ArcGIS Data Store は、ArcGIS Enterprise 配置のホスティング サーバーとして設定された GIS Server サイトに登録されます。 このシステムのすべてのコンポーネントを同じバージョンにアップグレードする必要があります。
ArcGIS Data Store のアップグレードの準備
ArcGIS Data Store をアップグレードする前に、次の情報をよく確認して、必要な処理を完了させてください。
- アップグレード前に、My Esri から認証ファイルを取得します。 10.9 にアップグレードするには、新しい Portal for ArcGIS および ArcGIS Server のライセンス ファイルが必要です。
- ArcGIS Data Store バージョン 10.3.1 以前から 10.9 に直接アップグレードする操作はサポートされていません。 ArcGIS Data Store 10.3.1 以前をアップグレードするには、まず中間バージョン (10.4 ~ 10.8.1) にアップグレードします。 次に、そのバージョンを 10.9 にアップグレードします。
- データ ストアのバックアップを作成し、バックアップ ファイルをリモートの安全な場所に保存します。 バックアップの作成方法は、アップグレード元の ArcGIS Data Store のバージョンとアップグレードするデータ ストアのタイプによって異なります。
- 10.5.1 以降のリリースからアップグレードする場合は、backupdatastore ユーティリティを使用して各データ ストアの完全バックアップを作成します。 アップグレードで何か問題が発生し、前のインストールに戻る必要がある場合に、古いバージョンの ArcGIS Data Store ソフトウェアを再インストールし、これらのバックアップ ファイルと restoredatastore ユーティリティを使用して、データを復旧することができます。
- 10.5 以前のリリースのタイル キャッシュ データ ストアまたはリレーショナル データ ストアからアップグレードする場合は、exportmanageddb ユーティリティを使用して、これらのデータ ストアのバックアップ コピーを作成します。 アップグレードで何か問題が発生し、前のインストールに戻る必要がある場合に、古いバージョンの ArcGIS Data Store ソフトウェアを再インストールし、importmanagedb ユーティリティを使用してエクスポート ファイルをインポートすることができます。
- 10.4 または 10.4.1 のビッグ データ ストアからアップグレードする場合は、ビッグ データ ストアの各コンピューターのコンテンツ ディレクトリのバックアップ コピーを作成します。 アップグレードで何か問題が発生し、前のインストールに戻る必要がある場合に、古いバージョンの ArcGIS Data Store ソフトウェアを再インストールし、各コンピューターのコンテンツ ディレクトリをディレクトリのバックアップ コピーに置き換えることができます。
- リレーショナル データ ストアまたはタイル キャッシュ データ ストアをアップグレードする前に、各コンピューター上で ArcGIS Data Store のディレクトリのサイズを確認します。 コンピューターに ArcGIS Data Store のディレクトリのサイズの 2 倍に対応できる十分な空き容量があることを確認します。
- 最新の ArcGIS Data Store、Portal for ArcGIS、ArcGIS Server、および ArcGIS Web Adaptor ソフトウェア インストール ファイルを My Esri からダウンロードします。
- 10.9 のセットアップを実行すると、ArcGIS Data Store は自動的に 10.9 にアップグレードされます。 これまでにリリースされた各バージョンを順に入手しインストールする必要はありません。 前のバージョンの ArcGIS Data Store をアンインストールしないでください。
- ArcGIS Enterprise ポータルが正常に機能するには、ホスティング サーバーと同じバージョンである必要があります。 ArcGIS Web Adaptor インスタンスを再インストールして ArcGIS Server と同じバージョンにする必要もあります。
- 10.4 からアップグレードし、ストリームされた観測データをフェデレーション ArcGIS GeoEvent Server サイトから時空間ビッグ データ ストアにアーカイブする場合は、10.4 の ArcGIS GeoEvent Server に ArcGIS 10.4 GeoEvent Extension Patch 1 を適用する必要があります。 パッチの適用後、ArcGIS Enterprise 配置のコンポーネントのアップグレードに取りかかる前に、データを修復する手順に従います。
- フェデレーション ArcGIS GeoEvent Server サイトを使用している場合は、ArcGIS Server をアップグレードする前に、すべてのコンピューターで ArcGIS GeoEvent Server サービスを停止します。
- プライマリ/スタンバイ モードで動作するタイル キャッシュ データ ストアがある場合は、アップグレード前にスタンバイ コンピューターがデフォルトのバックアップ場所にアクセスできるかを確認してください。 アクセス権限がないと、アップグレード後にタイル キャッシュ データ ストアのデフォルトのバックアップ場所が存在しなくなるため、デフォルトのバックアップ場所の構成が必要となります。
- 複数のコンピューターを含むタイル キャッシュ データ ストアがある場合は、ファイアウォールのポート 29079 ~ 29090 およびポート 4369 を開く必要もあります。
