サーバー ディレクトリは、ArcGIS Server サイトが特定種類の情報を格納および書き込むために専用に設計された、ネットワーク上の物理ディレクトリを表します。 サーバー ディレクトリには、キャッシュ、ジョブ、出力、およびシステムの 4 種類があります。
キャッシュ ディレクトリには、マップ サービスの表示を高速化するために使用できるレンダリング済みのタイルのキャッシュが格納されます。 ArcGIS Desktop の [サービス エディター] の [キャッシュ] タブでキャッシュを構成できます。 サービスを公開したら、ArcGIS Server に含まれているシステム ツールを使用してキャッシュを構築します。 キャッシュされたサービスは、ディスク上のストレージを大量に必要とすることが多いため、キャッシュ プロセスの間に作成されたタイルを処理できるように、キャッシュ ディレクトリを適切に配分する必要があります。
ジョブ ディレクトリには、ジオプロセシング サービスに必要なファイルが格納されます。 多くの場合、ジオプロセシング サービスには、テンポラリ ファイルと、処理中のジョブおよびジョブの結果に関する情報を書き込むための領域が必要です。 これらはジョブ ディレクトリに格納されます。
出力ディレクトリには、サーバーに必要なテンポラリ ファイルが格納されます。 出力ディレクトリは、ジオプロセシング サービスの必須ディレクトリであり、ジオデータ サービスに推奨され、必要に応じてマップ サービスとイメージ サービスに使用することができます。 ArcGIS Server Manager でサービスを公開する際、またはそのプロパティを編集する際には、使用するサーバー出力ディレクトリを選択することができます。
このシステム ディレクトリを使用して、サービス、ArcGIS Server、およびデータベース接続の維持と ArcGIS Server サイトにアップロードされたファイルの格納に必要な情報を管理することもできます。 このディレクトリのファイルを手動で変更または削除しないでください。 このディレクトリのインスタンスは、ArcGIS Server サイト内に 1 つだけ置くことができます。
サーバー ディレクトリの権限と可視性
ArcGIS Server Manager で ArcGIS Server サイトを作成すると、サーバー ディレクトリが ArcGIS Server コンピューターに作成され、それらのディレクトリに対する読み取り/書き込みアクセス権限が ArcGIS Server アカウントに付与されます。 デフォルトでは、サーバー ディレクトリは <ArcGIS Server installation drive>\arcgisserver\directories にインストールされます。 ArcGIS Server Manager で、[サイト] > [GIS サーバー] > [ディレクトリ] の順に移動してサーバー ディレクトリを管理することができます。
複数コンピューターのサイトを構成するとき
複数コンピューターのサイトを構成している場合は、ArcGIS Server コンピューターをサイトに追加する前に、UNC パスを使用するようにサーバー ディレクトリを構成する必要があります。 サーバー ディレクトリの共有権限とファイル権限の設定方法の詳細については、「複数のコンピューターによる配置の構成」をご参照ください。
単一のコンピューターのサイトから複数台のコンピューターのサイトに拡張するとき
単一の ArcGIS Server コンピューターから複数のコンピューターにサイトを拡大する場合は、オペレーティング システムのツールを使用して、ディレクトリを含むフォルダーを共有し、ArcGIS Server のアカウントがそれらの共有フォルダーに対する読み取り/書き込み権限を持つことを確認する必要があります。 詳細な手順については、「複数コンピューターの ArcGIS Server サイトについて」をご参照ください。
サーバー ディレクトリのクリーニング
ArcGIS Server は、不要になった古いファイルをジョブ、出力、およびシステム ディレクトリから定期的に削除 (またはクリーニング) し、必要以上のディスク スペースが占有されないようにします。 キャッシュ ディレクトリは、コンテンツが常に利用可能であると想定されているためクリーニングされません。
サーバーでのディレクトリのクリーニング方法
ArcGIS Server は、サーバー ディレクトリのファイルのクリーニングを試みるときに、ファイルが最後に変更されてからの経過時間が、指定された最大保存期間を超えているかどうかを確認します。 ファイルがこの条件を満たしていれば、そのファイルは削除され、サーバーはディレクトリの次のファイルの確認作業に進みます。 この条件を満たしていないファイルは、ディレクトリに残されます。
デフォルトでは、サーバーのジョブ、出力、およびシステム ディレクトリは、次の条件を使用してクリーニングするように指定されています。
ディレクトリ | クリーンナップ モード | ファイルの最大保存期間 |
---|---|---|
ジョブ | 最終変更からの時間 | 360 分 (6 時間) |
出力 | 最終変更からの時間 | 10 分 |
システム | 最終変更からの時間 | 1,440 分 (24 時間) |
たとえば、出力ディレクトリ内のファイルが作成されてから 10 分以内に変更されなかった場合、そのファイルは許可された最大保存期間を超過しているため、クリーンナップ メカニズムによって削除されます。 サイトのニーズに合わせて、クリーンナップ モードとファイルの最大保存期間を調整できます。
レガシー:
10.0 以前のバージョンでは、サーバー上のファイルを、ファイル作成時からの経過時間に基づいて、あるいはファイルがクライアントから最後にアクセスされた日時からの経過時間に基づいて、定期的に削除するように構成できました。 10.1 以降のバージョンでは、ファイルが削除されるのは、指定した最大保存期間内にそのファイルが変更されなかった場合のみです。
クリーンナップ モードとファイルの最大保存期間の他に、ジョブ、出力、およびシステム ディレクトリにはそれぞれ独自のクリーンナップ ルールがあります。 例:
- ジョブ ディレクトリがクリーンナップされたときに、ArcGIS Server は完了したか、キャンセルされたか、失敗したジョブだけを削除します。
- 出力ディレクトリがクリーンナップされたときに、ArcGIS Server は名前の先頭が _ags のファイルとフォルダーだけを削除します。
- システム ディレクトリをクリーニングする際、ArcGIS Server はサーバーに完全にアップロードされているアイテムだけを削除します。
ディレクトリ クリーニングの調整または無効化
ArcGIS Server Manager または ArcGIS Desktop を使用して、ジョブ ディレクトリ、出力ディレクトリ、およびシステム ディレクトリのサーバー ディレクトリ クリーニングを調整または無効化することができます。 手順については、次のトピックをご参照ください。
仮想パスまたは URL 経由のサーバー ディレクトリへのアクセス
ArcGIS Server では、仮想パスまたは URL を使用してサーバー ディレクトリのアイテムにアクセスできます。
レガシー:
10.0 以前のバージョンでは、URL 経由でサーバー ディレクトリを公開したい場合、Web サーバー上に仮想ディレクトリを作成し、それをサーバー ディレクトリに関連付ける必要がありました。 このワークフローは、10.1 からは不要になっています。 サーバー ディレクトリを作成すると、自動的に URL 経由で公開されます。
ディレクトリの URL は http://gisserver.domain.com:6080/arcgis/rest/directories/<directory name> という形式になります。
たとえば、c:\arcgisserver\directories\arcgisoutput\_ags_map00c6dac961024efeb14067f990a38d5f.png に出力画像がある場合は、次の URL を通じて利用できます。
http://gisserver.domain.com:6080/arcgis/rest/directories/arcgisoutput/_ags_map00c6dac961024efeb14067f990a38d5f.png
ArcGIS Server Manager で [ディレクトリ] タブをクリックして、サーバー ディレクトリごとに URL に関する情報を得ることができます。
ヒント:
ArcGIS Web Adaptor を使用すると、ポート 6080 または arcgis が不要になるように上記の URL を調整することができます。