11.0 では、ArcGIS Notebook Server と Windows コンテナーおよび Mirantis Container Runtime をベータ リリースとして Windows で使用できます。
注意:
ベータ版では、これらの機能にパフォーマンスまたは品質に関連する既知の問題がある可能性があり、Esri テクニカル サポートによるサポートはありません。
ArcGIS Notebook Server と Windows コンテナー
他の ArcGIS Notebook Server の配置と同様に、ArcGIS Notebook Server と Windows コンテナーは、サーバーのオペレーティング システムにインストールされ、構成されてから ArcGIS Enterprise ポータルとフェデレートされます。 加えて、Web Adaptor を ArcGIS Notebook Server ソフトウェアの前に配置できます。
ArcGIS Notebook Server では、ノートブック作成者の環境を分離するために、コンテナーと呼ばれる仮想化オペレーティング システムが使用されます。 その結果、コンテナーを使用することで、各作成者はサーバー リソースのサブセットを使用できるようになり、自分の作業やリソース使用状況が他のユーザーに干渉することがなくなります。
これらのコンテナーは、サードパーティ製のソフトウェア コンポーネントである Mirantis Container Runtime (旧称 Docker Engine) によって割り当てられて管理されます。 ArcGIS Notebook Server をインストールする前に、 Mirantis Container Runtime バージョン 20.10 以降をインストールする必要があります。 ArcGIS Notebook Server は、インストール後に Mirantis Container Runtime で機能するように構成する必要があります。
ArcGIS Notebook Server は、サイトのそれぞれのノートブック作成者にランタイムあたり 1 つのコンテナーを割り当て、作成者はそのコンテナー内でのみ作業できます。 ノートブックの実行時に使用する計算リソースが他の作成者のコンテナーに影響することはありません。
対応する権限を持つポータル メンバーが最初のノートブックを開くと、コンテナーが ArcGIS Notebook Server サイト上で起動します。 ノートブックとコンテナー間のこのセッションは、ノートブックの実行時間を通して継続します。
ArcGIS Notebook Server は複数のコンピューターを 1 つのサイトに追加できます。 複数コンピューター構成のコンピューターは同一になるように構成する必要があり、コンピューターごとに ArcGIS Notebooks を実行できます。
ノートブック ランタイムと Windows コンテナー イメージ
Esri は、ArcGIS Notebook Server 向けに単一の Windows コンテナー イメージを提供しています。 このコンテナー イメージには、Python リソースを ArcGIS Notebooks で使用可能にする Standard および Advanced ノートブック ランタイムが含まれます。 それぞれのランタイムで利用可能なライブラリの詳細については、「利用可能な Python ライブラリ」をご参照ください。
Standard と Advanced の 2 つの ArcGIS Notebook Server ランタイムは、コンテナー イメージの一部としてノートブックで使用できます。 ライセンスとユーザー権限に応じて、Standard ランタイム、または Standard と Advanced 両方のランタイムを使用できます。
ArcGIS Notebook Server サイトの Windows コンテナーは、プロセスと Hyper-V という 2 種類のランタイム分離モードをサポートしています。 これらのモードの詳細については、Microsoft ドキュメントの「分離モード」をご参照ください。 Hyper-V による分離を使用するようにサイトを構成する場合は、Hyper-V の役割をコンピューターにインストールする必要があります。
注意:
Windows コンテナーを Hyper-V で使用するときに実行可能なコンテナーの数には制限があります。 詳細については、この Microsoft FAQ をご参照ください。
コンテナーが起動されると、Esri から提供された Windows コンテナー イメージがそのコンテナーに適用されます。 ランタイムは、ArcGIS Notebook Server で構成されたライセンスとノートブック作成者の権限によって異なります。
注意:
11.0 では、torch ライブラリ、または依存関係として torch が存在する Python ライブラリのインポート時に WinError 1455 の発生につながる可能性がある既知の制限があります。
注意:
fiona、rasterstats、および rasterio は Windows コンテナーにインストールされません。
必須ソフトウェアのセット アップ
ArcGIS Notebook Server をインストールする前に、次の必須ソフトウェアをインストールして構成する必要があります。
システム要件
ArcGIS Notebook Server と Windows コンテナーをインストールするには、次のシステム要件が満たされている必要があります。
- ArcGIS Notebook Server と Windows コンテナーでサポートされているオペレーティング システムは Windows Server 2022 のみです。
- ArcGIS Notebook Server と Windows コンテナーが機能するには、 Mirantis Container Runtime バージョン 20.10 以降が必要です。
- Hyper-V は、ArcGIS Notebook Server サイトで選択されたランタイム分離モードに応じて指定します。
- ArcGIS Notebook Server と Windows コンテナーでは、75 GB 以上の空き容量が必要です。
- ArcGIS Notebook Server のシステム要件を確認します。
Hyper-V の有効化 (オプション)
Hyper-V は、Hyper-V 分離モードで Windows コンテナーを実行する予定の場合のみ必要です。
