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最適パスを使用した位置の接続

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最適パスを作成する目的とは、特定のソースと特定の目的地を接続することです。

それに対して、最適リージョン接続 ツールは、最適なパスのネットワークで一連の入力領域を接続します。 どの領域をどこに接続するかは、最小コスト計算によって決定されます。 領域間の移動方向はどちらでもかまいません。 つまり、領域 A から領域 B までの移動は、B から A までの移動と同じ累積距離ということです。

特定の位置を、別の特定の位置に接続する場合、または位置間の移動方向が重要である場合には、最適パス (ライン) ツールか 最適パス (ラスター) ツールを使用します。

移動方向が重要であるのは、2 つの位置間で上り坂か下り坂を移動する場合です。 上り坂を移動する方が労力が必要であり、距離単位を網羅するまでに時間がかかります。 一方で下り坂は労力が少なく済み、移動者は短時間でその距離単位を進むことができます。 この労力を垂直方向ファクターと呼びます。 また、移動方向に向かって追い風か向かい風かなど、水平方向ファクターが存在する場合にも移動方向が重要になります。 追い風を受けて移動する場合は、向かい風に対して移動するよりも労力が少なくて済みます。

特定の位置を最適パスで接続するには、次の手順に従います。

  • 入力ソースからの累積距離とバック方向ラスターを計算するには、距離累積 ツールを使用します。
  • 最適パスを作成するには、[最適パス (ライン) (Optimal Path As Line)] ツールか [最適パス (ラスター) (Optimal Path As Raster)] ツールを使用します。 目的地と、上記で作成した距離累積とバック方向ラスターを指定します。

コスト サーフェスソース特性垂直方向ファクター水平方向ファクターなどの速度制御ファクターが [距離累積 (Distance Accumulation)] ツールに入力されている場合は、生成されるパスは最小コスト パスになります。 速度制御ファクターが入力されていない場合、生成されるパスは 2 つの位置間の最短パスになります。

最適パスの用途の例

最適パスによる位置の接続は、次のようなさまざまなシナリオを解決できます。

  • 1 つの港から別の港への最短水上距離を特定する (可能であれば沿岸から 2 マイル以内)。
  • 野生動物の 2 つの生息地域間の最適パスを特定し、動物が生息地域間を移動できるように買収する土地を決定する。
  • 消防士が複数の森林火災現場を往来するための経路のネットワークを確立する。 大火災が発生している場所があれば、現場への主要経路以外に避難経路として 2 つ目の経路が必要となることがあります。
  • 伐採作業において、材木の採取に使用する最低コストのルートを特定する。
  • 農薬散布用飛行機が、農薬を散布する農地に到達する直線飛行経路を特定する。

最適パス解析

距離の解析は、概念的に、次の関連機能領域に分けることができます。

3 つ目の機能領域から、特定の最適パスを使用して位置を接続した状態を以下の図に示します。 シナリオには、4 つの森林管理事務所のコレクション (紫のドット) と数本の河川 (青いライン) が含まれています。

新しい公園が作成されます (薄緑のポリゴン)。 これが管理事務所の最小コスト ネットワークに追加されます。

新設された公園からの距離累積のマップ
新しい公園から各セルまでの最小コスト距離には、バリアとしての河川、サーフェス ラスター、コスト サーフェスが反映されています。

公園から、公園の南東に位置する管理事務所までのパスを作成する必要があります。 [距離累積 (Distance Accumulation)] ツールで作成された管理事務所 (目的地)、出力累積距離、およびバック方向ラスターが、[最適パス (ライン) (Optimal Path As Line)] ツールに入力されます。

新しい公園から管理事務所までの最適パスのマップ
公園から管理事務所 (黄色のポイント) までのシアンのラインが最適パスです。 パスは、事務所間をつなぐパス (オレンジのライン) のネットワークを介して新しい公園へのアクセスを可能にします。 公園からの累積距離サーフェスは背景として表示されます。

最適パスの作成

位置間の最適パスを作成するには、2 つの簡単なワークフローを実行します。

入力距離ラスターの作成

最初に距離累積ラスターとバック方向ラスターを作成します。

  1. [距離累積 (Distance Accumulation)] ツールを開きます。
  2. [入力ラスター、またはフィーチャ ソース データ] パラメーターで、接続先のソースを指定します。
  3. [出力距離累積ラスター] パラメーターで名前を指定します。
  4. 直線距離の場合は、バリアとサーフェス ラスターを指定します。 最小コスト パスを考慮する場合は、速度制御パラメーター、コスト サーフェス、ソース特性、垂直方向ファクター、水平方向ファクターのうちの一部またはすべても指定できます。
  5. [出力バック方向ラスター] パラメーターの名前を指定します。
  6. [実行] をクリックします。

