Esri は、世界のさまざまな場所の境界や人口統計の情報を含むレイヤーを提供しています。 これらのレイヤー (州、国勢調査エリア、郵便番号の境界など) には、ポータル メンバーがマップ、シーン、アプリ、フィーチャ解析ツール、および ArcGIS Insights で使用できる、関連するローカル情報が含まれています。
ArcGIS Insights がインストールされている場合、またはポータルが ArcGIS Online にある ArcGIS Living Atlas of the World のコンテンツにアクセスできない場合は、これらのレイヤーをポータルに公開することを検討してください。
ポータル管理者は、必要な境界レイヤーサービス定義 (*.sd) ファイルを My Esri からダウンロードし、publishboundarylayers ツールを使用して、これらのファイルからホスト フィーチャ レイヤーを公開できます。
注意:
このトピックで説明するいずれかのツールを実行するときには、組み込みのポータル管理者アカウントを使用する必要があります。 これらのツールに使用する URL は、ArcGIS Enterprise を配置する場所によって異なります。
- オンプレミスの ArcGIS Enterprise 配置でツールを実行する場合には、Web Adaptor やロード バランサーではなく、ポート 7443 を使用してポータルにアクセスする必要があります。
- クラウド内の ArcGIS Enterprise 配置でこれらのツールを実行する場合には、Web Adaptor またはロード バランサーを使用してポータルにアクセスする必要があります。ポート 7443 は使用しません。
必要なファイルをすべて含むフォルダーから公開することも、個々のファイルを公開することも、テキスト ファイル形式でファイルのリストを提供することもできます。 Portal for ArcGIS のインストールに使用したアカウントが、このディレクトリへの読み取りアクセス権を持っていることを確認してください。
これらの境界サービス定義 (*.sd) ファイルをポータルで公開すると、次のようになります。
- 各 *.sd がサービス定義アイテムとしてポータルに追加されます。 更新されたコンテンツが利用可能となったときに境界レイヤーを更新したい場合は、これらのファイルをポータルに残しておく必要があります。
- 公開する *.sd ファイルごとにホスト フィーチャ レイヤーが作成されます。 各ホスト フィーチャ レイヤーには、複数のレイヤーが含まれます。
- サービス定義アイテムとホスト フィーチャ レイヤーの両方が、esri_boundaries という名前の内部ポータル メンバーに所有されます。 これらのアイテムの所有権を別のユーザーに変更しないでください。
- デフォルトでは、ポータル組織のすべてのメンバーが、ポータル内の境界ホスト フィーチャ レイヤーにアクセスできます。 ポータル メンバーは次の方法で境界レイヤーにアクセスできます。
- ポータル内で、[コンテンツ] ページの [組織] タブから、境界レイヤー アイテムを検索します。
- [解析レイヤーの選択] ダイアログ ボックスで、Map Viewer Classic のフィーチャ解析ツールに境界レイヤーを 1 つずつ追加します。
- [コンテンツ] ウィンドウで、境界レイヤーを Scene Viewer に追加します。
境界レイヤーの公開
これらのレイヤーは、Esri Master License Agreement に基づいてライセンスが付与されています。 公開する前に、「サマリー」と「利用規約」をお読みください。
重要な使用要件
- これらのレイヤーは、Portal for ArcGIS、ArcGIS Insights、および接続されている他の ArcGIS アプリを含む ArcGIS Enterprise での内部使用のために、ライセンスが付与されています。
- ユーザーは、このデータを ArcGIS Enterprise 製品群以外で利用したり、ArcGIS または他のアプリケーションでオフラインで利用するためにデータをエクスポートしたりすることはできません。
- ユーザーは、Esri の別の書面による許可なしに、レイヤーを共有 (パブリックまたはプライベート) して、別の組織のメンバーや一般ユーザーに外部提供することはできません。
- これらのレイヤーは、Esri からダウンロードしてから 2 年間使用できるライセンスが付与されています。 最新のデータを毎年ダウンロードして、ライセンスを拡張できます。
- これらのレイヤーの表示には、各レイヤーと一緒に公開される [著作権 (帰属)] を含める必要があります。
境界ファイルを取得して、ポータルでフィーチャ レイヤーとしてホストするには、次の手順に従います。
- My Esri から、サービス定義 (*.sd) を含む圧縮ファイルをダウンロードします。
- ダウンロードしたファイルを解凍し、Portal for ArcGIS コンピューター上のフォルダーに配置します。
ファイル名は、3 文字のコードを使用して適用先の地域を示し、データが適用された年がファイル名の最後に追加されています。 たとえば、USA_Boundaries_2015 には、2015 年に現れたアメリカ合衆国の境界が含まれています。
ポータルにアップロードおよび公開したくないファイルを削除します。 または、アップロードして公開したいファイル サブセットのリストを含むテキスト ファイルを作成します。 テキスト ファイルでは 1 行ごとに 1 つのファイル名を記述します。たとえば、米国または世界の境界をアップロードする場合は、テキスト ファイルに次の行が含まれます。
USA_Boundaries_2015 WOR_Boundaries_2015
- Portal for ArcGIS コンピューターで、コマンド ターミナルを開きます。
