空間的問題の解決には通常、解析ツールを使用します。 ArcGIS Enterprise Map Viewer には、適切なツールを選択して使用できる便利なポップアップ情報と直観的なワークフローが用意されています。このレッスンでは、自分が外来種の雑草の根絶を目指しているニュージーランドの農業関係の職員であると想定した上で、解析ツールのいくつかを操作します。このシナリオでは、有料キャンプ場の近くに生えているナセラ タサクを検索して、影響のあるエリアを特定し、この問題の波及状況を確認します。ナセラ タサクは、1800 年代後半にニュージーランドに偶然持ち込まれた外来種の雑草であり、現在ではマールバラ地方とカンタベリー地方に定着しています。この雑草は、短期間で広がって他の植物を押し出し、根絶することが困難です。ナセラ タサクは家畜が食べないため、牧畜農業に対する脅威になります。ナセラ タサクの種は、主に風で広がりますが、動物、人、車両によっても広がります。
このレッスンの手順に沿って、Map Viewerの [解析の実行] ウィンドウから解析ツールを検索して起動するスキル、最も正確な解析結果が得られるようにツール パラメーターを設定するスキル、スマート マッピングとフィーチャ属性を利用して解析結果を十分に把握するスキルを使用します。このレッスンは初心者向けに設計されています。組織アカウントと空間解析の実行権限が必要です。所要時間: 25 分
ニュージーランドのマールバラ地方で農業関係の職に携わっていると想定し、仕事の一環として、ナセラ タサクがキャンパーに対する脅威となっている有料キャンプ場の近辺のエリアを特定します。レクリエーション活動中にキャンプする人がこの雑草に触れると、無意識にその種を衣類や道具類に付着させてしまい、キャンプ場を離れるときに持ち出してしまう可能性があります。ナセラ タサクが有料キャンプ場の近くに生えていることが判明したら、キャンプする人がナセラ タサクを識別して避けるのに役立つ情報を提供できます。
ナセラ タサクの分布に関する情報を含むマールバラ地方の有料キャンプ場の Web マップと、 ArcGIS Enterprise に含まれる効果的な一連の解析ツールへのアクセス権が用意されており、これらは問題の解決に役立ちます。実行する解析は、3 つの部分で構成されています。最初に、有料キャンプ場の周囲にバッファー、つまり近接ゾーンを作成します。次に、それらのバッファーのうちのどれにナセラ タサクが含まれているかを確認します。最後に、バッファー内のナセラ タサクの量を計算します。
注意:
このレッスンを実行するには、次の構成が必要です。
- ArcGIS Enterprise 基本配置
- 空間解析ツール
- searchArcGISOnlineEnabled プロパティが True に設定されている (デフォルト設定)
マップを開いて保存
まず、ナセラ タサクのマップを Map Viewer で開きます。
- Map Viewer で [追加] をクリックして [レイヤーの検索] を選択します。
- [レイヤーの検索] ダイアログにあるドロップダウンをクリックして、ArcGIS Online のコンテンツを検索します。[検索] ダイアログ ボックスに「nassella」と入力して [検索] をクリックします。必要な場合は、このチェックボックスをオフにして、マップ エリア内のレイヤーのみを検索します。結果が返されたら、[NassellaTussockRanges (by ArcGISOnlineExercises)] の結果に関して [追加] をクリックします。レイヤーが追加されたら、[レイヤーの追加を完了] をクリックします。
- マップの上にあるリボンで [保存] をクリックし、[名前を付けて保存] を選択します。マップの名前を [Analysis quick lesson - Your Name] に変更します。タイトルに自分の名前を入れると、マップのタイトルが組織サイト内で一意になります。[マップの保存] をクリックします。
解析の実行ウィンドウの操作
解析を実行するには、[解析の実行] ウィンドウからツールを実行します。まず、これらのツールが ArcGIS Enterprise 内でどのように整理されているかを確認します。
- マップの上にあるリボンで [解析] をクリックします。
- [近接エリアの分析] グループを展開します。
- [近接エリアの分析] グループで [バッファーの作成] をクリックします。
- [バッファーの作成] の横にある [情報] ボタンをクリックします。
有料キャンプ場のバッファーの作成
