ArcGIS Enterprise では、複数の方法で解析を実行できます。 解析の実行に使用するツールは、データのサイズ、データのタイプ、実行する解析によって異なります。 たとえば、国内の緊急避難所の場所について到達圏を計算する場合と、緊急通報に関する数百万ものレコードについて時間の経過に伴う変化を調べる場合を想定してみます。 これらのシナリオはいずれも、ArcGIS Enterprise を使用して解析できますが、実行する解析のタイプによって、使用するフィーチャ解析ツールセットが決定されます。
フィーチャ解析オプション
使用するフィーチャ解析ツールセットを決定する際にはいくつかの基準があります。 標準解析ツールは ArcGIS 10.4 で利用可能になり、GeoAnalytics Tools は、ArcGIS 10.5 の ArcGIS GeoAnalytics Server で利用できます。 標準解析ツールは単一のコンピューター上で実行され、標準サイズのデータに最も適しています。 これらのツールは、幅広い疑問に答えることができます。
GeoAnalytics Tools は、大規模データセットに最も適しており、複数台のコンピューターで横断的に解析を実行します。 GeoAnalytics Tools は、時間と空間の両面で大規模データセットを集約および分析することを専門としています。
どちらのツールを使用するかを決定する最初の基準は、データのサイズです。 その他に、標準解析またはビッグ データ解析に使用可能なツール数の差と各ツールの機能の違いが挙げられます。 これらの相違点の要約を次に示します。
- GeoAnalytics Tools は、複数のコンピューターの機能を利用して、より大規模な解析を完了できます。
- 標準解析の方が、より多くのツールを使用できます。
- GeoAnalytics Tools では、空間に加えて、時間により大きな重点が置かれています。
- 標準解析と GeoAnalytics Tools では、類似するツールのパラメーターが異なる場合があります。 これらのツール レベルの相違点については、「フィーチャ解析ツールの相違点」で説明します。
標準ツールと GeoAnalytics Tools の相違点
標準解析と GeoAnalytics Tools では、多数のツールが類似しています。 次の表に、標準解析と GeoAnalytics Tools で使用可能なツールの概要をカテゴリ別に示します。 これらのツールの設定については、標準解析ツールの場合は「解析を実行するためのポータルの構成」、GeoAnalytics Tools の場合は「ArcGIS GeoAnalytics Server の設定」をご参照ください。
データ サマリー
| ツール | 標準解析 | GeoAnalytics ツール | 
|---|---|---|
| ポイントの集約 |  |  | 
| 多変数グリッドの構築 |  | |
| データセットの記述 (Describe Dataset) |  | |
| フィーチャの結合 |  |  | 
| トラッキングの再構築 |  | |
| 属性の集計 |  | |
| 近接範囲内での集計 |  | |
| エリア内での集計 |  |  | 
| 中心と分散の集計 |  |  注意:[中心と分散の集計 (Summarize Center and Dispersion)] は、Map Viewer Classic から実行できます。 [中心と分散の集計 (Summarize Center and Dispersion)] を使用するには、ArcGIS REST API または ArcGIS Pro から実行します。 | 
場所 検索
| ツール | 標準解析 | GeoAnalytics ツール | 
|---|---|---|
| 最適な施設の選択 |  | |
| 可視領域の作成 |  | |
| 集水域の作成 |  | |
| 新規フィーチャの作成 |  | |
| インシデントの検出 (Detect Incidents) |  | |
| 重心の検索 |  | |
| 滞在場所の検索 (Find Dwell Locations) |  | |
| 既存フィーチャの検索 |  | |
| 類似場所の検索 |  |  | 
| テーブルから場所をジオコーディング |  |  | 
| 下流解析 (Trace Downstream) |  | 
データへの情報付加
| ツール | 標準解析 | GeoAnalytics ツール | 
|---|---|---|
| モーションの統計情報を計算 (Calculate Motion Statistics) |  | |
| 多変数グリッドから情報付加 |  | |
| レイヤーへの情報付加 (Enrich Layer) |  | 
パターンの解析
| ツール | 標準解析 | GeoAnalytics ツール | 
|---|---|---|
| 密度の計算 |  |  | 
| ホット スポットの検索 (Find Hot Spots) |  |  | 
| 範囲外ポイントの検索 |  | |
| ポイント クラスターの検索 |  |  | 
| フォレストベースの分類と回帰分析 |  | |
| 一般化線形回帰分析 (Generalized Linear Regression) |  | |
| 地理空間加重回帰分析 (Geographically Weighted Regression) |  | |
| ポイントの内挿 (Interpolate Points) |  | |
| 時空間キューブの作成 (Create Space Time Cube) |  注意:[時空間キューブの作成] は、Map Viewer Classic では実行できません。 [時空間キューブの作成 (Create Space Time Cube)] を使用するには、ArcGIS REST API または ArcGIS Pro で実行してください。 | 
近接
| ツール | 標準解析 | GeoAnalytics ツール | 
|---|---|---|
| バッファーの作成 |  |  | 
| 到達圏レイヤーの作成 |  | |
| 最寄りの検索 |  | |
| ルートの計画 |  | |
| 起点から終点の計測 |  | |
| 近接イベントのトレース (Trace Proximity Events) |  | 
データの管理
| ツール | 標準解析 | GeoAnalytics ツール | 
|---|---|---|
| 空間オーバーレイ |  | |
| フィールド 演算 |  | |
| レイヤーのクリップ (Clip Layer) |  | |
| データ ストアにコピー |  | |
| 境界のディゾルブ (Dissolve Boundaries) |  |  | 
| データの抽出 |  | |
| テッセレーションの生成 |  | |
| レイヤーのマージ (Merge Layers) |  |  | 
| オーバーレイ (Overlay Layers) |  |  |