データ破損やデータ ストア障害などの問題が発生した場合にデータを復元できるように、バックアップを作成しておく必要があります。 ArcGIS Data Store を通じて実装されたデータ ストアのバックアップを作成して、バックアップ ファイルを安全な場所に配置しておくと、データ ストアが強制終了した場合やデータ ストアが再起動できなくなった場合に、新しい ArcGIS Data Store を設定し、バックアップ ファイルにアクセスして、データを復元することができます。
「ArcGIS Data Store のバックアップの考慮事項」を参照してから、残りのセクションの情報を使用して ArcGIS Data Store のバックアップを構成および管理します。
- リレーショナル データ ストアの場合は、デフォルトのバックアップの保存場所を変更します。プライマリ/スタンバイ モードで動作するタイル キャッシュ データ ストアの場合は、初期のデフォルトの場所を変更します。その他すべてのデータ ストア タイプの場合は、デフォルトのバックアップ場所を定義します。
- 自動バックアップを構成します。
- 必要に応じてバックアップを手動で作成します。
ArcGIS Data Store のバックアップの考慮事項
ArcGIS Data Store のバックアップと復旧戦略を実装する際には、次の点に留意してください。
- バックアップを作成しておくと、サーバーが故障したり、サーバーが水浸しになって壊れたりした場合など、緊急事態が生じた場合にデータを復旧させることができます。 ただし、水浸しになって壊れたサーバー上にバックアップが格納されている場合は、データを復旧させることができません。 そのため、データ ストアとは別のサーバー上、可能な場合は、データ ストアとは別の物理的な場所にバックアップ ファイルを格納しておく必要があります。
- ArcGIS Data Store のバックアップ ファイルには、リレーショナル データ ストア、グラフ ストア、オブジェクト ストア、タイル キャッシュ データ ストア、または時空間ビッグ データ ストアのみが含まれています。 バックアップ ファイルでは、GIS Server サイト、ArcGIS Enterprise ポータル、または GIS Server サイトに登録したユーザー管理データ ストアのバックアップは保持されません。 それらのコンポーネントのバックアップは、個別に作成する必要があります。
リレーショナル データ ストアまたはタイル キャッシュ データ ストア (あるいはその両方) を使用する場合、webgisdr とともにインストールされた Portal for ArcGIS ツールを使用してバックアップを作成できます。 webgisdr ツールを使用した場合、ポータル、ホスティング サーバー、フェデレーション サーバーのバックアップも作成されます。 このツールの使用方法については、「ArcGIS Enterprise のバックアップ」をご参照ください。 GIS Server サイトに登録したユーザー管理データ ストア、時空間ビッグ データ ストア、オブジェクト ストア、グラフ ストアのバックアップは、個別に作成する必要があります。
- ArcGIS Data Store バックアップは、ArcGIS Data Store コンピューターが故障した場合やデータが破損した場合に、失われたデータの復旧に役立ちます。 高可用性は実現しません。 1 台の ArcGIS Data Store コンピューターが故障した場合でも、ホスト フィーチャ レイヤー、ホスト時空間レイヤー、ホスト ビデオ サービス レイヤー、ホスト シーン レイヤー、ホスト ナレッジ グラフを利用可能にする必要がある場合は、各データ ストア タイプにコンピューターを追加して高可用性にします。 タイル キャッシュ (クラスター) データ ストア、時空間ビッグ データ ストア、およびオブジェクト ストアに複数のコンピューターを追加できます。
- 元の格納メカニズムや ArcGIS ソフトウェアでの変更のため、古いバージョンの ArcGIS Data Store で作成したデータ ストアのバックアップを使用して、データを新しいバージョンの ArcGIS Data Store に復元することはできません。 そのため、ArcGIS Data Store をアップグレードした後は、各データ ストアの完全バックアップを必ず作成してください。 この唯一の例外はリレーショナル データ ストアであり、前のリリースのバックアップ ファイルを使用できる場合があります。 データ ストアの復元に使用できるバックアップ ファイルを確認するには、listbackups ユーティリティを実行します。
- ArcGIS Enterprise がオンプレミスに配置されているにもかかわらず、データ ストア バックアップ ファイルがクラウド ストレージにある場合、バックアップ ファイルがローカル ファイル共有に格納されている場合に比べて、バックアップの作成と復元には時間がかかります。
- グラフ ストア、オブジェクト ストア、タイル キャッシュ データ ストア、時空間ビッグ データ ストアのバックアップ ファイルに対する自動クリーンナップは存在しません。 backupdatastore ユーティリティを使用して作成したバックアップの自動クリーンナップは存在しません。
- オブジェクト ストアのバックアップを作成する場合、フィーチャ レイヤーのクエリ キャッシュは含まれません。
ArcGIS Data Store のバックアップの保存場所と振舞い
ArcGIS Data Store のすべてのタイプには、デフォルトのバックアップ場所が必要です。 ArcGIS Data Store によって自動的に作成されるバックアップは、常にデフォルトのバックアップ場所に保存されます。