ここで、[バッファーの作成] ツールのパラメーターを設定して、このツールを実行します。このツールを実行すると、14 個のバッファー フィーチャ (キャンプ場ごとに 1 つ) を含む新しいエリア レイヤーが作成されます。バッファー フィーチャは、キャンプ場を中心にした半径 1.5 キロメートルの円です。キャンプする人は、徒歩、自転車、および同様の小旅行の際に、ナセラ タサクに触れる可能性が最も高くなると推測されます。1.5 キロメートルの値が妥当と思われますが、距離をさらに長くしてもかまいません。
- [バッファーの作成] ツール ウィンドウで、[バッファー処理するフィーチャを含むレイヤーを選択] ドロップダウン メニューをクリックした後、[Commercial Campgrounds] をクリックします。[バッファー サイズを入力] テキスト ボックスに「1.5」と入力します。横にある距離単位のドロップダウン メニューをクリックして [キロメートル] を選択します。
- [オプション] ダイアログ ボックスを展開して、[オプション] パラメーターのポップアップ ヘルプを開きます。[オーバーラップ] および [ディゾルブ] という 2 つの [バッファー タイプ] 設定の中から選択できます。[バッファー タイプ] 設定を [オーバーラップ] のままにします。
- デフォルトの [結果レイヤーの名前] を [Campground_Buffers] に変更します。
- [バッファーの作成] ツール ウィンドウの下部にある [現在のマップ表示範囲を使用] チェックボックスをオフにします。
- [分析の実行] をクリックします。
- [コンテンツ] ウィンドウで [Commercial Campgrounds] レイヤーをオフにします。[Campground_Buffers] レイヤー内の [その他のオプション] をクリックした後、[ズーム] をクリックします。
- [コンテンツ] ウィンドウの [Campground_Buffers] で [スタイルの変更] をクリックします。[描画スタイルの選択] で [オプション] を選択します。
- [シンボル] をクリックして、シンボルのスタイルを変更します。[塗りつぶし色] を白に変更し、[透過表示] を 100% に設定します。[アウトライン] に切り替えます。[アウトライン] を黒に設定し、[ライン幅] を 1 ピクセルに設定します。[OK] をクリックして変更内容を適用した後、[OK] をクリックし、[スタイルの変更] ウィンドウにある [完了] をクリックして変更内容を維持します。
- [コンテンツ] ウィンドウの [Campground_Buffers] レイヤーで [テーブルの表示] をクリックします。
- テーブルを閉じます。
- 一部のバッファーを拡大表示して近距離から調査し、これらのバッファーにナセラ タサクが含まれているかどうかを確認します。
- 調査が終了したら、[ブックマーク] → [Campgrounds] の順にクリックして、すべてのキャンプ場を示す範囲に戻ります。
- マップを保存します。
ナセラ タサクを含んでいるバッファーの選択
解析の次の部分は、ナセラ タサクを含んでいるバッファーを識別することです。このためには、別のレイヤー (Nassella Tussock Range) 内のフィーチャと共通するエリアが存在するかどうかに基づいて、あるレイヤー (Campground_Buffers) 内のフィーチャを検索するツールが必要になります。
- [解析の実行] ウィンドウを開きます。[位置の検索] グループを展開して、[既存フィーチャの検索] ツールをクリックします。
- [属性および空間クエリを使用して、検索するフィーチャを含むレイヤーを選択] ドロップダウン メニューをクリックして [Campground_Buffers] を選択します。
- [フィーチャを検索するクエリの構築] パラメーターで [条件式の追加] をクリックして、[条件式の追加] ダイアログ ボックスを開きます。
- [条件式の追加] ダイアログ ボックスで、空間リレーションシップを [交差する] に変更し、2 番目のレイヤーを [Nassella Tussock Range] に変更します。[追加] をクリックします。
- [結果レイヤーの名前] を [Campgrounds_Within_Range] に変更します。また、[現在のマップ表示範囲を使用] チェックボックスをオフにすることもできます。[分析の実行] をクリックして、このツールを実行します。
- [コンテンツ] ウィンドウで [Roads] レイヤーをオンにします。
- [Roads] レイヤーをオフにして、[Populated Places] レイヤーをオンにします。
