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ArcGIS Enterprise とのサーバーの統合

ArcGIS Enterprise は 4 つのソフトウェア コンポーネントから構成される Web GIS ソフトウェア製品です。 ArcGIS Enterprise の地理空間コンテンツの中心を担うのは、ArcGIS Server を利用した GIS Web サービスです。ユーザーは主に ArcGIS Enterprise ポータルを利用して、地理空間コンテンツへのアクセス、視覚化、および操作を行うことができます。 ポータルは、ArcGIS Server サービスを情報成果物に変換し、コンテンツをユーザーや関係者へセキュアに共有するのに役立ちます。

スタンドアロン ソフトウェアとして配置することもできますが、ArcGIS ServerArcGIS Enterprise ポータルを統合することで、組織サイトで効率的かつ強力なワークフローを実現できます。 ArcGIS Enterprise ポータルで ArcGIS Server を活用するには、3 つの方法があります。

  1. 1 つ以上の ArcGIS Server サイトをポータルと統合して、セキュリティおよび共有モデルを統合することができます。
  2. ポータルのホスティング サーバーとして機能するフェデレーション ArcGIS Server サイトを割り当てることで、ユーザーは Web サービスとして、データおよびマップを幅広い利用者に公開することができます。
  3. ポータルの統合有無にかかわらず (ユーザー独自のサーバーであっても)、ArcGIS Server サイトの個々のサービスをポータルに登録できます。

このトピックとドキュメントのこのセクションでは、ArcGIS Enterprise を統合する 3 つの方法について説明します。

統合で利用できる機能

下の表では、使用できる一般的な ArcGIS Enterprise ポータルの機能を、ArcGIS Server の統合がある場合とない場合についてまとめています。 これらの方法を組み合わせて、組織に必要な統合レベルを満たします。 たとえば、ポータルは、他のサーバーから登録された個々のアイテムだけでなく、フェデレーション サーバーのアイテムを公開する場合があります。

フィーチャサーバーの統合なしフェデレーション サーバーのみありホスティング サーバーあり備考

アイテム (たとえば、ファイル、Web アプリ、サービス) のポータルへの追加

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すべてのポータル アイテムのセキュリティと共有が同じ方法で扱われます。

住所を含むシェープファイルまたは *.csv ファイルの Web マップへの追加

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Web マップに追加されるシェープ ファイルおよび住所のデータ整合チェックを実行するため、ホスティング サーバーが必要です。

Web マップの作成

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Web マップを作成するために、ホスティング サーバーをフェデレートしたり構成したりする必要はありません。

Web マップの個別の住所のジオコーディング

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Web マップで個別の住所をジオコーディングするために、ホスティング サーバーをフェデレートしたり構成したりする必要はありません。

Web マップの住所のバッチ ジオコーディング (たとえば、*.csv から読み込み)

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Web マップに追加される住所データの整合チェックを実行するため、ホスティング サーバーが必要です。

ArcGIS Server または ArcGIS Online の組織サイトからジオコード サービスを使用して住所を検索できます。

ホスト サービスの公開 (たとえば、ホスト タイル レイヤー、フィーチャ レイヤー、シーン レイヤー)

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データの整合チェック、サービス データの格納、およびサービスのホストを実行するため、ホスティング サーバーが必要です。

アイテムを Web サイトに追加するときに、ArcGIS Pro を使用して、または直接 Portal for ArcGIS で、ホスト サービスを公開できます。

ホスト シーンレイヤーを公開するには、タイル キャッシュ データ ストアを使用してホスティング サーバーを構成する必要もあります。

ArcGIS for Office からレイヤーとマップを共有する。

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ポータル ユーザーが ArcGIS for Office からレイヤーとマップを共有できるようにするには、ホスティング サーバーが必要です。

登録済みソースからのデータを参照する ArcGIS Pro からのレイヤーの公開 (たとえば、登録済みデータベースからのデータを含んでいるマップ イメージ レイヤーの公開)

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公開する前に、データ ソースを ArcGIS Server サイトに登録する必要があります。 これらのレイヤーは ArcGIS Pro 1.2 以降を使用して公開できます。

Map Viewer Classic または ArcGIS Insights で空間解析ツールを使用します。

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空間解析ツールは、サーバー上の一連のタスクとしてホストされます。 これらのツールは、ホスト フィーチャ レイヤーを出力として作成します。 これらのホスト フィーチャ レイヤーは、ホスティング サーバー上で実行されるフィーチャ サービスです。

