ArcGIS Server は、総リクエスト、平均応答時間、タイムアウトなど、各種のサービス統計情報を記録し、この情報を ArcGIS Server Manager で 1 つまたは一連のグラフとしてレポートします。管理者および公開者はこの情報を使用して、サービスのアクティビティを監視し、クライアントによるサービスの使用状況についての理解を深めることができます。たとえば、サーバーの統計情報の監視は、次のような質問に答えるときに役立ちます。
- 自分の ArcGIS Server サイトで先週中に処理されたリクエストの総数は?
- 先月中のサービス リクエストの負荷分散量は?
- 時間単位でのサービスのパフォーマンスは?
- 任意の時点で特定のサービスに使用されたサービス インスタンスの最大数は?
サーバーの統計情報の役割
統計情報は、サービスの使用状況を監視するための重要なツールです。統計情報は、クライアントによるサービスの使用状況を確認し、サービスに影響する可能性がある潜在的問題を特定するのに役立ちます。また、統計情報は、時間の経過に伴うイベントの履歴でもあります。
たとえば、管理者は、ここ 1 か月間におけるサイト内でのすべてのサービスの最大応答時間についてレポートを作成できます。レポートの検証時に、管理者は特定のサービスの応答時間に見られる突出部をクライアントからの苦情に対応付けることができます。この情報を利用することで、管理者は、そのサービスで使用されているインスタンスの数を増やして応答時間の短縮に役立てることができます。
サーバーの統計情報へのアクセス
ArcGIS Server Manager を使用して、サーバーの統計情報から生成されたレポートにアクセスし、レポートの表示、構成、削除の操作を行います。ArcGIS Server Manager はサイトから各種の統計情報を集約し、表示/操作しやすいグラフ形式でその情報を表示します。手順の詳細については、「サーバーの統計情報の操作」をご参照ください。
格納の検討事項
統計情報は、ArcGIS Server システム ディレクトリに格納されます。このディレクトリは、サービス、GIS サーバー、およびデータベース接続を維持するために必要な情報を管理するためにも使用されます。また、ArcGIS Server サイトにアップロードされたファイルを格納するためにも使用されます。このディレクトリのファイルを手動で変更または削除しないでください。ArcGIS Server サイト内に置くことができるこのディレクトリのインスタンスは 1 つだけです。
システム ディレクトリに統計情報を保存するための十分なスペースを確保するには、次の各仕様を検討してください。
- 集約間隔 (デフォルトでは 30 分)。これにより、統計情報が生成される精度が決定されます。この間隔を短くすると (たとえば 5 分など)、サーバーではより多くの統計情報が生成されますが、一方で、それを保存するためのディスク スペースがより多く必要となります。反対に、間隔を長くすると、書き込まれるログの数が減り、必要なディスク スペースも少なくなります。
- 統計情報保持期間 (デフォルトでは無制限)。この期間を短くすると (たとえば 30 日など)、統計情報ファイルのサイズが予想以上に大きくなるのを防ぐことができます。
- サイトに参加しているサービスの数。
たとえば、平均サイズの ArcGIS Server サイトに基づいて次のシナリオに推奨されるストレージの割り当て量は、最低 500 MB のディスク スペースです。
- デフォルトに設定される集約間隔 = (30 分)
- 3 年に設定される統計情報保持期間 = (1,095 日)
- 50 のサービスがサイトに参加しており、その 90% が常にアクティブです。
多くのサービスを利用している大きな組織では、500 MB を超えるディスク スペースを必要とする場合もあります。
サーバーの統計情報を構成する詳細および手順については、「サーバーの統計情報の操作」をご参照ください。
サーバーの統計情報についての高度な監視の実行
ArcGIS Server の上級ユーザーである場合、ArcGIS REST API を使用してサーバーの統計情報を監視できます。この API を使用すると、時間の経過に伴う統計情報をプログラムを利用して取得できます。
次に示されているスクリプトの例は、プログラムを利用して統計情報を取得および監視する方法を理解するのに役立てることができます。また、ArcGIS Server Administrator Directory を使用して、ArcGIS Server にリクエストを送信してレスポンスに対応する方法を理解することもできます。