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ArcGIS Notebook Server サイトへのコンピューターの追加

10.7.1 以降のバージョンでは、ArcGIS Notebook Server で複数コンピューターのサイトがサポートされます。 複数コンピューターのサイトでは、各コンピューターの Docker 設定および構成は同じであり、それぞれが ArcGIS Notebooks を実行できます。

10.9 以降、ArcGIS Notebook Server は複数ライセンスのサイトをサポートしています。これにより、サイトに属するすべてのコンピューターが同じレベルのライセンスである必要がなくなりました。 たとえば、3 台のコンピューターがあるサイトで、1 台のコンピューターを Advanced ライセンス、2 台のコンピューターを Standard ライセンスに構成できます。 10.9 より前では、すべてのコンピューターが同じレベルのライセンス (Advanced または Standard) を持つ必要がありました。 10.9 で導入されたこの複数ライセンス機能により、Advanced または Standard ライセンスを持つコンピューターの数を変更して規模を調整できるようになりました。

レガシー:

10.7 リリースでは、単一コンピューターのサイトだけがサポートされていました。

複数コンピューターの ArcGIS Notebook Server サイトでは、多数の同時接続ノートブック ユーザーをサポートできます。 多数のアクティブ ユーザーがいる場合や、1 台のコンピューターのリソースがユーザーのニーズを満たすには不十分な場合、複数コンピューターのサイトに拡張すると効果的です。

注意:

大量のコンピューター リソースを必要とするノートブック ユーザーが数名しか存在しない場合は、コンピューターを追加する代わりに、サイトのリソース制限を変更することを検討してください。

ArcGIS Notebook Server サイトのすべてのコンピューターには、同じバージョンの同じソフトウェアがインストールされています。 最初に設定するコンピューターで、ArcGIS Notebook Server サイトを作成する必要があります。 その後、追加の ArcGIS Notebook Server コンピューターをサイトに加えることができます。

注意:

他の ArcGIS Server ロールとは異なり、ArcGIS Notebook Server は最初のコンピューターからサイトへのコンピューターの追加をサポートしていません。 ArcGIS Notebook Server 構成ウィザードまたは joinsite ユーティリティを使用して、各コンピューターに順番にアクセスし、コンピューターをサイトに加える必要があります。

インストールの準備

サイトを作成するときに、重要なファイルとサイトの構成情報をホスティングするディレクトリである、構成ストアを格納する場所を決めます。 サイトにも system および workspace サーバー ディレクトリが存在します。

ArcGIS Notebook Server サイトを作成する際に、構成ストアおよびサーバー ディレクトリの場所を指定します。 複数コンピューターのサイトでは、構成ストアとサーバー ディレクトリを共有し、他のコンピューターがそれらにアクセスできるようにしなければなりません。 サイトに参加する各コンピューターに、これらの共有場所に対する読み書き権限を付与する必要があります。

共有ドライブおよびレプリケーション

複数コンピューターの ArcGIS Notebook Server サイトでは、ほとんどのサーバー ディレクトリおよびサイト構成ストアは、各コンピューターからアクセスできる共有の場所にホストされています。 ただし、各ユーザーの Docker コンテナーにマウントされているワークスペース ディレクトリを除きます。 Docker では Windows システムのコンテナーへの共有ドライブのマウントがサポートされていないため、ワークスペース ディレクトリは各コンピューター上でローカルのままにしておく必要があります。 ユーザーは複数コンピューターのサイトのすべてのコンピューターでコンテナーを起動してノートブックを開くことができるため、ワークスペース ディレクトリの内容を複数のコンピューター間で同期する必要があります。

複数の Windows コンピューターによるサイト

Windows は、ネイティブのレプリケーション ソリューションとして DFS (分散ファイル システム) データ レプリケーションを提供しています。DFS は、アイテム全体ではなく、変更されたデータ パケットのみを同期することで、コンピューター間でデータを効率的に同期します。 DFS を使用する場合、複製されるフォルダーは各コンピューターで同じ場所に保存されます。

ArcGIS Notebook Server サイトのワークスペース ディレクトリのコンテンツを同期する方法は DFS レプリケーション以外にも存在します。 ただし、これは Windows ネイティブかつ頻繁に使用される方法であるため、「ArcGIS Notebook Server における DFS レプリケーションの構成」でその設定手順について説明しています。 DFS と他のレプリケーション システムのどちらが組織に適しているかについては、IT 管理者と議論してください。

