ArcGIS Enterprise 配置では、コンテンツを簡単に作成、変更、およびアクセスできます。ただし、配置に新しいコンテンツが追加されないようにしたり、既存のコンテンツと設定が変更されないようにする必要があることもあります。
10.8 で導入された読み取り専用モードを使用すると、管理者は特定の時間に ArcGIS Enterprise 配置を固定し、サイト データや構成を変更する操作を制限できます。
配置を読み取り専用モードにすると、ポータル、フェデレーション ArcGIS Server サイト、および ArcGIS Data Store が制御されます。
メモ:
組織に 1 つ以上のスタンドアロン ArcGIS Server サイトが存在する場合、ArcGIS Server の読み取り専用モード設定を使用できます。
読み取り専用モードでは、既存のコンテンツへのアクセスが妨げられることなく、一部の操作が許可されます。ユーザーはこれまでどおり、さまざまな方法でコンテンツを表示および操作できます。配置の読み取り専用モードを終了すると、以前と同様にすべての操作を続行できます。
ArcGIS Enterprise 配置を読み取り専用に設定することで、システムに変更またはアップグレードが適用される際のデータ損失の可能性を減らすことができます。
読み取り専用モードの用途
読み取り専用モードは、ArcGIS Enterprise 配置を新しいバージョンにアップグレードする際に役立ちます。
システムの稼働時間やサービスレベル契約に対する規制が存在する組織の場合、配置を読み取り専用モードに設定することで、アップグレードの複雑さを軽減できます。このような組織では、アップグレード期間の大部分または全期間で、可用性を維持する必要があります。このためには、プライマリ配置をアップグレードする前に、重複した配置を設定してコンテンツをその配置に複製します。
たとえば、運用環境を読み取り専用に設定し、コンテンツをスタンバイ環境に複製した後、スタンバイ環境をアップグレードしてアップグレード内容を整合チェックできます。アップグレードの整合チェックが完了したら、トラフィックをスタンバイ配置にリダイレクトできます。この処理の間も、元の運用環境にアクセスしてコンテンツを利用できますが、コンテンツを変更することはできません。このため、アップグレード中のデータ損失のリスクが解消されます。
読み取り専用モードは、コンピューターを更新する場合にも役立ちます。配置を読み取り専用モードにして、バックアップやスナップショットを作成してから、ハードウェアや配置の構成に大幅な変更を加えることができます。この操作により、バックアップまたはスナップショットにロールバックする必要がある場合に、新しいコンテンツまたは変更されたコンテンツの損失を回避することができます。
読み取り専用モードの機能制限
ArcGIS Enterprise が読み取り専用モードの場合、多くのタスクとワークフローは使用できません。データまたは構成を変更しようとしても失敗します。
読み取り専用モードでは、次の操作は許可されていません。
- アイテムの作成またはアップロード
- Map Viewer での解析ツールの実行
- ホスト フィーチャ レイヤーまたはその他のサービス タイプの公開
- フィーチャ サービスの編集 (ホスト サービスを含む)
- 新しい ArcGIS Notebooksまたは既存のノートブックを開く操作
- ArcGIS Notebook Server コンテナーの 終了
- グループの作成または変更
- ユーザーの作成または変更
- ArcGIS Enterprise コンポーネント設定の変更
- webgisdr ユーティリティを使用した ArcGIS Enterprise バックアップのインポート
- ArcGIS Server またはポータル バックアップのインポート
次の操作は、読み取り専用モードでも許可されます。
- Map Viewer でのコンテンツの表示
- ログ設定の管理
- バックアップの作成
- 開いている ArcGIS Notebooks のプレビュー
- restoredatastore ユーティリティを使用した ArcGIS Data Store の復元
- ポータルのインデックス作成
メモ:
10.8.1 ポータルにバージョン 10.7.1 以前のフェデレーション サーバーが存在する場合、ArcGIS Enterprise が読み取り専用モードであっても、これらのサーバー上のフィーチャ サービスへの編集はブロックされません。これらのサービスへの編集は、個別に無効化する必要があります。
これらのリストはすべてを網羅しているわけではありません。ArcGIS Notebooks での解析ツールの実行など、他の操作がブロックされている場合があります。また、リストに存在しない他の操作が許可されている場合もあります。一般的に、ArcGIS Enterprise が読み取り専用モードの場合、コンテンツは変更できないものの、既存のコンテンツおよび設定は表示できると考えてください。ArcGIS Enterprise への読み取り専用モードの設定
以下の手順に従って、ArcGIS Enterprise を読み取り専用に設定します:
- ポータルのデフォルトの管理者ロールのメンバーとして、ArcGIS Portal Directory にサイン インします。URL の形式は https://webadaptorhost.domain.com/webadaptorname/portaladmin です。
メモ:
管理権限が付与されたカスタム ロールを持つメンバーは、ポータル ディレクトリの読み取り専用設定を表示できますが、更新することはできません。デフォルトの管理者ロールのメンバーのみが設定を更新できます。
- [Mode] > [Update] の順にクリックします。
- [Read Only] を [True] に設定します。必要に応じて、ユーザーがコンテンツを作成、変更、または削除しようとした場合に表示するカスタム メッセージを入力できます。カスタム メッセージを使用しない場合、以下のデフォルト メッセージが使用されます。
「ArcGIS Enterprise は現在、読み取り専用モードです。詳細については、管理者にお問い合わせください。」
読み取り専用モードをオンにすると、配置内の各フェデレーション サーバーのシステム プロパティに 2 つのプロパティが追加されます。readOnlyModeCopyConfigLocal プロパティと readOnlyModeRestartServices プロパティが追加され、各サーバー サイトを読み取り専用に設定する速度が向上します。読み取り専用モードがオフになると、これらのプロパティはシステム プロパティから削除されます。
ArcGIS Enterprise の読み取り専用モードを終了するには、[更新モード] 操作に戻り、[読み取り専用] を [False] に設定します。
読み取り専用モードがオンになっていることをユーザーに通知およびリマインドするには、10.8 以降のポータルで利用可能なアクセスの注意事項および情報バナー機能を使用します。