ArcGIS Enterprise 組織に障害が発生した場合は、WebGISDR (Web GIS Disaster Recovery) ツールと、過去にエクスポートしたバックアップ ファイルを使用して復元できます。 ArcGIS Enterprise を復元する際には、次の点に注意する必要があります。
- 最後にエクスポートされた後で作成されたアイテムやサービスはすべて失われます。
- マップおよびタイル サービス キャッシュ、Web サービスの参照されているデータ ソース、ビッグ データ ストアのバックアップ ファイル、グラフ ストアのバックアップ ファイルは、WebGISDR ツールを使用して作成したバックアップに含まれないため、別途復元する必要があります。
- 復元先の ArcGIS Enterprise 組織は、バックアップを作成した時点のバージョンにする必要があります。 さらに、同じ種類のオペレーティング システムに復元する必要があります。 たとえば、Linux 上の組織のバックアップを作成して、それを Microsoft Windows コンピューターに復元することはできません。
- 可用性の高い ArcGIS Enterprise 組織を復元する場合、WebGISDR ツールを使用すると、すべてのコンポーネントの高可用性設定が維持されます。
- ArcGIS Enterprise 組織の増分バックアップを作成した場合は、最後の増分バックアップと、その増分バックアップの前に最後に作成された完全バックアップが、組織の復元に必要です。
- WebGISDR ツールを実行するドメイン アカウントには、少なくとも BACKUP_LOCATION への読み取りアクセス権と SHARED_LOCATION への書き込みアクセス権が付与されている必要があります。
- ArcGIS Server、Portal for ArcGIS、および ArcGIS Data Store を実行するドメイン アカウントには、SHARED_LOCATION への読み取りアクセス権が付与されている必要があります。
復元する前に、「組織の復元に関するベスト プラクティス」を確認することをお勧めします。
組織の復元
バックアップ ファイルの作成元コンピューターと同じコンピューターに ArcGIS Enterprise 組織を復元するには、以下の手順に従います。
注意:
同じ ArcGIS Web Adaptor またはロード バランサー URL を使用するスタンバイ ArcGIS Enterprise のコンピューター、およびプライマリ配置と同じサービス URL を持つ ArcGIS Server サイトに、組織を復元することもできます。
- ArcGIS Enterprise エクスポート用に作成したプロパティ ファイルを変更する必要がある場合は、インポート操作用にファイルのコピーを作成し、目的のプロパティを更新します。 設定を変更する必要がない場合は、エクスポート操作用に作成したプロパティ ファイルを次の手順で参照できます。
別のポータル管理者の認証情報を入力したり、バックアップ ファイルの場所を変更したり、バックアップ ファイルを指定したりすることもできます。 デフォルトでは、WebGISDR ツールは最新のバックアップ ファイルを復元します。 最新のバックアップよりも前のファイルを復元するには、プロパティ ファイル内の BACKUP_LOCATION パスを更新する必要があります。
たとえば、/usr/bus からバックアップ ファイル Sep-08-2015_17-10-44.webgissite を復元する場合は、BACKUP_LOCATION = /usr/bus/Sep-08-2015_17-10-44.webgissite に設定します。
WebGISDR ツールのプロパティ ファイルの例については、以下の「プロパティ ファイルの例」セクションをご参照ください。
- Portal for ArcGIS コンピューター上でコマンド シェルを開き、WebGISDR ツールがある場所にディレクトリを変更し、インポート オプションを指定したツールを実行します。 詳細については、「ランタイムの引数」をご参照ください。
WebGISDR ツールのデフォルトの場所は、<Portal for ArcGIS installation directory>/tools/webgisdr です。
次の例では、プロパティ ファイル (toimport.properties) は、ユーザーが作成したディレクトリ /home/ags/arcgis/portal/propfiles に保存されました。
webgisdr --import --file /home/ags/arcgis/portal/propfiles/toimport.properties
なお、プロパティ ファイルは、作成時に保存したディレクトリと同じディレクトリにある必要はありません。 プロパティ ファイルを移動した場合は、--file パラメーターを使用して新しいディレクトリの場所を指定します。
- 組織にマップ サービスまたはホスト タイル レイヤーのキャッシュが含まれている場合、作成したバックアップ コピーを手動で移動し、元の arcgiscache ディレクトリにファイルを配置します。
- 組織にビッグ データ ストアかグラフ ストアが含まれている場合は、ArcGIS Data Store の restoredatastore ツールを使用してバックアップを復元します。