- ArcGIS Data Store をアップグレードする前に、次のセクションを読んで、アップグレードの必要がある ArcGIS Enterprise コンポーネントをアップグレードします。
アップグレードの順序
ArcGIS Data Store は常に ArcGIS Enterprise 配置の一部として使用されるので、ArcGIS Data Store をアップグレードする前に、配置の特定のコンポーネントをアップグレードする必要があります。 コンポーネントのアップグレードは次の順序で行います。
- Portal for ArcGIS をアップグレードします。
- ArcGIS Web Adaptor をアップグレードします (ポータル用)。
- ポータルのホスティング サーバーとして機能する ArcGIS Server サイトをアップグレードします。 ArcGIS Data Store をアップグレードする前に、ホスティング サーバーをアップグレードする必要があります。
- ArcGIS Web Adaptor をアップグレードします (ArcGIS Server 用)。
- ArcGIS Data Store をアップグレードします。
- 配置にこれらが含まれる場合、追加の ArcGIS Server サイトをアップグレードします。 アップグレード対象は、ArcGIS GeoEvent Server サイト、ArcGIS GeoAnalytics Server サイト、ArcGIS Notebook Server サイト、 ArcGIS Mission Server サイトです。
可用性の高いデータ ストア
ArcGIS Data Store 10.7 以降は、可用性の高いデータ ストア内の各コンピューターをアップグレードするときに順序は重要でなくなりました。 ただし、まずソフトウェアをすべてのコンピューターにインストールしてから、すべてのコンピューターからアップグレードする必要があります。
高可用性のリレーショナル データ ストアまたはタイル キャッシュ (10.7.1 以前) のデータ ストアをアップグレードする場合、プライマリおよびスタンバイ コンピューターに新しいバージョンの ArcGIS Data Store をインストールしてから、プライマリまたはスタンバイ コンピューターでデータ ストアの構成ウィザードまたは configuredatastore ユーティリティを実行することで、両方のコンピューターを構成できます。 これにより、両方のコンピューターを構成できます。
注意:
高可用性の 10.8 のタイル キャッシュ データ ストアを 10.9 にアップグレードすると、データ ストアはクラスター モードのまま維持されます。
高可用性の 10.8.1 または高可用性の 10.7.1 以前のタイル キャッシュ データ ストアを ArcGIS Data Store 10.9 にアップグレードすると、プライマリ/スタンバイ モードのまま維持されます。
タイル キャッシュ (クラスター) データ ストアまたはビッグ データ ストアに複数のコンピューターがある場合、すべてのコンピューターに新しいバージョンの ArcGIS Data Store をインストールします。 次に、管理者ログインを使用してコンピューターの 1 つにサイン インし、データ ストアの構成ウィザードまたは configuredatastore ユーティリティを実行することで、ビッグ データ ストアのすべてのコンピューターを構成します。 これにより、タイル キャッシュ データ ストアまたはビッグ データ ストアのすべてのコンピューターが構成されます。
注意:
ビッグ データ ストア内のすべてのコンピューターのアップグレードを終了するまで、ホスト時空間フィーチャ レイヤーを誰も作成しないように注意してください。 ArcGIS Server Manager から GeoAnalytics Tools システム サービスを停止して、アップグレード中に誰も GeoAnalytics Tools を実行しないようにすることができます。 ArcGIS Tracker によって使用される位置のトラッキング サービスも停止します。
ArcGIS Data Store のアップグレード
インストール ファイルとバックアップ ファイルを取得し、ホスティング サーバーをアップグレードしたら、データ ストアのタイプ別のアップグレード手順を実行します。 同一の ArcGIS Server サイトに登録されているすべてのデータ ストアで、同じリリースの ArcGIS Data Store が実行される必要があります。 ArcGIS Data Store をアップグレードする際には、次の点に留意してください。
- 必ず、データ ストアを構成する前に、データ ストア内のすべてのコンピューターに ArcGIS Data Store をインストールしてください。
- 新しいバージョンをインストールする前に、ArcGIS Data Store をアンインストールしないでください。
- リレーショナル データ ストアまたはタイル キャッシュ データ ストアにプライマリおよびスタンバイ コンピューターがある場合、プライマリおよびスタンバイ コンピューターに新しいバージョンの ArcGIS Data Store をインストールしてから、いずれかのコンピューターでデータ ストアを再構成します。
- ArcGIS Server サイトで複数のタイル キャッシュ データ ストアまたは時空間ビッグ データ ストアが構成されている場合は、それぞれのデータ ストア コンピューターに個別に新しいバージョンの ArcGIS Data Store をインストールします。
- ArcGIS Server ライセンスに有効期限がある場合、ArcGIS Server ライセンスをアップグレードして更新し、リレーショナル データ ストアをアップグレードした後、リレーショナル ArcGIS Data Store のライセンスを更新してください。
