マップ サービスは、他のユーザーが利用できるようにサーバー上で提供しているマップです。マップ サービスは、多くの Web およびイントラネットのシナリオに対応するように設計されています。同じマップ サービスが、ArcMap、Web アプリケーション、ArcGIS Online、モバイル アプリケーションでそれぞれ異なるユーザーによって使用されることがあります。マップ サービスをセットアップする理由として次が挙げられます。
動的マップを提供するため
動的マップはユーザーによってリクエストされたときに描画されます。動的マップはキャッシュされたマップほど高速ではありませんが、高度に焦点が絞られたイントラネット アプリケーションや、データのリアルタイム表示を要求するアプリケーションに適しているかもしれません。
動的に提供されるマップを作成する最適な方法については、「マップ作成の検討事項」をご参照ください。
ダイナミック レイヤーを提供するため
マップ サービスは、ArcGIS Web API などのクライアントが動作や表示をレイヤーごとに動的に変更できるようにする組み込み機能を備えています。これらのダイナミック レイヤーにより、ユーザーが Web 上でマップに対して行える操作を拡張することができます。
詳細については、「ダイナミック レイヤーについて」をご参照ください。
キャッシュされたマップを提供するため
キャッシュされたマップ サービスは事前に作成された一連の画像を使用するため、Web 上で最も高速にマップを提供することができます。ArcGIS Online、Google Maps、Bing Maps、その他多くのサービスは、この方法でマップを提供します。ユーザーはマップの静的なピクチャを表示するだけですが、元のデータを取得するために、検索、個別属性表示、クエリ タスクでキャッシュされたマップ サービスを補うことができます。また、データが変化する場合に、キャッシュを定期的に更新することもできます。
マップ サービスは自動的にキャッシュされません。このため、サービスを公開した後にキャッシュを作成する必要があります。マップ サービスを一連のキャッシュ タイルとしてセットアップする方法については、「マップ キャッシュとは」をご参照ください。
フィーチャを提供するため
マップ サービスは常に画像を表示する必要はありません。アプリケーションで操作するための一連のフィーチャを返すことを目的に、マップ サービスをセットアップできます。これらのフィーチャは、アプリケーションに追加するタスクを通じて取得します。
たとえば、マップ サービスを検索して、結果のフィーチャをグラフィックスとしてマップに表示することができます。このようなクエリでは、「名前に Delaware を含むすべてのフィーチャ」や「100 マイルよりも長いすべてのフィーチャ」を検索することができます。
フィーチャを提供するためのマップ サービスをセットアップする場合は、「検索」と「抽出」のオペレーションが許可されていることを確認してください。これらのオペレーションの詳細については、「サービスのチューニングと構成」をご参照ください。
ネットワーク解析機能を提供するため
サーバーでネットワーク解析を実施するために、マップ サービスをセットアップできます。マップ ドキュメントにネットワーク解析レイヤーが含まれている場合は、サービスを公開する際にネットワーク解析ケーパビリティが表示され、有効にすることができます。このケーパビリティを有効にすると、ArcGIS for Server を利用するアプリケーションを開発する際に、ネットワーク解析オペレーションを実施できます。施設やバリアなどのデフォルト プロパティをマップ ドキュメントでの解析用に設定することができます。詳細については、「ネットワーク解析サービス」をご参照ください。
KML を通じてマップまたはフィーチャを提供するため
KML は、XML ベースのオープン構造を通じて地理データとマップを表すことができます。KML は、Explorer for ArcGIS や Google Earth などのジオブラウザー アプリケーションで、情報提供用のポップアップ ウィンドウに表示される属性を使用して、マップ オーバーレイまたはフィーチャを表示するためによく使用されます。すべてのマップ サービスはデフォルトで KML も返します。詳細については、「ArcGIS for Server での KML のサポート」をご参照ください。
OGC 仕様を通じて画像、フィーチャ、ラスターを提供するため
OGC は、Web 上でマップ画像 (WMS)、ベクター フィーチャ (WFS)、ラスター データセット (WCF)、および Web マップ タイル (WMTS) を公開するための仕様を公開しています。組織によっては、地理データやマップをこの方法で公開することを要求します。マップ サービスは、OCG 仕様に準拠する画像またはデータを返すように構成することができます。詳細については、「OGC サービス」をご参照ください。
モバイル デバイス用のマップを提供するため
フィールド スタッフがマップからモバイル デバイスにデータを抽出できるよう、マップ サービスを構成することができます。モバイル デバイスに Web サービス経由でのマップへのアクセスを許可するために、マップを公開する際に [Mobile Data Access] ケーパビリティを選択できます。詳細については「モバイル データ サービス」をご参照ください。
まとめ
これらはマップ サービスを使用する方法の一部にすぎません。マップ サービスを実際に使用していくうちに、他の使用法を発見するでしょう。すべてのマップ サービスは SOAP および REST インターフェイスを通して公開され、多くの Esri アプリケーションや Esri 以外のアプリケーションで利用することができます。