ArcGIS Notebook Server をアップグレードすると、ソフトウェアの最新機能と機能改善を利用しながら、ユーザーの既存の ArcGIS Notebooks を保持できます。 ArcGIS Enterprise 配置を 10.8.1 にアップグレードする場合、ArcGIS Notebook Server もアップグレードする必要があります。
ArcGIS Notebook Server 10.8.1 セットアップ パッケージは、コンピューターに以前のバージョンの ArcGIS Notebook Server の既存のインストールがあるか検出します。 検出された場合、ソフトウェアが 10.8.1 にアップグレードされます。
10.7.1 以前からアップグレードする場合は、アップグレード プロセス中に 10.8.1 用に ArcGIS Notebook Server ソフトウェアを再認証する必要があります。 10.8 から 10.8.1 にアップグレードしている場合、ソフトウェアを再認証する必要はありません。
また、Esri から提供された新しいコンテナー イメージをインストールして、ユーザーに 10.8.1 ノートブック ランタイムを提供する必要があります。 以前のバージョンのノートブック ランタイムはサイトで維持されるため、ユーザーは引き続きそれらのランタイムを使ってノートブックを実行できます。 ただし、10.8.1 の新機能をユーザーが使う場合は、ノートブックのランタイムを更新する必要があります。 10.8.1 に対応するノートブック ランタイムはバージョン 4.0 にあります ([ArcGIS Notebook Server Standard 4.0] と [ArcGIS Notebook Server Advanced 4.0])。
ArcGIS Enterprise ポータルをアップグレードすると、サイトのギャラリーで利用できるサンプル ノートブックも更新されます。
複数コンピューター ArcGIS Notebook Server サイトは 10.7.1 以降でサポートされています。 単一コンピューター サイトがあり、アップグレード後に ArcGIS Notebook Server サイトを複数コンピューターに拡張したい場合は、10.8.1 へのアップグレード後にサイトにコンピューターを追加するための手順に従います。
ArcGIS Notebook Server のアップグレード プロセスはインプレース アップグレードであるため、ソフトウェアのアンインストールと再インストールが必要ありません。 アップグレード プロセス中はサイトがダウンするため、アップグレードが完了するまでユーザーはノートブックにアクセスしたり実行することはできません。
以下の手順に従って ArcGIS Notebook Server を 10.8.1 にアップグレードします。
アップグレードの準備
アップグレードを実行する前に、次の情報をよく確認してください。
- アップグレード前に、10.8.1 コンテナー イメージなど、My Esri にある必要なすべてのファイルにアクセスできます。
- ArcGIS Notebook Server を正しく機能させるために、バージョンをフェデレーションされているポータルのバージョンと一致させる必要があります。
- ArcGIS Enterprise の配置をアップグレードするには以下を実行します。
- Portal for ArcGIS をアップグレードします。
- ArcGIS Web Adaptor (Portal 用) をアップグレードします。
- ポータルのホスティング サーバーとして機能する ArcGIS Server サイトをアップグレードします。
- ArcGIS Web Adaptor (Server 用) をアップグレードします。
- ArcGIS Data Store をアップグレードします (最初にプライマリをアップグレードし、次にスタンバイをアップグレード)。
- ArcGIS Notebook Server を含むその他のサーバーをアップグレードします。
- 既存の ArcGIS Notebook Server をアンインストールしないでください。ArcGIS Notebook Server のセットアップおよびコマンド ライン インストーラーは、ArcGIS Notebook Server コンポーネントの既存のインストールを検出してアップグレードするように設計されています。
- アップグレード プロセス中はどのタイミングであっても、ポータルから ArcGIS Notebook Server サイトのフェデレーションを解除したり、ポータルの Notebook Server としての指定を削除したりしないでください。 これによって、ポータルでホストされている既存の ArcGIS Notebooks に悪影響が及びます。
- セットアップまたはコマンド ライン インストーラーのいずれかを使用して、ArcGIS Notebook Server をアップグレードすることができます。 いずれかのアップグレード方法を選択します。
- アップグレード前に ArcGIS Notebook Server コンピューターで使用しているすべての Web ブラウザーのキャッシュをクリアします。
- アップグレード時には ArcGIS Notebook Server サイトの Windows サービス アカウント (実行アカウント) を同じにしておく必要があります。
デプロイメントのバックアップ
アップグレード前にデプロイメントのバックアップを取ることをお勧めします。
レガシー:
10.7 ではサイトの構成ストアとサーバー ディレクトリのバックアップを手動で取る必要があります。ノートブックが webgisdr ユーティリティを使ってポータル バックアップに保存されます。
以下のように ArcGIS Notebook Server Administrator Directory で exportSite 操作を使用して、サイトの構成ストアをバックアップできます。 このサイト構成バックアップに加え、ファイル システムの手動バックアップを作成することも検討してください。
バックアップ操作を実行するには、次の手順を実行します。
