LDAP (Lightweight Directory Access Protocol) でユーザー認証を行う場合は、PKI (Public Key Infrastructure) を使用して、ポータルへのアクセスのセキュリティを確保することができます。
LDAP と PKI を使用するには、Java アプリケーション サーバーに配置された ArcGIS Web Adaptor (Java Platform) を使用して、PKI ベースのクライアント証明書認証を設定する必要があります。ArcGIS Web Adaptor (IIS) を使用して PKI ベースのクライアント証明書認証を LDAP で実行することはできません。まだ行っていない場合は、ArcGIS Web Adaptor (Java Platform) をポータルにインストールして構成します。
注意:
ポータルに ArcGIS Server サイトを追加して、サーバーで LDAP と PKI を使用する場合は、ポータルに追加する前に、ArcGIS Server サイトで PKI ベースのクライアント証明書認証を無効にして、匿名アクセスを有効にする必要があります。これは、一見間違っているように感じるかもしれませんが、サイトをポータルとフェデレートして、ポータルのユーザーとロールを読み取ることができるようにするために必要です。ArcGIS Server サイトで PKI ベースのクライアント証明書認証を使用していない場合、上記の操作は必要ありません。サーバーをポータルに追加する方法については、「ArcGIS Server サイトとポータルのフェデレーション」をご参照ください。
LDAP を使用したポータルの構成
最初に、すべての通信に HTTPS を使用するようにポータルを構成します。次に、LDAP のユーザーとグループを使用するように、ポータルのアイデンティティ ストアを更新します。
すべての通信に HTTPS を使用するようにポータルを構成します。
- 組織サイトの管理者としてポータル Web サイトにサイン インします。URL の形式は https://webadaptorhost.domain.com/webadaptorname/home です。
- [組織] ページで [サイト設定] をクリックしてから [セキュリティ] をクリックします。
- [HTTPS のみを使用したポータルへのアクセスを許可] をオンにします。
- [保存] をクリックして、変更内容を適用します。
ポータルのアイデンティティ ストアの更新
- 組織の管理者として ArcGIS Portal Directory にサイン インします。URL の形式は https://webadaptorhost.domain.com/webadaptorname/portaladmin です。
- [Security] → [Config] → [Update Identity Store] の順にクリックします。
- [User store configuration (in JSON format)] テキスト ボックスに、組織の LDAP ユーザー構成情報を (JSON 形式で) 入力します。また、組織に固有のユーザー情報を次のサンプルに反映させることもできます。
{ "type": "LDAP", "properties": { "userPassword": "secret", "isPasswordEncrypted": "false", "user": "uid=admin,ou=system", "userFullnameAttribute": "cn", "ldapURLForUsers": "ldaps://bar2:10636/ou=users,ou=ags,dc=example,dc=com", "userEmailAttribute": "mail", "usernameAttribute": "uid", "caseSensitive": "false", "userSearchAttribute": "dn" } }
ほとんどの場合、[user]、[userPassword]、[ldapURLForUsers]、および [userSearchAttribute] パラメーターの値を変更するだけで済みます。userSearchAttribute は、PKI 認証の Subject パラメーターの値です。組織が PKI 認証で電子メールなどの別の属性を使用している場合、userSearchAttribute を更新して、PKI 認証の Subject パラメーターと一致させる必要があります。LDAP の URL は、LDAP 管理者が提供する必要があります。
上記の例では、LDAP URL は特定の OU (ou = ユーザー グループ) 内のユーザーを参照します。ユーザーが複数の OU に存在する場合、LDAP URL は高レベル OU にポイントするか、必要であればルート レベルをポイントします。その場合は、URL は以下のようになります。
"ldapURLForUsers": "ldaps://bar2:10636/dc=example,dc=com",
user パラメーターに使用するアカウントは、組織サイト内のユーザーの電子メール アドレスとユーザー名を検索する権限を持つ必要があります。パスワードをプレーン テキストで入力しても、[Update Configuration] (下記) をクリックすると、そのパスワードが暗号化されます。
LDAP が大文字と小文字を区別するように構成されている場合は、[caseSensitive] パラメーターを [true] に設定します。