- ツールがある場所にディレクトリを変更します。
- publishboundarylayers ツールを実行します。
このツールは <Portal installation directory>/tools/publishboundarylayers にインストールされています。 このツールの構文は、次のとおりです。publishboundarylayers --folder <location of sd files> [{--files <file names>|--file <name of text file>}] --url <Portal website URL> --username <portal administrator user name> [--password <portal administrator password>]
ツールの実行時にパスワードを指定しないと、ポータル管理者のパスワードを入力するよう求められます。 このユーザーは、ポータルのデフォルト管理者ロールのメンバーである必要があります。
--files オペレーションを使用する場合は、サービス定義ファイルのカンマ区切りリストを指定します。 --file オプションを使用する場合は、公開する境界ファイルのリストを含むテキスト ファイルの位置と名前を指定します。
この例では、ディレクトリ boundaryfiles 内のすべてのファイルがオンプレミスのポータルに公開されます。
./publishboundarylayers --folder /usr/data/boundaryfiles --url https://portal.domain.com:7443/arcgis --username portaladmin
この例では、ファイルが上記と同じディレクトリ (boundaryfiles) にありますが、次の 2 つのファイルが公開されます。
./publishboundarylayers --folder /usr/data/boundaryfiles --files USA_Boundaries,WOR_Boundaries --url https://portal.domain.com:7443/arcgis --username portaladmin
この例では、boundaryfiles ディレクトリにテキスト ファイル (boundarysubset.vi) がすでに作成されています。 ツールはテキスト ファイルからファイル リストを読み取り、境界レイヤーのサブセットを公開します。
./publishboundarylayers --folder /usr/data/boundaryfiles --file /usr/tmp/boundarysubset.vi --url https://portal.domain.com:7443/arcgis --username portaladmin
公開が完了すると、公開した *.sd ファイルごとにサービス定義アイテムとホスト フィーチャ レイヤーが存在することになります。
これらのアイテムの存在を確認するには、esri_boundaries という名前の内部ポータル メンバーが所有するすべてのアイテムをポータルで検索します。 ポータルの検索フィールドに「owner:esri_boundaries」と入力し、すべてのコンテンツを検索します。
境界レイヤーの更新
ほとんどの場合、境界レイヤーの更新は新しいサービス定義ファイルとして提供されます。publishboundarylayers ユーティリティを使用して、このファイルをポータルに公開できます。 これにより、これらのレイヤーを別々に使用して、2 つのバージョンのデータを解析することができます。 たとえば、2015 年の世界の境界と 2017 年の境界ファイルで解析できます。 まれに、コンテンツを修正するために、My Esri で提供されるサービス定義ファイルが更新されることもあります。 この場合には、更新されたファイルをダウンロードし、updateboundarylayers ツールを使用して公開できます。 これにより、ポータルで既存のホスト フィーチャ レイヤーが上書きされます。
概要で説明したように、境界レイヤーのサービス定義アイテムがポータルにまだ存在している場合に限り、そのレイヤーを更新できます。
ポータルで境界フィーチャ レイヤーを更新するには、次の手順に従います。
- My Esri から、更新されたサービス定義ファイル (*.sd) を含む圧縮ファイルをダウンロードします。
- ファイルを解凍し、Portal for ArcGIS コンピューター上のフォルダーに配置します。
ポータルにアップロードおよび公開したくないファイルを削除します。 または、アップロードして公開したいファイル サブセットのリストを含むテキスト ファイルを作成します。 テキスト ファイルでは 1 行ごとに 1 つのファイル名を記述します。たとえば、米国と世界の境界をアップロードする場合は、テキスト ファイルに次の行が含まれます。
USA_Boundaries_2015 WOR_Boundaries_2015
- Portal for ArcGIS コンピューターで、コマンド ターミナルを開きます。
- ツールがある場所にディレクトリを変更します。
- updateboundarylayers ツールを実行します。
このツールは <Portal installation directory>/tools/publishboundarylayers にインストールされています。 このツールの構文は、次のとおりです。updateboundarylayers --folder <location of files> [{--files <file names>|--file <name of text file>}] --url <Portal home page URL> --username <portal administrator user name> [--password <portal administrator password>]