パスの決定

最適パスを決定するには、以下の手順を実行します。

  1. [最適パス (ライン) (Optimal Path As Line)] ツールか [最適パス (ラスター) (Optimal Path As Raster)] ツールを開きます。
  2. 接続元の目的地を [入力ラスター、または目的地フィーチャ データ] パラメーターで指定します。
  3. 先ほど作成した出力距離累積ラスターを [入力距離累積ラスター] パラメーターで指定します。
  4. 先ほど作成した出力バック方向ラスターを [入力バック方向または入力流向ラスター] パラメーターで指定します。
  5. [出力最適パス フィーチャ] 値の名前を指定します。
  6. [パス タイプ] の値を選択します。
  7. [実行] をクリックします。

最適パスを使用し、特定のソースと特定の目的地を接続する

最適パスを作成する目的とは、特定のソースと特定の目的地を接続することです。 ソースと目的地の間の最短直線パスを特定するには、ソースと目的地を特定するだけで済みます。 その結果は、鳥が低空飛行しながら 2 つの位置を移動するような経路になります。

2 つの位置間の直線経路のマップ

コスト サーフェスを入力すると、出力は最小コスト パスになります。 最小コスト パス解析では、複数の位置間を移動する際の最低コストの方法を見出します。 一連のソース、目的地、および地表の移動に伴う困難さに関する情報をコスト サーフェスに反映すると、位置を接続する最低コストの方法として最小コスト パスが生成されます。 これは、地表を移動する移動者をシミュレートします。

コスト サーフェス上で 2 つの位置間の最小コスト パスを示すマップ

最適パスの作成処理

特定の位置間の最短パスまたは最小コスト パスを作成するには、[距離累積 (Distance Accumulation)] ツールと [最適パス (ライン) (Optimal Path As Line)] (または [最適パス (ラスター) (Optimal Path As Raster)]) の 2 つのツールを順番に使用します。 複数の目的地を使用して最小コスト パスを作成するワークフローを以下に示します。

解析に必要な入力は、ソース、コスト サーフェス ラスター (各セルを移動する際の困難さを示す)、および目的地です。 解析の結果、特定の位置をつなげる最小コスト パスが生成されます。

ヒント:

位置間の最小パスを特定するワークフローもほぼ同じですが、コスト サーフェスは使用されません。

入力データの準備

以下の図では、ソース入力ラスターを青のセルに示します。 この入力は、標高ラスターの陰影起伏の背景の上に表示されます。

陰影起伏上に表示した入力ソースのマップ

コスト サーフェス入力ラスターを以下に示します。 緑のエリアは、低い値が割り当てられたセルです。これは、コストが低く移動しやすい場所です。 緑、黄、赤に遷移するにつれ、コストが増加します。

コスト サーフェスのマップ
入力コスト サーフェスのマップでは、緑のエリアは低コストで移動しやすく、赤のエリアはコストが高いことを示します。

目的地の入力ラスターを以下に示します。 複数の目的地があることに注意してください。 この入力は、標高ラスターの陰影起伏の背景の上に表示されます。

陰影起伏上に表示した 5 つの入力目的地のマップ

累積および方向の出力の作成

ソース入力とコスト サーフェス入力を使用し、[距離累積 (Distance Accumulation)] ツールを実行します。

出力距離累積ラスターが下に表示されます。

ソースからの距離累積のマップ
これは出力距離累積ラスターです。 ソース以外の各セルで、ソースに戻るための最小コストを決定します。 緑のセルが最低コストです。 コストは外に向かうにつれ段階的に増加します。

出力バック方向ラスターを以下に示します。 色は、セルから最低コストのソース セルに戻る際の移動方向を表します。

出力バック方向ラスターのマップ
出力バック方向ラスターは、セルを出てソースに戻る方向を示します。 出力方向値は、0 ~ 360 度のコンパス範囲に基づいています。

パス出力の作成

[最適パス (ライン) (Optimal Path As Line)] ツールか [最適パス (ラスター) (Optimal Path As Raster)] ツールを実行します。接続先の目的地、累積距離、および先ほど作成したバック方向ラスターを指定します。