Hyper-V を有効化するには、Microsoft ドキュメントの「Install the Hyper-V role on Windows Server」をご参照ください。
Mirantis Container Runtime のインストール
コンピューター上に Mirantis Container Runtime をインストールするには、次の手順に従います。
- コンピューター上の以前のバージョンの Docker をすべてアンインストールします。
- Mirantis Container Runtime をインストールする前に、ローカル サーバー上で [コンテナー] 機能を有効にしないでください。 この機能がすでに有効化されている場合は、サーバー コンピューター上で無効化してください。 詳細については、Microsoft ドキュメントの「役割、役割サービス、または機能のインストールまたはアンインストール」をご参照ください。
- Mirantis ドキュメントの「Install Mirantis Container Runtime on Windows Server」の手順に従います。
- 次のコマンドを実行して、 Mirantis Container Runtime がインストールされ、開始していることを確認します。
docker run hello-world:nanoserver
- 完了したら、以下の手順に従って Mirantis Container Runtime を構成します。
Mirantis Container Runtime の構成
- ポート 2375 を有効にして Docker リモート API を使用できるようにします。 このポートは、ArcGIS Notebook Server によって内部でのみ使用され、外部からの使用に対しては保護する必要があります。 このポートを有効化するには、管理者としてコマンド プロンプトを開き、次のコマンドを実行します。
sc config docker binpath= "\"C:\Program Files\docker\dockerd.exe\" --run-service -H tcp://localhost:2375 -H npipe://"
- 管理者として PowerShell ウィンドウを開き、次のコマンドを実行します。
Restart-Service docker
- Docker コンポーネントがインストールされたら、コンピューターを再起動します。
注意:
Docker コンポーネントをインストールまたは有効化するたびに、コンピューターを再起動する必要があります。
ArcGIS Notebook Server のインストール
「ArcGIS Notebook Server のインストール」ヘルプ トピックの手順に従って、インストール ウィザードまたはコマンド ラインを使用して ArcGIS Notebook Server をインストールします。
インストール後の ArcGIS Notebook Server の構成
ArcGIS Notebook Server のインストールが完了したら、ポストインストール ユーティリティを実行して、Windows コンテナー イメージをインストールします。 Esri Early Adopter Community (EAC) の ArcGIS Enterprise ベータ機能テスト プログラムにサイン アップして Windows コンテナー イメージをダウンロードします。 ArcGIS Notebook Server をインストールしたコンピューターごとに次の手順を実行します。
- 管理者としてコマンド プロンプト ウィンドウを開きます。
- ディレクトリを ArcGIS Notebook Server ツール フォルダーに変更します。 デフォルトのパスは C:\Program Files\ArcGIS\NotebookServer\tools\PostInstallUtility です。
- 次のコマンドを実行してコンピューターで Mirantis Container Runtime がアクティブになっているかを確認します。
PostInstallUtility.bat -d
- Mirantis Container Runtime がインストールされていない場合は、前述の手順に従ってインストールして構成します。
- 次のコマンドを実行します:
> PostInstallUtility.bat -l <path of .tar.gz Docker image>
ArcGIS Notebook Server サイトの作成
ArcGIS Notebook Server をインストールし、ポストインストール ユーティリティを使用して Windows コンテナー イメージを構成したら、「ArcGIS Notebook Server サイトの作成」の手順に従ってサーバー サイトを作成します。
注意:
ArcGIS Notebook Server を複数のコンピューターに配置する場合は、サイトを作成する前に下記の「Notebook Server ディレクトリと構成ストアに関する注意事項」のセクションをご確認ください。
Notebook Server ディレクトリと構成ストアに関する注意事項
複数のコンピューターに ArcGIS Notebook Server を配置する場合、コンテンツ ディレクトリと構成ストアでは UNC (Universal Naming Convention) パスで参照される共有ディレクトリを使用する必要があります。 ワークスペース ディレクトリでは、サイトに参加しているすべてのコンピューターで一致するドライブ文字が割り当てられたネットワークとして構成された UNC パスを常に使用する必要があり、そのパスをワークスペース ディレクトリとして使用します。
割り当てられたネットワーク ドライブを構成する手順については、下記の「ワークスペース ディレクトリ用に割り当てられたネットワーク ドライブの設定」のセクションをご参照ください。
Notebook Server での Windows コンテナー機能の有効化
サイトが正常に作成されたら、次の手順に従って ArcGIS Notebook Server と Windows コンテナーの使用をオプトインします。 ArcGIS Notebook Server サイトが作成されたら、管理 API にサイン インして、Windows コンテナーを使用するようにサイトが構成されていることを確認します。
