ArcGIS Notebook Server をアップグレードすると、ソフトウェアの最新機能と機能改善を利用しながら、ユーザーの既存のノートブックを保持できます。 ArcGIS Enterprise 配置を 11.1 にアップグレードする場合、ArcGIS Notebook Server もアップグレードする必要があります。
ArcGIS Notebook Server 11.1 セットアップ パッケージは、コンピューターに以前のバージョンの ArcGIS Notebook Server の既存のインストールがあるか検出します。 検出された場合、ソフトウェアが 11.1 にアップグレードされます。
10.8.1 以前からアップグレードする場合は、アップグレード処理中に 11.1 用に ArcGIS Notebook Server ソフトウェアを再認証する必要があります。
また、Esri から提供された新しいコンテナー イメージをインストールして、ユーザーに 11.1 ノートブック ランタイムを提供する必要があります。 以前のバージョンのノートブック ランタイムはサイトで維持されるため、ユーザーは引き続きそれらのランタイムを使ってノートブックを実行できます。 ただし、11.1 の新機能をユーザーが使う場合は、ノートブックのランタイムを更新する必要があります。 11.1 に対応するノートブック ランタイムはバージョン 8.0 になります ([ArcGIS Notebook Server Standard 8.0] および [ArcGIS Notebook Server Advanced 8.0])。
注意:
ノートブックがカスタム ランタイムを使用している場合、Windows ノートブック サーバーのカスタム ランタイムを再構築および再登録して、関連するノートブック アイテムのランタイム設定を更新する必要があります。
注意:
ノートブック ランタイムは ArcGIS Enterprise ライフ サイクルの後で非推奨になる予定です。 ノートブックは非推奨のランタイムを使用してはならず、サポートされているランタイムに更新する必要があります。
ArcGIS Enterprise ポータルをアップグレードすると、サイトのギャラリーで利用できるサンプル ノートブックも更新されます。
複数コンピューター ArcGIS Notebook Server サイトは 10.7.1 以降でサポートされています。 単一コンピューター サイトがあり、アップグレード後に ArcGIS Notebook Server サイトを複数コンピューターに拡張したい場合は、11.1 へのアップグレード後にサイトにコンピューターを追加するための手順に従います。
ArcGIS Notebook Server のアップグレード プロセスはインプレース アップグレードであるため、ソフトウェアのアンインストールと再インストールが必要ありません。 アップグレード プロセス中はサイトがダウンするため、アップグレードが完了するまでユーザーはノートブックにアクセスしたり実行することはできません。
以下の手順に従って ArcGIS Notebook Server を 11.1 にアップグレードします。
アップグレードの準備
アップグレードを実行する前に、次の情報をよく確認してください。
- アップグレード前に、11.1 コンテナー イメージなど、My Esri にある必要なすべてのファイルにアクセスできます。
- ArcGIS Notebook Server を正しく機能させるために、バージョンをフェデレーションされているポータルのバージョンと一致させる必要があります。
- Docker をバージョン 20.10.13 以降にアップグレードします。
- ArcGIS Enterprise の配置をアップグレードするには以下を実行します。
- Portal for ArcGIS をアップグレードします。
- ArcGIS Web Adaptor (Portal 用) をアップグレードします。
- ポータルのホスティング サーバーとして機能する ArcGIS Server サイトをアップグレードします。
- ArcGIS Web Adaptor (Server 用) をアップグレードします。
- ArcGIS Data Store のアップグレード (最初にプライマリをアップグレードし、次にスタンバイをアップグレードします)
- ArcGIS Notebook Server を含むその他のサーバーをアップグレードします。
- ArcGIS Notebook Server のサンプル データのインストール
- 既存の ArcGIS Notebook Server をアンインストールしないでください。 ArcGIS Notebook Server のセットアップおよびコマンド ライン インストーラーは、ArcGIS Notebook Server コンポーネントの既存のインストールを検出してアップグレードするように設計されています。
- アップグレード プロセス中はどのタイミングであっても、ポータルから ArcGIS Notebook Server サイトのフェデレーションを解除したり、ポータルの Notebook Server としての指定を削除したりしないでください。 これによって、ポータルでホストされている既存のノートブックに悪影響が及びます。
- セットアップまたはコマンド ライン インストーラーのいずれかを使用して、ArcGIS Notebook Server をアップグレードすることができます。 これらのアップグレード方法のいずれかを選択します。
