トラック レイヤー

組織の管理者が組織で位置情報の共有を有効化すると、モバイル ユーザーの位置や過去の履歴に関する情報が含まれているトラック レイヤーが作成されます。 これらのレイヤーのホスト フィーチャ レイヤー ビュー (トラック ビューと呼ばれます) は、マップやアプリで使用することができ、これによりモバイル ユーザーの過去の履歴を他の対象物や情報と関連付けて把握することができます。 トラック レイヤーを使用して ArcGIS で高度な解析を実行することもできます。

注意:

トラック情報の概要が必要で、トラックの単純なフィルタリングと解析を実行する場合は、Track Viewer Web アプリでトラックを表示できます。

位置情報の共有スキーマ

組織で位置情報の共有が有効化されると、モバイル ユーザーの最新位置と過去の位置の完全な履歴トラックを格納する [位置情報の共有] レイヤーが作成されます。この情報は、最新位置とトラックというスキーマが事前に定義されている 2 つのサブレイヤーに格納されます。 Track Viewer Web アプリでトラック ビューを作成すると、これらのトラック レイヤーごとにホスト フィーチャ レイヤー ビューが作成されます。

位置情報の共有フィーチャ レイヤーとホスト フィーチャ レイヤー ビューは、位置情報の共有の有効化に使用された管理者アカウントのコンテンツ内の [位置情報の共有] フォルダーに作成されます。 位置情報の共有フィーチャ レイヤーには [位置情報の共有] という名前が付けられ、ホスト フィーチャ レイヤー ビューには、作成元のトラック ビューと同じ名前が付けられます。 これらのホスト フィーチャ レイヤー ビューを組織のユーザーと共有するには、トラック ビューを作成するときに、そのユーザーをトラック閲覧者として追加します。 詳細については、「トラック ビューの作成」をご参照ください。

注意:

位置情報の共有フィーチャ レイヤーとフィーチャ レイヤー ビューは、一般ユーザーとは共有できません。

トラック フィーチャ レイヤー

トラック フィーチャ レイヤー (およびそれに基づくホスト フィーチャ レイヤー ビュー) は、Field Maps、QuickCapture、Survey123、または Indoors モバイル アプリでモバイル ユーザーが追跡された各位置のレコードを含むポイント レイヤーです。これらのレコードには、トラック ポイントに関する情報が含まれています。この情報として、トラッキングの対象ユーザー、モバイル ユーザーのアクティビティ タイプ、デバイスに関するバッテリー情報、ユーザーのコースと高度 (平均海面からの高度)、位置の精度があります。

ポイントは Field Maps、QuickCapture、Survey123、または Indoors モバイル アプリでのみ挿入され、更新されることも削除されることもありません。 記録されたポイントにフィルター処理は適用されず、モバイル ユーザーのデバイスからの生データが反映されます。 レイヤーは WKID (Well-Known ID) が 4326 の WGS 1984 Web メルカトル (球体補正) [WGS84] 座標系を使用しています。

LKL (最新位置) フィーチャ レイヤー

最新位置フィーチャ レイヤー (およびそれに基づくホスト フィーチャ レイヤー ビュー) は、各ユーザーが最後に報告した位置を表す 1 つのレコードを含むポイント レイヤーです。 トラック フィーチャ レイヤーと同じフィールドおよび情報が含まれ、WGS84 座標系を使用しています。

