Web マップおよびアプリから印刷可能なドキュメントを生成できるように、ポータルを構成できます。これには、印刷サービスを使用します。利用できる機能やカスタマイズには、ポータルで構成する印刷サービスに応じて、さまざまなレベルがあります。印刷サービスには、次のようなオプションがあります。
- Portal for ArcGIS のデフォルト印刷サービス
- ArcGIS Server サイトからの PrintingTools サービス
- カスタム印刷サービス
以下で説明するように、ポータルにはデフォルトの印刷サービスが付属しています。ArcGIS Server インスタンスから PrintingTools サービスを使用できるように、スタンドアロンのポータル、またはフェデレートされたポータルおよびサーバー サイトを構成できます。ポータルとサーバー サイトをフェデレートしてホスティング サーバーを構成した場合、ホスティング サーバーの印刷サービスが自動的に開始され、ポータルで構成されます。ただし、以前に印刷サービスをポータルに構成している場合、ホスティング サーバーの指定時にその URL は更新されません。サービスを起動して、サービスを共有し、ユーティリティ サービスとしてサービスを構成する必要があります。
レガシー:
10.3 では、ポータルのホスティング サーバーを指定した場合、サービスはポータルで自動的に構成されますが、サービスを開始および共有する必要があります。10.3.1 からは、サービスを共有するだけでよくなりました。
カスタム印刷サービスは、スタンドアロンのポータル、サーバーとフェデレートされたポータル、およびホスティング サーバーが構成されたポータルで使用できます。
HTTPS 経由でポータルに追加されたサービスとともに ArcGIS Server 印刷サービスを使用する場合、その他の構成が必要です。印刷サービスを実行するコンピューターでは、HTTPS サービスを提供するサイトからの、認証局 (CA) による署名入り証明書を信頼するように構成する必要があります。この構成は、オペレーティング システム レベルで行う必要があります。この構成方法の詳細については、「CA 署名入り証明書を使用した SSL の有効化」をご参照ください。
Portal for ArcGIS のデフォルト印刷サービス
デフォルトでは、Portal for ArcGIS には基本的な印刷機能を備えた印刷サービスが付属しています。デフォルト印刷サービスを使用すると、マップ ビューアーからマップおよびフィーチャ サービスを PNG 形式で印刷およびプレビューできます。PNG 画像は Web マップの MAP_ONLY ビューで、670 x 500 ピクセルになります。デフォルト印刷サービスは、WMS など他のサービス タイプやファイルの印刷はサポートしていません。また、キャッシュ マップ サービスは、ダイナミック レイヤーがサービスで有効化されているときに、デフォルトの印刷サービスを使用してのみ印刷できます。デフォルト印刷サービスは、Web アプリ テンプレートまたは Web AppBuilder for ArcGIS には使用できません。
注意:
HTTPS を使用するポータルに追加されたマップおよびフィーチャ サービスをデフォルト印刷サービスで印刷できるように、ポータルが認証機関からの証明書を信頼するように構成されていることを確認してください。
デフォルトの Portal for ArcGIS の印刷サービスは、ポータルの [ユーティリティ サービス] 設定の [印刷] ダイアログ ボックスが [デフォルト] のときに構成されています。
PrintingTools サービス
PrintingTools は、ArcGIS Server インスタンスの Utilities フォルダーにある事前に設定されたサービスで、一連の定義済みマップ レイアウトの中から 1 つを使用して、印刷可能なドキュメントを作成します。これには、縦方向および横方向の、8.5 x 11 インチ、11 x 17 インチ、A3、A4 用紙サイズを使用した基本的なデザインが含まれます。それぞれのレイアウトには、方位記号、縮尺記号およびスケール率、凡例、日付、およびタイトルが含まれています。PrintingTools サービスでサポートされている出力形式は、PDF、PNG32、PNG8、JPG、GIF、EPS、SVG、および SVGZ です。
PrintingTools サービスは、デフォルトでは停止しています。印刷ワークフローをサポートしたい場合は、ArcGIS Desktop または ArcGIS Server Manager を使用してサービスを開始する必要があります。PrintingTools サービスを開始したら、https://webadaptorhost.domain.com/webadaptorname/rest/services/Utilities/PrintingTools/GPServer/Export%20Web%20Map%20Task 形式の URL を使用してアクセスできます。
PrintingTools をポータルで構成するには、「ユーティリティ サービスの構成」をご参照ください。PrintingTools サービスは、ポータルの印刷サービスとして構成した後は、Web AppBuilder の印刷ウィジェットや、印刷ウィジェットを含む Web アプリ テンプレートで自動的に使用されます。ポータルで構成された PrintingTools サービスを使用すると、マップ ビューアーの [印刷] ボタンから Web マップの MAP_ONLY ビューが生成されます。PrintingTools に付属する定義済みのレイアウトを使用して印刷するには、Web AppBuilder のアプリ、または印刷機能が有効な Web アプリ テンプレートで Web マップを共有します。基本ビューアー、クラシック ビューアー、マップ ツールの Web アプリ テンプレートから印刷できます。
レガシー:
10.3 では、印刷機能を備えた Web アプリ テンプレートは、基本ビューアーとクラシック ビューアーでした。
マップ サービスがキャッシュされている場合に PrintingTools サービスで使用される解像度は、大判印刷や高品質印刷用としては低すぎる場合があります (96 DPI など)。高解像度で印刷する場合には、キャッシュされているマップ サービスでダイナミック レイヤーを有効にすることを推奨します。これにより、低解像度のタイルではなく、目的の解像度 (300 DPI など) のマップ イメージを印刷サービスで取得できるようになります (マップ エクスポート リクエストを使用する)。詳細については、「ダイナミック レイヤーについて」をご参照ください。
