される入力ジオメトリの空間参照および座標系と一致させるために生成されたポリゴンを再投影するバッファー クリエーター プロセッサとは異なり、扇型範囲の計算プロセッサには出力座標系の WKID が構成されます。 プロセッサから生成されたイベント レコード内の扇型範囲ポリゴンは、この出力座標系に投影されます。
パラメーター
扇型範囲の計算プロセッサのパラメーターを次に示します。
パラメーター | 説明 |
---|---|
Name | GeoEvent Manager で参照用として使用されるプロセッサの記述名。 |
プロセッサ |
選択されたプロセッサを示します。 |
ソースのジオイベント定義 | 受信イベント レコードのジオイベント定義の名前。 プロセッサは、ソース ジオイベント定義を使用して、受信イベント レコードのフィールドを識別し、他のパラメーター用のドロップダウン フィールドに表示されるフィールドを管理します。 |
ジオメトリ ソース | 扇型範囲のアンカーとして使用されているポイント ジオメトリのソース。 プロセッサはこのポイントの前方に扇型範囲を構築します。 デフォルトは [ジオメトリ フィールド] です。
|
ジオメトリ フィールド (条件) | ポイント ジオメトリの識別に使用する受信イベント レコードのジオメトリ フィールドまたは [GEOMETRY] タグが付いたフィールドの名前。 プロセッサは、ジオメトリを扇型範囲の起点となるポイントとして使用します。 ポイント ジオメトリには空間参照が含まれている必要があります。 このパラメーターは、[ジオメトリ ソース] が [ジオメトリ フィールド] に設定されている場合に表示され、[座標フィールド] に設定されている場合は非表示になります。 |
X フィールド (条件) | 扇型範囲のアンカー位置の X 座標を含むフィールドの名前。 X 座標と Y 座標はポイントの構築に使用されます。 [処理に使用する座標系の WKID] パラメーターと一致する必要があります。 このパラメーターは、[ジオメトリ ソース] が [座標フィールド] に設定されている場合に表示され、[ジオメトリ フィールド] に設定されている場合は非表示になります。 |
Y フィールド (条件) | 扇型範囲のアンカー位置の Y 座標を含むフィールドの名前。 X 座標と Y 座標はポイントの構築に使用されます。 [処理に使用する座標系の WKID] パラメーターと一致する必要があります。 このパラメーターは、[ジオメトリ ソース] が [座標フィールド] に設定されている場合に表示され、[ジオメトリ フィールド] に設定されている場合は非表示になります。 |
範囲 | 扇型範囲の計算に使用される長さの値。 範囲は長さ (つまり、距離) であり、扇型範囲がアンカー位置の前方に伸長します。 範囲の定義には、定数値、属性フィールドの名前、正の数値に評価される式を使用できます。 値が必要です。 注意:[範囲] パラメーターの単位は、[範囲の単位] パラメーターで定義します。 |
範囲の単位 | 範囲値の計測単位。 デフォルトは [メートル] です。 使用できる測定単位は次のとおりです。
|
方位 | 北から時計回りに計測して 0° より大きく 360° より小さい度数。 方位は、定数値、属性フィールドの名前、正の数値に評価される式として指定できます。 方位は扇型範囲の円弧を二分します。 値が必要です。 |
円弧角 | 扇型範囲の円弧を示す 0° より大きく 360° より小さい度数。 円弧角は、定数値、属性フィールドの名前、正の数値に評価される式として指定できます。 値が必要です。 |
処理に使用する座標系の WKID | [範囲] パラメーターに指定された値と一致する投影座標系の Well Known ID (WKID)。 座標値から扇型範囲のアンカー位置を構築するために [X フィールド] パラメーターと [Y フィールド] パラメーターが指定されている場合にも使用されます。 整数値を指定する必要があります。 注意:扇型範囲ポリゴンを正確に構築するには、対象地域と扇型範囲のアンカー位置の場所に適した、処理に使用する座標系が必要となります。 たとえば、受信イベント レコードがサウス カロライナ州の State Plane 投影座標系と一致した地域にある場合、処理に使用する座標系として適切な座標系の WKID は 32133 になります。 |
出力座標系 | 計算済みの扇型範囲ポリゴンの投影先となる座標系の Well Known ID (WKID)。 出力座標系は、投影座標系 (PCS) または地理座標系 (GCS) のどちらでもかまいません。 注意:出力座標系は処理に使用する座標系とは異なる場合があります。 |
検討事項および制限事項
扇型範囲の計算プロセッサを使用する際には、以下の点に注意してください。
- 扇型範囲を構築できるのは、2 次元ポイントの前方のみです。 他のジオメトリ タイプ (マルチポイント、ポリライン、ポリゴン) はサポートされていません。
- [X フィールド] および [Y フィールド] パラメーターで設定されている単位は、[処理に使用する座標系の WKID] パラメーターで指定されている投影座標系の空間参照と一致していなければなりません。
- [範囲]、[方位]、および [円弧角] パラメーターの値はすべて正の数値に評価される必要があります。
- [円弧角] パラメーターの値は 0° より大きく 360° より小さい値でなければなりません。 極端に小さい円弧角を指定すると、扇型範囲ポリゴンが線で表示されることがあります (範囲、マップ縮尺、投影法、フィーチャ シンボルによって異なる)。