目的地が複数あるので、目的地とソースを接続する方法を決定するには、3 つのオプションがあります。

  • [最良] - 最寄りまたは最低コストの目的地から、最短または最小コスト パスを特定します。
  • [各ゾーン] - 各目的地から、最寄りまたは最低コストのソースに戻るための最短または最小コスト パスを特定します。
  • [各セル] - 目的地の各セルから、最寄りまたは最低コストのソースに戻るための最短または最小コスト パスを特定します。

[最良] オプションの結果の例を以下に示します。

ある目的地からソースに戻る場合の、最良パスのマップ
[最良] オプションが選択されています。 最低コストの目的地 (緑のセル) からソース (青のセル) に到達するための最小コスト パス (マゼンタのライン) を特定します。 コスト サーフェスは背景として表示されます。

入力位置がフィーチャである場合、内部的にラスターに変換されます。 連続するラスター セルのグループを入力として指定できます。 作成されたパスは、目的地の最寄りセルまたは最低コストのセルと、ソースの最寄りセルまたは最低コストのセルを接続します。

各目的地からソースに戻るパスのマップ
[各ゾーン] オプションが選択されています。 各目的地から最低コストのソースに戻る最小コスト パス (紫色のライン) を特定します。 コスト サーフェスは背景として表示されます。

[各セル] オプションの詳細については、以下の「参考情報」セクションをご参照ください。

パス方向を考慮する

ソースと目的地間の移動方向を明示的に考慮することができます。 最適パス作成プロセスで [距離累積 (Distance Accumulation)] ツールを使用すると、次の方法で方向性を反映できます。

  • [移動方向] ソース特性を使用し、距離累積をソースに向かって計算するか、ソースから離れて計算するかを指定します。
  • 傾斜を移動する労力は、垂直方向ファクターで示します。
  • 風や水流などの水平方向ファクターで、楽に移動できたか労力を要したかを示します。

[移動方向] パラメーター単体では、計算や生成されるパスには何の影響もありません。 ただし、移動者の移動方向に依存する垂直方向ファクターや水平方向ファクターと組み合わせることによって、生成されるパスが異なります。

垂直方向ファクターは、ソースに向かって移動するか、ソースから離れて移動するときに遭遇した傾斜を移動するときの労力を考慮に入れます。 移動者が坂を上る場合は、距離単位を移動する際により多くの労力と時間が必要です。 反対に坂を下る場合には、距離は短時間で網羅できます。 等高線に沿って移動する場合は、傾斜は実質的に平坦です。 垂直方向ファクターの適用について詳しくは、「垂直方向ファクターを使用した到達距離の調整」をご参照ください。

垂直方向ファクターと同様、水平方向ファクターも、移動者がセルを移動する方向に影響されます。 船が強い風や水流に向かっている場合は抵抗を受けるため、距離単位に到達するまでに時間がかかります。 風や水流に乗って移動している場合は、短時間で距離に到達できます。 そのため、セルを移動する際に、風や水流に遭遇する角度が重要になります。 水平方向ファクターの適用について詳しくは、「水平方向ファクターを使用した到達距離の調整」をご参照ください。

ソースから離れて移動するか、ソースに向かって移動するかによって、セル内の垂直方向ファクターと水平方向ファクターが移動者に及ぼす影響も変わり、セルをどのように移動するか変わってきます。

例: 送電線の経路

新しい送電線の最適パスを決定したいと考えています。 パスは、土地の買収と建設にかかるコスト、パスを住宅地から離れた場所に設置することを定めた規制、丸見えになってしまう可能性などの要因に影響を受けます。 さらに、起伏の激しい場所よりも、平坦な土地の方がパスを設置しやすくなります。

これらの要因と、送電線パスの一連の始点 (ソース) 候補は、[距離累積 (Distance Accumulation)] ツールの入力として使用されます。 土地買収と建設のコストと、丸見えになる可能性は、コスト サーフェスで加重されて組み込まれます。 セルの移動方向にかかわらず、同じコストがかかります。

都市周辺の規制バッファーは、バリア パラメーターで使用されます。 水平ラスターと関連ファクターは、等高線に沿うことで上り坂や下り坂の移動を回避できる経路を決定するために使用されます。 この場合、ソースと目的地間の移動方向は重要ではありません (水平方向ファクター関数は対称的になります)。 [距離累積 (Distance Accumulation)] ツールは、累積距離とバック方向ラスターを作成します。

