Esri は、ArcGIS Enterprise の配置に使用できる多数のツールを提供します。ツールにはそれぞれメリットと使用目的があり、それらを以下に説明します。
ArcGIS Enterprise Builder
ArcGIS Enterprise Builder は インストールおよび構成ウィザードで、ArcGIS Enterprise の基本配置を 1 台のコンピューター上に設定できます。
ArcGIS Enterprise Builder の主なメリットは、配置のしやすさです。ビルダーは、1 時間以内にお使いのコンピューター上に基本配置を準備します。
ただし、ArcGIS Enterprise Builder は、テスト環境や新しいリリースの ArcGIS Enterprise のプレビューなど、特定の使用事例を対象にしています。ビルダーは、複数のコンピューター環境または ArcGIS Server ライセンス ロールなどの追加機能をサポートしていません。
クラウド配置ツール
ArcGIS Enterprise はクラウド プラットフォーム上の配置をサポートしています。これにより、組織の GIS に配置を適合させたり拡張したりすることができます。配置ツールは、Amazon Web Services (AWS) と Microsoft Azure の 2 つのパブリック クラウド プラットフォームで使用できます。これらのツールを使用すると、クラウド配置を迅速に行え、将来のアップグレードまたは拡張を簡素化できます。ArcGIS Enterprise を他のクラウド プラットフォームまたはプライベート クラウドに配置することもできますが、Esri では AWS と Azure 以外のクラウド プラットフォームの配置ツールを提供していません。
ArcGIS Enterprise Cloud Builder for AWS
ArcGIS Enterprise Cloud Builder for Amazon Web Services には、ローカルの Windows コンピューターにインストールするアプリと一連のコマンド ライン ツールが含まれています。Cloud Builder アプリを使用すると、AWS 上での ArcGIS Enterprise 配置と ArcGIS Server サイトの作成を手順に従って進めることができます。コマンド ライン ツールを使用すると、配置の作成のスクリプトを作成できます。
AWS CloudFormation テンプレート
AWS CloudFormation は、Amazon Web Services (AWS) 上でアーキテクチャを定義するのに役立つ Infrastructure as Code サービスです。提供される AWS CloudFormation テンプレートを使用して、ArcGIS Enterprise の基本配置を作成して、それに ArcGIS Server ロールと登録済みデータベースを追加できます。
これらの AWS CloudFormation テンプレートを使用すると、事前作成済みコンピューター イメージを使用して、ArcGIS Enterprise を AWS コンピューター上に迅速に配置できます。テンプレートをコピーし、個別の要件に合わせて修正したり、独自のテンプレートを作成したりすることも可能です。利用できるテンプレートは次のとおりです。
ArcGIS Enterprise Cloud Builder for Microsoft Azure
ArcGIS Enterprise Cloud Builder for Microsoft Azure は、ローカルの Windows コンピューターにインストールするアプリです。このアプリは、ArcGIS Enterprise とスタンドアロンの ArcGIS Server サイトを Azure に配置して、配置の拡張や ArcGIS Enterprise の将来のバージョンへのアップグレードなど、配置後の操作を管理するのに役立ちます。
このアプリは、ArcGIS Enterprise を Azure に初めて配置するユーザーに適しています。これを使用して、次の構成を Azure インフラストラクチャに配置できます。
- 単一コンピューターによるオールインワンの配置
- 2 台の ArcGIS Enterprise ポータル コンピューター、2 つの ArcGIS Server サイト、および 2 台の ArcGIS Data Store コンピューターによる可用性の高い配置
- ArcGIS Image Server、ArcGIS GeoEvent Server、ArcGIS GeoAnalytics Server、または ArcGIS Notebook Server ライセンスを使用した追加の ArcGIS Server サイトによる基本配置
- スタンドアロンの ArcGIS GIS Server サイト
- ArcGIS Enterprise 配置により登録されるクラウド データベース (Azure SQL Database、Microsoft SQL Server、または Azure Database for PostgreSQL)
Azure Resource Manager テンプレート
Azure Resource Manager は、Microsoft Azure クラウドでの配置に必要なリソースを作成するための Infrastructure as a Service ソリューションです。Azure Cloud Shell などの自動化環境で提供されるテンプレートおよびヘルパー スクリプトを使用して、ArcGIS Enterprise 配置と必要なインフラを作成できます。
Azure Resource Manager テンプレートは、ArcGIS Enterprise を Azure クラウドに繰り返し配置する必要がある場合に役立ちます。JSON コードの編集に精通していることが推奨されます。
スクリプト ベースの配置ツール
Esri は、経験豊富な IT 管理者が ArcGIS Enterprise 配置を自動化するためのツールキットを提供します。これらのリソースにより、管理者は繰り返し可能な配置をリモートで実行でき、複数のコンピューターに複雑なアーキテクチャを含めることができます。
Chef cookbooks for ArcGIS
Chef は、オープン ソースの情報テクノロジ (IT) 自動化フレームワークです。これを使用すると、IT インフラストラクチャの作成と保守を自動化できます。Chef Cookbook は Chef のスクリプト言語です。ソフトウェアおよびハードウェアを展開するための再現可能で柔軟性の高いメカニズムを提供します。
Esri では、ArcGIS Enterprise のインストールと構成を自動化するための Chef Cookbook を提供しています。Chef Cookbook を使用して、ArcGIS Enterprise ソフトウェア コンポーネント (他の ArcGIS Server サイトを含む) をインストールし、相互に機能するよう構成することができます。ArcGIS Cookbook を実行するときに、独自の要件を満たす構成情報を指定します。
ArcGIS Cookbook を使用すると、ArcGIS Enterprise の配置を短時間で復元したり、同一の配置を別に設定したりするのに役立ちます。
ArcGIS Enterprise を配置した後は、ArcGIS Python API を使用して、GIS ワークフローを継続的に自動化することができます。
PowerShell DSC for ArcGIS
Esri は、PowerShell DSC (Desired State Configuration) を使用して ArcGIS Enterprise の配置を自動化するツールを提供しています。PowerShell DSC for ArcGIS モジュールを使用して、ArcGIS Enterprise 配置のインストール、アンインストール、アップグレードを自動化できます。また、このモジュールを使用してすでにインストールされている配置への増分的なソフトウェアの追加も自動化できます。
PowerShell DSC for ArcGIS には、サンプルの JSON ファイルが含まれており、このファイルに特定の情報とパラメーターを追加してから、PowerShell コンソールで実行します。GitHub 上の PowerShell DSC for ArcGIS リポジトリで、詳細を確認して、使用を開始してください。