- ポータルに、アイデンティティ ストア内の既存のエンタープライズ グループを利用するグループを作成するには、次に示されているように、[Group store configuration (in JSON format)] テキスト ボックスに組織の LDAP グループ構成情報を (JSON 形式で) 入力します。また、組織に固有のグループ情報を次のサンプルに反映させることもできます。ポータルの組み込みグループのみを使用する場合は、テキスト ボックス内の情報をすべて削除し、この手順をスキップしてください。
{ "type": "LDAP", "properties": { "userPassword": "secret", "isPasswordEncrypted": "false", "user": "uid=admin,ou=system", "ldapURLForUsers": "ldaps://bar2:10636/ou=users,ou=ags,dc=example,dc=com", "ldapURLForRoles": "ldaps://bar2:10636/dc=example,dc=com", "usernameAttribute": "uid", "caseSensitive": "false", "userSearchAttribute": "dn", "memberAttributeInRoles": "member", "rolenameAttribute":"cn" } }
ほとんどの場合、[user]、[userPassword]、[ldapURLForUsers]、[ldapURLForUsers]、および [userSearchAttribute] パラメーターの値を変更するだけで済みます。userSearchAttribute は、PKI 認証の Subject パラメーターの値です。組織が PKI 認証で電子メールなどの別の属性を使用している場合、userSearchAttribute を更新して、PKI 認証の Subject パラメーターと一致させる必要があります。LDAP の URL は、LDAP 管理者が提供する必要があります。
上記の例では、LDAP URL は特定の OU (ou = ユーザー グループ) 内のユーザーを参照します。ユーザーが複数の OU に存在する場合、LDAP URL は高レベル OU にポイントするか、必要であればルート レベルをポイントします。その場合は、URL は以下のようになります。
"ldapURLForUsers": "ldaps://bar2:10636/dc=example,dc=com",
user パラメーターに使用するアカウントは、組織サイト内のグループ名を検索する権限を持つ必要があります。パスワードをプレーン テキストで入力しても、[Update Configuration] (下記) をクリックすると、そのパスワードが暗号化されます。
LDAP が大文字と小文字を区別するように構成されている場合は、[caseSensitive] パラメーターを [true] に設定します。
- [Update Configuration] をクリックして、変更内容を保存します。
- 可用性の高いポータルを構成している場合は、各ポータル コンピューターを再起動します。詳細な手順については、「ポータルの停止と起動」をご参照ください。
ポータルにエンタープライズ アカウントを追加する
デフォルトでは、エンタープライズ ユーザーはポータル Web サイトにアクセスできます。ただし、エンタープライズ ユーザーは、組織内の全員で共有しているアイテムしか表示できません。これは、エンタープライズ アカウントがポータルに追加されておらず、またアクセス権限も付与されていないからです。
次のいずれかの方法で、ポータルにアカウントを追加します。
- Portal for ArcGIS サイト (1 つずつ、もしくは CSV ファイルまたは既存のエンタープライズ グループから一括で追加可能)
- Python スクリプト
- コマンド ライン ユーティリティ
- 自動
少なくとも 1 つのエンタープライズ アカウントをポータルの管理者として指定することをお勧めします。これを行うには、アカウントを追加する際に [管理者] ロールを選択します。代わりのポータル管理者アカウントをお持ちの場合は、初期管理者アカウントにユーザー ロールを割り当てたり、このアカウントを削除したりすることができます。詳細については、「初期管理者アカウントについて」をご参照ください。
アカウントを追加して、次の手順をすべて実行したら、組織にサイン インし、コンテンツにアクセスできるようになります。
PKI 認証を使用するための ArcGIS Web Adaptor の構成
ArcGIS Web Adaptor (Java Platform) をポータルにインストールして構成したら、Java アプリケーション サーバー上に LDAP のレルムを構成し、ArcGIS Web Adaptor に対して PKI ベースのクライアント証明書認証を構成します。手順については、システム管理者に問い合わせるか、Java アプリケーション サーバーの製品ドキュメントでご確認ください。
LDAP と PKI を使用してポータルにアクセスできることを確認する
- ポータル Web サイトを開きます。URL の形式は https://webadaptorhost.domain.com/webadaptorname/home です。
- セキュリティ認証情報が求められ、Web サイトにアクセスできることを確認します。
ユーザーが独自の組み込みアカウントを作成できないようにする
ユーザーが独自の組み込みアカウントを作成できないようにするには、ポータル Web サイトにある [アカウントの作成] ボタンとサインアップ ページ (signup.html) を無効にします。このようにすると、メンバー全員がエンタープライズ認証情報を使用してポータルにサイン インするようになり、不要なメンバー アカウントを作成できなくなります。詳細な手順については、「組み込みポータル アカウントを作成するユーザーの機能の無効化」をご参照ください。