「ArcGIS Data Store のアップグレードの準備」で説明されている手順を完了し、ArcGIS Data Store の前にアップグレードする必要がある ArcGIS Enterprise コンポーネントのアップグレードが完了した後、次の手順に従ってデータ ストアをアップグレードします。
- ArcGIS GeoEvent Server でビッグ データ ストアを使用している場合、ArcGIS GeoEvent Server Manager にサイン インし、データのアーカイブに使用されるフィーチャ サービスを停止します。
- また、アップグレード中に、ユーザーがホスト フィーチャ レイヤーを編集できないようにするには、ArcGIS Server Manager からホスティング サーバー (GIS Server サイト) に接続し、すべてのホスト フィーチャ サービスを停止します。 同様に、フェデレーション ArcGIS GeoAnalytics Server サイトがある場合、ArcGIS Server Manager からサイトに接続し、すべてのホスト フィーチャ サービスを停止します。
- データ ストア コンピューターごとに ArcGIS Data Store インストールをアップグレードします。
インストールをアップグレードするには、最初に ArcGIS Data Store をインストールしたユーザーと同じユーザーとして、コマンド プロンプトから最新の ArcGIS Data Store 10.9 セットアップ スクリプトを実行します。 既存のインストールをアンインストールしないでください。
コマンドを実行するには、ROOT または untar ディレクトリに変更し、/Setup を実行します。
ArcGIS Data Store 10.9 セットアップ メディアからセットアップ スクリプトを実行するには、セットアップ スクリプトをクリックして、[ターミナルで実行] をクリックします。
注意:
アップグレードの際に ArcGIS Data Store サービスを手動で停止する必要はありません。セットアップ スクリプトにより、自動的にサービスが停止されます。
- セットアップにより、ターゲット コンピューターの既存バージョンの ArcGIS Data Store が検出されます。 /Setup を実行すると、次の例に示すように、セットアップを続行するか、アップグレードを終了するかの確認を求められます:
========================================================================= ArcGIS Data Store 10.9 (Linux) ========================================================================= Your ArcGIS 10.7.1 Data Store is installed at: /home/ags/arcgis/datastore Confirm Settings ========================================================================= Product to upgrade: ArcGIS Data Store 10.7.1 (Linux) Location to upgrade: /home/ags/arcgis/datastore Your ArcGIS Data Store 10.7.1 will be stopped when performing the upgrade and ArcGIS Data Store 10.9 will be started after the upgrade completes 'y' to continue with these settings 'q' to exit without upgrading this product Enter choice [y,q] (y):
確認が表示されないようにするには、/Setup の代わりに /Setup -l yes -m silent を実行します。
- 「y」と入力して Enter を押すと、検出された設定を適用してアップデートを続行します。
注意:
このコンピューターの ArcGIS Data Store インストールが 10.9 にアップデートされるのを待ちます。 これには、数分かかる場合があります。
- すべての ArcGIS Data Store インストールが最新リリースに更新されたら、configuredatastore コマンド ユーティリティを使用して、ホスティング GIS Server サイトで各データ ストア タイプを再構成します。
configuredatastore ユーティリティの実行回数は、構成によって異なります。
- リレーショナル データ ストアおよびタイル キャッシュ (プライマリ/スタンバイ モード) データ ストアでは、ArcGIS Data Store をインストールしたユーザーとしてプライマリまたはスタンバイ コンピューターにログインし、configuredatastore ユーティリティを実行します。 これにより、両方のコンピューター上のデータ ストアがアップグレードされます。
- リレーショナル データ ストアとタイル キャッシュ データ ストアが同じコンピューター上にある場合、configuredatastore ユーティリティを実行すると、両方のデータ ストアがアップグレードされます。
- タイル キャッシュ (クラスター モード) またはビッグ データ ストアでは、ArcGIS Data Store をインストールしたユーザーとしてタイル キャッシュ データ ストアまたはビッグ データ ストアにログインし、configuredatastore ユーティリティを実行します。 これにより、そのデータ ストアのすべてのコンピューターがアップグレードされます。