- ArcGIS Notebook Server Administrator Directory を開き、管理者権限を持つユーザーとしてサイン インします。 URL は、通常 https://notebookserver.domain.com:11443/arcgis/admin です。
- [site] > [Export Site] の順に参照します。
- ファイルのエクスポート先となるコンピューター上の場所の絶対パスを入力します。 サイトからこのディレクトリにアクセスできる必要があります。
- [エクスポート] をクリックします。
- エクスポート操作が完了すると、ディレクトリからサーバー上のバックアップ ファイルの場所へのリンクが作成されます。 できるだけ早く、*.agssite ファイル拡張子を持つファイルをダウンロードします。
セットアップ プログラムを使用したアップグレード
メモ:
セットアップ ファイルを使用して ArcGIS Notebook Server を 10.8.1 にアップグレードすることをお勧めします。 組織の制限によってセットアップ ファイルを使用できない場合は、スクリプトを使って ArcGIS Notebook Server Administrator Directory からサイトのアップグレード操作を呼び出せます。
複数コンピューター サイトがある場合は、単一コンピューター用の手順 1 から 5 に従ってサイトの各コンピューターでこれらの手順を繰り返します。
- インストール中に、マスター契約書の内容に目を通して合意します。合意しない場合は、終了してください。
このセットアップ プログラムには、インストールされる機能とハードディスク ドライブに必要は空きディスク領域が表示されます。
- 次のダイアログ ボックスで、アカウント ログイン資格情報を指定するか、構成ファイルを指定します。
既存のインストールが使用する ArcGIS Notebook Server アカウントは、[ArcGIS Server アカウント] ボックスに事前入力されています。 ArcGIS Notebook Server アカウントのパスワードを入力します。 通常、これは、ソフトウェアのインストール時に定義したパスワードです。
パスワードが正常に確認されない場合、パスワードが無効であることを示すエラー メッセージが表示されます。 ArcGIS Notebook Server アカウントのパスワードがわからない場合は、システム管理者に連絡するか、ArcGIS Notebook Server Administrator Directory を使用してパスワードをリセットします。
構成ファイルを指定した場合、サーバー構成ファイルの認証情報は、既存の ArcGIS Notebook Server サイトで使用される認証情報と同じである必要があります。
- [アカウント名とパスワードを指定します] を選択して、ArcGIS Notebook Server のアカウント情報を手動で入力した場合は、表示されるダイアログ ボックスでサーバー構成ファイルをエクスポートできます。 構成ファイルを出力しない場合は、[次へ] をクリックして、デフォルトの [構成ファイルを出力しない] オプションを受け入れます。 今後のインストールのためにサーバー構成ファイルをエクスポートする場合は、[構成ファイルを出力する] をクリックしてセキュリティで保護されたフォルダーを参照し、構成ファイルの名前を入力します。
メモ:
以下のいずれかを行う必要がある場合はサーバー構成ファイルを出力します。
- 複数のコンピューターにインストールする際に、同じ ArcGIS Notebook Server アカウントを作成する場合。
- 新しいバージョンにアップグレードする際に使用できるようアカウントを保存する場合。
- ユーザー名およびパスワードが暗号化された状態でサイレント インストールを実行する場合。
注意:
サーバー構成ファイルをネットワーク共有に出力する場合、ArcGIS Notebook Server がインストールされているコンピューター上のローカル システム アカウントは、そのネットワーク共有への書き込み権限を持っている必要があります。 権限が設定されていないと、サーバー構成ファイルが正常に出力されない場合があります。 ネットワーク共有に対する権限の設定方法がわからない場合は、システム管理者に連絡するか、サーバー構成ファイルをローカルに出力して、それをネットワーク共有にコピーします。
- 画面上の指示に従って、インストールを完了します。
- インストール完了後、構成ウィザードがブラウザーで開きます。 構成ウィザードに表示される指示に従ってアップグレード プロセスを完了します。
- 複数コンピューター サイトの場合は、サイトの残りのコンピューターで手順 1 から 5 を実行します。 単一コンピューター サイトから複数コンピューター サイトにアップグレードする場合は、このタイミングでサイトにコンピューターを追加できます。 各コンピューターにアクセスできる共有場所を使用するには、サーバー ディレクトリおよび構成ストアのパスも修正する必要があります。 ただし、ワークスペース ディレクトリとカスタム データ ディレクトリは例外で、各コンピューターのローカルに保持して DFS などのシステムを使って複製する必要があります。
コマンド ラインからのアップグレード
10.8 以降の upgradesite ユーティリティを使ってコマンド ラインから ArcGIS Notebook Server をアップグレードすることもできます。
このユーティリティにあるパラメーターは以下の 2 つだけです。
- -s - コマンドに含めると、ユーティリティでアップグレードが実行されます。 -s なしではアップグレードは実行されません。 これは、準備ができているときだけアップグレードを実行するための安全策です。
- -h - ツールのヘルプを表示します。 -s なしでコマンドを実行してもヘルプが表示されます。
デフォルトでは、upgradesite ユーティリティは C:\Program Files\ArcGIS\NotebookServer\tools\upgradesiteutility\upgradesite.bat にあります。
