ArcGIS Notebook Server をアップグレードすると、ソフトウェアの最新機能と機能改善を利用しながら、ユーザーの既存の ArcGIS Notebooks を保持できます。 ArcGIS Enterprise 配置を 10.7.1 にアップグレードする場合、ArcGIS Notebook Server もアップグレードする必要があります。
ArcGIS Notebook Server 10.7.1 セットアップ パッケージは、コンピューターに以前のバージョンの ArcGIS Notebook Server の既存のインストールがあるか検出します。 検出された場合、ソフトウェアが 10.7.1 にアップグレードされます。
アップグレード プロセスの一部として、Esri から提供された新しいコンテナー イメージをインストールして、ユーザーに 10.7.1 ノートブック ランタイムを提供します。 以前のバージョンのノートブック ランタイムはサイトで維持されるため、ユーザーは引き続きそれらのランタイムを使ってノートブックを実行できます。
ArcGIS Enterprise ポータルをアップグレードすると、サイトのギャラリーで利用できるサンプル ノートブックも更新されます。
10.7.1 時点では、複数コンピューターの ArcGIS Notebook Server サイトがサポートされています。 これまでは、単一コンピューターのサイトだけがサポートされていました。 アップグレード後に ArcGIS Notebook Server サイトを複数コンピューターに拡張したい場合は、10.7.1 へのアップグレード後にサイトにコンピューターを追加するための手順に従います。
ArcGIS Notebook Server のアップグレード プロセスはインプレース アップグレードであるため、ソフトウェアのアンインストールと再インストールが必要ありません。 アップグレード プロセス中はサイトがダウンするため、アップグレードが完了するまでユーザーはノートブックにアクセスしたり実行することはできません。
備考:
配置が Windows Server 2016 上で実行されている場合、アップグレードの前に Windows Server 2019 に移行する必要があります。 Windows Server 2016 は Docker Engine Community バージョン 2.1.0.1 以降と互換性がありません。つまり、そのオペレーティング システムのままだと、Docker コンポーネントをアップグレードできません。
以下の手順に従って ArcGIS Notebook Server を 10.7.1 にアップグレードします。
アップグレードの準備
アップグレードを実行する前に、次の情報をよく確認してください。
- アップグレード前に、10.7.1 コンテナー イメージなど、My Esri にある必要なすべてのファイルにアクセスできます。
- ArcGIS Notebook Server を正しく機能させるために、バージョンをフェデレーションされているポータルのバージョンと一致させる必要があります。
- ArcGIS Enterprise のデプロイメントをアップグレードするには以下を実行します。
- Portal for ArcGIS をアップグレードします。
- ArcGIS Web Adaptor (Portal 用) をアップグレードします。
- ポータルのホスティング サーバーとして機能する ArcGIS Server サイトをアップグレードします。
- ArcGIS Web Adaptor (Server 用) をアップグレードします。
- ArcGIS Data Store をアップグレードします (最初にプライマリをアップグレードし、次にスタンバイをアップグレード)。
- ArcGIS Notebook Server を含むその他のサーバーをアップグレードします。
- アップグレード プロセス中はどのタイミングであっても、ポータルから ArcGIS Notebook Server サイトのフェデレーションを解除したり、ポータルの Notebook Server としての指定を削除したりしないでください。 これによって、ポータルでホストされている既存の ArcGIS Notebooks に悪影響が及びます。
- アップグレード前に ArcGIS Notebook Server コンピューターで使用しているすべての Web ブラウザーのキャッシュをクリアします。
- アップグレード時には ArcGIS Notebook Server サイトの Windows サービス アカウント (実行アカウント) を同じにしておく必要があります。
デプロイメントのバックアップ
アップグレード前にデプロイメントのバックアップを取ることをお勧めします。 10.7 ではサイトの構成ストアとサーバー ディレクトリのバックアップを手動で取る必要があります。 ノートブックが webgisdr ユーティリティを使ってポータル バックアップに保存されます。
セットアップ プログラムを使用したアップグレード
備考:
セットアップ ファイルを使用して ArcGIS Notebook Server を 10.7.1 にアップグレードすることをお勧めします。 組織の制限によってセットアップ ファイルを使用できない場合は、スクリプトを使って ArcGIS Notebook Server Administrator Directory からサイトのアップグレード操作を呼び出せます。