この例では、リレーショナル データ ストアとタイル キャッシュ データ ストアの両方が実行されているコンピューターで、configuredatastore ユーティリティが実行されます。 両方のデータ ストアが GIS Server サイト https://myserver.network.com:6443/arcgis に構成されています。
./configuredatastore.sh https://myserver.network.com:6443/arcgis serveradmin MyAdminPassword /home/ags/arcgis/datastore/usr/arcgisdatastore --stores relational,tilecache
この例では、configuredatastore ユーティリティは、GIS Server サイト https://gisserver.mynetwork.com:6443/arcgis に構成されているビッグ データ ストアのコンピューターの 1 つで実行されます。
./configuredatastore.sh https://gisserver.mynetwork.com:6443/arcgis serveradmin MyAdminPassword /home/ags/arcgis/datastore/usr/arcgisdatastore --stores spatiotemporal
configuredatastore ユーティリティを実行すると、データ ストアのすべてのコンピューターで ArcGIS Data Store が再起動されます。
アップグレードの前に、ArcGIS Data Store は、データ ストアのすべてのコンピューターに同じバージョンの ArcGIS Data Store がインストールされていて、すべてのコンピューターにアクセス可能であることを確認します。 いずれかのコンピューターが更新されていなかったり、アクセスできない状態であったりすると、ArcGIS Data Store はアップグレードの処理を進めることができません。 インストールまたはネットワークの問題を修正して、configuredatastore ユーティリティをもう一度実行します。
- ビッグ データ ストアがある場合、そのビッグ データ ストアのステータスが healthy と表示されることを確認します。
データ ストアのステータスを確認するには、ホスティング サーバーの ArcGIS Server Administrator Directory にサイン インし、validate REST コマンドを実行します。
- ArcGIS GeoEvent Server や ArcGIS GeoAnalytics Server サイトがポータルにフェデレートされている場合、これらのサイトをアップグレードしてください。 正常にアップグレードした後、フィーチャ サービスが実行され機能していることを確認します。
ArcGIS Data Store をアップグレードした後の注意事項
アップグレード手順により、既存の 10.5 以前のリレーショナル データ ストアのバックアップ ファイルおよび 10.5 のビッグ データ ストアのバックアップ ファイルのすべてが、バックアップ ディレクトリの新しいサブディレクトリに移動されます。 ディレクトリ名には ArcGIS Data Store リリース番号が含まれています。 これらのファイルを誤って使用して、アップグレードされたリレーショナル データ ストアを復元しようとすることがないよう、ArcGIS Data Store はこれらのファイルを移動します (このような復元はサポートされていません)。
このため、ArcGIS Data Store のアップグレード後は、リレーショナルおよび時空間ビッグ データ ストアの完全バックアップを作成する必要があります。 これを行うと、スケジュールされた次のバックアップまでに何らかの問題が発生した場合に、ホスト フィーチャ レイヤーおよび時空間レイヤー データの完全バックアップを利用できるようになります。
アップグレードした後に、データ ストアがアクセス可能であることを確認する必要があります。 これは、ArcGIS Server Manager または ArcGIS Server Administrator Directory から確認できます。 また、ホスト フィーチャ レイヤーとホスト シーン レイヤーが引き続き正常に動作することも確認します。
データ ストアの整合チェック
ArcGIS Server Manager にサイン インして、GIS Server サイトが引き続きそれぞれのデータ ストアと通信できることを検証できます。
ArcGIS Server Manager からデータ ストアを検証するには、以下の手順を実行します。
- ArcGIS Server Manager にサイン インします。
- [サイト] > [データ ストア] の順に選択します。
- 整合チェックするデータ ストアの横にあるチェックボックスをオンにします。 (ArcGIS_Data_Store)。
- [整合チェック] をクリックします。
データ ストアが実行中で、GIS Server サイトがそのデータ ストアと通信できる場合は、[ステータス] 列に緑のチェックボックスが表示されます。
レイヤーが正常に動作することの確認
さらに、サービスが、アップグレード後も正常に動作していることも確認する必要があります。
- ArcGIS Server Manager にサイン インします。
- [サービス] > [ホスト] の順に選択します。
- すべてのサービスが実行されていることを確認します。