アップグレード方法は、Amazon Web Services (AWS) に ArcGIS Enterprise デプロイメントを作成した方法と時期に応じて異なります。
- AWS 上の ArcGIS Enterprise デプロイメントは、手動アップグレード手順でアップグレードできます。 10.8 より前のバージョンでサイトを作成した場合は、必ず手動手順でアップグレードする必要があります。
- ArcGIS Enterprise の基本デプロイメントの作成に 10.8 または 10.8.1 単一コンピューター デプロイメント (arcgis-enterprise-allinone.template.json) の Esri Amazon Web Services CloudFormation テンプレートを使用している場合は、Chef スクリプトを使用してアップグレードできます。
- ArcGIS Enterprise の基本デプロイメントの作成に、単一コンピューター デプロイメントの ArcGIS Enterprise 10.9 または 10.9.1 Esri CloudFormation テンプレート (arcgis-enterprise-allinone.template.json) を使用している場合は、11.0 CloudFormation テンプレートを使用してアップグレードできます。
- ArcGIS Enterprise デプロイメントの作成に 10.9 または 10.9.1 ArcGIS Enterprise Cloud Builder for Amazon Web Services を使用している場合は、11.0 ArcGIS Enterprise Cloud Builder for AWS を使用してアップグレードできます。
アップグレードする前に
使用するアップグレード方法にかかわらず、デプロイメントをアップグレードする前に次の情報を確認します。
- 現在のソフトウェア バージョンに必要な ArcGIS ライセンスを取得します。 ライセンスは、My Esri からダウンロードできます。
- デプロイメントのバックアップを作成して、アップグレード手順に問題があった場合に復元できるようにします。
Portal for ArcGIS に付属している webgisdr ユーティリティを使用して、ArcGIS Enterprise デプロイメント内のほとんどのコンポーネントのバックアップを作成できます。 ただし、ビッグ データ ストアはこのバックアップの対象外です。 デプロイメントにビッグ データ ストアが含まれている場合は、ArcGIS Data Store backupdatastore ユーティリティを使用して、個別にバックアップを作成します。
手動アップグレード手順によるアップグレード
Amazon Web Services 上での単一コンピューターの ArcGIS Enterprise デプロイメントのソフトウェアを手動で更新するアップグレード手順は、オンプレミスでのソフトウェアの更新とほぼ同じです。ソフトウェア アップデートを My Esri から Amazon Elastic Compute Cloud (EC2) インスタンス上にダウンロードして、既存のデプロイメントにアップデートを直接適用します。 すべての ArcGIS Enterprise コンポーネントは、同じバージョンのソフトウェアを実行している必要があります。 AWS で更新を行うときの主な相違点は、既存のデプロイメントのバックアップを作成する方法です。
- AWS Management Console にサイン インして、既存のインスタンスから Amazon Machine Image (AMI) を作成します。
これが、アップグレード時に問題が起きた場合の再デプロイに使用できるバックアップになります。 再デプロイする必要がある場合は、同じポータルの URL を使用してデプロイする必要があります。
- 新しい Portal for ArcGIS と ArcGIS GIS Server のライセンスを Esri から取得します。
- Portal for ArcGIS、ArcGIS Web Adaptor、ArcGIS Server、ArcGIS Data Store の新しいバージョンを My Esri からダウンロードします。
- AWS 上のコンピューターへのリモート デスクトップ接続 (Microsoft Windows) または SSH (Linux) 接続を作成します。 arcgis ユーザーとして接続します。 すべてのソフトウェア ダウンロードをこのコンピューターに配置します。
Windows AWS インスタンス上のデプロイメントを初めてアップグレードするときは、arcgis ユーザーのパスワードを変更します。
AWS Management Console を使用してこのコンピューター上に ArcGIS Enterprise をデプロイした場合、Portal for ArcGIS のアップグレード手順でコンテンツ ディレクトリの一時的ストレージ用に S3 バケットが作成されるため、このコンピューターが自分の AWS アカウントに Amazon Simple Storage Service (S3) バケットを作成できることを確認します。 Esri が提供する CloudFormation テンプレートを使用してデプロイを行った場合、これはテンプレートによってすでに構成されています。
- 「Portal for ArcGIS のアップグレード」の手順に従って、ポータルとその Web Adaptor を更新し、必要に応じて Portal for ArcGIS ライセンスを更新します。
- 「ArcGIS Server のアップグレード」の単一コンピューター サイトの手順に従って ArcGIS Server およびその Web Adaptor を更新し、必要に応じて、ArcGIS GIS Server ライセンスを使用して ArcGIS Server サイトを更新します。
- デプロイメントが AWS 上の Windows インスタンスに存在する場合、「ArcGIS Data Store のアップグレード」の手順に従ってデータ ストアを更新します。
- AWS 上の Linux で 10.5 またはそれ以降のデプロイメントをアップグレードする場合は、「ArcGIS Data Store のアップグレード」の手順に従ってデータ ストアを更新します。
- AWS 上の Linux で 10.3.1、10.4、10.4.1 のデプロイメントをアップグレードする場合は、アップグレードを開始する前に hostidentifier.properties ファイルのコピーを作成する必要があります。 ファイルをコピーして ArcGIS Data Store をアップグレードするには、次の手順に従います。