[最適パス (ライン) (Optimal Path As Line)] ツールか [最適パス (ラスター) (Optimal Path As Raster)] ツールのいずれかを使用します。 累積距離とバック方向ラスター、および目的地の候補が入力されます。 [最適パス (ライン) (Optimal Path As Line)] の出力は、最適な方法で目的地とソースを接続する 1 つ以上のパスを定義するポリライン フィーチャです。 [最適パス (ラスター) (Optimal Path As Raster)] の出力は、セルの使用強度 (ポピュラリティ) を表し、セルを通過するルートの数で測定されます。 これは、累積流量ラスターが流向ラスターをトレースすることで作成されるのと同じです。

2 つの位置がコリドー エリアと最小コスト パスのラインで接続される
赤のラインは、提案された送電線の最小コスト パスを表します。 ピンクの背景は、関連する最小コスト コリドーを示します。

最小コスト パス解析

生成されるパスが信頼できるかどうかを判断するには、次の点を考慮します。

  • 入力データは、質問に対して適切に回答しているか。
  • ラスター解像度は適切か。
  • コスト サーフェスの単位は正しいか。
  • 方向性を考慮に入れたか。
  • コスト サーフェスで、条件の値をどのように変換し、条件間の重み付けはどのように決定したか。
  • 結果に説得力があるかどうかを試す方法はあるか。

入力データの解像度

最小コスト パス解析を使用し、行方不明者の 1 時間の捜索範囲と 2 時間の捜索範囲を決定できます。 30 メートルの土地被覆ラスターを条件の 1 つとして使用すると、コスト パス解析は、捜索救助隊が徒歩で移動する際に使用できるパスのタイプを特定できないことがあります。 また、この解像度では、パスは実際のバリアを無視する場合があります。 いずれの場合でも、生成されるパスでは、テレインに存在しない移動オプションが可能になることがあります。 反対に、移動方向のセル単位コストの重み付けには、垂直方向ファクター ラスターとして 30 メートルの標高ラスターがあれば十分でしょう。

距離累積入力単位

[距離累積 (Distance Accumulation)] ツールは、入力コスト サーフェスのレート (暗黙的に 1 である場合がある) とセル サイズ (距離単位で表される) で乗算します。 コスト サーフェスのディメンション解析を行い、出力累積コスト ラスターに予期したとおりの単位 (移動時間、ドル、エネルギーなど) があるかどうかを確認する必要があります。 距離解析の単位の詳細については、「距離累積アルゴリズム」のトピックをご参照ください。

結果の確認

上記の送電線の例では、提案したパスの良否を判断する必要があります。 そのための 1 つの方法として、同じデータとモデリング ワークフローを使用して、既存の送電線の現在位置を予測します。 結果が異なる場合は、その違いをどのように説明しますか?

参考情報

以下のセクションでは、位置を最適パスで接続するための追加情報を提供します。

複数パスの収束

[最適パス (ライン) (Optimal Path As Line)] ツールは、目的地ごとに 1 つのポリラインを含むフィーチャクラスを出力します。 各ポリラインには、目的地とソース間を移動するための合計累積コストを指定する属性があります。 もう 1 つの属性は、目的地の情報を示します。 複数のパスが収束し、同じルートをたどってソースに戻る場合は、複数のラインが (目的地につき 1 本) 上下に重なって表示されます。 最小コスト パスを特定する場合に一般的に使用されるのは、[最適パス (ライン) (Optimal Path As Line)] ツールです。

[最適パス (ラスター) (Optimal Path As Raster)] ツールは、目的地とソース間を移動するために使用する最小コスト パス (幅 1 セル分) を特定するラスターを出力します。 パスの出力セル値は、そのセルを通過する目的地からのパスの数を表します。 目的地が 1 つしかなくても、または複数の目的地があってパスが重ならなくても、パス沿いのすべてのセルには同じ値が含まれます。

複数の目的地があってパスが収束する場合は、各セルは、そのセルを通過するパス数を記録します。

[最適パス (ラスター) (Optimal Path As Raster)] の出力は、使用の強度を示します。 たとえば、複数の生息地域の野生動物コリドーを特定する場合、パス沿いで高い値を持つセルは、パスのそのセグメントが最も重要であることを示します。これは、多くのパスがそこに依存するからです。 特定のセグメントが多くのパスによって使用されている場合は、それらのセグメントを最初に保護します。

