ArcGIS Enterprise ポータルのホスティング サーバーは、ArcGIS Data Store で提供されるリレーショナル データ ストアを使用する必要があります。ホスティング サーバーが現在、管理されたデータベースとして登録したエンタープライズ ジオデータベースを使用している場合に、ArcGIS Enterprise 配置を 10.7.1 以前のリリースから 10.6 にアップグレードするときは、以下のいずれかのオプションを使用して、ホスティング サーバーでリレーショナルの ArcGIS Data Store を使用するように切り替えます。
- 既存の管理されたデータベースを登録済みデータベースに変更することで、既存のフィーチャ サービスを維持します。
既存のホスト フィーチャ レイヤーのパフォーマンスと機能に満足している場合や、これらのレイヤーが多数のマップとアプリで使用されていて、共有やシンボルをリセットしてアプリを再公開することが難しい場合は、このオプションを使用します。
- データをエクスポートして、ホスト フィーチャ レイヤーを再公開します。
既存の管理されたデータベースを登録済みデータベースとして維持できない場合や、リレーショナル データ ストアを使用する際に使用可能な機能を既存のホスト フィーチャ レイヤーに追加したい場合は、既存のホスト フィーチャ レイヤーからデータをエクスポートし、レイヤーを削除し、管理されたデータベースをリレーショナル データ ストアに置き換えて、再公開します。この手法ではデータをコピーし、新しいサービスとレイヤーを作成します。つまり、新しいホスト フィーチャ レイヤーで共有プロパティおよびその他のプロパティをリセットした後、マップのレイヤーへのスタイルの適用、プレゼンテーションの作成、およびアプリの公開を再度行う必要があるので注意してください。
オプション 1: 既存の管理されたデータベースを登録済みデータベースに変更する
既存のエンタープライズ ジオデータベースの管理されたデータベースのステータスを、登録済みデータベースに変更できます。このオプションを使用すると、レイヤー内のデータがエンタープライズ ジオデータベースに保存され、レイヤーを利用するサービスが GIS Server サイトに残ります。
エンタープライズ ジオデータベースを登録済みデータベースとして構成したら、ArcGIS Data Store をインストールして、新しく公開されるすべてのホスト フィーチャ レイヤー データで使用するように、ホスティング サーバーにリレーショナル データ ストアを構成できます。
このシナリオでは、既存のジオデータベースは、ホスト フィーチャのデータ ストアではなく、レコードのシステムになります。
このオプションを使用するメリットは、以下のとおりです。
- フィーチャ レイヤーに適用される設定が保持されます。
- アプリを再構成してフィーチャ レイヤーを追加する必要がありません。
- 既存のデータは移動しません。
- 既存のエンタープライズ ジオデータベースは引き続き維持されるので、これを新しい Web サービス用のデータ ソースとして使用できます。
- このオプションでは、いくつかの手順を実行する必要があります。
このオプションを使用するデメリットは、以下のとおりです。
- 引き続き、レイヤーの機能に制限があります。たとえば、Map Viewerでこのレイヤーのフィールドの値を計算できない、ArcGIS Enterprise ポータル Web サイトで編集情報の記録や添付ファイルの設定を管理できないといったことがあります。
- フィーチャ レイヤーはすでにホスト レイヤーではありませんが、ポータルのホスティング サーバーとして指定した GIS Server サイトで引き続き実行され、ArcGIS Server Manager の Hosted フォルダーにサービスが表示されます。このため、公開者または引き継いだ管理者が混乱する場合もあります。
- 既存のエンタープライズ ジオデータベースとリレーショナル データ ストアという 2 つのデータ ストアを維持する必要があります。
以下の手順に従って、既存の管理されたデータベースを登録済みデータベースに変更し、既存のフィーチャ サービスを保持します。
- ポータル管理者として ArcGIS Server Manager にサイン インして、[データ ストア] ページ ([サイト] > [データ ストア]) を開きます。
- サイトの管理されたデータベースとして登録したエンタープライズ ジオデータベースに対して [編集] ボタンをクリックします。
- [管理されたデータベース] チェックボックスをオフにして、[保存] をクリックします。
- ArcGIS Data Store をインストールします。可能であれば、ArcGIS Data Store は、既存のデータベースとは別のサーバーまたは別の ArcGIS ソフトウェアにインストールします。
