ArcGIS Enterprise ポータルでは、ポータル アイテムに関する情報がポータル コンテンツ ディレクトリに格納されます。2 台のポータル コンピューターから成る高可用性ポータルを構成した場合は、両方のコンピューターでコンテンツ ディレクトリが共有されます。コンテンツの可用性を高くするには、Portal for ArcGIS のコンテンツ ディレクトリを可用性の高い共有された場所に格納する必要があります。この目的で Amazon Simple Storage Service (S3) を利用できます。
このワークフローでは、Amazon S3 上にバケットを作成し、Esri Amazon Machine Image (AMI) を使用して 1 つのポータル インスタンスを起動し、そのコンテンツ ディレクトリに S3 バケットを使用するポータルを作成し、Esri AMI を使用して 2 つ目のポータル インスタンスを起動し、2 つ目のポータルを、起動した 1 つ目のインスタンス上のポータルに参加させます。
S3 上のコンテンツ ディレクトリを使用した高可用性ポータルの作成
以下の手順に従って、Amazon S3 バケットを使用してポータル コンテンツ ディレクトリを格納する高可用性ポータルを作成します。それによって、コンテンツ ディレクトリの可用性を高くします。
- My Esri から Portal for ArcGIS ライセンス ファイルをダウンロードします。
- Amazon S3 Management Console を使用して Amazon Web Services (AWS) バケットを作成します。バケットを、ポータル コンピューターを作成するのと同じリージョン内で作成します。
- Esri AMI の 1 つを使用して、AWS 上のインスタンスを起動します。
なお、特定の AMI を初めて使用する場合は、まず AWS Marketplace の利用条件を読んで同意してから、インスタンスを起動する必要があります。
- Amazon Elastic IP を作成し、それを EC2 インスタンスと関連付けます。
- CNAME マッピングを設定して、よりわかりやすいドメイン ネーム システム (DNS) ホスト名を作成します。
- インスタンスへのリモート接続を作成します。
- hostidentifier.properties ファイルを開き、preferredidentifier=ip プロパティがコメント解除されていることを確認します。このファイルは <Portal for ArcGIS installation directory>\framework\runtime\ds\framework\etc\ ディレクトリにあります。
- Portal for ArcGIS を起動します。
- Microsoft Windows インスタンスでは、Windows の [サービス] パネルから Portal for ArcGIS サービスを起動します。
- Ubuntu Server インスタンスでは、arcgis ユーザーとしてログインし、startportal.sh にある /arcgis/portal を実行して、Portal for ArcGIS を起動します。
- ArcGIS Portal Directory を開きます。URL の形式は https://portal.domain.com:7443/arcgis/portaladmin です。
- [新規サイトの作成] をクリックします。
- 初期ポータル管理者アカウントを作成します。
- ステップ 1 でダウンロードしたライセンス ファイルをインポートします。
- JSON の以下のブロックのいずれかをコピーし、[コンテンツ ストア] フィールドに貼り付けます。connectionString の値を、必ずユーザーのアカウントと実装に固有の情報に置き換えてください。objectStore では、コンテンツ ディレクトリを格納するためにステップ 1 で作成した S3 バケットの名前を指定します。
S3 アカウントの accessKeyId および secretAccessKey を使用して AWS バケットにアクセスする場合は、次の JSON を使用します。
{ "type": "cloudStore", "provider": "Amazon", "connectionString": {"accessKeyId":"ABCDEFGHIJK123456","secretAccessKey": "ZYXWVUTSRQPONML98765432","region": "<region name>","credentialType": "accessKey"}, "objectStore": "<your S3 bucket>" }
S3 アカウントに構成した IAMRole を使用して AWS バケットにアクセスする場合は、次の JSON を使用します。
{ "type": "cloudStore", "provider": "Amazon", "connectionString": {"region": "<region name>","credentialType": "IAMRole"}, "objectStore": "<your S3 bucket>" }
- [新規サイトの作成] をクリックします。
- CA 署名証明書を使用して、少なくとも ArcGIS Web Adaptor ディレクトリで HTTPS を有効にします。
この証明書は、Elastic IP のパブリック DNS ホスト名または Elastic IP にマップされる CNAME DNS ホスト名に対して発行されます。
メモ:
Portal for ArcGIS を実行する場合は、自己署名証明書を使用しないでください。
- Portal for ArcGIS で ArcGIS Web Adaptor を構成します。この操作は、ローカル コンピューター上の Web ブラウザーまたは Ubuntu 上のコマンド ラインのどちらからでも実行できます。
- Web ブラウザーから実行する場合は、ArcGIS Web Adaptor 構成ページを開きます。
ArcGIS Web Adaptor 登録ページは、インストールした時点で自動的に開きます。ただし、EC2 インスタンスの Elastic IP または ArcGIS Web Adaptor がインストールされている CNAME DNS ホスト名を使用するように URL を変更します。たとえば、URL を、https://localhost/arcgis/webadaptor から https://<Elastic IP>/arcgis/webadaptor または https://<CNAME DNS hostname>/arcgis/webadaptor に変更します。
- [ポータルの URL] に指定されたポータル コンピューターの名前ではなく、Elastic IP または CNAME DNS ホスト名を URL で使用します。たとえば、「https://<Elastic IP>:7443/arcgis」または「https://<CNAME DNS hostname>:7443/arcgis」と入力します。
- Web ブラウザーから実行する場合は、ArcGIS Web Adaptor 構成ページを開きます。
- Esri AMI を使用して 2 つ目のインスタンスを起動します。
- 2 つ目のインスタンスへのリモート接続を作成して、Portal for ArcGIS を開始します。
- 2 つ目の Portal for ArcGIS のインストール (https://<fully qualified instance2 name>:7443/arcgis/home) のポータル Web サイトを開き、[既存のポータルに参加] を選択します。
- 1 つ目のインスタンス上で構成したポータルの [ポータル URL] を入力します。URL の形式は https://<fully qualified instance1 name>:7443 です。
- ステップ 10 で作成した初期ポータル管理者のユーザー名とパスワードを入力します。
- [参加] をクリックします。
これで、AWS に格納された、共有された高可用性コンテンツ ディレクトリを使用して Portal for ArcGIS を実行する 2 つの S3 インスタンスが存在するようになりました。
メモ:
今後、ポータルの配置を削除する場合、コンテンツ ディレクトリに使用される S3 バケットを手動で空にして削除する必要があります。Portal for ArcGIS をアンインストールしても、コンテンツ ディレクトリやバケットは削除されません。
次の手順
ArcGIS Enterprise ポータル全体を高可用性にするには、ホスティング GIS Server サイトと ArcGIS Data Store も高可用性構成にする必要があります。可用性の高い GIS Server サイトと ArcGIS Data Store の構成手順については、次のトピックをご参照ください。