ツールの実行時にパスワードを指定しないと、ポータル管理者のパスワードを入力するよう求められます。 このユーザーは、ポータルのデフォルト管理者ロールのメンバーである必要があります。
--files オペレーションを使用する場合は、サービス定義ファイルのカンマ区切りリストを指定します。 --file オプションを使用する場合は、公開する境界ファイルのリストを含むテキスト ファイルの名前を指定します。
この例では、updateboundarylayers ツールがディレクトリ boundaryfiles 以下のファイルをすべて公開し、既存のレイヤーを上書きします。
./updateboundarylayers --folder /usr/data/boundaryfiles --url https://portal.domain.com:7443/arcgis --username portaladmin
この例では、ファイルが上記と同じディレクトリ (boundaryfiles) にありますが、1 つのファイルだけが再公開されます。
./updateboundarylayers --folder /usr/data/boundaryfiles --files WOR_Boundaries --url https://portal.domain.com:7443/arcgis --username portaladmin
この例では、boundaryfiles ディレクトリにテキスト ファイル (boundaryupdatesubset.vi) がすでに作成されています。 ツールはテキスト ファイルからファイル リストを読み取り、境界レイヤーのサブセットを再公開します。
./updateboundarylayers --folder /usr/data/boundaryfiles --file /usr/tmp/boundaryupdatesubset.vi --url https://portal.domain.com:7443/arcgis --username portaladmin
公開が完了すると、既存のホスト フィーチャ レイヤーに、更新されたデータまたはメタデータが含まれるようになります。
境界レイヤーの削除
ある境界レイヤーがポータルに必要ないと判断した場合は、その境界レイヤーを削除できます。 ポータル Web サイトでレイヤーを検索してそこで削除するか、または deleteboundarylayers ツールを実行することができます。 複数の境界レイヤーを削除する場合は、deleteboundarylayers ツールを使用します。
deleteboundarylayers ツールは、削除の防止が有効なレイヤーを削除しません。
注意:
マップ、アプリ、またはシーンで現在使用されている境界レイヤーを削除すると、そのレイヤーがマップ、アプリ、またはシーンに表示されなくなります。 再公開では新しい ID を持つ新しいアイテムがポータルに作成されるため、再公開してもマップ、アプリ、またはシーンのレイヤーは置き換えられません。
--files オペレーションを使用して、削除するレイヤーのカンマ区切りリストを指定するか、--file オペレーションを使用して、削除するレイヤーのリストを含むテキスト ファイルを指定することができます。
レイヤーのカンマ区切りリストを指定する場合の構文は、次のとおりです。deleteboundarylayers {--files <layer_name_list> | --file <location_of_text_file>} --url <portalURL> --username <portal_admin> [--password password]
たとえば、portaladmin という名前のポータル管理者として USA_Boundaries_2015 レイヤーと WOR_Boundaries_2015 レイヤーをポータル https://portal.domain.com:7443/arcgis から削除するには、次のように入力します。
./deleteboundarylayers --files USA_Boundaries_2015,WOR_Boundaries_2015 --url https://portal.domain.com:7443/arcgis --username portaladmin
削除するレイヤーのリストを含むテキスト ファイルを指定する場合の構文は、次のとおりです。deleteboundarylayers --file <location_of_text_file> --url <portalURL> --username <portal_admin> [--password password]
たとえば、ファイルを使用して上記と同じレイヤーを削除するには、1 行ごとに 1 つのレイヤー名を記述したテキスト ファイルを作成し (以下を参照)、ツールの実行時にそのテキスト ファイルの場所と名前を指定します。
USA_Boundaries_2015 WOR_Boundaries_2015
次の例では、boundarylist ファイルが /usr/data/boundaries にあります。 このファイルには、ポータル https://webadaptorhost.domain.com/webadaptorname から削除するレイヤーのリストが含まれています。
./deleteboundarylayers --file /usr/data/boundaries/boundarylist --url https://portal.domain.com:7443/arcgis --username portaladmin