AWS CloudFormation と ArcGIS for Server
このトピックの内容
アマゾン ウェブ サービス (AWS) CloudFormation を使用して、AWS 上にさまざまな ArcGIS for Server アーキテクチャを配置できます。これらのアーキテクチャには、次のようなものがあります。
- 可用性が高く、サイロ化された GIS サーバー サイト (ArcGIS for Server)
- Web GIS (ArcGIS for Server、Portal for ArcGIS、ArcGIS Web Adaptor、および ArcGIS Data Store)
Amazon CloudFormation は、使用するアマゾン ウェブ サービスのアーキテクチャを定義するのに役立つサービスです。これは、コードとしてのインフラストラクチャの例です。つまり、クラウド環境で特定のハードウェア インフラストラクチャを配置できるコードを記述します。CloudFormation の場合、JSON (JavaScript Object Notation) のテンプレートを使用して、事前定義された方法で連携する多くのリソースを定義します。CloudFormation を使用すると、サイト内で最小数のコンピューター数を常に維持することができ、コンピューターの 1 つが使用できなくなったときにシームレスな復旧が可能になります。
Esri が提供する CloudFormation のサンプル テンプレートを使用すると、配置を設定できます。また、これらのテンプレートをカスタマイズしたり、独自のテンプレートを作成して独自の配置パターンを実装することもできます。CloudFormation を使用しなくても (AWS Management Console または API を使用して)、手動で配置を設定できます。ただし、手動でこれを行うよりも、CloudFormation を使用したほうが、アーキテクチャの起動および維持を簡単に行うことができます。また、CloudFormation テンプレートを使用すると、異なる Amazon アカウントまたはリージョンに同一のアーキテクチャを簡単に設定することができます。
CloudFormation を使用して、Web GIS を起動および維持することもできます。Web GIS を使用すると、ArcGIS for Server プラットフォームのすべてのコンポーネントを利用することができます。
CloudFormation を使用した可用性の高い GIS サーバーの構築
Esri は、AWS 上でサイロ アーキテクチャの ArcGIS Server を操作する際に、可用性を高めることができる CloudFormation のサンプル テンプレート を提供しています。
サイロ アーキテクチャの必要性を理解するには、バックグラウンドとなる知識が多少必要です。通常、AWS で ArcGIS Server の使用を開始するには、ArcGIS Server Cloud Builder を使用します。このとき、簡単なウィザードを使用して、Amazon EC2 (Elastic Compute Cloud) 内に ArcGIS Server サイトを設定することができます。ウィザードによって出力されるサイトでは、多数のコンピューター間で互いにジョブを分散し、ArcGIS Server で採用されている P2P ピアツーピア アーキテクチャを最大限に活用することができます。また、Cloud Builder は、同じパターンに従って別のサイトを起動するのに使用できるテンプレートだけでなく、サイトのバックアップを作成するためのフレームワークも提供します。
Cloud Builder で作成したサイトには、さまざまな利点がありますが、高可用性という点ではいくつか短所があります。構成ストアを実行する GIS サーバー インスタンスが失われると、サイトは使用できなくなります。また、バックアップの復元には 30 分以上かかることがあり、組織によってはこのダウンタイムは許容できない場合もあります。
このような問題を回避するための別の方法は、サイロ化された ArcGIS Server アーキテクチャを作成することです。このアーキテクチャでは、同じではあるが独立している多くの ArcGIS Server サイトがロード バランサーの下で接続されます。サイロ アーキテクチャの主な利点の 1 つは、GIS サーバー インスタンスを失った場合でも、ArcGIS Server の実行を継続できることです。
サイロ アーキテクチャは、Cloud Builder では構築できません。AWS Management Console または API を使用して手動で作成する必要があります。サイロ サイトの作成を簡単にするには、Amazon CloudFormation を使用して、サイロ アーキテクチャを起動および維持します。CloudFormation を使用すると、サイト内で最小数のコンピューター数を常に維持することができ、コンピューターの 1 つが使用できなくなったときにシームレスな復旧が可能になります。
ArcGIS Server サイロ アーキテクチャ テンプレートと「AWS CloudFormation を使用した ArcGIS for Server の配置」の手順を使用して、サイロ GIS サーバー サイトおよび ArcGIS Server コンピューターを同時に処理するロード バランサーを定義します。
CloudFormation を使用した Web GIS の配置の構築
Esri は、AWS 上に Web GIS を配置するための CloudFormation サンプル テンプレートを提供しています。Web GIS の配置には、次の ArcGIS 製品が含まれています。
- ArcGIS for Server
- Portal for ArcGIS
- ArcGIS Web Adaptor
- ArcGIS Data Store
CloudFormation のサンプル テンプレートは、これらすべての製品を互いに構成します。
- Portal for ArcGIS は、コンテキスト portal を使用して ArcGIS Web Adaptor に登録されています。たとえば、登録されたポータル URL の形式は、http://<domain name>/portal/home です。
- ArcGIS Server サイトは、コンテキスト server を使用して、ArcGIS Web Adaptor に登録されています。たとえば、ArcGIS Server Manager URL の形式は、http://<domain name>/server/manager です。
- ArcGIS Data Store は、ArcGIS Server サイトに作成され、登録されます。これにより、ArcGIS Server サイトは、ポータルのホスト フィーチャ レイヤー データを格納することができます。
- ArcGIS Server サイトは、ポータルとフェデレートされ、ポータルのホスティング サーバーとして設定されます。
CloudFormation テンプレートを実行して Web GIS を配置する前に、以下が用意されている必要があります。
- サイトの有効なドメイン名
- 証明局から取得した、ドメインの TLS (SSL) 証明書
- EC2 インスタンスに関連付ける Elastic IP アドレス (ドメイン名を Elastic IP アドレスにマッピングする必要あり)
Web GIS テンプレートと「AWS CloudFormation を使用した ArcGIS for Server の配置 」の手順を使用して、AWS 上に Web GIS を配置します。