追加のバックアップを定義できます。これは、backupdatastore ユーティリティを実行して完全バックアップを作成する際に出力として指定できます。 このタイプのバックアップは、手動バックアップとも呼ばれます。 backupdatastore ユーティリティを実行するときに場所を指定しない場合、デフォルトのバックアップ場所が使用されます。
次の表は、バックアップの場所の違いをデータ ストアのタイプごとにまとめたものです。 管理するデータ ストアのタイプに関連する情報をご参照ください。
データ ストア | デフォルトのバックアップ場所 | 手動バックアップの場所 |
---|---|---|
グラフ ストア | グラフ ストアのバックアップを作成する前に、デフォルトのバックアップ場所を登録する必要があります。 | グラフ ストア用に追加のファイル共有のバックアップ場所を登録できます。 |
オブジェクト ストア | オブジェクト ストアのバックアップを作成する前に、デフォルトのバックアップ場所を登録する必要があります。 | オブジェクト ストア用に追加のファイル共有のバックアップ場所を登録できます。 |
リレーショナル データ ストア | デフォルトのバックアップは、ユーザーが変更するまで ArcGIS Data Store コンテンツ ディレクトリ内のサブフォルダーに書き込まれます。 デフォルトのバックアップ場所を変更して、別のコンピューター上のファイル共有にします。 | その他のファイル共有、Amazon Simple Storage Service (S3) バケット、Microsoft Azure Blob ストレージ コンテナーなど、リレーショナル データ ストアには、追加のバックアップ場所を登録できます。 |
クラスター モードのタイル キャッシュ データ ストア | クラスター モードで動作するタイル キャッシュ データ ストアのバックアップを作成する前に、デフォルトのバックアップ場所を登録する必要があります。 デフォルトのバックアップ場所には、ファイル共有の場所、Amazon S3 バケット、Microsoft Azure Blob ストレージ コンテナーを使用できます。 | その他のファイル共有、Amazon S3 バケット、Microsoft Azure Blob ストレージ コンテナーなど、タイル キャッシュ データ ストアには、追加のバックアップ場所を登録できます。 |
プライマリ/スタンバイ モードのタイル キャッシュ データ ストア | デフォルトのバックアップは、ユーザーが変更するまで ArcGIS Data Store コンテンツ ディレクトリ内のサブフォルダーに書き込まれます。 初期のデフォルトのバックアップ場所を変更して、別のコンピューター上にあるファイル共有または Amazon S3 バケットまたは Microsoft Azure Blob ストレージ コンテナーにします。 | その他のファイル共有、Amazon S3 バケット、Microsoft Azure Blob ストレージ コンテナーなど、タイル キャッシュ データ ストアには、追加のバックアップ場所を登録できます。 |
ビッグ データ ストア | 時空間ビッグ データ ストアのバックアップ ファイルを作成する前に、デフォルトのバックアップ場所を登録する必要があります。 デフォルトのバックアップ場所には、ファイル共有の場所、Amazon S3 バケット、Microsoft Azure Blob ストレージ コンテナーを使用できます。 | その他のファイル共有、Amazon S3 バケット、Microsoft Azure Blob ストレージ コンテナーなど、時空間ビッグ データ ストアには、追加のバックアップ場所を登録できます。 |
リレーショナル データ ストアのデフォルトのバックアップ場所の変更
リレーショナル データ ストアの作成時には、データ ストアと同じコンピューター上にバックアップの保存場所が自動的に構成されます。 デフォルトでは、ArcGIS Data Store はリレーショナル データ ストアのバックアップを c:\arcgisdatastore\backup\relational に作成します。 これがデフォルトのバックアップ場所です。
ただし、バックアップをデータ ストアと同じコンピューター上に保持することはお勧めしません。 プライマリ データ ストア コンピューターで障害が発生すると、バックアップ ファイルにアクセスできなくなるので、ホスト レイヤーのデータを復元できません。 バックアップ ファイルとデータ ストアを同じコンピューター上に残しておいてはならないもう 1 つの理由は、バックアップ ファイルによってコンピューター上のディスク容量が急速に満杯になる可能性があることです。 ディスク容量が不足した場合、データの破損を防ぐために、データ ストアは読み取り専用モードになり、新しいホスト レイヤーは公開できません。
そのため、リレーショナル データ ストアのバックアップを格納する別の安全な場所を定義します。 このためには、change ユーティリティで configurebackuplocation 操作を使用します。
リレーショナル データ ストアの場合、別のコンピューター上の共有ファイル ディレクトリを指定して、デフォルトのバックアップ場所に使用することができます。
注意:
- データ ストアのバックアップに含まれるすべてのファイルを十分に保持できる格納領域があることを確認します。
- デフォルトのバックアップ場所が一杯になる速度は、バックアップ スケジュールおよびバックアップを維持する日数によって変わります。 バックアップ ディレクトリのサイズを監視し、必要に応じてこれらの設定およびストレージ サイズを調整してください。
