ArcGIS GeoAnalytics Server は、ArcGIS Enterprise のビッグ データ処理および解析機能を提供します。 大量のデータを解析するために、解析ツールのコレクションを強化する分散コンピューティング フレームワークがあります。 集約、回帰、検出、クラスタリングなどを実行して、ビッグ データを視覚化して理解し、取り扱うことができます。 GeoAnalytics Server を使用すると、これ以外の方法ではデータに隠されていることがある、パターン、傾向、異常などについての洞察を得ることができます。
GeoAnalytics Server は、ベクトル (ポイント、ライン、およびポリゴン) およびテーブル データを操作し、.csv ファイル、.txt ファイル、シェープファイル、およびクラウド ストレージ、HDFS、Hive などのビッグ データ ソースから直接読み取ることができます。GeoAnalytics Server は、フィーチャ レイヤーを入力として使用して、既存の GIS データも操作します。
GeoAnalytics Server ツール ボックスのツールセット、つまりパターンの解析、データへの情報付加、場所検索、データの管理、データの集約、近接は、ビッグデータを活用したさまざまな空間解析のアプローチに焦点を当てています。 素早い空間結合の実行、複数のデータセットでの回帰分析の実行、データのクラスタリング エリアの検索など、GeoAnalytics Server ツールボックスには、データを探索するためのツールが用意されています。 提供されるツールに加えて、GeoAnalytics Server で分散された計算およびツールを使用して、Python を介してワークフローを実行するように解析をカスタマイズすることができます。
すべての解析は、GeoAnalytics Server 上で実行され、その結果は、それらの結果を引き続き調査、解析、マッピング、および共有できるように、ArcGIS Enterprise に格納するか、さらに処理するために独自のデータ ソースに格納することができます。
GeoAnalytics Server の用途
GeoAnalytics Server は、現在の GIS 解析が十分に高速にデータを処理していない場合に役立ちます。 従来のワークフローを加速するので、今までより短時間で結果が得られます。 GeoAnalytics Server は、大きいデータセットに対して空間的な解析が必要な場合にも役に立ちます。 GeoAnalytics Server は、以下のような状況の場合にお使いください。
- 既存のツールおよびワークフローが十分な速度でデータを処理していない。
- 扱うデータの量が増加しており、データを管理して解析するより良い方法が必要である。
- データを、他の GIS 解析で使用する (たとえば、ArcGIS Pro の解析ツールを使用する) ために、より扱いやすい何かに変換する必要がある。
- データに多くのノイズが含まれており、データを調査して重要なポイントを識別する必要がある。
- 大規模なデータセットに適している空間統計解析ツールおよびコンピューター ラーニング ツールを使用する必要がある。
ArcGIS GeoAnalytics Server を使用した解析の例
GeoAnalytics ツールは、さまざまな業界にわたる多目的なツールです。 次の例は、さまざまな目的を考慮して GeoAnalytics Server を使用できる方法を示しています。
- 犯罪アナリストとして、自分の州内の犯罪の位置および時間、ならびに対象地域 (イベント、警察署、市の中心など) への犯罪の近接性を理解することができます。 関連するツールは、[ポイントの集約] および [フィーチャの結合] です。
- 州の運輸局での管理者として、数十年間の交通量および事故のデータを解析し、最もインシデントが多い州間を決定することができます。 特定の車両がいつ加速およびブレーキングを行ったかを解析し、それらを自動車事故の位置と関連付けることもできます。 関連するツールは、[ポイント クラスターの検索] および [トラックの再構築] です。
- 環境科学者として、数百万個の静的なセンサー読み取り値のデータセット内で、国全体のオゾン濃度が高い時間および位置を識別することができます。 関連するツールは、[インシデントの検出] および [時空間キューブの作成] です。
- 電気公益事業のエンジニアとして、落雷がどの程度送電線および変電所に近いかを決定することができます。 関連するツールは、[バッファーの作成] および [フィーチャの結合] です。
- 水道施設の技術者として、漏水に関する作業指示を分類し、それらを土壌タイプのデータセットと結合し、特に腐食性の高い土壌が存在するエリア内で漏水が発生したかどうかを判定することができます。 関連するツールは、[時空間キューブの作成] および [ホット スポットの検索] です。
- 小売の指導者として、人口統計、過去の売上、または店舗との間の距離に基づいて、商圏の再編成を試みることができます。 製品ライン全体で、店舗の実績がどの程度類似しているか、または類似していないかを確認することもできます。 関連するツールは、[境界のディゾルブ] および [類似フィーチャの検索] です。
- ある都市の GIS アナリストとして、ArcGIS GeoEvent Server を使用して、公共事業の車両や除雪車などの、都市のすべての車両に関する GPS データを解析することができます。 車両が移動した位置、対象範囲の少ないエリア、および車両が制限速度を超えた事例を確認します。 関連するツールは、[トラックの再構築]、[ポイントの集約]、および [インシデントの検出] です。
GeoAnalytics Server は、単一のコンピューター上または 3 台のコンピューターのセット全体での分散型解析を可能にします。 この分散型の計算処理を利用して、デスクトップ コンピューター上での以前の計算と比べて、より大容量のデータについてより高速に解析を実行することができます。 解析結果は、Web マップ、アプリ、およびその他の情報製品で使用するために、ArcGIS Enterprise に保存することができ、または独自のデータ ストアに書き込むこともできます。
GeoAnalytics Server の使用を開始するには、ArcGIS Enterprise の基本配置およびビッグ データ ストアとして構成された ArcGIS Data Store をインストールします。 GeoAnalytics Server サイトで 3 台のコンピューターを使用する場合は、3 台のコンピューターのビッグ データ ストアを設定する必要もあります。 GeoAnalytics Server を有効化するように配置を設定する方法については、「GeoAnalytics Server の設定」および「GeoAnalytics Server サイトに関するベスト プラクティス」をご参照ください。
GeoAnalytics Server ツールは、ArcGIS REST API、ArcGIS API for Python、ArcGIS Pro、ArcGIS Enterprise ポータル Map Viewer Classic 通じて利用できます。