ArcGIS GeoEvent Server に詳しいシステム管理者は、Windows サービス (または Linux のデーモン) がリアルタイムのサーバー機能を提供していることを理解しています。このサービスは、JVM (Java 仮想マシン) 内で実行されます。10.6 リリースでは、GeoEvent Server とともに新しいサービスである ArcGIS GeoEvent Gateway が配置されます。
ArcGIS GeoEvent Gateway は、独立した JVM 内でサービスとして実行され、GeoEvent Server に分散構成ストア (Apache ZooKeeper) とメッセージ ブローカー (Apache Kafka) を提供します。10.6 より前のリリースでは、インバウンド データ フィードが 1 台のサーバーの処理量を超えている場合、耐障害性がありスケーラブルなソリューションを必要とするシステム設計者は、インバウンド データ フィードから複数の独立した GeoEvent Server インスタンスへのイベント レコード配信を処理するための外部メッセージ ブローカーを構成する必要がありました。この方法については、「GeoEvent Server の耐障害性」チュートリアルで詳細に説明されています。
この方法の制約は、それぞれの GeoEvent Server インスタンスが完全に独立していることです。インスタンス同士で連携していないため、管理者は各インスタンスの構成を同一に保つ必要がありました。さらに、10.6 より前の GeoEvent Server は、構成ストアを ArcGIS Server が提供するプラットフォーム サービスに依存していました。ArcGIS GeoEvent Server サービスは ArcGIS Server サービスと確実に連動するよう構成され、ArcGIS Server サービスを停止すると ArcGIS GeoEvent Server サービスも停止するようになっていました。しかし、GeoEvent Server で複数コンピューターによるソリューションを設計する場合、この ArcGIS Server プラットフォーム サービスの停止と再起動が問題を引き起こしました。
ArcGIS GeoEvent Gateway サービスのライフ サイクルは、そのオペレーティング システムのライフサイクルを反映するようになっています。管理者は ArcGIS Server サービスまたは ArcGIS GeoEvent Server サービスを停止、再起動したい場合でも、ArcGIS GeoEvent Gateway サービスは実行中のままにしておくことができるようになりました。これにより、複数コンピューター構成での構成ストレージの共有と調整における安定性が高まります。
ArcGIS GeoEvent Gateway サービスは、ArcGIS Server サイトに参加している複数コンピューター間のイベント レコードの配信もサポートしています。ArcGIS GeoEvent Gateway の各インスタンスは、内部メッセージ ブローカーを使用してイベント レコードの配信を調整するため、イベント レコードのリアルタイム処理を複数コンピューター間で実行できるようになりました。10.6 リリースでは、1 つの大容量または高速なインバウンド データ フィードを処理するために、複数コンピューターのサイト構成を活用できるようになりました。
複数コンピューターによるサイト配置の開発を希望するシステム管理者およびソリューション設計者は、Esri テクニカル アドバイザーと連携してテクニカル サポートを受けることを推奨します。「GeoEvent Server チュートリアル」から「GeoEvent Server の複数コンピューターによるサイト」チュートリアルにアクセスします。