- アップグレード前に ArcGIS Notebook Server コンピューターで使用しているすべての Web ブラウザーのキャッシュをクリアします。
- アップグレード時には ArcGIS Notebook Server サイトの Windows サービス アカウント (実行アカウント) を同じにしておく必要があります。
デプロイメントのバックアップ
アップグレード前にデプロイメントのバックアップを取ることをお勧めします。
レガシー:
10.7 ではサイトの構成ストアとサーバー ディレクトリのバックアップを手動で取る必要があります。ノートブックが webgisdr ユーティリティを使ってポータル バックアップに保存されます。
以下のように ArcGIS Notebook Server Administrator Directory で exportSite 操作を使用して、サイトの構成ストアをバックアップできます。 このサイト構成バックアップに加え、ファイル システムの手動バックアップを作成することも検討してください。
バックアップ操作を実行するには、次の手順を実行します。
- ArcGIS Notebook Server Administrator Directory を開き、管理者権限を持つユーザーとしてサイン インします。
URL は、通常 https://notebookserver.domain.com:11443/arcgis/admin です。
- [site] > [Export Site] の順に参照します。
- ファイルのエクスポート先となるコンピューター上の場所の絶対パスを入力します。
サイトからこのディレクトリにアクセスできる必要があります。
- [エクスポート] をクリックします。
エクスポート操作が完了すると、ディレクトリからサーバー上のバックアップ ファイルの場所へのリンクが作成されます。
- できるだけ早く、.agssite ファイル拡張子を持つファイルをダウンロードします。
セットアップ プログラムを使用したアップグレード
注意:
セットアップ ファイルを使用して ArcGIS Notebook Server を 11.1 にアップグレードすることをお勧めします。 セットアップをアップグレード後、構成ウィザードまたはアップグレード サイト ユーティリティを使用して ArcGIS Notebook Server サイトをアップグレードする必要があります。
複数コンピューター サイトがある場合は、単一コンピューター用の手順 1 から 3 に従ってサイトの各コンピューターでこれらの手順を繰り返します。
ArcGIS Notebook Server は、ArcGIS Notebook Server コンポーネントの既存のインストールを検出してアップグレードするように設計されています。
- アップグレードを開始するには、ArcGIS Notebook Server を抽出した場所から ./Setup を実行します。さらに、画面上の指示に従ってアップグレードを完了します。
セットアップは、既存の ArcGIS Notebook Server のインストールに使用したユーザー アカウントで実行する必要があります。 インストール時に、セットアップ プログラムは既存のインストールを識別し、アップグレードを確認するようプロンプトが表示されます。 「y」と入力してインストールを続行します。
これにより、ArcGIS Notebook Server の以前のバージョンがアンインストールされ、ArcGIS Notebook Server のアップグレード バージョンがインストールされます。
- アップグレード ユーティリティが完了した後に 11.1 用に ArcGIS Notebook Server ソフトウェアを再認証します。 ソフトウェア認証ウィザードを使用して認証を完了します。
- インストールのアップグレード終了時にリストされる URL を使用して構成ウィザードを開き、画面上の指示に従ってサイトをアップグレードします。
- 複数コンピューター サイトについては、サイトの各コンピューターに対して手順 1 から 3 を実行します。
コマンド ラインからのアップグレード
コマンド ラインからアップグレードするには、次の手順を実行します。
- アップグレードを開始するには、以下の例に示す引数を使用して ArcGIS Notebook Server セットアップ コマンドを実行します。 既存のインストールと同じ ArcGIS Notebook Server アカウントを使用していることを確認します。
これにより、ArcGIS Notebook Server の以前のバージョンがアンインストールされ、ArcGIS Notebook Server のアップグレード バージョンがインストールされます。
setup.exe /qn USER_NAME=<ArcGIS Notebook Server account username> PASSWORD=<password> ACCEPTEULA=yes
- upgradesite ユーティリティを使用し、次のコマンドを実行してアップグレードを完了します。 デフォルトでは、upgradesite ユーティリティは C:\Program Files\ArcGIS\NotebookServer\tools\upgradesiteutility\upgradesite.bat にあります。