アップグレード前にこのトピックの最初にある準備情報を確認してください。 アップグレードの準備ができたら、アップグレード対象のコンピューターでコマンド ターミナルを開きます。 ユーティリティがあるディレクトリまで移動して以下のコマンドを実行します。
> upgradesite.bat -s
ユーティリティに進捗レポートが表示され、アップグレードが完了すると停止します。 サイトにコンピューターが複数ある場合は、各コンピューターでこのコマンドを実行してから次のセクションの手順に移ります。
サイレント認証
10.7.1 以前からアップグレードした場合は、アップグレード ユーティリティが完了した後に 10.8.1 用に ArcGIS Notebook Server ソフトウェアを再認証する必要があります。 10.8 から 10.8.1 にアップグレードしている場合、ソフトウェアを再認証する必要はありません。
次の構文を使用して SoftwareAuthorization.exe を実行し、ArcGIS Notebook Server のサイレント認証を実行します。 すべての完全なユーザー情報を認証ファイルまたはプロビジョニング ファイルに含めてから、このファイルを実行する必要があります。 認証ファイルがあってコンピューターがインターネットに接続している場合は以下を実行します。<System disk drive>\Program Files\Common Files\ArcGIS\bin\SoftwareAuthorization.exe /S /Ver 10.7 /LIF <full path and name of authorization file>
オフライン環境での認証
プロビジョニング (*.prvc) ファイルを使用すると、オフライン環境でも ArcGIS Notebook Server を認証できます。 この処理中、処理の完了に必要なファイルが生成されて Esri に送信されます。
- ArcGIS Notebook Server のアップグレードが完了したら、プロンプトから以下に示したコマンドを実行します。
<System disk drive>\Program Files\Common Files\ArcGIS\bin\SoftwareAuthorization.exe /F <full path to the .prvc file> /O <full path to authorization file output>
- 出力情報ファイルが作成されたら、次のいずれかを実行します。
- Esri カスタマー サービスの Web サイト (https://service.esri.com/drm) を参照します。 画面上の指示に従って、認証情報ファイルをアップロードしてから、*.ecp 認証ファイルをダウンロードします。
- 認証情報ファイルを電子メールで authorize@esri.com に送信します。Esri から *.ecp 認証ファイルが返信されます。
- 上記のいずれかの方法を使用して *.ecp 認証ファイルを取得したら、authorizeSoftware スクリプトをもう一度実行してファイルを処理し、サーバーの認証プロセスを完了します。
<System disk drive>\Program Files\Common Files\ArcGIS\bin\SoftwareAuthorization.exe /F <full path to the .ecp file>
ArcGIS Notebook Server を実行しているコンピューターごとに、このワークフローを繰り返します。
アップグレード後の手順
アップグレードと再認証が完了した ArcGIS Notebook Server サイトを使えるようにするには、ポストインストール ユーティリティを実行して新しい Docker コンテナー イメージをサイトに追加する必要があります。 また、サイトに登録されている ArcGIS Web Adaptor インスタンスを新しいバージョンに合わせて置き換える必要があります。
- ArcGIS Notebook Server 実行アカウントを使ってコマンド プロンプト ウィンドウを開きます。
- Docker イメージのファイル パスを指定してインストールします。 イメージは .tar.gz 形式で圧縮しておく必要があります。 Advanced ライセンスがある場合は、コマンドを 2 回実行して My Esri からダウンロードした Standard と Advanced 両方のコンテナー イメージをインストールします。> PostInstallUtility.bat -l <path of .tar.gz Docker image>
メモ:
必ず両方のコンテナー イメージをインストールしてください。 Advanced ライセンスがある場合でも、ユーザーは Standard ランタイムを使用する必要がある場合があります。 - サイトから ArcGIS Web Adaptor の以前のインスタンスを登録解除してアンインストールします。
- ArcGIS Notebook Server Administrator Directory にログインします。
- [システム]、[Web Adaptors]、登録済みコンピューターの順に参照します。
- [Unregister Web Adaptor] をクリックします。
- ArcGIS Web Adaptor 10.8.1 の新しいインスタンスをインストールして ArcGIS Notebook Server に登録します。
- 配置のアップグレードが完了したら、10.8.1 の機能を利用できます。 ポータルでノートブックのスケジューリングを有効にするには以下を実行します。
- ノートブック権限を含むカスタム ロールを更新して、必要に応じて新しい [ノートブックのスケジュール設定] 権限を追加します。
- スケジュール設定機能を使う場合は自分のノートブックのランタイムを更新するようノートブック作成者に指示します。 スケジュール設定ができるのは 10.8.1 ランタイム (バージョン 4.0) を使っているノートブックだけです。
これで ArcGIS Notebook Server 10.8.1 サイトで ArcGIS Notebooks をホストする準備が整いました。