- 同じデータ ストア内のすべてのコンピューターが、デフォルトのバックアップ場所にアクセスできる必要があります。 たとえば、リレーショナル データ ストアのファイル共有のバックアップ場所を登録するとき、リレーショナル データ ストア内のプライマリおよびスタンバイ コンピューターは、そのファイル共有場所への書き込みアクセス権を持つ必要があります。 つまり、ArcGIS Data Store サービスを実行するためにドメイン アカウントを使用する必要があります。
インストール時に ArcGIS Data Store アカウントにローカル Windows アカウントを使用した場合、ドメイン管理者にドメイン アカウントを要求します。 このアカウントでは、ArcGIS Data Store サービスの実行、バックアップ ファイルが保存されるネットワーク ディレクトリからのファイルの読み取り、このネットワーク ディレクトリへのファイルの書き込みが可能でなければなりません。 configureserviceaccount ユーティリティを実行して、ドメイン アカウントを ArcGIS Data Store アカウントとして設定します。
リレーショナル データ ストアのデフォルトのバックアップ場所を変更するには、次の手順に従います。
- バックアップ ファイルを保存するための別のコンピューター上の共有ディレクトリを作成します。
- ArcGIS Data Store をインストールまたはアップグレードしたときにドメインの ArcGIS Data Store アカウントを指定しなかった場合は、ここでデータ ストア サービスがドメイン アカウントを使用して実行されるように設定し、そのアカウントに共有ネットワーク ディレクトリへの読み取りと書き込みのアクセス権を付与します。
- configurebackuplocation ユーティリティを change オプションで実行して、共有ディレクトリをリレーショナル データ ストアのバックアップのデフォルトの出力場所として指定します。
ユーザーがホスト フィーチャ レイヤーを公開し、自動バックアップがすでに実行された後に、リレーショナル データ ストアに対してこのユーティリティを実行し、共有ディレクトリを使用する場合、configurebackuplocation ユーティリティは、既存のリレーショナル データ ストアのバックアップ ファイルをデフォルトのバックアップの場所から共有ディレクトリに移動します。
この例では、リレーショナル データ ストアのバックアップの保存場所が、sysshare というコンピューターの ds_backups という共有ディレクトリに変更されます。 バックアップ場所の名前は reldefbu です。
configurebackuplocation --operation change --store relational --location "type=fs;location=\\sysshare\ds_backups;name=reldefbu" You are going to change the backup location of the data store. Existing backups will be copied to the new location and it could take a few moments. Please do not interrupt the process once it has started. Do you want to continue (Yes or No)? Yes
完全な構文とその他の例については、「ArcGIS Data Store コマンド ユーティリティ リファレンス」をご参照ください。
タイル キャッシュ データ ストアのデフォルトのバックアップ場所の変更 (プライマリ/スタンバイ モード)
プライマリ/スタンバイ モードで配置されるタイル キャッシュ データ ストアの作成時には、バックアップ場所はデータ ストアと同じコンピューター上に自動的に構成されます。 デフォルトの場所は、c:\arcgisdatastore\backup\tilecache です。 リレーショナル データ ストアと同様に、デフォルトのバックアップ場所をリモートの場所に変更する必要があります。 ただし、リレーショナル データ ストアとは異なり、プライマリ/スタンバイ モードで動作するタイル キャッシュ データ ストアの新しいデフォルトのバックアップ場所を設定するには、register および setdefault 操作を使用します。
プライマリ/スタンバイ モードで動作するタイル キャッシュ データ ストアのデフォルトのバックアップ場所を変更するには、次の手順に従います。
- データ ストアの自動バックアップ ファイルを格納するために、次のいずれかを作成します。
- 別のコンピューター上の共有ディレクトリ
- Amazon S3 アカウントの Amazon Web Services バケット
- Microsoft Azure Blob ストレージ アカウントの Azure Blob ストレージ コンテナー
- ArcGIS Data Store をインストールまたはアップグレードしたときにドメインの ArcGIS Data Store アカウントを指定しなかった場合は、ここでデータ ストア サービスがドメイン アカウントを使用して実行されるように設定し、前の手順で構成した場所への読み取りと書き込みのアクセス権をそのアカウントに付与します。
- configurebackuplocation ユーティリティで register 操作を実行して、タイル キャッシュ データ ストアの共有ディレクトリまたはクラウド ストレージの場所を追加します。