- リレーショナル データ ストアを作成し、データ ストアを登録するためのホスティング サーバーの URL を入力します。
ポータル ユーザーが新しいホスト フィーチャ レイヤーを公開するときには、このリレーショナル データ ストアにデータがコピーされます。既存のフィーチャ レイヤーは引き続き機能します。
必要に応じて、このエンタープライズ ジオデータベースを、新しい ArcGIS Server Web サービスのデータ ソースとして使用できます。
オプション 2: 再公開する
再公開すると、すべてのホスト フィーチャ レイヤー データが同じデータ ストアに保存され、すべてのホスト フィーチャ レイヤーに同じレベルの機能が提供されます。ただし、既存のレイヤーを置き換えるため、このオプションにはさらにいくつかの手順が必要となります。
このオプションを使用するメリットは、以下のとおりです。
- 再公開されたホスト フィーチャ レイヤーはより多くの機能を備えています。
- ポータル内の既存のレイヤーや ArcGIS Server Manager で、ホスト ラベルが混乱する可能性がなくなります。
- ポータルのホスト フィーチャ レイヤーがすべて同じ場所に格納され、同じ機能を持ちます。
このオプションを使用するデメリットは、以下のとおりです。
- データを移動して、レイヤーを再作成するので、時間がかかります。
- フィーチャ レイヤーをゼロから作成するので、すべてのレイヤー アイテムの設定をリセットする必要があります。マップ内のレイヤー設定をリセットし、フィーチャ レイヤーを含むプレゼンテーションやアプリを再作成する必要もあります。
以下の各セクションの手順に従って、ホスト フィーチャ レイヤーを再公開します。
- 既存のホスト フィーチャ レイヤーからデータをエクスポートします。
- 既存のフィーチャレイヤーを削除します。
- 管理されたデータベースをリレーショナル データ ストアに置き換えます。
- ホスト フィーチャ レイヤーを再公開します。
- 新しいホスト フィーチャ レイヤーの共有プロパティやその他のアイテム プロパティをリセットして、マップのレイヤーのシンボルを再設定して設定を変更し、プレゼンテーションを再作成して、アプリを再公開します。
備考:
ArcMap または ArcGIS Pro マップからポータルに公開されたホスト フィーチャ レイヤーは、ホスト フィーチャ レイヤーが編集に使用されたことがない場合に限り、ArcMap または ArcGIS Pro から再公開できます。ホスト フィーチャ レイヤーを使用して編集が行われていると、再公開したときにこれらの編集は失われます。
ArcMap または ArcGIS Pro から公開されたホスト フィーチャ レイヤーを使用して一切の編集を行っていないと確信できる場合は、これらのクライアントのマップから再公開して、レイヤーのシンボルと共有プロパティを維持することができます。
データのエクスポート
ポータルのホスティング サーバーとして登録した GIS Server サイトから、管理されたデータベースを削除する前に、既存のホスト フィーチャ レイヤーからデータをエクスポートします。これにより、最新のデータを維持できます。
ArcGIS Data Store を構成する前に、ポータル管理者は、次の手順を実行してすべてのホスト フィーチャ レイヤー データをエクスポートします。または、ホスト フィーチャ レイヤーを所有する各ポータル メンバーは、各自のホスト フィーチャ レイヤーのデータをエクスポートできます。
ホスト フィーチャ レイヤーを編集し、元のデータ ソース (シェープファイル、CSV ファイル、またはファイル ジオデータベースなど) から再公開すると、その編集内容は失われるため、ホスト フィーチャ レイヤーからデータをエクスポートする必要があります。
- ポータルにサイン インします。
- ポータル管理者としてサイン インする場合、最初のポータル メンバー名の横にある [アクション] をクリックして、[アイテムの管理] をクリックします。このメンバーが所有しているすべてのコンテンツのリストが開きます。
- ホスト フィーチャ レイヤーの所有者としてサイン インする場合、[マイ コンテンツ] を開きます。
- 移行するホスト フィーチャ レイヤーのアイテムの詳細を開きます。
- ファイル ジオデータベースにエクスポートします。[エクスポート] > [FGDB にエクスポート] の順にクリックします。
これにより、ホスト フィーチャ レイヤーのレイヤーごとにフィーチャクラスを含むファイル ジオデータベースが作成されます。新しいファイル ジオデータベースのアイテム ページが開きます。