これらのツールを使用するには、リレーショナル データ ストアを使用してホスティング サーバーを構成する必要があります。

Map Viewer Classic または ArcGIS Insights でのビッグ データ解析の実行

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ビッグ データ解析ツールは、出力としてフィーチャレイヤーも作成し、基本的なサービスを実行するためのホスティング サーバーを必要とします。

これらのツールを使用するには、ビッグ データ ストアを使用してホスティング サーバーを構成する必要があります。

サービスの登録

ArcGIS Server サービスをポータルのアイテムとして登録できます。これにより、ポータル ユーザーは、簡単にそれらを見つけて Web マップに追加することができます。 このサービスは、サービス URL を介してアクセスできる ArcGIS Server サイトから提供されます。 サービスの登録は、サーバーをポータルと統合する方法の中で最も結合度が緩い方法です。

ポータルに、HTTPS を使用した暗号化された通信が必要で、それらがドメインの外部にある場合、登録するサービスに HTTPS を使用する必要があります。

サービスをポータル アイテムとして登録する場合、サービスおよびアイテムの有効期間に関連性はありません。 つまり、使用されているサービスがなくなると、ポータルからアイテムを削除する必要があります。

サーバーのフェデレート

ArcGIS Server サイトのフェデレートでは、セキュリティを統合し、ポータルのモデルを 1 つ以上の ArcGIS Server サイトと共有します。 ArcGIS Server サイトが ArcGIS Enterprise ポータルとフェデレートされている場合、ユーザーはポータルの Map Viewer Classic でホスト レイヤーを作成してコンテンツの空間解析を実行できます。セキュリティとアクセス権限は Web 層で制御されます。 ArcGIS Image ServerArcGIS GeoEvent Server など、特定のロールに指定された ArcGIS Server サイトをフェデレートすることで、ポータル メンバーは解析機能にアクセスできます。

注意:

ホスティング サーバーを含む ArcGIS Enterprise 基本配置のエレメントは、すべてポータルと同じバージョンである必要があります。 ArcGIS GeoEvent ServerArcGIS GeoAnalytics Server のインスタンス、および ArcGIS Image Server ラスター解析サイトも、ポータルのバージョンと一致する必要があります。

ただし、バージョン 10.5 以降の ArcGIS Server サイトの中には、より新しいバージョンのポータルとフェデレートできるものもあります。 これは、ホスティング サーバー以外の追加の ArcGIS GIS Server サイトやラスター解析用に指定されていない ArcGIS Image Server にも当てはまります。 ArcGIS Server サイトは、サイト自体よりも前のバージョンのポータルとフェデレートすることはできません。

ArcGIS Server サービス、Web マップまたはアプリ、シェープファイル、その他のサポートされているファイル タイプにかかわらず、ポータル内のすべてのコンテンツはアイテムとして扱われ、コンテンツのセキュリティはアイテム レベルで決定されます。

ArcGIS Enterprise のセキュリティ モデルの詳細

サーバーをフェデレートする際、サーバー リソースへのアクセスと認証はポータルによって制御されます。 つまり、次のようになります。

  • ポータルのメンバーを使用して ArcGIS Server にアクセスする - ArcGIS Server のユーザーおよびロールはポータルのユーザーおよびロールに置き換えられます。 ポータルの認証情報は、ポータルの組み込みアイデンティティ ストアを利用するか、外部の ID プロバイダーを利用するかにかかわらず、ArcGIS Server Manager へのサイン インに使用されます。 ポータルのユーザーとサーバーのユーザーを統合すると、GIS リソースの管理が明確になり、簡単なサイン インで、セキュリティ保護された ArcGIS Server リソースにアクセスできるようになります (フェデレートするときに、カスタムの ArcGIS Server ロールはポータルに移行されません)。
  • ArcGIS Server サービスへのアクセスが、ポータルの共有モデルで制御される - フェデレーション サーバーに公開するすべての ArcGIS Server サービスは、ポータルで自動的にアイテムとして共有されます。 ポータルの共有モデルによって、サービスをその公開者のプライベートにするか、またはポータル ユーザーの 1 つ以上のグループで共有することができます。 または、アイテムを組織全体 (すべてのサイン イン ユーザー) で共有するか、またはすべてのユーザーがアイテムを表示できるように匿名アクセスを有効化することができます。 この共有モデルでは、ArcGIS Server サービスへのアクセスを詳細に定義することができます。
注意:

フェデレーションは、サイン インが簡単であり、ポータルの共有モデルを有効に活用できるようになる一方で、自分と自分の既存ユーザーがフェデレーション サーバーにアクセスする方法とフェデレーション サーバーを管理する方法に影響を与えます。 フェデレートする前に、フェデレーションが既存のサイトに与える影響について、「フェデレーション サーバーの管理」の情報をご参照ください。