- ファイル ベースのデータを ArcGIS Enterprise コンポーネントのいずれかと同じコンピューターに格納している状況で、そのコンピューターが故障した場合は、バックアップ コピーを新しいコンピューター上の同じパスに復元します。
たとえば、ジオデータベースとシェープファイルを含むフォルダーを ArcGIS GIS Server サイトのコンピューターのいずれかに格納している状況で、そのコンピューターが故障した場合は、そのフォルダーのバックアップ コピーを新しいコンピューター上の同じディレクトリ パスに配置します。 これは、ファイルの場所を ArcGIS Server サイトに登録したために必要になります。 データの場所を変更すると、これらのサービスでデータが見つからなくなります。
- 組織に ArcGIS Mission Server または ArcGIS Notebook Server サイトが含まれている場合、ArcGIS Mission Server ドキュメントと ArcGIS Notebook Server ドキュメントの手順に従って、サイトを復元します。
- 組織に ArcGIS GeoEvent Server が含まれている場合、フェデレーション サイトに構成をインポートします。
プロパティ ファイルの例
ArcGIS Enterprise 組織を復元する際に使用される、次の WebGISDR ツールのプロパティ ファイルの例を確認します。
こちらの例では、WebGISDR ツールが URL https://portalhostname.domain.com:7443/arcgis のポータルに接続し、/net/backupserver/drbackups に保存されている最新のバックアップを復元します。 WebGISDR ツールがコンポーネントのバックアップを /net/backupserver/tempbackups に抽出し、対応するバックアップを使用して ArcGIS Data Store、すべてのフェデレーション サーバー、ホスティング サーバー、ポータルを復元します。 少なくとも、SHARED_LOCATION プロパティで指定したパスへの読み取りアクセス権がすべてのコンポーネントにあることを確認してください。
PORTAL_ADMIN_URL = https://portalhostname.domain.com:7443/arcgis PORTAL_ADMIN_USERNAME = admin PORTAL_ADMIN_PASSWORD = Th3.Ad.Pass PORTAL_ADMIN_PASSWORD_ENCRYPTED = false BACKUP_RESTORE_MODE = backup SHARED_LOCATION = /net/backupserver/tempbackups INCLUDE_SCENE_TILE_CACHES = false BACKUP_STORE_PROVIDER = FileSystem BACKUP_LOCATION = /net/backupserver/drbackups
こちらの例では、WebGISDR ツールが URL https://portalonaws.mydomain.com:7443/arcgiS のポータルに接続し、entbackups バケットの S3_BACKUP_NAME プロパティで指定した fullbackup06June バックアップを復元します。 バックアップは /net/backupserver/tempbackups にダウンロードされ、対応するバックアップを使用して、ArcGIS Data Store、すべてのフェデレーション サーバー、ホスティング サーバー、ポータルの各コンポーネントが順番に復元されます。 WebGISDR ツールは WebGISDR ツールを実行するインスタンスで構成されている IAMRole を使用してバックアップをダウンロードしますが、代わりにアクセス キーを使用するように構成することもできます。 少なくとも、SHARED_LOCATION プロパティで指定したパスへの読み取りアクセス権がすべてのコンポーネントにあることを確認してください。 ポータル コンテンツは contentbackups バケットから復元されます。 バックアップ バケットがターゲット ポータルとは異なるリージョンにある場合は、VPC エンドポイントが構成されていないことを確認してください。構成されている場合、ポータルでアウトバウンド リクエストを実行してコンテンツを復元できなくなります。
PORTAL_ADMIN_URL = https://portalonaws.mydomain.com:7443/arcgis PORTAL_ADMIN_USERNAME = entadmin PORTAL_ADMIN_PASSWORD = p0rtl.a.p PORTAL_ADMIN_PASSWORD_ENCRYPTED = false BACKUP_RESTORE_MODE = backup SHARED_LOCATION = /net/backupserver/tempbackups INCLUDE_SCENE_TILE_CACHES = true BACKUP_STORE_PROVIDER = AmazonS3 S3_BUCKET = entbackups S3_CREDENTIAL_TYPE = IAMRole S3_REGION = eu-west-1 S3_BACKUP_NAME = fullbackup06June PORTAL_BACKUP_S3_BUCKET = contentbackups PORTAL_BACKUP_S3_REGION =eu-west-1