この例では、scenebackups という Azure Blob ストレージ コンテナー内のバックアップ場所がタイル キャッシュ データ ストアに追加されます。 バックアップ場所の名前は tc_defaultbu です。 コンテナーにアクセスするための認証情報が指定されています。
configurebackuplocation --operation register --store tileCache --location "type=azure;location=scenebackups;name=tc_defaultbu;username=myazureaccountlogin;password=zpw4myazureaccount"
- 次に、新しく登録したバックアップ場所を、タイル キャッシュ データ ストアのデフォルトのバックアップ場所として指定します。
注意:
このユーティリティは、以前のデフォルトのバックアップ場所に存在する、タイル キャッシュ データ ストアの既存の自動バックアップは移動しません。
次の例では、前の手順で登録したバックアップ場所 (tc_defaultbu) がデフォルトのバックアップ場所として設定されます。
configurebackuplocation --operation setdefault --store tileCache --location "name=tc_defaultbu"
ヒント:
新しい場所がデフォルトの場所になったことを確認するには、configurebackuplocation ユーティリティで list 操作を実行します。
完全な構文とその他の例については、「ArcGIS Data Store コマンド ユーティリティ リファレンス」をご参照ください。
初期のデフォルトのバックアップ場所の登録
グラフ ストア、オブジェクト ストア、タイル キャッシュ データ ストア (クラスター モード)、時空間ビッグ データ ストアの作成時には、デフォルトのバックアップ場所はありません。 これらのタイプのデータ ストアのバックアップを作成する前に、バックアップの場所を少なくとも 1 つ登録する必要があります。
ArcGIS Data Store がスケジュールされた (自動) バックアップによってファイルを配置できる、セキュアな共有されたデフォルトのバックアップ場所を登録します。
デフォルトのバックアップ場所として、ファイル共有、Amazon S3 バケット、Microsoft Azure Blob ストレージ コンテナーを登録できます。
注意:
- データ ストアのバックアップに含まれるすべてのファイルを十分に保持できる格納領域があることを確認します。 タイル キャッシュ データ ストアおよびグラフ ストアは非常に大きくなる可能性があり、時空間ビッグ データ ストアはさらに大きくなる傾向があります。
- デフォルトのバックアップ場所が一杯になる速度は、バックアップ スケジュールおよびデフォルトのバックアップ場所に書き込む手動バックアップの数によって変わります。 バックアップ ディレクトリのサイズを監視し、必要に応じてそのスケジュールおよびストレージ サイズを調整してください。
- 同じデータ ストア内のすべてのコンピューターが、デフォルトのバックアップ場所にアクセスできる必要があります。 たとえば、時空間ビッグ データ ストアのファイル共有のバックアップ場所を登録するとき、時空間ビッグ データ ストア内のすべてのコンピューターは、そのファイル共有場所への書き込みアクセス権を持つ必要があります。
タイル キャッシュ データ ストア (クラスター モード)、時空間ビッグ データ ストア、オブジェクト ストア、グラフ ストアのために、データ ストアのバックアップ ファイル用のデフォルトの場所を構成するには、次の手順に従います。
- データ ストアのバックアップ ファイルを格納するために、次のいずれかを作成します。
- 別のコンピューター上の共有ディレクトリ
- Amazon S3 アカウントの Amazon Web Services バケット
- Microsoft Azure Blob ストレージ アカウントの Azure Blob ストレージ コンテナー
- ArcGIS Data Store をインストールまたはアップグレードしたときにドメインの ArcGIS Data Store アカウントを指定しなかった場合は、ここでデータ ストア サービスがドメイン アカウントを使用して実行されるように設定し、前の手順で構成した場所への読み取りと書き込みのアクセス権をそのアカウントに付与します。
- configurebackuplocation ユーティリティを register オプションで実行して、データ ストアのバックアップのデフォルトの出力場所を指定します。
各タイプのデータ ストアの例については、これらの手順を実行するセクションをご参照ください。
完全な構文とその他の例については、「ArcGIS Data Store ユーティリティ リファレンス」をご参照ください。
ヒント:
バックアップ ディレクトリが数分間以上オフラインになった場合は、バックアップの場所が利用可能になったら直ちに完全バックアップを手動で実行します。
グラフ ストアの例
この例では、グラフ ストア用のデフォルトのバックアップ場所が登録されます。 この場所は、sysshare 上の graphbu という名前のファイル共有ディレクトリです。 バックアップ場所の名前は graph_defaultbu です。
configurebackuplocation --operation register --store graph
--location "type=fs;location=\\sysshare\graphbu;name=graph_defaultbu"
オブジェクト ストアの例
