[多変数グリッドの構築 (Build Multi-Variable Grid)] ツールは、四角形または六角形のビンのグリッドを生成し、1 つ以上の入力レイヤーの近接に基づいて各ビンの変数を計算します。変数には以下が含まれます。
- [最近接フィーチャまでの距離] - 各ビンから最近接フィーチャまでの距離
- [最近接フィーチャの属性] - 各ビンに最も近いフィーチャのフィールド値
- [近傍フィーチャのサマリー] - 各ビンから一定の距離内にあるすべてのフィーチャの指定された統計情報
- [交差のサマリー] - 各ビンと交差するすべてのフィーチャの指定された統計情報
注意:
[多変数グリッドの構築 (Build Multi-Variable Grid)] ツールは、ArcGIS Enterprise 10.6.1 で使用できます。
例
新たな公共交通インフラに投資すべき場所を選択することは、さまざまなタイプのデータを視覚化する必要があるため、複雑な問題です。米国全体の既存のインフラを表す複数のデータセットと国勢調査データの複数レイヤーにアクセスできるとします。[多変数グリッドの構築 (Build Multi-Variable Grid)] を使用すると、このデータをすべて 1 つのデータセットに集計することができます。これを使用して、米国内の各場所における最近接の既存インフラまでの距離、周辺地域人口の平均、周辺地域の所得のばらつきを視覚化できます。
使用上の注意
変数は、ポイント、ライン、またはエリア フィーチャに対して計算できます。
変数ごとに、変数タイプとタイトルを指定する必要があります。このタイトルは、各ビンの値を含む結果レイヤーのフィールド名になります。[多変数グリッドの構築 (Build Multi-Variable Grid)] を使用して計算される各変数タイプは、固有のパラメーター セットで構成する必要があります。これらのパラメーターを以下に表示します。
変数 | 説明 | パラメーター |
---|---|---|
最近接フィーチャまでの距離 | 入力レイヤーにおける各ビンの中心から最近接フィーチャまでの距離。結果は処理空間参照の単位となります (処理空間参照の設定をご参照ください)。 | [ビンの中心からの最大距離] は、ツールが入力レイヤーのフィーチャを検索する際の各ビンの中心から最も遠い距離です。この値はビン サイズより大きくなければなりません。この検索半径内でフィーチャが見つからなかった場合、ビンには、この変数の値として null が割り当てられます。 |
最近接フィーチャの属性 | 各ビンの中心に最も近いフィーチャのフィールド値。フィールドのタイプは任意です。2 つ以上のフィーチャがビンの中心から等距離で最近接である場合は、いずれか 1 つがランダムに選択され、そのフィールド値が結果レイヤーに追加されます。 | [含めるフィールド] は、入力レイヤーのフィールド名です。ビンの中心に最も近いフィーチャのこのフィールドの値が、結果レイヤーのビンの属性として追加されます。 [ビンの中心からの最大距離] は、ツールが入力レイヤーのフィーチャを検索する際の各ビンの中心から最も遠い距離です。この値はビン サイズより大きくなければなりません。この検索半径内でフィーチャが見つからなかった場合、ビンには、この変数の値として null が割り当てられます。 |
近傍フィーチャのサマリー | 各ビンの中心から一定距離内にあるすべてのフィーチャを使用して、指定されたフィールドで計算された統計情報。フィーチャの一部がこの距離内にある場合、そのフィーチャは計算に含められます。 | [計算する統計情報] は、入力レイヤーのフィールドとそのフィールドで計算する統計情報の名前です。 [エリア内でのフィーチャの集計] は、ツールが入力レイヤーのフィーチャを検索する際の各ビンの中心から最も遠い距離です。この検索半径内で見つかったすべてのフィーチャは、指定した統計情報を使用して集計されます。この値はビン サイズより大きくなければなりません。この検索半径内でフィーチャが見つからなかった場合、ビンには、この変数の値として null が割り当てられます。 |
交差のサマリー | ビンと交差するすべてのフィーチャを使用して、指定されたフィールドで計算された統計情報。フィーチャの一部がビンのエリア内にある場合、そのフィーチャは計算に含まれます。 | [計算する統計情報] は、入力レイヤーのフィールドとそのフィールドで計算する統計情報の名前です。ビンごとに、ビンと交差するフィーチャが集計されます。ビンと交差するフィーチャが見つからなかった場合、ビンには、この変数の値として null が割り当てられます。 |
[近傍フィーチャのサマリー] と [交差のサマリー] の両オプションで、数値フィールドに対して次の統計情報を計算できます。
- 個数 - NULL 値でない値の数を計算します。数値フィールドまたは文字列に使用できます。 [null, 0, 2] のデータの個数は 2 です。
- 合計 - フィールド内の数値の合計。[null, null, 3] を合計すると 3 になります。
- 平均 - 数値の平均。[0, 2, null] の平均値は 1 です。
