ArcGIS Enterprise on Amazon Web Services (AWS) を配置する前に、アーキテクチャの各コンポーネントに対して完全修飾名 (FQDN) が必要です。完全修飾ドメイン名は、インターネット上のコンピューター (この場合は Amazon Elastic Compute Cloud (EC2) インスタンス) を識別します。FQDN はホスト名とドメイン名で構成され、gis.mydomain.com のような形で表されます。完全修飾ドメイン名は、IP アドレスか、別の完全修飾ドメイン名を参照します。ArcGIS Enterprise のさまざまな部分では、相互に通信したり、ユーザーが ArcGIS Enterprise と通信したりする場合に、完全修飾ドメイン名が必要です。
完全修飾ドメイン名は IT 部門が作成する必要があります。作成する配置のタイプによって、Amazon Elastic IP アドレスか Amazon Elastic Load Balancer のどちらかに FQDN をマッピングします。ドメイン名は一意でなくてはなりません。たとえば、単一コンピューターの ArcGIS Enterprise ポータルの Elastic IP と、フェデレーション サーバー向けに作成したロード バランサーで、同じドメイン名を使用することはできません。
単一の EC2 インスタンスの ArcGIS Enterprise 配置
Esri 配置ツールを使用して、単一コンピューターの ArcGIS Enterprise 基本配置を作成する前に、AWS Management Console を使用して AWS アカウントに Elastic IP アドレスを作成します。
次の操作を行う必要があります。
- 配置を作成する Amazon リージョンに Elastic IP アドレスを作成します。
- [Copy EIP to clipboard (EIP をクリップボードにコピー)] ボタン をクリックし、Elastic IP アドレスをクリップボードにコピーします。IP アドレスをテキスト ファイルに貼り付けます。
- ArcGIS Enterprise 配置で使用する EC2 インスタンスの完全修飾ドメイン名を作成するよう、IT 担当者に依頼します (例: gis.your-organization.com)。
- 完全修飾ドメイン名を Elastic IP アドレスにマッピングします。
これで、単一コンピューターの ArcGIS Enterprise 基本配置を作成できるようになりました。先ほどメモした Elastic IP ID を使用してください。
ArcGIS Server サイトと高可用性の ArcGIS Enterprise ポータル
ArcGIS Enterprise 配置に複数の EC2 インスタンスが含まれる場合 (ArcGIS Enterprise 配置にフェデレーション サーバーを追加したり、高可用性ポータルを配置したりする場合など)、すべてのインスタンスとの受信を簡素化するためにはロード バランサーが必要です。AWS のスタンドアロンの ArcGIS Server サイトに複数のインスタンスを含まれることもあるため、受信においてロード バランサーを使用します。
したがって、AWS で次のものを作成する前に Classic Load Balancer を作成する必要があります。
- 可用性の高い ArcGIS Enterprise ポータル
- フェデレーション サーバー サイト
- スタンドアロンの ArcGIS Server サイト
そのそれぞれに、一意の名前を持つ独自のロード バランサーが必要です。配置を作成する Amazon リージョンと同じリージョンにロード バランサーを作成します。各ロード バランサーについて、ロード バランサーの名前に CNAME ドメイン名システム (DNS) のマッピングを作成するよう IT 担当者に依頼します。
AWS の ArcGIS Server サイトと ArcGIS Enterprise ポータルで使用するロード バランサーは、特定の構成要件を満たす必要があります。ロード バランサーがこれらの要件を満たすようにするには、次の 2 つのセクションで説明する方法のいずれかで作成します。IT スタッフが DNS マッピングを完了するまでどの程度の時間がかかるかによって、どちらかの方法を選択します。マッピングが完了するまで 1 日以上かかる場合は、Esri AWS CloudFormation テンプレートを使用して独自の Amazon Virtual Private Cloud (VPC)、サブネット、ロード バランサーを作成してから、配置を作成することをお勧めします。
Esri AWS CloudFormation テンプレートの使用
Esri では、VPC を作成するためのサンプル CloudFormation テンプレートと、高可用性 ArcGIS Enterprise ポータル、ArcGIS GIS Server サイト、ArcGIS GeoEvent Server サイトで使用する Elastic Load Balancer (ELB) を作成するテンプレートを用意しています。
- AWS CloudFormation と ArcGIS の CloudFormation テンプレート リンクをクリックし、テンプレート ページを開きます。
- 下方向にスクロールし、VPC を作成するテンプレートを探します。
- [View (表示)] をクリックしてテンプレートのコピーをダウンロードし、テンプレートが作成するものを表示できます。
- VPC を作成する準備ができると、[Launch Stack (スタックの構築)] をクリックし、VPC ネットワークとサブネットの作成に必要な情報を提供します。
独自の ELB を作成するときと、それ以降に配置を作成するときに、この VPC とサブネットを使用します。VPC とロード バランサーは互いに同じリージョンにあることと、配置を作成するリージョンにある必要があります。
- 下方向にスクロールし、作成する配置のタイプに適した ELB テンプレートを探します。
- [View (表示)] をクリックしてテンプレートのコピーをダウンロードし、テンプレートが作成するものを表示できます。
- ロード バランサーを作成する準備ができると、[Launch Stack (スタックの構築)] をクリックし、 ロード バランサーの作成に必要な情報を提供します。
AWS が数分以内にロード バランサーを作成します。作成が完了すると、ロード バランサーの [ELBName] と [DNSName] をメモします。
- [DNSName] の値を IT 担当者に通知します。IT 担当者は、この名前への DNS マッピング (CNAME マッピング) を作成します。CloudFormation テンプレートまたは Cloud Builder を使用して配置を作成するときに、ELB 名の値を使用します。
マッピングが完了すると、AWS に独自の配置を作成します。
ArcGIS Enterprise Cloud Builder for AWS アプリの使用
ArcGIS Enterprise Cloud Builder for AWS アプリを使用し、Elastic Load Balancer を作成できます。アプリを使用して ELB を作成すると、AWS Management Console で ELB の DNS をルックアップし、その情報を IT 担当者に送信し、IT 担当者が CNAME DNS マッピングを作成する間はアプリを開いたままにしておきます。
- Cloud Builder アプリを使用し、可用性の高い ArcGIS Enterprise ポータルの作成やスタンドアロンの ArcGIS Server サイトの作成の処理を開始します。
- [Configure Elastic Load Balancer (ELB) (Elastic Load Balancer (ELB) の構成)] ページに到達すると、SSL 証明書とパスワードを入力し、スタンドアロン サイトやポータル、およびフェデレーション サーバーのロード バランサーを作成します。
- Cloud Builder がロード バランサーを作成すると、そのたびにロード バランサーの DNS 名が太字で表示されます。[Copy ELB DNS name clipboard (ELB DNS 名をクリップボードにコピー)] ボタン をクリックし、名前をクリップボードにコピーします。各 DNS 名をテキスト ファイルに貼り付けます。
- DNS 名 (複数可) を IT 担当者に送信し、CNAME DNS マッピングを作成してもらいます。
- DNS マッピングが完了すると、Cloud Builder アプリに配置を作成できるようになります。