トラック フィーチャ レイヤーと最新位置フィーチャ レイヤーのフィールドを次の表に示します。

Field	説明
activity	これは、トラックが記録されるときのモバイル ユーザーのアクティビティを表しています。 このフィールドには次の 6 つの値を設定できます。 Unknown (0) Stationary (1) Walking (2) Running (3) Cycling (4) Automotive (5) アクティビティは、iOS では Core Motion、Android では ActivityRecognitionClient によって決定され、ArcGIS Field Maps、ArcGIS QuickCapture、Survey123、ArcGIS Indoors は 2 つのシステム間で共通のアクティビティを優先します。 これらの API はそれぞれ、デバイスの加速度計、ジャイロスコープ、歩数計、磁力計、気圧計などのセンサーを使用します。 値が常に [不明] と表示される場合、デバイスで使用できるセンサーが制限されている可能性があります。
altitude	平均海水面 (MSL) より上のデバイスの高度 (メートル単位で計測)。
app_id	位置情報を記録したアプリ。 この値は、Tracker からアップロードされたポイントの場合は tracker になります。
battery_percentage	デバイスのバッテリー残量。 この範囲は 0 ～ 100 です。
battery_state	これは、デバイスのバッテリーの状態を表します。 次の 4 つの値を記録できます。 Unknown (0) Unplugged (1) Charging (2) Plugged and fully charged (3)
category	トラックに関連付けられたカテゴリ。
course	移動方向 (単位は 0 ～ 360 度)。
created_user	モバイル ユーザーのユーザー名。
created_date	ポイントがサーバーにアップロードされた日時。
device_id	デバイスに割り当てられる一意の ID。
floor	位置情報サービス プロバイダーから報告された階数。
globalid	サーバーが生成するフィーチャの Global ID。
full_name	ユーザーのフル ネーム。
horizontal_accuracy	記録された位置の水平精度 (メートル単位で計測)。
last_edited_date	ポイントがサーバー上で最後に編集された日時。
last_edited_user	フィーチャの最終編集ユーザーのユーザー名。
level_id	ArcGIS IPS を使用するときに記録されるフロア レベル
location_source	位置情報のソース (Wi-Fi、GPS、Fused など)。 これは、Android デバイスでのみ記録されます。
location_timestamp	デバイスで位置情報が記録された日時。
objectid	システムで管理される ID フィールド。
session_id	トラッキングが有効になるたびに生成される一意の ID。
signal_strength	デバイスの信号強度。 このフィールドは現在、位置情報の共有レイヤーでは設定されません。
speed	デバイスの速度 (メートル/秒で記録)。
vertical_accuracy	記録された位置の鉛直精度 (メートル単位で計測)。

注意:

すべての日時の値は、UTC (協定世界時) で記録されます。

location_timestamp は、モバイル アプリによって位置情報が記録された日時を表します。 last_edited_date は、サーバー データベース内でフィーチャが最後に変更されたときを表します。

full_name フィールドおよび category フィールドは、ArcGIS Enterprise 10.8.1 以降でのみ使用可能です。 ArcGIS Enterprise 10.8 以前で位置のトラッキングを有効化しており、ArcGIS Enterprise 10.8.1 以降にアップグレードする場合は、位置のトラッキング設定で [位置のトラッキングのアップグレード] をクリックし、これらのフィールドを既存の位置のトラッキング サービスに追加します。

高度な解析と構成

高度な解析と構成に位置情報の共有スキーマを使用するには、ArcGIS API for Python を使用します。 トラック レイヤー、トラック ビューアー、モバイル ユーザーの管理を自動化するモジュールを提供します。 ArcGIS API for Python はコンテンツの管理に加えて、トラックの複雑な解析の開発にも使用できます。 例とベスト プラクティスについては、GitHub にあるサンプル スクリプトおよびノートブックをご参照ください。

無効なトラックのフィルタリング

Track Viewer Web アプリでは、以下の式を使用して無効なトラック ポイントを除外します。 これと同じ式を Map Viewer で使用すると、独自のマップで無効なトラック ポイントを除外することができます。 次の式を使用して、Map Viewer のトラック レイヤーにフィルターを適用します。

horizontal_accuracy <= 10 OR (horizontal_accuracy <= 25 AND (speed is not NULL OR course is not NULL)) OR (speed is not NULL AND course is not NULL)

トラックの削除

位置情報の共有レイヤーのフィーチャ レイヤー定義で削除機能は提供されていませんが、管理者は ArcGIS REST API を介してフィーチャの削除操作を使用することでトラックを削除できます。 トラック レイヤーのフィーチャの削除 REST エンドポイントに移動し、Where 句またはオブジェクト ID を指定して、トラックを特定および削除できます。 フィーチャの削除 REST エンドポイントの URL は次の形式に従います (ホスト、ドメイン、および WebAdaptor は、サーバーに関する情報に置き換えられます)。

https://host.domain.com/webadaptor/rest/services/Hosted/location_tracking/FeatureServer/0/deleteFeatures

制限事項

トラックの使用には、次の制限があります。

• ArcGIS Online のトラックは、シェープファイルおよび CSV ファイルとしてのみエクスポートできます。
• ArcGIS Online 解析ツールを位置情報の共有レイヤーで使用することはできません。