最小コスト パスの作成

上記の送電線の例で考えると、[距離累積 (Distance Accumulation)] ツールは距離累積とバック方向ラスターを作成しています。 距離累積ラスターのセル値はドル単位で、ソース セルから各セルに到達するための合計建設コストを表します。 バック方向ラスターは、各セルから最低コスト ソースに戻る移動方向を示します。 移動方向は 0 ~ 360 のマップ方位角 (方眼北から右回り) として表されます。ここで、0 はソース セル用に予約されています。

[最適パス (ライン) (Optimal Path As Line)] ツールはこれら 2 つのデータセットの両方を使用して、一連の目的地の位置を始点として最小コスト パスをプロットします。 目的地は、フィーチャクラスかラスター データセットのいずれかです。 フィーチャクラスを使用する場合は、まずラスター化してから、データ値を含むセル中心を目的地として使用します。 解析は必ずバック方向ラスターの空間参照、範囲、セル サイズで行われます。

パスは、目的地からソースへのバック方向ラスターをトレースすることで作成されます。 バック方向ラスターは、目的地の最低コストのセルを始点として、ソースに戻るまでの最小コスト パスを生成するために、次にどのセルに移動するべきかを特定します。 その後、バック方向ラスターから取得されたそのセルの値が、次の移動先のセルを決定します。 ソースに到達するまで、この処理が行われます。

デフォルトでは、各出力ポリラインが、目的地から最低コストのソースまでの完全なパスを定義します。 フィーチャクラスには、各入力目的地の ID、累積コスト、開始行と開始列のフィールドが含まれます。

[最適パス (ライン) (Optimal Path As Line)] ツールで [ネットワーク パスの作成] パラメーターがオンになっている場合、出力ポリライン フィーチャクラスのスキーマが変更されます。 各フィーチャは、目的地からソースに接続するネットワークのエッジを示します。 各エッジには、エッジに沿って移動する際の累積コストの変化を表す EdgeCost 属性があります。 詳細については、以下の「[最適パス (ライン) (Optimal Path As Line)] を使用した最小コスト パス ネットワークの作成」セクションをご参照ください。

注意:

最適パスは、目的地からソースまでの道のりの中で、セル中心を必ず通過しなくてもかまいません。 各セルの累積コストを決定する際、平面を適合させます。 平面の勾配の方向によって、そのセルから最短または最低コストのソースへの真の方向が決定されます。 バック方向からは、パスはラティス構造によって調整され、最終的なパスが作成されます。 パスは、より直接的な方向でセルを移動し、より正確な結果を生成します。 距離累積とパスの計算方法の詳細については、「距離累積アルゴリズム」をご参照ください。

累積流量ラスターと流向ラスターを使用する最適パス ツール

[最適パス (ライン) (Optimal Path As Line)] ツールと [最適パス (ラスター) (Optimal Path As Raster)] ツールでは、累積距離ラスター パラメーターに対する入力に [累積流量ラスターの作成 (Flow Accumulation)] ツールからの出力、バック方向ラスター パラメーターに対する入力に [流向ラスターの作成 (Flow Direction)] ツールからの出力を指定できます。 この場合、これらのツールは、データセットのエッジから流出するか、流向が定義されていないセルで停止するまで、河川の流路をトレースします。 このような場合は、Esri ネットワーク ソリューションで使用可能な河川ネットワークを生成する [ネットワーク パスの作成] パラメーターが便利です。 河川のエッジは流向ラスターの方向に向いており、EdgeCost 属性はエッジに沿った累積流量ラスターの変化を表します。

パス タイプと目的地の構成の変化による影響

上記の送電線の例で考えると、累積コストとバック方向ラスターは、送電線候補の終点を表す単一のソース セル (既存の変電所など) から作成されます。 [最適パス (ライン) (Optimal Path As Line)] ツールを使用してさまざまなパス タイプや入力目的地の構成を探索することで、最小コスト パスの変化や、その影響を検証できます。 一般的なシナリオを以下に示します。