この例では、オブジェクト ストア用のデフォルトのバックアップ場所が登録されます。 この場所は、netshare 上の videobu という名前のファイル共有ディレクトリです。 バックアップ場所の名前は object_defaultbu です。
configurebackuplocation --operation register --store object
--location "type=fs;location=\\netshare\videobu;name=object_defaultbu"
時空間ビッグ データ ストアの例
この例では、時空間ビッグ データ ストア用のバックアップの場所が登録されます。 場所は、dsbackups というAzure Blob ストレージの場所です。 バックアップ場所の名前は sbds_defaultbu です。 Blob ストレージの場所にアクセスするための認証情報が指定されています。
configurebackuplocation --operation register --store spatiotemporal
--location "type=azure;location=dsbackups;name=sbds_defaultbu;username=azureaccountlogin;password=zpw4azureaccount"
タイル キャッシュ データ ストア (クラスター モード) の例
この例では、クラスター モードで配置されているタイル キャッシュ データ ストア用に、デフォルトのバックアップ場所が登録されます。 場所は、scene というサブフォルダーがある S3 バケットです。 このバケットは、米国東部 (オハイオ) AWS リージョンに存在します。 バックアップ場所の名前は tc_defaultbu です。 バケットにアクセスするための認証情報が指定されています。
configurebackuplocation --operation register --store tileCache
--location "type=s3;location=backups/scene;name=tc_defaultbu;region=us-east-2;username=abc12345;password=dearliz@a0"
追加のバックアップ場所の登録
追加のバックアップ場所を登録できます。 backupdatastore ユーティリティを実行してバックアップを手動で作成するとき、これら定義済みの場所の 1 つを指定できます。
バックアップ ファイル用に別の場所を追加するには、次の手順に従います。
- バックアップ ファイル用に別の場所を作成します。
- 共有ディレクトリ (ファイル共有) を登録するには、別のコンピューター上にそのディレクトリを作成します。 格納領域が、すべてのバックアップ ファイルを十分に保持できることを確認します。 また、ArcGIS Data Store コンピューターに接続して backupdatastore ユーティリティを実行するときに使用するログイン ユーザーが、このディレクトリへの書き込みアクセス権を持っていることも確認します。 タイル キャッシュ データ ストア (クラスター) または時空間ビッグ データ ストア用に追加の共有ディレクトリを作成する場合、同じ ArcGIS Data Store 配置内のすべてのコンピューターがこの共有ディレクトリへのアクセス権を持つようにします。 リレーショナル データ ストアまたはタイル キャッシュ データ ストア (プライマリ/スタンバイ) のバックアップ用に追加の共有ディレクトリを作成する場合は、スタンバイ コンピューターがこの共有ディレクトリへのアクセス権を持つようにします。
- S3 バケットを登録するには、Amazon Web Services アカウントにバケットを作成します。 バックアップ ファイルに対応できるバケット サイズを選択します。
- Azure Blob ストレージ コンテナーを登録するには、Azure Blob ストレージ アカウントにコンテナーを作成します。
- configurebackuplocation ユーティリティで register 操作を実行して、この追加のバックアップ場所を登録します。
この例では、リレーショナル データ ストアの手動バックアップを格納するために、2 つ目のファイル共有場所が登録されます。 バックアップ場所の名前は rbu_manual です。
configurebackuplocation --operation register --store relational --location "type=fs;location=\\sysshare2\ds_manual_backups;name=rbu_manual"
この例では、タイル キャッシュ データ ストアの手動バックアップを格納するために、Azure Blob ストレージ コンテナーが登録されます。 バックアップ場所の名前は tcbu_manual です。
configurebackuplocation --operation register --store tileCache --location "type=azure;location=bucontainer;name=tcbu_manual;username=myazureaccountlogin;password=zpw4myazureaccount"
タイル キャッシュ (クラスター) データ ストア、グラフ ストア、オブジェクト ストア、時空間ビッグ データ ストア用の追加のバックアップ場所を登録する手順と例は、初期のバックアップ場所を登録する場合と同じです。
バックアップ場所の 1 つをデフォルトの場所として指定
