[ルート検索サービスの公開] ユーティリティを使用すると、ネットワーク データセットに基づく道順、ルート案内、および物流サービスを ArcGIS Server サイトに公開できます。これらのサービスを使用して、交通ネットワーク上のルート検索、最寄り施設の検出、到達圏、ロケーション アロケーション、OD コスト マトリックス、または配車ルート解析を行うことができます。
ArcGIS Server サイトがポータルにフェデレートされている場合、このサービスはポータルのユーティリティ サービスとして構成されます。公開されたサービスは、ArcGIS Pro や ArcMap などの ArcGIS Desktop アプリケーション、または ArcGIS Enterprise ポータルの Map Viewer 内で使用でき、ルート案内を取得したり、解析を実行したりできます。
このサービスは、ArcGIS Online で使用できるルート案内やルート検索サービスと類似していますが、独自のネットワーク データセットに基づいており、ArcGIS Enterprise 内で実行されます。
ライセンス:
このユーティリティを使用するには、ArcGIS Server サイトが ArcGIS Network Analyst エクステンション ライセンスを保有している必要があります。
ヒント:
このユーティリティで作成されるサービスは、ArcGIS Server バージョン 10.8 で大幅に改善されています。既存の ArcGIS Server サイトを以前のバージョンからアップグレードする場合は、サーバー サイトの以前のバージョンでこのツールによって作成された既存のルート検索サービスを削除して、このツールの最新バージョンを使用してルート検索サービスを再公開することをお勧めします。
データ要件
このユーティリティは、ArcGIS StreetMap Premium の一部として使用できるネットワーク データセット、またはファイル ジオデータベース、エンタープライズ ジオデータベース、またはモバイル マップ パッケージに保存された独自のネットワーク データセットで使用できます。ユーティリティを実行する前に、ArcGIS Server サイトに参加しているすべてのコンピューター (の同じディレクトリ パス) にネットワーク データセットをコピーする必要があります。ネットワーク データセットがエンタープライズ ジオデータベースに保存されている場合、サーバー サイトのすべてのコンピューターからそのエンタープライズ ジオデータベースにアクセスできなければなりません。
ヒント:
ファイル ジオデータベース ベースまたはモバイル マップ パッケージ ベースのネットワーク データセットは、お使いのサーバー サイト内のすべてのコンピューターがアクセスできる共有場所に配置できますが、サービス実行時に最高のパフォーマンスを得るには、ネットワーク データセットを各コンピューターのローカルにコピーすることをお勧めします。
ArcGIS StreetMap Premium データがライセンスされている場合、このユーティリティを実行する前に、各コンピューターに適切なデータ ライセンスをインストールする必要があります。Linux または にデータ ライセンスをインストールする手順に従ってください。
このユーティリティは、ArcGIS StreetMap Premium 2015 リリース 1 以降のネットワーク データセットをサポートしています。
レガシー:
古いバージョンの ArcGIS StreetMap Premium ネットワーク データセット (SDC 形式のネットワーク データセットを含む) はサポートされていません。
独自のネットワーク データセットを使用している場合は、次の条件を満たす必要があります。
- 少なくとも 1 つの時間ベースのコスト属性と 1 つの距離ベースのコスト属性が存在する
- 少なくとも 1 つの移動モードを定義している
- ルート案内をサポートしている
StreetMap Premium for ArcGIS モバイル マップ パッケージなどのモバイル マップ パッケージからネットワーク データセットを使用する場合は、まず、[パッケージの抽出 (Extract Package)] ジオプロセシング ツールを実行して、モバイル マップ パッケージの中身をローカル フォルダーに抽出し、その後で [ルート検索サービスの公開] ユーティリティを実行します。
パラメーター
ArcGIS Server サイトでネットワーク データセットを正しく設定したら、次のパラメーターを使用して [ルート検索サービスの公開] ユーティリティを実行できます。
パラメーター | 説明 |
---|---|
-u | ArcGIS Server サイトの公開者または管理者権限を持つユーザーのユーザー名。サイトがポータルにフェデレートされている場合、ユーザーは必ずポータル ユーザーで、Web ツールとサーバーベース レイヤーを公開できる管理者権限または公開者権限を持っています。サイトがフェデレートされていない場合、ユーザーは必ず管理者権限を持っています。サイトが Web 層認証を使用するように構成されている場合、プライマリ サイト管理者のアカウントや、ポータルの初期管理者アカウントなどの組み込みユーザーを指定します。 |
-p | -u パラメーターで指定するユーザーのパスワード。 |
-s | ArcGIS Server を実行しているコンピューターの完全修飾ドメイン名 (gisserver.domain.com など)、または ArcGIS Server サイトのローカル URL (https://gisserver.domain.com:6443/arcgis)。 |
-P | ArcGIS Server サイトのフェデレート先である Portal がインストールされているコンピューターの完全修飾ドメイン名 (gisportal.domain.com など)。この値には、ポータルのローカル URL (https://gisportal.domain.com:7443/arcgis) を設定することもできます。このオプションの値は、ルート検索サービスをホストする ArcGIS Server サイトがポータルにフェデレートされている場合にのみ必要です。 |