- 管理者として ArcGIS Notebook Server の Administrative Directory にサイン インします。
- [System] > [Properties] の順にクリックします。
- [Update properties] をクリックします。
- true に設定されるように useWindowsContainers プロパティを更新します。
- [Update properties] をクリックして変更内容を保存します。
- Notebook Server が再起動され、Administrative Directory がアクセス可能になったら、[Notebook] > [Runtimes] > [Restore Factory Runtimes] の順にクリックします。
https://notebook.domain.com:11443/arcgis/admin/notebooks/runtimes/restore
- [Restore Factory Runtimes] をクリックして、Windows コンテナー イメージを使用するように Notebook Server Standard および Advanced ランタイムを更新します。
ArcGIS Notebook Server での ArcGIS Web Adaptor のインストールと構成
ArcGIS Notebook Server サイトを作成したら、ArcGIS Web Adaptor をインストールして ArcGIS Notebook Server に登録する必要があります。 詳細については、「ArcGIS Notebook Server での ArcGIS Web Adaptor のインストールと構成」をご参照ください。
ArcGIS Notebook Server のサンプル データのインストールと構成
ArcGIS Notebook Server のサンプル データは、ArcGIS Notebook Server に付属する Esri 管理のサンプル ノートブックで必要になります。 詳細については、「ArcGIS Notebook Server のサンプル データのインストールと構成」をご参照ください。
ArcGIS Enterprise ポータルでの Notebook Server の構成
ArcGIS Notebook Server をインストールして、 Mirantis Container Runtime によって構成し、サーバー サイトを作成して Web Adaptor にそのサイトを登録したら、ArcGIS Enterprise ポータルでそのサイトを構成することができます。 詳細については、「ポータルでの ArcGIS Notebook Server の構成」をご参照ください。
ArcGIS Notebook Server サイトへのコンピューターの追加
ArcGIS Notebook Server では複数コンピューターのサイトがサポートされています。 複数コンピューターのサイトでは、各コンピューターの構成は同じであり、同じ OS、同一の Mirantis Container Runtime 設定、およびワークスペース ディレクトリ用に同じドライブ文字が割り当てられたネットワーク ドライブが使用されます。 詳細については、「ArcGIS Notebook Server サイトへのコンピューターの追加」の「複数コンピューターのサイトのインストールおよび構成」のセクションをご参照ください。
ワークスペース ディレクトリ用に割り当てられたネットワーク ドライブの設定
これは、オプションのプロセスであり、複数コンピューターの Notebook Server サイトを設定する予定の場合のみ必要です。
- Notebook Server へアクセス可能な別のコンピューター上に ArcGIS Notebook Server ワークスペース ディレクトリ用の UNC 共有を作成します。
注意:
このディレクトリに、ArcGIS Notebook Server Windows の実行アカウントに対する読み取り/書き込みアクセス権がある必要があります。 ArcGIS Notebook Server ワークスペース ディレクトリ用の UNC 共有は、ArcGIS Notebook Server サイトに参加しているコンピューターとは別のコンピューター上に作成することをお勧めします。 Notebook Server と同じコンピューター上に作成された SMB 共有が、コンピューターの再起動時に切断されるという既知の問題が発生しています。 - Notebook Server コンピューター上で、管理者として PowerShell ウィンドウを開きます。
- 次のコマンドを使用して、後で使用するために ArcGIS Notebook Server ユーザー アカウントのパスワードをセキュリティ保護された文字列として保存します。
$password = ConvertTo-SecureString '<password>' -AsPlainText -Force
- PowerShell 関数に資格情報サポートを追加します。
$credential = New-Object System.Management.Automation.PSCredential('<domain\username>', $password)
- 永続フラグが設定されたフォルダーをマウントします。
New-SmbGlobalMapping -Persistent $true -RemotePath <shared folder path> -Credential $credential -LocalPath <unassigned drive letter>:
- ArcGIS Notebook Server サイトに参加しているすべてのコンピューター上でステップ 2 ~ 5 を繰り返して、すべてのコンピューターの割り当てられたドライブ用に同じドライブ文字を割り当てます。
- ArcGIS Notebook Server サイトを作成するときに、前述のステップで作成された共有ネットワーク ドライブを使用してワークスペース ディレクトリを構成します。
ノートブック ランタイムの拡張
詳細については、「ノートブック ランタイムの拡張」をご参照ください。
このトピックの手順を正常に完了したら、Windows コンテナーを使用して設定された ArcGIS Notebook Server の配置を利用できるようになります。