- [Populated Places] レイヤーをオフにします。
- マップを保存します。
4 つのバッファーがナセラ タサクの分布範囲と交差しています。
選択したバッファーのうちの 2 つが、ナセラ タサクが広まっているエリア内にあるのは、驚くことではないかもしれません。しかし、その他の 2 つについてはどうでしょうか。選択された 4 つのバッファーには、それらを他のバッファーと区別する地理的な関係性があるでしょうか。マップ上の他のバッファーをいくつか調べて、これらのバッファーから、この質問の答えが得られるかどうかを確かめてみましょう。
バッファー内のナセラ タサクの定量化
解析の 3 番目の部分では、選択されたバッファー内に存在するナセラ タサクの量を特定します。なぜこれが重要なのでしょうか? 公教育では、ナセラ タサクがエリア内で見つかったかどうか、見つかった場合はまん延しているかどうかに関する情報を、キャンプ場に提供することが役に立つ場合があります。研究者にとっては、定量的測定は、今後の比較のためのベースラインになります。
使用するツールは、[エリア内での集計 (Summarize Within)] です。
- [解析] をクリックして、[解析の実行] ウィンドウを開きます。[データの集約] で [エリア内での集計] をクリックして、このツールを開きます。
- [境界内のその他のフィーチャを集計するエリア レイヤーを選択] で [Campgrounds_Within_Range] を選択します。[集計するレイヤーを選択] で [Nassella Tussock Range] を選択します。[レイヤーから統計情報を追加して集計] パラメーターで [合計] 計測単位を [ヘクタール] に変更します。
- [結果レイヤーの名前] を [Tussock_Within_Buffers] に変更します。[現在のマップ表示範囲を使用] チェックボックスをオフにすることもできます。[分析の実行] をクリックして、このツールを実行します。
- [Tussock_Within_Buffers] レイヤーには、[Campgrounds_Within_Range] レイヤーと完全に重なっているフィーチャが含まれますが、[Tussock_Within_Buffers] レイヤーには要約統計量が示されます。[コンテンツ] ウィンドウで、[Campgrounds_Within_Range] レイヤーをオフにして、[Tussock_Within_Buffers] を簡単に操作できるようにします。
[Tussock_Within_Buffers] レイヤーには 4 つのフィーチャがあり、それぞれ、選択された 4 つのキャンプ場のバッファーに対応しています。レイヤーのスタイルを変更して、透過表示にします。
- [コンテンツ] ウィンドウの [Tussock_Within_Buffers] で [スタイルの変更] を選択します。[表示する属性を選択] パラメーターを [場所のみ表示] に切り替えます。[描画スタイルの選択] で [オプション] をクリックします。
- [シンボル] をクリックして、シンボルのスタイルを変更します。グレー スケールの塗りつぶしを選択します。[アウトライン] に切り替えて、黒を選択します。[OK] をクリックして、変更内容を適用します。[透過表示] を 25% に変更して [OK] をクリックします。[完了] をクリックして、変更した内容を保存します。
- [コンテンツ] ウィンドウの [Tussock_Within_Buffers] で [テーブルの表示] をクリックします。
次の手順
25 分間で、公開されているデータを検索し、ナセラ タサクの分布範囲と重なっているキャンプ場を特定し、各キャンプ場の範囲内のナセラ タサクの合計面積を算出しました。次は何を学びますか?
シナリオベースのレッスンの詳細については、「ArcGIS Learn」ギャラリーをご参照ください。最初は、「サケの母線回帰のための河川の接続」をお試しください。「The ArcGIS Book」と「The ArcGIS Imagery Book」の Web サイトにアクセスすることもできます。
同様の解析を実行し、ArcGIS Pro の効果的なジオプロセシング ツールを使用してナセラ タサクの問題を解決します。
自分自身で ArcGIS Online を探索して、何ができるのかを見つけてください。いくつかのアイデアを次に紹介します。
- 関連するクイック レッスンで、マップからアプリを作成し、そのアプリを使用して結果を記録および共有する方法について学習します。
- 空間解析については、 「解析の基本操作」、「クーガーの生息地として適しているエリア」などの学習リソースを活用してください。