ArcGIS Server 10.0 からアップグレードする場合、10.1 の時点で導入されたアーキテクチャの変更に注意する必要があり、サーバーの操作方法の調整が必要になります。主な変更の概要については、以降のセクションをご参照ください。新しいバージョンを ArcGIS Server 10.9 にアップグレードする場合、次の移行ガイドラインは適用されません。代わりに、「既存の ArcGIS Server ユーザー」で、アップグレードに関するよくある質問と、詳細なアップグレード手順が記載されたトピックへのリンクをご参照ください。
このヘルプ セクションの以下のトピックに、ArcGIS Server 10.0 から 10.9 へのアップグレード方法の詳細が記載されています。
インストール手順
ArcGIS 10.1 for Server で、サーバー アーキテクチャは大きく変更されました。10.1 以降、コンポーネントの配布に SOM-SOC モデルが使用されなくなったため、インストール操作がより簡単になりました。
インストール時に、完了が必要なポスト インストールはありません。また、SOM、SOC、または ArcGIS Web サービスのアカウントを構成する必要もありません。ArcGIS Server サービスを実行するアカウントの指定だけを求められます。これは、ArcGIS Server アカウントと呼ばれます。 セットアップによって ArcGIS Server コンピューターが 1 つインストールされます。ArcGIS Server コンピューターをもう 1 つサイトに追加したい場合は、別のコンピューター上でセットアップをもう一度実行するだけです。すべてのコンピューターで 64 ビットのオペレーティング システムを使用する必要があります。ArcGIS Server をインストールしたら、すぐにサービスの公開を開始できます。
多くの場合は、ArcGIS Web Adaptor もインストールします。このコンポーネントにより、IIS などのエンタープライズ Web サーバーを ArcGIS Server サイトに統合することができます。
ArcGIS Web Adaptor を使用すると、デフォルトのポート 6443 やデフォルトのサイト名「arcgis」をユーザーに見られたくない場合などに、サイトの URL を管理することができます。ArcGIS Web Adaptor では、外部ユーザーに対して ArcGIS Server Manager や ArcGIS Server Administrator Directory へのアクセスを制限できます。ArcGIS Web Adaptor をサイトに配置すると、認証を Web 層で実行できます。さらに、サイトを企業の Web サーバーに関連付けることにより、提供するサービスを使用する Web アプリケーションをホストすることができます。
ArcGIS Server Manager へのログインとサイトの設定
1 つ以上の ArcGIS Server コンピューターの配置をサイトと呼びます。ArcGIS Server をインストールすると、ArcGIS Server Manager が開きます。初めて ArcGIS Server Manager にログインしたときは、サイトを作成するか、あるいは参加するかをたずねられます。ArcGIS Server の使用を開始した直後であれば、[サイトの作成] を選択します。その後サイトにコンピューターを追加する場合は、[サイトに参加] を選択します。コンピューターを接続する作業は、ArcGIS Server Manager によって自動的に行われます。
サービスの公開
10.0 以前のバージョンからアップグレードする場合は、サービスは自動的には移行されません。サービスの移行パスは、10.1 以降のバージョンで使用される新しい公開パターンを使用して再作成することになります。
公開の一般的なワークフローは同じです。ArcGIS Desktop で GIS リソース (マップ ドキュメントやモデルなど) を作成してから、サービスとして ArcGIS Server で公開します。ただし、公開アクションは常に ArcGIS Desktop で開始するようになりました。通常の手順は、リソースを開いてから [ファイル] > [共有] > [サービス] の順にクリックします。
公開しようとするアイテムに対して厳密な解析プロセスが実行され、サーバーで公開する準備が整っていることが確認されます。以前のリリースでは、[マップ サービス公開] ツールバーを使用してマップ ドキュメントを解析する必要がありました。今度のリリースでは、汎用性の高い [サービス エディター] ダイアログ ボックスが用意され、公開予定のすべてのサービスを公開前に解析できます。
10.0 以前のバージョンで MSD に関連付けられていた高速描画エンジンが、すべてのマップ サービスで使われるようになりました。これにより、MXD ベースのマップ サービスと MSD ベースのマップ サービスの区別がなくなりました。ArcMap でマップ ドキュメントを開き、パフォーマンスのボトルネックがないか解析し、ArcGIS Server にマップ サービスとして公開するだけです。
10.0 以前のバージョンでは、サービスが参照する GIS リソースを変更しても、サービスを再起動することによってその内容はすべてクライアントから利用可能になっていました。変更を GIS リソースまたはソース データに反映するために、10.1 以降では、次のシナリオでサービスの上書きが必要です。
- サービスの基盤であるマップ ドキュメントまたはその他の GIS リソースの設定を更新した場合
- ソース データ (マップ ドキュメントに表示されるフィーチャクラスなど) が公開時に自動的にサーバーにコピーされ、その後にソース データに加えた変更をサーバー上に反映させたい場合
ArcGIS Server サイトは、サーバーに登録されているデータ フォルダーとジオデータベースのリストに依存します。したがって、10.0 から 10.9 に移行する場合は、ArcGIS Server からアクセスできることが確認されている一連のデータの場所を登録する必要があります。これにより、複数のコンピューターにわたって公開するときにデータ パスを調整する方法が ArcGIS Server コンピューターに認識されます。登録されていない場所からデータを参照するサービスを公開しようとすると、公開を実行している間にデータがサーバーにコピーされます。
Web アプリケーションの作成
ArcGIS Server Manager で Web アプリケーションを作成するための標準のウィザードは提供されなくなりました。Web アプリケーションの作成を開始するには、ArcGIS Online、ArcGIS Enterprise ポータル、または ArcGIS API for JavaScript を使用することをお勧めします。
サイトの管理
ArcGIS Server Manager を使用して、ArcGIS Server サイトを管理できます。10.1 では、ArcGIS Server Manager は外観が向上し、より直観的なユーザー インターフェイスを備えています。これにより、以前のリリースで経験したサイトの管理機能と同じ機能を利用できます。
また、10.1 リリースでは、REST ベースの ArcGIS Server Administrator API が導入され、選択した言語でスクリプトを記述しサーバーを管理することができます。
ArcGIS Server 10.0 以降のバージョンの共通点と相違点
共通点 | 相違点 |
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マップ、ツール、ロケーターなどの GIS リソースを作成し、ArcGIS Server で公開します。 | サービスの公開は、[ファイル] > [共有] > [サービス] の順にクリックして ArcMap または ArcGlobe から直接開始できます。クラウドベースのサーバーに公開することができ、公開アクションの一部としてソース データがサーバーに自動的にコピーされます。 |
公開する前に、マップ ドキュメントを解析して、パフォーマンスのボトルネックを調べます。 | 公開する前に、グローブやツールボックスなど、他の種類の GIS リソースを解析できます。高速描画の ArcGIS Server エンジンが常に使用されるため、このエンジンを使用するための MSD ファイルを明示的に保存する必要がなくなりました。 |
ArcGIS Server により、サーバーで何が起きているかを説明する、ディスク上のログと構成ファイルが管理されます。 | ArcGIS Server Manager または ArcGIS Desktop を使用してログを表示し、サーバー構成情報を調整します。ログはディスクから直接読み込むのではなく、ArcGIS Server Manager を通じて表示する必要があります。 |
Web サーバーを使用して、サイトへのアクセスを管理します。 | 配置やテストに専用の Web サーバーは不要です。ArcGIS Server が Web サービスをリアルタイムで公開します。実際に稼働しているサイトの場合は、ArcGIS Web Adaptor を使用して Web サーバーをサイトに接続します。 |