- ディレクトリを <ArcGIS Data Store installation directory>/arcgis/datastore/framework/etc に変更します。
- hostidentfier.properties ファイルのコピーを作成し、そのコピーを安全な場所に配置します。
- ArcGIS Data Store の新しいバージョンをインストールしますが、[データ ストア構成ウィザード] は実行しません。
- stopdatastore.sh コマンドを実行して ArcGIS Data Store を停止します。
このコマンドは <ArcGIS Data Store installation directory>/arcgis/datastore にあります。
- <ArcGIS Data Store installation directory>/arcgis/datastore/framework/etc の hostidentfier.properties ファイルを、手順 b で作成したファイルのコピーに置き換えます。
- startdatastore.sh コマンドを実行して ArcGIS Data Store を開始します。
このコマンドは <ArcGIS Data Store installation directory>/arcgis/datastore にあります。
- データ ストアをアップグレードするには、データ ストア構成ウィザードを開くか、configuredatastore コマンド ユーティリティを実行します。
- アップグレードが完了し、更新されたデプロイメントのテストが完了したら、バックアップ AMI を削除できます。
注意:
ArcGIS Data Store をアップグレードする前に、ArcGIS Server をアップグレードする必要があります。
Chef スクリプトによるアップグレード
ArcGIS Server サイトの作成に 10.8 または 10.8.1 Esri Amazon Web Services CloudFormation テンプレートを使用している場合は、Chef スクリプトを使用してアップグレードできます。
デプロイメントのアップグレード手順は、Microsoft Windows と Ubuntu で異なります。 デプロイメントに使用しているオペレーティング システムに応じた手順に従ってください。
単一コンピューターによる Windows 上の ArcGIS EnterpriseArcGIS Enterprise デプロイメントのアップグレード
単一の Amazon Elastic Compute Cloud (EC2) インスタンス上の ArcGIS Enterprise をアップグレードするには、次の手順で Chef を使用します。
- EC2 インスタンスへのリモート デスクトップ接続を作成します。
- Chef または Cinc クライアント 16.16.13 をダウンロードしてインストールします。 古いバージョンの Chef がインストールされている場合、バージョン 16.16.13 に更新します。
- 11.0 インストール ファイルを My Esri の自分のアカウントからダウンロードし、EC2 インスタンスのフォルダーにアップロードします。
- ArcGIS_Web_Adaptor_for_Microsoft_IIS_110_182888.exe
- Portal_for_ArcGIS_Windows_110_182885.exe
- ArcGIS_Server_Windows_110_182874.exe
- ArcGIS_DataStore_Windows_110_182887.exe
- Portal_for_ArcGIS_Web_Styles_Windows_110_182886.exe
- Portal for ArcGIS 11.0 認証ファイル (.json) および ArcGIS GIS Server 用にライセンスされた ArcGIS Server 認証 (.epc または .prvc) を入手し、EC2 インスタンスに置きます。
- ArcGIS Cookbook バージョン 4.0.0 (arcgis-4.0.0-cookbooks.zip) を EC2 インスタンスにダウンロードし、ファイルを展開して、内容を C:\chef フォルダーに置きます。
- 次のフォルダーを削除します。
- C:\chef\nodes
- C:\Users\Administrator\.chef\local-mode-cache
- 元の C:\chef\node.json ファイルのコピーを作成し、名前を upgrade_base_enterprise_allinone_windows.json に変更します。
- テキスト エディターで upgrade_base_enterprise_allinone_windows.json ファイルを開き、次のパラメーターを変更します:
- ArcGIS のバージョンを 11.0 に設定します。
"arcgis" : { "version": "11.0",
- ArcGIS アーカイブ リポジトリを、EC2 インスタンスでソフトウェア ファイルを置いたフォルダーに設定します。
"arcgis" : { "repository": { "archives": "<drive>\\<folder>"
- サーバー認証を、ArcGIS Server 11.0 の認証ファイルの場所に設定します。
"server" : { "authorization_file" : "<drive>:\\<folder path>\\My_New_Server.prvc"
- ポータル認証を、Portal for ArcGIS 11.0 の認証ファイルの場所に設定します。
"portal" : { "authorization_file" : "<drive>:\\<folder path>\\my_new_portal.json",
- 実行リストを、次の要素を使用するように変更します:
"recipe[arcgis-enterprise::install_portal]", "recipe[arcgis-enterprise::webstyles]", "recipe[arcgis-enterprise::portal]", "recipe[arcgis-enterprise::portal_wa]", "recipe[arcgis-enterprise::server]", "recipe[arcgis-enterprise::server_wa]", "recipe[arcgis-enterprise::datastore]"
- ArcGIS のバージョンを 11.0 に設定します。
