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配置に関する検討事項

標準的な ArcGIS Enterprise 環境で ArcGIS GeoEvent Server の配置を計画する場合、GeoEvent Server に固有の特定の要因を考慮することが重要です。

イベント処理

GeoEvent Serverイベント レコードを受信する場合、サイズ、レート、量、解析、および出力先という 5 つの要因が、そのイベントを処理する時間に影響を与えます。

イベント サイズ

イベント レコードには、ジオイベント定義によって指定されるスキーマがあります。 イベント レコードの属性値の数とジオメトリー タイプ (ポイント、ポリライン、ポリゴン) は、場合によってさまざまです。 文字列属性は、ショート ネームの場合や多数の文字を含む場合があります。 ポイントには座標値ペアが含まれる一方、ポリラインおよびポリゴンには座標値ペアのコレクションが含まれます。 イベント レコード (バイト単位) が大きくなるほど、処理に必要なシステム リソースも増えます。 GeoEvent Server は、システム メモリーとディスク容量の両方を使用するので、イベント レコードが大きいほど、より多くのメモリーとディスク容量が必要になります。

イベント速度

GeoEvent Server によって処理されるイベント データの速度は、イベント数/秒単位で計測されます。 イベント速度 (イベント数/秒) は、イベント量 (処理されるイベントの数) をイベントの速さ (イベントが処理される速さ) で割ることによって決定されます。

イベント速度 (イベント数/秒) = イベント量 (イベント数) / イベントの速さ (秒)

イベントのレート

GeoEvent Server の負荷は、イベントが取り込まれ、適合され、処理される速度に比例します。 イベント レコードの量が多くなり、到着レートが速いと、GeoEvent Server は生のセンサー データを取り込んで適合させ、作成したイベント レコードを処理して、処理済みのイベント レコードからデータを配信するために、より多くのシステム リソース (RAM、CPU、ディスク容量) を消費することになります。

GeoEvent Server の演算を最適化する一方で、ユーザーが構成する解析でイベント レコードの量と速度を最小限にすることをおすすめします。 たとえば、ネットワーク センサーからデータ レコードが毎秒到着することが予期される場合は、各イベント レコードの実行に数百ミリ秒かかる複雑なリアルタイム解析を構成しないでください。 イベント レコードの量と速度を減らすか、GeoEvent Server が毎秒実行するフィルターおよび処理を簡素化する必要があります。 Web サービスからのデータ レコードが 30 秒ごとに到着することが予期される場合、GeoEvent Server は、受信したイベント レコードの量が次のバッチが到着する前に完全に処理される限り、複雑なリアルタイム解析を使用できます。

イベント量

イベント量は、システム内の一意のイベントの数を計測します。 イベント量は、通常、イベントのセットと同義です。 イベント量と、センサーからデータが取り込まれるレートによって、イベントの速度が決まります。 イベント量が大きくなるほど、GeoEvent Server の負荷が大きくなり、少ない量のときよりも高性能の CPU、RAM、ディスク パフォーマンスが必要になります。 イベント量が大きいほど、イベント速度が速くなります。 たとえば、規模の大きい運輸局が毎分 15,000 台の国有車両の位置を追跡する場合は、イベント レコードの量が多く速度が速いことを表しています。 町が 2 分ごとに 12 台の除雪車の位置を追跡する場合は、イベント レコードの量が少なく速度が遅いことを表しています。

イベントの解析

イベントが GeoEvent Server を通過するときに、構成可能なフィルターおよびプロセッサーを使用してイベントに対して実行される処理および解析の量が、コンピューターのリソースおよびイベント処理時間に影響を与えます。 複雑な処理および解析ワークフローは、通常、コンピューターの CPU をより多く使用し、イベント データを処理する時間を増やします。 フィールド エンリッチャー プロセッサーを使用して受信データ フィードに情報を付加するなどの、特定の解析ワークフローは、コンピューターのネットワーク接続の使用率を増やすことがあります。

フィルターの詳細

プロセッサーについての詳細

イベントの出力先

多くの場合、イベント データの配布は GeoEvent Server に影響を与えません。 ただし、イベント速度などの特定の出力の操作が、特定の出力の能力を超える場合、いくつかの検討事項があります。 予想されるイベント速度が、使用されている出力コネクタより大幅に大きい場合、高性能の GeoEvent Server を設計して実装するときに、異なる方法が必要になることがあります。

イベントのストリームおよびセット

イベント データは GeoEvent Server に取り込まれ、イベント ストリームまたはイベント セットと呼ばれます。

イベント ストリーム

イベント ストリームは、GeoEvent Server において、入力コネクタによって取り込まれているか、出力コネクタによって配布されているイベントのセットとして定義されます。

注意:

イベント ストリームは、出力コネクタの特定の実装であるストリーム サービスと同じではありません。

イベントのセット

イベント ストリームは、GeoEvent Server との間で流れる個々のイベントをすべて表しますが、イベントのセットは、イベント ストリーム内の一意のイベントのセットを表します。 一意性は、イベントのトラック ID に基づきます。 ほとんどの場合、イベントのセットはイベント量と同義です。 イベントのセットの例には、次のようなものがあります。

  • 車両位置のイベント ストリーム内で、イベントのセットが、車両 VIN などの個別の車両識別子をすべて包含します。 この例では、一意の VIN のセットがイベントのセットを表します。
  • 水位計イベント ストリーム内で、イベントのセットが、水モニターの一意の識別子 (たとえば、センサーのシリアル番号) をそれぞれ包含します。 水センサーの一意の識別子のセットが、イベントのセットになります。

ジオフェンス

GeoEvent Server の主要な機能は、既知のジオメトリーまたはジオフェンス ジオメトリーに対するイベント データのリアルタイム処理です。 ジオフェンスは GeoEvent Server に読み込まれ、メモリに格納されます。 ジオフェンスはメモリーに格納されます。コンピューターの RAM の量は重要であり、メモリーに格納できるジオフェンスの数を決定します。 RAM の量に加えて、RAM の種類は、特に解析されるジオフェンスが多い場合に、ジオフェンスがアクセスされる速度に影響を与えることがあります。

ジオフェンスの複雑さは、ジオフェンスの数よりも重要です。 ジオフェンスに含まれるポイントまたは頂点が多いほど、GeoEvent Server がリアルタイムの空間リレーションシップを実行するために必要とするメモリーが多くなります。 次のジオフェンスの例では、各セットが同じ数のポイントと頂点を含んでおり、同じ量のコンピューターの RAM を消費します。

  • 地域全体の対象のポイントを表す 70,000 個のポイントのセット
  • それぞれ数百個のポイントの数百本の道路の中心線セグメントを含んでいる地域の道路網
  • それぞれ数千個のポイントを含んでいる、州の高精度の 25 の郡のポリゴン境界