upgradesite.bat -s
ユーティリティに進捗レポートが表示され、アップグレードが完了すると停止します。 このユーティリティには、次の 2 つのパラメーターがあります。
- -s - コマンドに含めると、ユーティリティでアップグレードが実行されます。 -s なしではアップグレードは実行されません。 これは、準備ができているときだけアップグレードを実行するための安全策です。
- -h - ツールのヘルプを表示します。 -s なしでコマンドを実行してもヘルプが表示されます。
- 複数コンピューター サイトについては、サイトの各コンピューターに対して手順 1 と 2 を繰り返し、次のセクションの手順を実行します。
サイレント認証
10.8.1 以前からアップグレードした場合は、アップグレード ユーティリティが完了した後に 11.1 用に ArcGIS Notebook Server ソフトウェアを再認証する必要があります。
次の構文を使用して SoftwareAuthorization.exe を実行し、ArcGIS Notebook Server のサイレント認証を実行します。 すべての完全なユーザー情報を認証ファイルまたはプロビジョニング ファイルに含めてから、このファイルを実行する必要があります。 認証ファイルがあってコンピューターがインターネットに接続している場合は以下を実行します。<System disk drive>\Program Files\ArcGIS\NotebookServer\framework\bin /S /Ver <version number> /LIF <full path and name of authorization file>
オフライン環境での認証
プロビジョニング (.prvc) ファイルを使用すると、オフライン環境でも ArcGIS Notebook Server を認証できます。 この処理中、処理の完了に必要なファイルが生成されて Esri に送信されます。
- ArcGIS Notebook Server のアップグレードが完了したら、プロンプトから以下に示したコマンドを実行します。
<System disk drive>\Program Files\Common Files\ArcGIS\bin\SoftwareAuthorization.exe /F <full path to the .prvc file> /O <full path to authorization file output>
- 出力情報ファイルが作成されたら、次のいずれかを実行します。
- Esri カスタマー サービスの Web サイト (https://service.esri.com/drm) を参照します。 画面上の指示に従って、認証情報ファイルをアップロードしてから、.ecp 認証ファイルをダウンロードします。
- 認証情報ファイルを電子メールで authorize@esri.com に送信します。Esri から .ecp 認証ファイルが返信されます。
- 上記のいずれかの方法を使用して .ecp 認証ファイルを取得したら、authorizeSoftware スクリプトをもう一度実行してファイルを処理し、サーバーの認証プロセスを完了します。
<System disk drive>\Program Files\Common Files\ArcGIS\bin\SoftwareAuthorization.exe /F <full path to the .ecp file>
ArcGIS Notebook Server を実行しているコンピューターごとに、このワークフローを繰り返します。
アップグレード後の手順
アップグレードと再認証が完了した ArcGIS Notebook Server サイトを使えるようにするには、ポストインストール ユーティリティを実行して新しい Docker コンテナー イメージをサイトに追加する必要があります。 また、サイトに登録されている ArcGIS Web Adaptor インスタンスを新しいバージョンに合わせて置き換える必要があります。
ポストインストール ユーティリティの実行
ポストインストール ユーティリティを実行するには、次の手順を実行します。
- 管理者としてコマンド プロンプト ウィンドウを開きます。
- ディレクトリを ArcGIS Notebook Server ツール フォルダーに変更します。 デフォルトではこのパスは C:\Program Files\ArcGIS\NotebookServer\tools\postInstallUtility になります。
- 必要に応じて、ユーティリティのヘルプを参照するために次のコマンドを実行します: PostInstallUtility.bat -h
- ArcGIS Notebook Server では Docker Engine Community Edition をコンピューターにインストールする必要があります。 次のコマンドを実行してコンピューターで Docker がアクティブになっているかを確認します: PostInstallUtility.bat -d
- Docker Desktop がインストールされていない場合はインストールします。
ArcGIS Notebook Server は、Docker Desktop の Linux コンテナーを使用します。 Docker Desktop をインストールする際は Linux コンテナーを指定して [Switch to Windows containers] オプションをクリックしないようにします。
