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多くの距離解析では、[距離累積 (Distance Accumulation)] ツールが、直線ラスターまたはコスト距離ラスターの計算に使用するための主要なツールです。 その出力を、直接使用したり、その他のツールの入力として使用して距離サーフェス上の領域を接続したりすることができます。 付属ツールである [距離アロケーション (Distance Allocation)] ツールについては、このトピックの「距離アロケーション (Distance Allocation) ツール」セクションで説明します。
距離を計算する際に考慮すべき 2 つの側面があります。
- 場所がどのくらい離れているかを求める
- その距離が決定された後に、移動者がその距離に達する速度を考慮する
基本的な直線距離を調整するための次の 2 つの方法があります。
調整された直線距離が決定された後に、解析の目的が、その距離にどのように達するかを理解することである場合があります。 つまり、移動者がそれらの距離単位を進む速度です。 特にコスト サーフェスが識別されているときに、直線距離に達する速度は、多くの場合、コスト距離と呼ばれます。 ある距離に達する速度を制御できる次の 4 つの方法があります。
- コスト サーフェスを指定します。 コスト サーフェスは、沼地などの横断するのが困難なエリア、および野原などの横断するのが容易なエリアを識別できます。
- 移動者の特徴を識別します。 たとえば、全地形万能車 (ATV) は、徒歩の移動者よりも速く同じ距離を移動することができます。
- 傾斜角の効果を考慮するために、垂直方向ファクターを指定します。 たとえば、重力を克服するための余分な努力は、急な傾斜を上ることが、その傾斜を下ることよりも遅いということを意味します。
- 前進に対する障害を考慮するために、水平方向ファクターを指定します。 たとえば、サイクリストは、向かい風のときとは対照的に、追い風のときにより速く地表を進むことができ、横風にはそれほど影響を受けません。
距離累積 (Distance Accumulation) ツール
[距離累積 (Distance Accumulation)] ツールには、解析を実行するときに役立つパラメーターが含まれています。 次のセクションでは、さまざまな目的と、それらの目的を達成するために使用する具体的なパラメーターを示します。 これらのオプションを順に評価することによって、自分の状況に適用するパラメーターを決定できます。
直線距離の計算
ソースからの直線距離を計算するには、ソースを指定し、出力に名前を付けて、ツールを実行します。
直線距離計算を調整する
避ける必要があるバリアが存在する場合に直線距離計算を調整するには、[入力バリア ラスターまたはフィーチャ データ] パラメーターでバリアを指定します。 バリアの例としては、河川、道路、崖などがあります。
地形内の丘を上って下るときに実際に移動するサーフェス距離を考慮するには、[入力サーフェス ラスター] パラメーターで標高サーフェスを指定します。
直線距離に達する速度を決定する
移動者がその距離に達する速度の決定方法を、次の方法で指定することができます。
- 移動者が各セルを通過するときに遭遇するフィーチャに関して、移動者のコストや優先度をシミュレートするには、はじめにコスト サーフェスを作成し、[距離累積 (Distance Accumulation)] ツールを実行するときに、そのコスト サーフェスを [入力コスト ラスター] パラメーターに入力します。 そのようなフィーチャの例としては、土地利用タイプ、河川からの距離、傾斜方向などがあります。
- 移動者が、距離を移動する方法に影響を与える特殊な特徴を持っている場合、適切なソースの特徴パラメーターを使用して、それらの特徴を指定します。 それらの特徴の例としては、移動モード、移動モードを準備するために必要な時間、移動モードに対する範囲制限、ソースから離れて移動するときと、ソースに向かって移動するときの間に違いがあるかどうか、などがあります。
- 傾斜を上って下るために必要な追加の労力を考慮するには、適切な垂直方向ファクター パラメーターを指定します。
- 距離を移動するときの労力または速度に影響を与える水平方向ファクターが存在する場合は、適切な水平方向ファクター パラメーターを指定します。 そのようなファクターの例としては、風、水流などがあります。
その他の注意事項
大きいエリア上の投影データで解析を実行する場合は、[距離計算の方法] パラメーターで測地線オプションを使用します。
