セキュリティの問題とソフトウェアのバグに対処し、適正な環境を運用し続けるには、最新のパッチを適用することで各コンピューターのオペレーティング システムおよび ArcGIS Enterprise ソフトウェアを最新の状態に保つことが重要です。 可用性の高い ArcGIS Enterprise 環境にパッチを適用するうえで、注意すべきことをいくつか紹介します。
各コンポーネントに異なるタイミングでパッチを適用してください。 一度に両方のポータル コンピューター、すべてのサーバー コンピューター、または両方の ArcGIS Data Store コンピューターにパッチを適用しないでください。 代わりに、一度に 1 台ずつパッチを適用して、その層で常に可用性が確保されるようにします。 組織の変更管理手順で、ソフトウェアまたはハードウェアのアップデート中にコンピューターに障害が発生した場合の対処方法を明確にしておく必要があります。
ダウンタイムとデータ損失のリスクを最小限に抑えながら、ArcGIS Enterprise 配置で可用性の高いコンポーネントに安全にパッチを適用するには、次のプロセスが有効です。
可用性の高いポータルへのパッチの適用
可用性の高いポータルにパッチをインストールする準備をする場合、ダウンタイムを最小限に抑えるために次の順序を考慮します。
- スタンバイ ポータルにパッチをインストールします。
- machine Status API を使用して、パッチ適用後にポータルが正常であることを確認します。
- プライマリ ポータルにパッチをインストールします。
これにより、フェイルオーバーが発生し、スタンバイ ポータルがプライマリに昇格します。 元のプライマリが再び起動すると、スタンバイとして再追加されます。
可用性の高いサーバー サイトへのパッチの適用
複数コンピューターによる ArcGIS Server サイト内にはプライマリ ロールまたはスタンバイ ロールが存在しないため、フェイルオーバーの概念はありません。 サイト内の各コンピューターは同等の条件で参加しているため、各コンピューターに任意の順序でパッチを適用できます。
これまでに説明したとおり、受信したリクエストを処理できるよう、常時 1 台のコンピューターを使用可能な状態にしておくことが重要です。 フェデレーション サーバー サイトの場合、サイトの管理 URL が定期的にコンピューターのヘルスチェックを実行するロード バランサーを通過するようにします。 これにより、ロード バランサーはコンピューターの停止を検出した際にユーザーに通知し、動作することができます。
可用性の高い ArcGIS Data Store へのパッチの適用
ポータルと同様に、可用性の高い ArcGIS Data Store はプライマリ/スタンバイ方式で動作するため、パッチ適用の順序による影響を受けます。 デフォルトでは、ArcGIS Data Store はサービスが停止してもフェイルオーバーしません。 最初にプライマリ ArcGIS Data Store コンピューターにパッチを適用すると、ホスト サービスと ArcGIS Data Store に依存する機能は動作しなくなります。
パッチ適用時の可用性を維持するには、次の手順に従います。
- ArcGIS Server Administrator Directory にサイン インします。
- [data] > [items] > [enterpriseDatabases] > [(データ ストア名)] > [machines] の順に参照します。 ArcGIS Data Store でスタンバイ状態のコンピューターを特定します。
- スタンバイ コンピューターにパッチをインストールします。
- [makePrimary] 操作を使用して、スタンバイをプライマリに昇格させます。 ディレクトリの [machines] ページで、スタンバイ コンピューターのリンクをクリックし、[makePrimary] をクリックします。
- 以前のプライマリ コンピューターがスタンバイ コンピューターになったら、パッチをインストールします。
配置全体を通じて、ArcGIS Enterprise に適用するパッチとアップデートを定期的に確認してください。