-n | ネットワーク データセットの絶対パス。 ネットワーク データセットがファイル ジオデータベース内にある場合、-n オプションの値にファイル ジオデータベースへのパス、ネットワーク データセットの名前、ネットワーク データセットを含むフィーチャ データセットの名前を含める必要があります。たとえば、このオプションの値は、Windows では c:\data\Streets.gdb\Routing\Routing_ND、Linux では /data/Streets.gdb/Routing/Routing_ND となります。ここで、Streets.gdb は Routing という名前のフィーチャ データセット内にある、Routing_ND という名前のネットワーク データセットを持つファイル ジオデータベースです。 ネットワーク データセットがモバイル マップ パッケージ内にある場合、-n オプションの値に、モバイル マップ パッケージが抽出されたフォルダーから SQLite データベースへのパス、ネットワーク データセットの名前、ネットワーク データセットを含むフィーチャ データセットの名前を含める必要があります。たとえば、このオプションの値は、Windows では c:\street_data\p14\northamerica.geodatabase\Routing\Routing_ND、Linux では /data/street_data/p14/northamerica.geodatabase/Routing/Routing_ND となります。ここで、northamerica.geodatabase は Routing という名前のフィーチャ データセット内にある、Routing_ND という名前のネットワーク データセットを持つ SQLite ジオデータベースです。 ネットワーク データセットがエンタープライズ ジオデータベース内にある場合、-n オプションの値にデータベース接続ファイルへのパス、ネットワーク データセットの名前、ネットワーク データセットを含むフィーチャ データセットの名前を含める必要があります。たとえば、このオプションの値は、Windows では c:\street_data\egdb.sde\Routing\Routing_ND、Linux では /street_data/egdb.sde/Routing/Routing_ND となります。ここで、egdb.sde は Routing という名前のフィーチャ データセット内にある、ネットワーク データセット Routing_ND を持つエンタープライズ ジオデータベースの接続ファイルです。 |
-o | ユーティリティがサービス用のサービス定義ファイルを作成するフォルダーへのパスと、実行内容と発生したエラーの詳細を含む publishroutingservices.log という名前のログ ファイルへのパス。 |
-f | ArcGIS Server サイトのすべてのルート検索サービスを作成するために使用されるフォルダー名。デフォルト値は Routing です。 |
-e | 複数のネットワーク データセットの範囲を含む、入力フィーチャクラスのフィーチャの範囲への絶対パス。このオプションは、複数のネットワーク データセットを使用する必要があるサービスを公開する場合に限り指定してください。このオプションを使用したルート検索サービスの設定方法の詳細は、 Esri Professional Services までお問い合わせください。 |
-S | サービスに含める解析のリスト。有効な選択肢は、Route、ClosestFacility、ServiceArea、OriginDestinationCostMatrix、Location-Allocation、および VehicleRoutingProblem です。このオプションの値は、有効な選択肢のカンマ区切りのリストとして指定されます。選択肢の値は、大文字と小文字が区別されます。デフォルト値は、すべての解析のサービスの作成です。 |
-c | サービスの追加構成を含むファイルの名前を含む絶対パス。 この構成ファイルを使用して、サービス インスタンスの最小数と最大数など、ルート検索サービスの特定のプロパティを指定できます。このユーティリティを含むフォルダーは、サポートされるすべての設定を示す、2 つのサンプル構成ファイル (publishroutingservices.json および publishroutingservices_dedicated.json) を含みます。ツールはデフォルトで publishroutingservices.json ファイルを使用します。 |
-d | このオプションを指定すると、すべての解析を対象にしてそれぞれの専用サービスが作成されます。これは、高度なオプションです。このオプションを指定すると、ArcGIS Server サイトで使用されるコンピューティング リソースやメモリ リソースが大幅に増えます。このオプションは、特化された ArcGIS Server サイトでのみ推奨されます。 このオプションを使用する場合、-c オプションで publishroutingservices_dedicated.json ファイルと同様の構成ファイルを指定する必要があります。 |
-h | ユーティリティのヘルプを出力します。 |
例
次の例は、ポータルがフェデレートされている ArcGIS Server サイト上で、[ルート検索サービスの公開] ユーティリティを呼び出す方法を示しています。
ArcGIS Server 上にルート検索サービスを公開します。この例では、ArcGIS Server のインストール場所が /arcgis/server であることを前提としています。
/arcgis/server/tools/publishroutingservices/publishroutingservices -s gisserver.domain.com -P gisportal.domain.com -o /data/routing-services/service-definitions -n /data/Streets.gdb/Routing/Routing_ND
ファイルからパラメーターを入力してユーティリティを呼び出すことができます。ユーティリティを自動プロセスの一部として実行している場合や、コマンド ラインですべてのオプションを入力したくない場合は、この方法が有効です。ファイルからパラメーターを指定するには、テキスト ファイルを作成して 1 行ごとに各オプションを指定します。パラメーターの名前と値は、= 記号を使用して区切ります。以下は、さまざまなオプションを指定したファイル例です。
-u=admin
-p=secret
-s=gisserver.domain.com
-P=gisportal.domain.com
-o=/data/routing-services/service-definitions
-n=/data/Streets.gdb/Routing/Routing_ND