グラフ ストア、オブジェクト ストア、タイル キャッシュ データ ストア、時空間ビッグ データ ストア用に複数のバックアップ場所を定義した場合、そのいずれかをデフォルトのバックアップ場所として指定できます。 指定後は、ArcGIS Data Store によって作成されるバックアップ (自動バックアップ) は、バックアップ ファイルをその場所に書き込みます。
ヒント:
リレーショナル データ ストアのデフォルトの場所を変更するには、change 操作を使用します。
configurebackuplocation ユーティリティで setdefault 操作を実行して、登録済みのバックアップ場所を指定します。 バックアップ場所の登録時に名前を付けた場合、その名前を使用して場所を指定できます。
グラフ ストアの例
次の例では、グラフ ストアに複数のファイル共有のバックアップ場所があります。 setdefault 操作を使用して、その 1 つを新しいデフォルトのバックアップ場所として指定します。
configurebackuplocation --operation setdefault --store graph --location "location=\\sysshare2\gsbackups24"
オブジェクト ストアの例
次の例では、オブジェクト ストアで構成されたバックアップ場所の 1 つ (s3_backups) がデフォルトのバックアップ場所として設定されます。
configurebackuplocation --operation setdefault --store object --location "name=s3_backups"
時空間ビッグ データ ストアの例
次の例では、時空間ビッグ データ ストアの追加のバックアップ場所の 1 つ (名前は bu_container) が新しいデフォルトのバックアップ場所として指定されます。
configurebackuplocation --operation setdefault --store spatiotemporal --location "name=bu_container"
タイル キャッシュ データ ストアの例
次の例では、アジア太平洋 (シンガポール) リージョンの S3 バケットにある、タイル キャッシュ データ ストアの追加のバックアップ場所の 1 つが、新しいデフォルトのバックアップ場所として指定されます。
configurebackuplocation --operation setdefault --store tileCache --location "type=s3;location=bu_bucket;
username=hijklmn1234567;password=z9y8x7w6v5u4t3s2r1q0;region=ap-northeast-1"
すべてのバックアップ場所の判定
データ ストアのタイプが複数あり、それぞれに複数の場所がある場合、すべてのデータ ストアのバックアップ場所を記録しておくのは大変になる可能性があります。 あるいは、ArcGIS Data Store 管理者の仕事を他のユーザーから引き継ぐ場合もあります。 これらの場合、configurebackuplocation ユーティリティで list 操作を実行して、ArcGIS Data Store をクエリし、特定のデータ ストア タイプのすべてのバックアップ場所のリストを取得することができます。
次の例では、ArcGIS Data Store 配置内にある時空間ビッグ データ ストア用に登録されたすべてのバックアップ場所が返されます。 他のデータ ストア タイプのリストを取得するには、--store オプションで relational、tileCache、graph、object を使用して、そのタイプを指定します。
configurebackuplocation --operation list --store spatiotemporal
自動バックアップの管理
デフォルトでは、ArcGIS Data Store は、4 日ごとにリレーショナル データ ストアの完全バックアップを作成しますが、ArcGIS Data Store がリレーショナル データ ストアの完全バックアップを作成する頻度は、updatebackupschedule ユーティリティを実行することによって変更できます。 その他すべてのデータ ストア タイプについては、バックアップ スケジュールは updatebackupschedule ユーティリティを使用を設定するまで存在しません。
バックアップ間隔の変更
組織のメンバーが多数のホスト レイヤーを公開および編集する場合や、大容量のストリーミング データをアーカイブする場合は、バックアップの頻度を増やします。
注意:
デフォルトでは、リレーショナル データ ストアに対する増分バックアップは無効になっています。 特定時点への復元を有効化した場合、ログ ファイルがいっぱいになるか、または 5 分経過するかのいずれかが先に発生したときに、増分バックアップが作成されます。 データベースが増分バックアップの作成を制御します。増分バックアップが作成される頻度をユーザーが制御することはできません。
バックアップの保存場所には、すべてのバックアップ ファイルを格納できる十分なサイズが必要です。 バックアップのサイズは使用しているデータの量によって変わりますが、デフォルトのバックアップ設定を採用している場合は、バックアップ ディレクトリに 2 つの完全バックアップが格納されます。 これらのファイルのサイズは、データの量とサイズによって異なります。 リレーショナル データ ストアに対する特定時点への復元を再び有効化した場合、バックアップには、デフォルトで 7 日分の増分バックアップ ファイルも含まれます。
バックアップを手動で作成することにして、自動バックアップを無効にする場合は、バックアップ間隔を 0 に設定します。 自動バックアップを無効にする場合は、ユーザー自身がバックアップを作成して、コンピューターの故障やその他のデータ災害発生時のデータの損失を防ぐ必要があります。