- 最小 - 数値フィールドの最小値。[0, 2, null] の最小値は 0 です。
- 最大 - 数値フィールドの最大値。[0, 2, null] の最大値は 2 です。
- 範囲 - 数値フィールドの範囲。これは、最大値から最小値を減算して計算されます。[0, null, 1] の範囲は 1 です。[null, 4] の範囲は 0 です。
- 分散 - トラッキング データの数値フィールドの分散。[1] の分散は NULL です。[null, 1,0,1,1] の分散は 0.25 です。
- 標準偏差 - 数値フィールドの標準偏差。[1] の標準偏差は NULL です。[null, 1,0,1,1] の標準偏差は 0.5 です。
- 個数 - 非 NULL 文字列の数。
- すべて - この統計情報は、指定のフィールドからランダムにサンプリングされた文字列値です。
ビンのサイズにより、多変数グリッドのビンの大きさが指定されます。六角形のビンを生成するよう選択すると、サイズは各六角形の高さになり、生成される六角形の幅は、高さの 2 倍を 3 の平方根で除算した値になります。四角形のビンを生成するよう選択すると、ビンのサイズは四角形の高さ (幅と同じ) になります。
GeoAnalytics ツール 解析は、指定された地理投影座標系によるビン化 (六角形または四角形) を使用して、解析ができるように座標系の World Equal Area Cylindrical (wkid 54034) に自動的に投影変換されます。解析のために座標系を設定する詳細については、「マップ ビューアーでの GeoAnalytics ツールの解析環境の使用」をご参照ください。
[現在のマップ範囲を使用] がオンの場合、現在のマップ範囲に表示されるフィーチャだけが解析されます。オフの場合、入力レイヤーのすべての入力フィーチャが、現在のマップ範囲内になくても解析されます。
制限事項
[多変数グリッドの構築 (Build Multi-Variable Grid)] は、テーブルでは機能しません。入力レイヤーは、ポイント、ライン、またはエリアである必要があります。
[多変数グリッドの構築 (Build Multi-Variable Grid)] の機能
距離の計算
[多変数グリッドの構築 (Build Multi-Variable Grid)] ツールのすべての距離はビンの中心から計測されます。四角形のビンと六角形のビンの両方とも、中心はビンの高さの半分かつビンの幅の半分の位置にあります (下記参照)。
[最近接フィーチャまでの距離] と [最近接フィーチャの属性] では、ポリゴンまたはライン フィーチャまでの距離は、対象のビンに最も近いフィーチャ内のポイントを使用して計測されます。ポイント フィーチャまでの距離は、ポイント位置を使用して計測されます。
サマリーの計算
[近傍フィーチャのサマリー] では、[エリア内でのフィーチャの集計] パラメーターで指定した半径を持つ、ビンの中心を囲む円内にフィーチャの一部があれば、フィーチャは統計情報のサマリーの計算に含められます。[交差のサマリー] では、ビン エリアの境界内にフィーチャの一部があれば、フィーチャは計算に含められます (円の半径は使用されません)。
結果の理解
すべてが null 属性であるビンは結果に含められません。これは、結果レイヤーが入力フィーチャの最大範囲と指定された変数の最大検索距離 (処理空間参照の範囲内) に及ぶことを意味します。
構成する各変数は、結果レイヤーの属性テーブルのフィールドになります。入力レイヤーからのフィールドは、結果に自動的に含められません。変数を構成して含める情報を指定する必要があります。
類似のツール
[多変数グリッドの構築 (Build Multi-Variable Grid)] を使用して、複数のレイヤーをポリゴンの 1 つのグリッドに集約します。目的は、視覚化、後のトレーニング予測または分類方法での使用のいずれかです。その他のツールは、類似した少し異なる問題を解決するのに効果的です。
Map Viewer解析ツール
1 つの入力レイヤーをビンに集約する場合、または、1 つのポリゴン レイヤーに集約する場合は、GeoAnalytics ツール の [エリア内での集計 (Summarize Within)] を使用します。
1 つのポイント レイヤーをエリアに集約する場合は、GeoAnalytics ツール の [ポイントの集約 (Aggregate Points)] を使用します。
異なる空間関係を使用してポイント、ライン、エリアを集計しようとしている場合は、GeoAnalytics ツール の [フィーチャの結合 (Join Features)] を使用します。
標準解析ツールを使用して、ラインまたはエリアを集計する場合は、「エリア内での集計」をご参照ください。
標準解析ツールを使用して、ポイントをエリアに集約する場合は、「ポイントの集約」をご参照ください。
ArcGIS Desktop 解析ツール
[多変数グリッドの構築 (Build Multi-Variable Grid)] は、[近接範囲内での集計 (Summarize Nearby)] ツールおよび [最近接 (Near)] ツールと同様の機能を実行します。