  • 単一ポイントとして、既知の目的地があります。 その目的地とソース (同じくポイント) 間の最適なパスを見つけたいと考えています。 その場合は、どのパス タイプを選択してもかまいません。 [最適パス (ライン) (Optimal Path As Line)] ツールは、2 つの位置間の最適なパスを見つけ、出力ポリライン フィーチャクラスに 1 つのフィーチャを生成します。
  • 候補となる個々の目的地ポイントがあり、そのそれぞれからのパスを比較します。 各目的地のゾーンは異なるため、パス タイプには [各ゾーン][各セル] を選択します。
  • マルチセルの連続領域の目的地が 1 つあり、建設コストが最小で、かつソースまでの最短パスを持つ領域内の位置を特定したいと考えています。 [最良] または [各ゾーン] のいずれかのパス タイプを選択します。 複数の連続領域がある場合は、[各ゾーン] を指定し、それぞれの領域からの最良パスを比較します。

目的地が多数ある場合は、ソースに向かうにつれ、パスがマージされることがあります。 最小コスト パスは、累積コスト サーフェス上の最も急な下り坂のパスと見なすことができます。

パスのマージは、コミュニティから学校への学生の移動を解析するために使用できます。 [最適パス (ラスター) (Optimal Path As Raster)] は、パスがセルをどのように通過するか、セルがどれだけ頻繁に使用されているかを示します。 [各セル] パス タイプとマルチセルの目的地をツールへの入力として使用すると、分析範囲内の位置から学校に移動する際に学生が頻繁に利用しているセルを特定できます。

学生が学校に到着するまでに地表をどのように移動するかを示すマップ
[最適パス (ラスター) (Optimal Path As Raster)] の出力は、選択したポリゴンを目的地の入力とし、パス タイプを [各セル] として使用しています。

出力は、分析範囲のすべてのセルから学校に移動する際の、学生によるセルの使用強度を示します。 これは、実質的には、水の流れではなく学生の移動を表す「累積流量ラスター」マップです。 この強度情報を使用すると、街路安全を強化することでほとんどの学生に影響を及ぼす場所を決定できます (学生が分析範囲全体にまんべんなく居住していることを想定した場合)。

[最適パス (ライン) (Optimal Path As Line)] を使用して最小コスト パス ネットワークを作成する

デフォルトでは、[最適パス (ライン) (Optimal Path As Line)] の出力は、目的地からソースに向かうパスごとに個別のフィーチャを作成します。 これにより、重複する、またはほぼ重複するポリラインが出力に多数生成されることがあります。 [最適パス (ライン) (Optimal Path As Line)] を使用して重複しないポリライン フィーチャクラスを作成し、それを Esri ネットワーク ソリューションへの入力、ネットワーク データセット、ユーティリティ ネットワーク、またはトレース ネットワークとして使用できます。 [ネットワーク パスの作成] パラメーターをオンにすると、単一のセルにつながる複数のパスは、そのセルの中心にスナップされ、終了します。 複数のパスは単一のパスとしてマージし、ネットワークを作成します。 新しいパスは、そのセル中心を開始位置として使用します。 また、出力ポリライン フィーチャクラスのスキーマも変わります。 EdgeCost 属性は、完全なパス沿いの累積コストではなく、エッジ沿いの累積コストの変化を報告します。

これは、流向ラスターの入力に加え、バック方向の規則にも当てはまります。 流向ラスターを使用する場合、入力累積ラスターは累積流量ラスターである必要があります。

目的地を始点とし、収束し、横並びでソースに向かう多数のパスを示すマップ
[最適パス (ライン) (Optimal Path As Line)] のデフォルト動作は、各パスを個別にトレースすることです (ブラウンのライン)。 パスは必ずしも各セルの中心を通過するとは限らないため、多くのパスがほぼ重なり合うこともあります。 1 本のラインがハイライト表示されています。 このラインが、目的地の隣接するセルの中心に向かう別のパスと結合していることがわかります。

[ネットワーク パスの作成] パラメーターをオンにすると、多数のパスが 1 本のパスに収束します。

[ネットワーク パスの作成] をオンにし、多数のパスが 1 本のパスに収束されているマップ
[ネットワーク パスの作成] パラメーターをオンにすると、パスは同じセルを通過する際に重複するものとして見なされます。 このとき、セルに入るすべての流入パスは終端され、1 本の流出パスが作成されます。 個々のエッジは、累積コストの変化とともにポリライン フィーチャとして流出します。 画像の右側にあるパスのグループが 1 つのパスにグループ化されています (太いブラウンのライン)。