- 維持したままで ArcGIS Data Store リレーショナル データ ストアに移行する各ホスト フィーチャ レイヤーに対して、次の手順を繰り返します。
次に、既存のホスト フィーチャ レイヤーを削除し、管理されたデータベースを削除し、ArcGIS Data Store を構成し、エクスポートされたファイルから再公開します。
既存のレイヤーの削除
ホスト フィーチャ レイヤー名は一意でなくてはならないため、所有者は、再公開する前に、既存のホスト フィーチャ レイヤーを削除する必要があります。
注意:
ホスト フィーチャ レイヤーを削除すると、データも管理されたデータベースから削除されます。所有者によってホスト フィーチャ レイヤーが削除される前に、管理されたデータベースのバックアップを作成します。こうすることで、前のセクションでエクスポートされたデータに問題があることが分かった場合に、データのコピーを利用できます。
既存のホスト フィーチャ レイヤーを削除すると、これらのレイヤーを使用したマップおよびアプリは機能しなくなります。ArcGIS Data Store を構成し、再公開した後に、それらを再作成する必要があります。
ポータル管理者またはホスト フィーチャ レイヤーの所有者は、前のセクションでエクスポートしたのと同じホスト フィーチャ レイヤーを削除する必要があります。
- ポータルにサイン インします。
- ポータル管理者としてサイン インする場合、最初のポータル メンバー名の横にある [アクション] をクリックして、[アイテムの管理] をクリックします。このメンバーが所有しているすべてのコンテンツのリストが開きます。
- ホスト フィーチャ レイヤーの所有者としてサイン インする場合、[マイ コンテンツ] を開きます。
- 移行する各ホスト フィーチャ レイヤーの横にあるチェックボックスをオンにして、[削除] をクリックします。
次に、既存の管理されたデータベースを削除し、ArcGIS Data Store を構成します。
管理されたデータベースの置換
既存の管理されたデータベースを削除し、ArcGIS Data Store と入れ替えます。
最初に、既存の管理されたデータベースを削除します。
- 管理者として ArcGIS Server Manager にサイン インします。
- ArcGIS Server Manager の上部にある [サイト] をクリックします。
- [データ ストア] をクリックします。
- 既存の管理されたデータベースの横にある [X] をクリックして、GIS Server サイトから削除します。
- このデータベースを登録解除してよいかどうかの確認を求められたら、[はい] をクリックします。
次に、ArcGIS Data Store をインストールして、GIS Server サイトでリレーショナル データ ストアを構成します。
ArcGIS Data Store を構成すると、新しく公開されたホスト フィーチャ レイヤー データのすべては、リレーショナル データ ストアに格納されます。
他のクライアントや Web サービスのデータ ソースとして、既存のエンタープライズ ジオデータベースが必要でない場合は、ホスト フィーチャ レイヤーをすべて再公開した後で、これを削除できます。
ホスト フィーチャ レイヤーの再公開
公開者は、以前にエクスポートしたファイル ジオデータベースからホスト フィーチャ レイヤーを再公開する必要があります。新しいホスト フィーチャ レイヤーの名前が、古いホスト フィーチャ レイヤーと同じ名前になっていることを確認します。
備考:
データを公開するすべてのユーザーは、ポータルのホスト フィーチャ レイヤー アイテムを所有します。ポータル管理者としてデータをエクスポートしたが、各ポータル メンバー (公開者) に引き続きホスト フィーチャ レイヤーを所有してもらいたい場合、公開者が属しているグループとファイル ジオデータベースを共有します。
- エクスポートされたファイル ジオデータベースのアイテム詳細を開きます。
- [Publish] をクリックします。
- 新しいホスト フィーチャ レイヤーでは、プロパティ (共有設定、編集の設定、および削除の防止設定など) がリセットされます。詳しい手順については、Portal for ArcGIS ヘルプの「ホストフィーチャ レイヤーの管理」をご参照ください。
- エクスポートされた各ファイル ジオデータベースに対して、次の手順を繰り返します。
マップの更新とアプリの再公開
新しいホスト フィーチャ レイヤーは、置換されたホスト フィーチャ レイヤーとは異なる ID を持ちます。既存のマップのホスト フィーチャ レイヤーを入れ替え、マップのスタイル設定をリセットし、マップのプレゼンテーションを再作成して、これらのマップを使用したアプリを再公開します。