複数コンピューターのサイトのインストールおよび構成

複数コンピューターの ArcGIS Notebook Server サイトを設定する場合、このインストール ガイドでいくつかの追加手順を説明しています。

  1. ArcGIS Notebook Server のシステム要件を確認し、各コンピューターが要件を満たしていることを検証します。 各コンピューターのファイアウォールを調整し、ArcGIS Enterprise 配置内の各コンピューターからの通信で使用するポート 43 を開きます。

    各コンピューターにインストールされている ArcGIS Notebook Server のバージョンとそのライセンス ファイルは、同じである必要があります。 各インストールで同じ ArcGIS Notebook Server アカウントを入力します。 ドメインまたはアクティブ ディレクトリ アカウントを使用することをお勧めします。ローカル アカウントを選択した場合は、同じ名前とパスワードの組み合わせが各コンピューターに存在している必要があります。 指定したアカウントは、管理者グループの一員である必要はありませんので注意してください。

  2. 現時点までのインストール プロセス中に、すでに次の作業が完了しているようにします。
    1. 各コンピューターに Docker をインストールします。 各コンピューターで、Esri が提供する Docker イメージをダウンロードして、システムがアクセスできる場所に保存します。
    2. 各コンピューターで ArcGIS Notebook Server をインストールおよび認証します。 ソフトウェアをサイレント インストールすることもできます。
    3. コマンド ライン PostInstaller ユーティリティ (<ArcGIS Notebook Server installation directory>\tools\postInstallUtility に存在) を実行して、Docker イメージを各コンピューターのローカル リポジトリに読み込みます。
    4. 手順に従って、インストール後に ArcGIS Notebook Server を構成します。
  3. ネットワーク上で 2 つのディレクトリを作成し、共有します。 1 つは構成ストア用、もう 1 つはサーバー ディレクトリ用です。 workspace ディレクトリはローカル パス上に残しておく必要があります。 各コンピューターの ArcGIS Notebook Server アカウントに、これら 2 つのディレクトリに対する読み書き権限を付与します (Windows エクスプローラーの [共有] タブと [セキュリティ] タブの両方でこの作業を必ず行ってください)。
    注意:

    非表示になっているか、特殊文字 (たとえば、「$」) を使用している共有ネットワーク ディレクトリは、ArcGIS Notebook Server ではサポートされません。

    • サイトを作成するときに使用するコンピューター上にディレクトリを配置する場合でも、手動でディレクトリを作成して共有し、ネットワーク (UNC) パスを通じて参照しなければなりません。
    • ArcGIS Notebook Server アカウントがコンピューター上に存在しない場合 (構成ストアとサーバー ディレクトリをファイル サーバーに配置した場合など) には、配置したその他すべてのコンピューターで使用したものと同じ名前とパスワードを使用して、ArcGIS Notebook Server アカウントを作成する必要があります。
    • グループ管理サービス アカウント (gMSA) を ArcGIS Notebook Server アカウントに使用する場合、[共有] タブおよび [セキュリティ] タブで、サービス アカウントがフルコントロール権限を持つことを許可する必要があります。 [権限] エディターで [追加] をクリックしてから、[オブジェクト タイプ] ダイアログ ボックスを開きます。 [サービス アカウント] のチェックボックスをオンにします。
  4. いずれかのコンピューターから、新しい ArcGIS Notebook Server サイトを作成します。 以前に設定したサーバー ディレクトリと構成ストアのパスを必ず使用してください。
  5. 前の手順が完了したら、構成ウィザードを使用して作成したサイトに追加の各コンピューターを加えることができます。 コマンド ラインからサイトに加える場合は、ステップ 6 をご参照ください。
    1. 最初に追加したコンピューターから、ArcGIS Notebook Server 構成ウィザードを開きます。
    2. ウィザードの手順を確認して実行し、[続行] をクリックします。
    3. [既存サイトに参加] をクリックします。
    4. ステップ 4 で作成したとおりに、ArcGIS Notebook Server サイトの URL と認証情報を入力します。
    5. サイトに加える各コンピューターに対して、ステップ a から d を繰り返します。
  6. 追加のコンピューターをサイトに加えると、それらのコンピューターはサイト内で同等に扱われるため、プライマリ コンピューターは存在しません。
  7. 構成ウィザードを使用する代わりに、次のようにコマンド ライン ユーティリティを使用してコンピューターをサイトに加えることができます。
    1. ArcGIS Notebook Server アカウントでコンピューターにサイン インしていることを確認します。
    2. コマンド プロンプトを開き、<ArcGIS Notebook Server install directory>\tools\JoinSiteUtility\joinsite.bat にあるユーティリティを実行します。 ユーティリティのコマンド ライン パラメーターは次のとおりです。