カスタム印刷サービス
独自のマップ レイアウトを使用したい場合は、PrintingTools に似た、Web マップを印刷する独自のサービスを公開できます。さまざまなマップ レイアウトで準備した ArcMap ドキュメント (MXD) の独自のフォルダーを参照するようにこのサービスを構成します。
Web 印刷用に独自のサービスを公開する手順 (および独自のレイアウト フォルダーでそれをポイントする手順) については、「チュートリアル: 印刷用サービスの公開」をご参照ください。このチュートリアルでは、後でレイアウトを更新することにした場合に何をすべきかも説明しています。更新方法は、公開前にレイアウト フォルダーをサーバーに登録したかどうかで変わります。チュートリアルには、両方のシナリオの手順が含まれています。
カスタム印刷サービスを公開したら、サービスをポータルで構成できます。この手順については、「ユーティリティ サービスの構成」をご参照ください。ポータルでは、カスタム印刷サービスが HTTPS を使用する必要があるので注意してください。カスタム印刷サービスをポータルの印刷サービスとして構成すると、Web AppBuilder の印刷ウィジェットや、印刷ウィジェットを含む Web アプリ テンプレートで自動的に使用されます。ポータルで構成されたカスタム印刷サービスを使用すると、マップ ビューアーの [印刷] ボタンから Web マップの MAP_ONLY ビューが生成されます。カスタム レイアウトを使用して印刷するには、Web AppBuilder のアプリ、または印刷機能が有効な Web アプリ テンプレートで Web マップを共有します。基本ビューアー、クラシック ビューアー、マップ ツールの Web アプリ テンプレートから印刷できます。
レガシー:
10.3 では、印刷機能を備えた Web アプリ テンプレートは、基本ビューアーとクラシック ビューアーでした。
マップ サービスがキャッシュされている場合にカスタム印刷サービスで使用される解像度は、大判印刷や高品質印刷用としては低すぎる場合があります (96 DPI など)。高解像度で印刷する場合には、キャッシュされているマップ サービスでダイナミック レイヤーを有効にすることを推奨します。これにより、低解像度のタイルではなく、目的の解像度 (300 DPI など) のマップ イメージを印刷サービスで取得できるようになります (マップ エクスポート リクエストを使用する)。詳細については、「ダイナミック レイヤーについて」をご参照ください。
マップ ビューアーのカスタム印刷レイアウト
10.4 以降では、マップ ビューアーから印刷するためにカスタム レイアウトを指定できます。どのような種類のレイアウトを使用できるかは、組織が持つ印刷サービスの内容に依存します。
「ユーティリティ サービスの構成」に示された手順に従って、印刷サービスを追加する必要があります。指定した REST URL が正しいことがポータルで確認されると、印刷サービスが提供する最初のレイアウト テンプレートが表示されます (凡例が利用できる場合は、凡例を印刷するオプションも表示されます)。ポータルで、複数の印刷レイアウトが使用可能な場合、マップ ビューアーの [印刷] ボタンには、さまざまな印刷レイアウトのドロップダウン リストが含まれます。テンプレートを作成、編集、または削除して、マップ ビューアーでマップを印刷するための操作をさらにカスタマイズすることができます。これらの変更は、ポータルの設定として保存され、印刷サービスには保存されません。
レイアウト テンプレートは、次の方法で管理できます。
- 新しいレイアウトを作成するには、[印刷テンプレートの作成] をクリックして、最大 50 文字の長さの名前と最大 120 文字の長さの説明を入力します。文字「<」および「>」は除外されます。形式 (画像 (PNG32) または PDF) とレイアウト (印刷サービスによって提供される) を選択します。サービスに凡例を含める場合は、凡例を印刷するためのボックスをオンにします。[作成] および [保存] をクリックして、新しいレイアウトを保存します。
- テンプレートの情報を表示するには、テンプレートの横にある情報ボタン をクリックします。
- 既存のテンプレートを編集するには、テンプレートの横にある編集ボタン をクリックし、更新します。[更新] をクリックして、変更内容を確認したら、[保存] をクリックして変更内容を保存します。
- 既存のテンプレートを削除するには、テンプレートの横にある削除ボタン をクリックします。
- 印刷サービスで現在提供されているレイアウトを含むようにテンプレート リストを更新するには、[更新] をクリックします。サービスの新しい印刷レイアウトがテンプレート リストに追加されます。サービスで使用できなくなった印刷レイアウトをベースにするテンプレートは削除されます。
- テンプレートを印刷サービスが提供する内容にリセットするには、印刷サービスの URL を削除し、[保存] をクリックして、印刷サービスの URL をもう一度入力します。
- デフォルトのマップ ビューアーの印刷操作が必要な場合は、すべてのレイアウト テンプレートを削除して、[保存] をクリックします。テンプレート リストに [マップのみ] が表示されます。
- デフォルトでは、[マップのみ] レイアウトにはすべての印刷サービスが含まれています。このレイアウトでは、マップのコンテンツのみが表示され、他のレイアウト エレメントは表示されません。
凡例
ポータルが PrintingTools またはカスタム印刷サービスのどちらを使用するように構成されていても、印刷される出力の凡例の振舞いは似ています。フィーチャ サービスを印刷する場合、印刷されるドキュメントの凡例には、マップ範囲内にあるフィーチャの凡例エントリのみが含まれます。一方、その他のサービス タイプの凡例には、マップ範囲に関係なく、フィーチャの凡例エントリがすべて含まれます。
注意:
ストリーム レイヤー、WMS、透過表示が設定されたレイヤー、スマート マッピングを使用するレイヤーの凡例は、正しく表示されないことがあります。