- upgrade_base_enterprise_allinone_windows.json ファイルを保存して閉じます。
- 管理者としてコマンド ライン ウィンドウを開き、ディレクトリを C:\chef に変更して、次のコマンドを実行します: chef-client -z -j c:\chef\upgrade_base_enterprise_allinone_windows.json
スクリプトが実行され、デプロイメントがアップグレードされます。 デプロイメントのサイズによっては、この作業に数時間を要することがあります。
デプロイメントのアップグレードが失敗した場合、トラブルシューティングのため Esri サポート (米国) または販売代理店 (米国以外) にお問い合わせください。
単一コンピューターによる Ubuntu 上の ArcGIS EnterpriseArcGIS Enterprise デプロイメントのアップグレード
単一の EC2 インスタンス上の ArcGIS Enterprise をアップグレードするには、次の手順で Chef を使用します。
- Ubuntu ユーザーとして EC2 インスタンスに SSH で接続します。
- 次のいずれかのコマンドを使用して、Chef または Cinc クライアント 16.16.13 をダウンロードしてインストールします。 古いバージョンの Chef がインストールされている場合、バージョン 16.16.13 に更新します。
- Chef クライアント: sudo curl -L https://omnitruck.chef.io/install.sh | sudo bash -s -- -v 16.16.13
- Cinc クライアント: sudo curl -L https://omnitruck.cinc.sh/install.sh | sudo bash -s -- -v 16.16.13
- 11.0 インストール ファイルを My Esri の自分のアカウントからダウンロードし、EC2 インスタンスのフォルダーにアップロードします。
- ArcGIS_Web_Adaptor_Java_Linux_110_182987.tar.gz
- Portal_for_ArcGIS_Linux_110_182984.tar.gz
- ArcGIS_Server_Linux_110_182973.tar.gz
- ArcGIS_DataStore_Linux_110_182986.tar.gz
- Portal_for_ArcGIS_Web_Styles_Linux_110_182985.tar.gz
- Portal for ArcGIS 11.0 認証ファイル (.json) および ArcGIS GIS Server 用にライセンスされた ArcGIS Server 認証 (.epc または .prvc) を入手し、EC2 インスタンスに置きます。
- ArcGIS Cookbook バージョン 4.0.0 (arcgis-4.0.0-cookbooks.tar.gz) を EC2 インスタンスにダウンロードし、ファイルを展開して、内容を /var/chef ディレクトリに置きます。
- /var/chef/nodes ディレクトリを削除します。
- 元の /etc/chef/node.json ファイルのコピーを作成し、名前を upgrade_base_enterprise_allinone_ubuntu.json に変更します。
- テキスト エディターで upgrade_base_enterprise_allinone_ubuntu.json ファイルを開き、次のパラメーターを変更します:
- ArcGIS のバージョンを 11.0 に設定します。
"arcgis" : { "version": "11.0",
- ArcGIS アーカイブ リポジトリを、EC2 インスタンスでソフトウェア ファイルを置いたフォルダーに設定します。
"arcgis" : { "repository": { "archives": "/<path and folder>"
- サーバー認証を、ArcGIS Server 11.0 の認証ファイルの場所に設定します。
"server" : { "authorization_file" : "/<path>/my_new_server.prvc"
- ポータル認証を、Portal for ArcGIS 11.0 の認証ファイルの場所に設定します。
"portal" : { "authorization_file" : "/<path>/my_new_portal.json",
- 実行リストを、次の要素を使用するように変更します:
"recipe[arcgis-enterprise::install_portal]", "recipe[arcgis-enterprise::webstyles]", "recipe[arcgis-enterprise::portal]", "recipe[arcgis-enterprise::portal_wa]", "recipe[arcgis-enterprise::server]", "recipe[arcgis-enterprise::server_wa]", "recipe[arcgis-enterprise::datastore]"
- ArcGIS のバージョンを 11.0 に設定します。
- upgrade_base_enterprise_allinone_ubuntu.json ファイルを保存して閉じます。
- Ubuntu ユーザーとして、ディレクトリを /var/chef に変更し、次のコマンドを実行します: sudo chef-client -z -j /etc/chef/upgrade_base_enterprise_allinone_ubuntu.json
スクリプトが実行され、デプロイメントがアップグレードされます。 デプロイメントのサイズによっては、この作業に数時間を要することがあります。
デプロイメントのアップグレードが失敗した場合、トラブルシューティングのため Esri サポート (米国) または販売代理店 (米国以外) にお問い合わせください。
CloudFormation テンプレートを使用したアップグレード
10.9 または 10.9.1 arcgis-enterprise-allinone.template.json CloudFormation テンプレートを使用して可用性の高い ArcGIS Enterprise デプロイメントを作成している場合は、11.0 arcgis-enterprise-allinone-upgrade.template.json ファイルを使用してアップグレードできます。 手順については、「CloudFormation を使用した、単一コンピューター上の基本の ArcGIS Enterprise のアップグレード」をご参照ください。