最小コスト パスの代替的な始点の位置の特定

送電線の例では、送電線は変電所で終端することがわかっています。 しかし、[最良] パス タイプを使用し、パーセルなどのポリゴンが目的地として入力されると、目的地内の唯一の始点が特定されます。

ポリゴンの目的地では、そこに到達するまでの最低コスト パスは 1 つしかありませんが、ポリゴンに入るための方法は他にも多数あります。 そのため、この解析の目的は、次のように変わります。

  • 単一目的地から、複数のセルを持つ目的地までのパスを作成する柔軟性を判断する。
  • コストが近く、代替的な解決策となりうるパスを特定する。 つまり、複数目的地の場合、目的地 A からのコストは 1、目的地 B からのコストは 1.0001 となることがあります。 [最良] は最小コスト パスのみを特定するので、実行可能な代替パスが存在するかどうかはわかりません。
  • 所定のコスト閾値がある場合に、可能なパス オプションを特定する。
  • ソース位置の柔軟性を判断する。 つまり、複数セルのソースを始点とし、その周辺にコスト パスがどのように分布しているかを把握する。

[各セル] パス タイプが適用される場合、目的地の中で考えられる他の始点を探索します。 以下の図では、すべての可能なパス (茶色のライン) を目的地の各セルからソースまで計算します。 ハイライト表示したパスは、すべての考えられるパスからの最低コスト パスから上位およそ 10% にあります。 ソースに戻るルートもだいたい同じで、コストも似ています。 コスト面で最小コスト パスに近いパスを選択すると、ソースに到達するために、目的地のどのセル位置を始点とするかを決定するうえで柔軟性がもたらされます。

ポリゴンの目的地を始点とする最小コスト パスの上位 10% が類似のルートを共有することを示すマップ
最小コスト パスの上位 10% はほぼ同じエリアから開始し、ほぼ同じルートをたどります。

これは 3D 表示を見るとさらに明らかです。3D 表示では、このパスのグループはすべて累積距離ラスターのサブ集水域にあります。

類似のコストを持つパスが、ソースに向かって収束している 3D 表示
類似のコストを持つパスのグループと、それらが累積コスト サーフェスの同じ集水域を共有している 3D 表示。

3 つ目の解析目標については、パスに対して厳密な固定コストが定められており、可能な代替案を確認したいと考えています。 その場合、累積距離ラスターの等高線上のすべての位置 (等高線を以下の図に示します) が同じコストを持つことがわかります。 そのコンター上の任意のポイントから開始するパスは、同じコストを持ちます。

同じコストを持つ目的地を特定するには、Con ツールを使用します。 たとえば、次の式により、累積コスト ラスター SchoolTravelTime から移動時間コンターを選択します。

equalCostPathDestinations = Con((Raster('SchoolTravelTime') > 19.9) & (Raster('SchoolTravelTime') < 20), 1)

目的地で生成された一連のラスター セルは、生成されたパスの分布は、同じソースに向かって同じコストと移動時間を持ち、一定のコスト上限を満たしていることを示します。

ポリゴンの目的地を始点とし、ソースに戻るコストが同じパスのマップ
同じ等高線から開始し、移動時間も同じの複数のパスは、同じコストを持ちます。

4 つ目の解析目標については、パスは同じ目的地から開始し、ほぼ同じコストを持ちますが、移動先となるソースは異なります。 以下の図では、複数のソースを入力します。

同じ目的地から別々のソースに移動する、同じコストを持つパスのマップ
アロケーション ゾーンの境界上にある目的地から開始する最小コスト パスは始点が近く、同じコストを持つが、別々のソースに向かって移動します。

パスは、異なるエリアのソース位置に移動します。つまり、これらのパスはアロケーション境界上にあるか、アロケーション境界付近にあります。 これにより、不安定な状況が起こります。[距離累積 (Distance Accumulation)] への入力において不確実性があれば、境界が変わる可能性があるからです。 この不確実性が累積コストをわずかに変え、移動するパスのいずれかのソースが変わる可能性があります。 上記のフローの例を使用すると集水域の尾根線に立っている場合、尾根からの小さな 1 歩でさえどの道を下るかに大きな影響を及ぼす可能性があります。

最小コスト コリドー

最小コスト コリドーを使用すると、一連の最小コスト パスを一度に視覚化できます。 また、最小コスト コリドーによって、ほぼ最小コストのパスがコストの変化によって受ける影響を視覚化できます。 追加情報については、「コリドーによる領域の接続」をご参照ください。