ArcGIS Server サイトがポータルとフェデレートされると、フェデレーション サーバーに公開されたサービスが自動的にポータルと共有されます。 また、ポータル ユーザーは、ポータルとフェデレーション サーバーの両方へのアクセスに使用されます。

複数の ArcGIS Server サイトを 1 つのポータルとフェデレートさせることができます。 たとえば、GIS ServerArcGIS Image Server、および ArcGIS GeoEvent Server の各サイトがポータルとフェデレートされる場合があります。 フェデレートされた ArcGIS Server サイトはすべて、ArcGIS Server アカウントではなく、ポータル アカウントを使用してアクセスされます。

概念的なスタンドアロン ArcGIS Server サイトと ArcGIS Enterprise の基本配置の違いを次の図に示します。

スタンドアロン サイトと基本配置の概念的な比較

詳細については、「ArcGIS Server サイトとポータルのフェデレーション」をご参照ください。

ホスティング サーバーの指定

ArcGIS GIS Server を実行しているフェデレーション サーバーをホスティング サーバーとしても指定することで、ポータルとの統合関係をさらに深めることができます。 1 つのポータルに 1 台のホスティング サーバーを指定できます。 ホスティング サーバーを使用すると、ポータルのユーザーは次のことができるようになります。

  • キャッシュされたマップ、フィーチャ サービス、WFS サービス、およびシーン サービス (ホスト タイル レイヤー、フィーチャ レイヤー、WFS レイヤー、およびシーン レイヤー) を、他のクライアントから、またはポータル Web サイト内でポータルに公開する。
  • ArcGIS for Office からレイヤーとマップを共有する。
  • ローカル コンピューターから Map Viewer Classic に *.csv ファイルおよびシェープファイルを追加することによって、マップを作成する。
  • 住所のジオコーディングを *.csv ファイルからバッチ処理する。
  • Map Viewer Classic または ArcGIS Insights で、解析またはビッグ データ解析を実行する。
ライセンス:

GIS Server サイトをホスティング サーバーに指定するには、サイトに Standard または Advanced ライセンスが付与されている必要があります (Basic は不可)。

ホスティング サーバーは、ポータルと GIS Server サイト間で実現できる最高レベルの統合です。

ホスティング サーバーを公開するときは、サーバー リソースと使用状況を常に監視し、サーバーがポータル ユーザーの負荷に耐えられるようにします。 多数のユーザーが多数のサービスをホストすることが予想される場合は、ホスティング サーバーを構成する前に、サイトにコンピューターを追加することをお勧めします。

サーバーをホスティング サーバーとして指定するためには、リレーショナル データ ストアおよびタイル キャッシュ データ ストアを、ArcGIS Data Store を介して作成し、サーバーに構成する必要があります。 ホスト フィーチャ レイヤーをポータルに公開すると、リレーショナル データ ストアにデータがコピーされます。 ホスト フィーチャ レイヤー アイテムをポータルから削除すると、基礎となるフィーチャ サービスがホスティング サーバーから削除され、データがリレーショナル データ ストアから削除されます。

レガシー:

ArcGIS Enterprise 11.2 では、エンタープライズ ジオデータベースを、ホスティング サーバーの、管理されたデータベースとして使うことはできなくなりました。ただし、運用中のジオデータベースは、そのまま継続して使えることもあります。 新しいホスティング サーバーを構成している場合は、ArcGIS Data Store を使ってリレーショナル データ ストアを構成します。

リレーショナル データ ストアは、ポータル ユーザーにマップへの *.csv ファイルおよびシェープファイルの追加、または ArcGIS for Office からのレイヤーおよびマップの共有を許可するためにも必要です。

ポータルにフェデレートされた ArcGIS GeoEvent Server サーバーまたは ArcGIS GeoAnalytics Server サーバーが含まれる場合、ホスティング サーバーも、ArcGIS Data Store を介して作成されたビッグ データ ストアを使用して構成される必要があります。

次の図は、ArcGIS Enterprise ポータルにフェデレートされた ArcGIS Server サイトを示しています。URL パターンは、Web Adaptor 経由で両方のコンポーネントにアクセスするために使用されます。 ArcGIS Data Store を使用したリレーショナル タイプのデータ ソースがサーバーに登録された状態で表示されます。

フェデレーション サイトに関連付けられた URL パターンの表現

ホスティング サーバーの設定方法の詳細については、「ポータルへのホスティング サーバーの構成」をご参照ください。


このトピックの内容
  1. 統合で利用できる機能