- Docker Desktop を使用する場合は、次の設定をそれぞれ変更します。
- システム トレイで [Docker] ボタンを右クリックして [Settings] をクリックします。 [General] で [Expose daemon on tcp://localhost:2375 without TLS] チェックボックスをオンにします。
Docker Remote API を使用するため、ポート 2375 を使用する必要があります。
- システム トレイで [Docker] ボタンを右クリックして [Settings] をクリックします。 [Settings] メニューで、[Resources] > [File sharing] の順にクリックし、ArcGIS Notebook Server 構成ストアに使用するドライブのディレクトリを追加します。
注意:
Docker for Windows は、Linux コンテナーと共有される Windows のローカル ディレクトリにのみ対応しています。
- システム トレイで [Docker] ボタンを右クリックして [Settings] をクリックします。 [General] で [Expose daemon on tcp://localhost:2375 without TLS] チェックボックスをオンにします。
- Notebooks イメージのファイル パスを指定してインストールします。 イメージは .tar.gz 形式で圧縮しておく必要があります。 Advanced ライセンスと Docker Desktop がある場合は、コマンドを 2 回実行して、My Esri からダウンロードした Standard と Advanced の両方のコンテナー イメージをインストールします。
注意:
コンピューターに 75 GB 以上のディスク空き容量があることを確認します。
次のコマンドを実行します: PostInstallUtility.bat -l <path of .tar.gz Docker image>
注意:
必ず両方のコンテナー イメージをインストールしてください。 Advanced ライセンスがある場合でも、ユーザーは Standard ランタイムを使用する必要がある場合があります。
ArcGIS Notebook Server のサンプル データのインストールと構成
複数コンピューターの ArcGIS Notebook Server サイトを設定する場合は、Notebook Server をインストールしてサイトを作成した 1 台目のコンピューターにのみ、サンプル データをインストールして構成する必要があります。
サンプル データをインストールして構成するには、次の手順を実行します。
- My Esri からダウンロードした ArcGIS Notebook Server サンプル データ インストール ウィザードを実行します。
サンプル データは、ArcGIS Notebook Server がインストールされているディレクトリにインストールされます。
- 管理者としてコマンド プロンプト ウィンドウを開きます。
- ディレクトリを ArcGIS Notebook Server ツール フォルダーに変更します。
このパスのデフォルトは C:\Program Files\ArcGIS\NotebookServer\tools\postInstallUtility です。
- 必要に応じて、ユーティリティのヘルプを参照するために次のコマンドを実行します:
> PostInstallUtility.bat -h
- ポスト インストール ユーティリティを実行して、サンプル データを Notebook Server サイトの arcgisworkspace ディレクトリに解凍します。
PostInstallUtility.bat -x
ArcGIS Web Adaptor インスタンスの置換
ArcGIS Web Adaptor インスタンスを置換するには、次の手順を実行します。
- サイトから ArcGIS Web Adaptor の以前のインスタンスを登録解除してアンインストールします。
- ArcGIS Notebook Server Administrator Directory にサイン インします。
- [System] > [Web Adaptors] > [<登録済みコンピューター>] の順に参照します。
- [Unregister Web Adaptor] をクリックします。
- ArcGIS Web Adaptor 11.1 の新しいインスタンスをインストールして、ArcGIS Notebook Server を使用するように構成します。
- 10.8 またはそれ以前のバージョンからアップグレードする場合、ポータルでノートブックのスケジューリングを有効にするには以下を実行します。
- 必要に応じて、ノートブック権限を含むカスタム ロールを更新して、新しい [ノートブックのスケジュール設定] 権限を追加します。
- スケジュール設定機能を使う場合は自分のノートブックのランタイムを更新するようノートブック作成者に指示します。
スケジュール設定ができるのは 10.8.1 ランタイム (バージョン 4.0) 以降を使っているノートブックだけです。
これで ArcGIS Notebook Server 11.1 サイトで ArcGIS Notebooks をホストする準備が整いました。