- インストール中に、マスター契約書の内容に目を通して合意します。合意しない場合は、終了してください。
このセットアップ プログラムには、インストールされる機能とハードディスク ドライブに必要は空きディスク領域が表示されます。
- 次のダイアログ ボックスで、アカウント ログイン資格情報を指定するか、構成ファイルを指定します。
既存のインストールが使用する ArcGIS Notebook Server アカウントは、[ArcGIS Server アカウント] ボックスに事前入力されています。 ArcGIS Notebook Server アカウントのパスワードを入力します。 通常、これは、ソフトウェアのインストール時に定義したパスワードです。
パスワードが正常に確認されない場合、パスワードが無効であることを示すエラー メッセージが表示されます。 ArcGIS Notebook Server アカウントのパスワードがわからない場合は、システム管理者に連絡するか、ArcGIS Notebook Server Administrator Directory を使用してパスワードをリセットします。
構成ファイルを指定した場合、サーバー構成ファイルの認証情報は、既存の ArcGIS Notebook Server サイトで使用される認証情報と同じである必要があります。
- [アカウント名とパスワードを指定します] を選択して、ArcGIS Notebook Server のアカウント情報を手動で入力した場合は、表示されるダイアログ ボックスでサーバー構成ファイルをエクスポートできます。 構成ファイルを出力しない場合は、[次へ] をクリックして、デフォルトの [構成ファイルを出力しない] オプションを受け入れます。 今後のインストールのためにサーバー構成ファイルをエクスポートする場合は、[構成ファイルを出力する] をクリックしてセキュリティで保護されたフォルダーを参照し、構成ファイルの名前を入力します。
備考:
以下のいずれかを行う必要がある場合はサーバー構成ファイルを出力します。
- 複数のコンピューターにインストールする際に、同じ ArcGIS Notebook Server アカウントを作成する場合。
- 新しいバージョンにアップグレードする際に使用できるようアカウントを保存する場合。
- ユーザー名およびパスワードが暗号化された状態でサイレント インストールを実行する場合。
注意:
サーバー構成ファイルをネットワーク共有に出力する場合、ArcGIS Notebook Server がインストールされているコンピューター上のローカル システム アカウントは、そのネットワーク共有への書き込み権限を持っている必要があります。 権限が設定されていないと、サーバー構成ファイルが正常に出力されない場合があります。 ネットワーク共有に対する権限の設定方法がわからない場合は、システム管理者に連絡するか、サーバー構成ファイルをローカルに出力して、それをネットワーク共有にコピーします。
- 画面上の指示に従って、インストールを完了します。
- インストール完了後、構成ウィザードがブラウザーで開きます。 構成ウィザードに表示される指示に従ってアップグレード プロセスを完了します。
- 複数コンピューター サイトにアップグレードする場合は、このタイミングでサイトにコンピューターを追加できます。 各コンピューターにアクセスできる共有場所を使用するには、サーバー ディレクトリおよび構成ストアのパスも修正する必要があります。 ただし、ワークスペース ディレクトリとカスタム データ ディレクトリは例外で、各コンピューターのローカルに保持して DFS などのシステムを使って複製する必要があります。
アップグレード後の手順
アップグレードが完了した ArcGIS Notebook Server サイトを使えるようにするには、ポストインストール ユーティリティを実行して新しい Docker コンテナー イメージをサイトに追加する必要があります。 また、サイトに登録されている ArcGIS Web Adaptor インスタンスを新しいバージョンに合わせて置き換える必要があります。
- ArcGIS Notebook Server 実行アカウントを使ってコマンド プロンプト ウィンドウを開きます。
- Docker イメージのファイル パスを指定してインストールします。 イメージは .tar.gz 形式で圧縮しておく必要があります。 Advanced ライセンスがある場合は、コマンドを 2 回実行して My Esri からダウンロードした Standard と Advanced 両方のコンテナー イメージをインストールします。> PostInstallUtility.bat -l <path of .tar.gz Docker image>
- サイトから ArcGIS Web Adaptor の 10.7 のインスタンスを登録解除します。
- ArcGIS Web Adaptor 10.7.1 の新しいインスタンスをインストールして ArcGIS Notebook Server に登録します。
これで ArcGIS Notebook Server 10.7.1 サイトで ArcGIS Notebooks をホストする準備が整いました。