      パラメーター説明

      -u または --username

      プライマリ サイト管理者のユーザー名。

      ユーザー名に次の文字は使用できません: \/:*?|<>

      -p または --password

      プライマリ サイト管理者のパスワード。

      パスワードに次の文字は使用できません: \/:*?|<>

      -f または --file

      joinsite ユーティリティの構成ストアの接続ファイル。

      -s または --siteUrl

      参加する既存の ArcGIS Notebook Server サイトの URL (https://notebookserver.domain.com:11443 形式)。

      -h または --help

      コマンド ライン ヘルプを表示して、終了します。

      ユーティリティのコマンド例:

      <ArcGIS Notebook Server install directory>\tools\JoinSiteUtility\joinsite.bat -u notebookPSA -p my.Password3 -s https://notebookserver.domain.com:11443

      アカウントの認証情報とサイト URL が正しく入力されると、ユーティリティはコンピューターを ArcGIS Notebook Server サイトに加えます。 追加コンピューターごとに、この手順を繰り返します。

この時点で、ArcGIS Notebook Server コンピューター間のワークスペース ディレクトリにレプリケーション システムを設定できます。 レプリケーション用のオプションを 1 つ設定する手順については、「ArcGIS Notebook Server における DFS レプリケーションの構成」をご参照ください。 インストール プロセス中の任意のタイミングでレプリケーション システムを設定できます。

すべてのコンピューターをサイトに追加したら、残りのセットアップ プロセスは単一コンピューター サイトの場合と同じです。 サイトでの ArcGIS Web Adaptor のインストールと構成に進みます。 その後、ArcGIS Enterprise ポータルを使用してサイトを構成します。

コマンド ラインからのサイトへの参加

joinSite コマンド ライン ユーティリティを使用して、コンピューターを ArcGIS Notebook Server サイトに参加させることもできます。 このユーティリティでは、既存のサイトの構成ストアの位置 (URL ではなく) を指定する必要があります。 そのため、URL を使用することで、サイトのネットワーク リクエスト キューを詰まらせる可能性がある場合に、このユーティリティは有効です。 ArcGIS Notebook Server サイト内のコンピューターがネットワーク リクエストですでに過負荷状態になっている場合や一度に多数のコンピューターをサイトに参加させる場合には、このユーティリティの使用を検討してください。

join-site ユーティリティは、ArcGIS Notebook Server インストール ディレクトリの \tools\JoinSiteUtility 配下にインストールされます。 既存のサイトに追加する ArcGIS Notebook Server コンピューターから join-site ユーティリティを実行します。ArcGIS Notebook ServerRun As アカウントを使用してください。

  1. 既存サイトの構成ストア フォルダーに対する読み取り/書き込みアクセス権を、サイトに参加させるコンピューター上で ArcGIS Notebook Server サービスの実行に使用されるネットワーク アカウントに付与します。
  2. connection.json という名前の JSON (JavaScript Object Notation) ファイルを作成します。
  3. 次に示す行をファイルに追加して、<path to the configuration store> を既存の ArcGIS Server サイトの構成ストアの場所と置き換えます。

    {"configPersistenceType": "FILESYSTEM", "connectionString": "<path to the configuration store>"}

    この例で言うと、既存サイトの構成ストアへのパスは \\\\myshare\\arcgisserver\\config-store です。

    {" configPersistenceType": "FILESYSTEM", "connectionString": "\\\\myshare\\arcgisserver\\config-store"}

  4. connection.json ファイルを保存して閉じます。
  5. connection.json ファイルは、サイトに参加するコンピューター上か、サイトに参加するコンピューターからアクセス可能な共有ディレクトリに配置します。
  6. コマンド プロンプトを開き、join-site を実行します。
  7. 構文は次のとおりです。
    joinSite -f <The file path to the configuration store JSON file>
    この例で言うと、構成ストア JSON ファイル (connection.json) は join-site ツールと同じディレクトリ (\tools\JoinSiteUtility) にあると想定されています。
    joinsite.bat -f connection.json

コンピューターは ArcGIS Notebook Server サイトに参加しています。