注意:
自動バックアップを無効にすると、リレーショナル データ ストアの特定時点への復元は使用できません。すべてのリレーショナル データ ストアのバックアップは、完全バックアップになります。
updatebackupschedule ユーティリティは <ArcGIS Data Store installation directory>\datastore\tools ディレクトリにインストールされています。
- [管理者として実行] オプションを使用して、コマンド プロンプトを開きます。
- updatebackupschedule ユーティリティを実行して、必要なバックアップ間隔を指定します。
このユーティリティを実行する構文は次のとおりです。
updatebackupschedule [--store relational|tileCache|spatiotemporal|graph|object] [--starttime <local server time>] --frequency <number of days>
たとえば、次のとおりに入力すると、毎日午前 3 時 (ローカル サーバー時間) にリレーショナル データ ストアの完全バックアップを作成するスケジュールが設定されます。
updatebackupschedule --store relational --starttime 03:00:00 --frequency 1
この例では、時空間ビッグ データ ストアのバックアップは、3 日間隔で午後 11 時 30 分 (ローカル サーバー時間) に実行されます。
updatebackupschedule --store spatiotemporal --starttime 23:30:00 --frequency 3
リレーショナル データ ストアの自動バックアップ ファイルの保持期間の変更
デフォルトでは、バックアップ ディレクトリにリレーショナル データ ストアのバックアップ ファイルが 7 日間保持されます。 つまり、デフォルトのバックアップ間隔 (4 日間隔) と保持期間 (7 日間) をそのまま採用すると、バックアップ ディレクトリに 2 つの完全バックアップが格納されます。 特定時点への復元を再び有効化した場合、バックアップ ディレクトリには、7 日分の増分バックアップ ファイルも含まれます。 これらのファイルのサイズは、データの量とサイズによって異なります。 バックアップを格納するコンピューターには、これらのファイルをすべて格納できるだけの十分な空き容量が必要です。 バックアップ頻度を増やす場合には、バックアップ ファイルの保持期間を短くすることを検討してください。 前のセクションでは、バックアップ頻度は毎日まで増やしました。 バックアップ ディレクトリのサイズが大きくなりすぎないようにするには、バックアップ ファイルの保持期間を短くします。
updatebackupretaindays ユーティリティを実行する構文は次のとおりです。
updatebackupretaindays <number of days>
次の例では、バックアップ ファイルの保持期間が 4 日間に変更されます。
updatebackupretaindays 4
バックアップの手動での作成および削除
自動バックアップを使用する場合でも、システムのアップグレード前や、別の場所に 2 つ目の完全バックアップを作成する場合など、特定の目的で通常のバックアップ スケジュール以外にバックアップを作成する必要が生じることがあります。
自動バックアップを無効にする場合は、手動バックアップを定期的に作成することをお勧めします。
リレーショナル データ ストアおよびオブジェクト ストアに対して作成したバックアップ ファイルは、deletebackup ユーティリティを使用して削除できます。
データ ストアのバックアップ作成のためのユーティリティの実行
backupdatastore ユーティリティを使用すると、指定したデータ ストアの完全バックアップを作成できます。 データ ストアに多数の変更を加えたり、データ ストアを更新する前に、完全なバックアップを手動で作成することができます。 また、データの特定の状態のコピー (たとえば、プロジェクトの最初のフェーズの終了時の状態) を保持するバックアップを作成することもできます。
リレーショナル データ ストアに backupdatastore ユーティリティを実行すると、データ ストアの完全バックアップが常に作成されます。
タイル キャッシュ データ ストアに対して backupdatastore ユーティリティを最初に実行すると、既存のすべてのタイル キャッシュ データ ストア データベースのバックアップ コピーが作成されます。 同様に、時空間ビッグ データ ストアに対して backupdatastore ユーティリティを最初に実行すると、完全バックアップが作成されます。 これらの両方のタイプのデータ ストアは非常に大きくなる可能性があるため、backupdatastore ユーティリティを最初に実行した後に実行するたびに、最後にユーティリティを実行してから作成されたデータのみのバックアップ コピーが作成されます。
データ ストア コンピューターに接続して backupdatastore ユーティリティを実行する際に使用するログイン ユーザーに、データ ストアのバックアップ場所の読み取りアクセス権と書き込みアクセス権を付与する必要があります。
backupdatastore ユーティリティを実行する構文は次のとおりです。