距離累積 (Distance Accumulation) ツールからの出力を使用し、最適パス (ライン) (Optimal Path As Line) ツールまたは最適パス (ラスター) (Optimal Path As Raster) ツールのいずれかを使用して目的地までの最短パスまたは最小コスト パスを作成する場合は、オプションの [出力バック方向ラスター] パラメーターで名前を指定します。
距離累積ツールからの出力ラスター
[距離累積 (Distance Accumulation)] ツールを使用して、距離解析用の複数の出力ラスターを作成できます。 これらの出力およびその目的は次のとおりです。
- 距離累積ラスターは、最も近いソースまたは最小コスト ソースまでの累積距離を計算します。
- バック方向ラスターは、各セルから移動して最も近いソースまたは最小コスト ソースに戻るための方向を示します。
- ソース方向ラスターは、最も近いソースまたは最小コスト ソースへの方向を決定します。
- ソース位置ラスターは、最も近いソースまたは最小コスト ソースの行と列を特定します。
距離累積出力ラスター
直線距離のみが計算されている場合、距離累積ラスターは、すべてのソース以外のセルから最も近いソースまでの計測された距離を記録します。 記録された距離値の単位は、出力空間参照に基づくフィートやメートルなどの距離単位です。
コスト サーフェス、ソースの特徴、垂直方向ファクター、または水平方向ファクターが指定された場合、距離累積ラスターは、セルごとに、最小コスト ソースに到達するための累積コストを記録します。
バック方向出力ラスター
バック方向ラスターは、セルごとに、移動者がソースに向かって戻るために選択するべき方向を度単位で含みます。
直線距離のみが計算されている場合、バック方向の値は、最も近いソースに戻る最短パスに沿った次のセルを識別します。 コスト距離が計算されている場合、方向の値は、最もコストが低いソースに戻る最小コスト パスに沿った次のセルを識別します。
値の範囲は 0 度から 360 度で、0 はソース セル用に予約されています。 真東 (右) は 90 で、値は時計回りに増加し、180 が南、270 が西、360 が北になります。
バック方向ラスターの重要な用途は、2 つの位置間の最短パスまたは最小コスト パスを決定することです。 累積距離およびバック方向は、[最適パス (ライン) (Optimal Path As Line)] ツールおよび [最適パス (ラスター) (Optimal Path As Raster)] ツールへの入力に必要です。
ソース方向出力ラスター
ソース方向ラスターは、最も近いソース セルまたは最小コスト ソース セルの方向を水平角 (度単位) で識別します。
値の範囲は 0 度から 360 度で、0 はソース セル用に予約されています。 真東 (右) は 90 で、値は時計回りに増加し、180 が南、270 が西、360 が北になります。
直線距離を計算する場合、ソース方向ラスターとバック方向ラスターは似ています。 ただし、バリア、または速度を制御するパラメーター、コスト サーフェス、水平方向ファクターおよび垂直方向ファクター、ソースの特徴のいずれかが指定された場合、ソース方向ラスターとバック方向ラスターは異なる可能性があります。
ソース位置出力ラスター
ソース位置出力は、セルごとに、最も近いソースまたは最小コスト ソースの位置の行アドレスと列アドレスを識別します。
出力は、マルチバンド ラスターです。 最初のバンドには行インデックス、2 つ目のバンドには列インデックスが含まれています。 これらのインデックスは、最も近いか、到達するためのコストが最も少ないソース セルの位置を識別します。
距離アロケーション (Distance Allocation) ツール
[距離累積 (Distance Accumulation)] に関連するツールは、[距離アロケーション (Distance Allocation)] です。 [距離アロケーション (Distance Allocation)] がアロケーション ラスターも出力することを除き、すべてのパラメーターおよび出力は同じです。 このラスターは、セルごとに、そのセルが到達する最も近いソースまたは最小コスト ソースを示します。
直線距離のみが計算される場合、出力距離アロケーション ラスターは、各セルに最も近いソースを識別します。 つまり、最も近い距離に基づいてソースに割り当てられるセルが識別されます。
コスト距離が計算される場合、アロケーション ラスターは、セルごとに最小コスト ソースを示します。