backupdatastore [<backup file name>] [--store {relational | tileCache | spatiotemporal | graph | object}] [--location <backup_arguments>] [--prompt {yes | no}]
--location パラメーターの引数を次に示します。それぞれの引数をセミコロン (;) で区切る必要があります。
- type= - 指定できるタイプとして、fs (ファイル共有)、s3 (Amazon Simple Storage Service (S3) バケット)、azure (Microsoft Azure Blob ストレージ コンテナー) があります。
- name= - データ ストア用に構成したバックアップ場所に名前を付けた場合は、backupdatastore ユーティリティの実行時にバックアップ ファイルを作成する場所に対して、この名前を指定できます。
- location= - バックアップ場所の名前を指定しなかった場合は、バックアップの type と location を指定しなければなりません。 ファイル共有の場合はファイル パスを指定します。 S3 バケットの場合はバケット名を指定します。 Azure Blob ストレージ コンテナーについては、コンテナー名を指定します。
データを復元する際にすぐに見つかるように、ファイルにわかりやすいバックアップ名を付けておきます。 名前を指定しない場合、ユーティリティでファイルにデフォルトの名前が割り当てられます。 デフォルトの名前の形式は「データ ストア名-タイムスタンプ」になります。 たとえば、データ ストアの名前が「corpds」の場合に、2014 年 7 月 10 日の 14:25:49:554 UTC にバックアップを作成すると、バックアップ ファイルの名前が「corpds-20140710142549554」になります。
バックアップを作成するかどうかの確認を求められます。 バックアップの作成を開始する場合は、「yes」または「y」と入力します。
ヒント:
手動バックアップのスクリプトを記述する場合は、次の例に示されているように、確認メッセージを抑止するためのフラグを挿入します。
backupdatastore --store tileCache --prompt no
この例では、データ ストアのバックアップ ファイル名が生成されます。 この名前は、バックアップ ファイル名の一意性を確保するためにスクリプトで必要となります。
データ ストアのバックアップの手動削除
backupdatastore ユーティリティで作成したリレーショナル データ ストア、グラフ ストア、オブジェクト ストアのバックアップ ファイルが必要なくなった場合は、configurebackuplocaton オプションを --operation に設定して list ユーティリティを実行して、データ ストアのすべてのバックアップ場所を取得します。 次に、各場所に listbackups ユーティリティを実行して、各場所のバックアップ ファイルの名前を取得します。 削除する必要があるバックアップ ファイルを決定したら、各場所とファイルに deletebackup ユーティリティを実行して、不要なファイルを削除します。 たとえば、データ ストアをアップグレードし、すべてのレイヤーが正常に動作していることを確認したら、アップグレードの前に作成したデータ ストアのバックアップを削除できます。
この例では、リレーショナル データ ストアのバックアップ ファイル preupgrade1104_bu がバックアップ場所 \\systemserver\backups から削除されます。
configurebackuplocation --operation list --store relational Backups locations for relational data store: ===================================================================================== Type Location isDefault ===================================================================================== fs \\ourserver\datastore\backups\rel true fs \\systemserver\backups false listbackups --store relational --location "\\systemserver\backups" Backup_Name Status Backup_Time Mode ==================================================================================== phase1proj_bu BackupComplete 2023-03-08 14:12 manual phase2proj_bu BackupComplete 2023-06-21 11:43 manual preupgrade1104_bu BackupComplete 2022-11-04 09:30 manual deletebackup preupgrade1104_bu --store relational --location "\\systemserver\backups" You are attempting to delete backup 'preupgrade1104_bu'. This operation is irreversible. Do you wish to continue (Yes or No)?yes Operation completed successfully