ダウンタイムを最小限に抑える必要がある組織では、可用性が高くなるように ArcGIS Enterprise の配置を構成する必要があります。配置の可用性を高くするには、ポータルを含む配置のすべてのコンポーネントの可用性を高くする必要があります。このトピックでは、配置のポータル コンポーネントの構成について説明します。可用性の高いポータルを構成するには、2 台のコンピューターに Portal for ArcGIS ソフトウェアをインストールします。1 台目のコンピューターでポータルを構築し、2 台目のコンピューターをポータルに参加させます。
高可用性の構成は、ポータル管理、スクリプト処理、およびネットワークについての十分な理解を必要とする高度な作業です。Portal for ArcGIS をインストールして構成する前に、リクエストをポータル ソフトウェアに転送するように、組織のロード バランサーを構成する必要があります。また、ポータルのコンテンツ ディレクトリを含めるようにファイル サーバーを設定し、ArcGIS Server と Portal for ArcGIS との通信手段を決定する必要があります。Esri では、高可用性ポータルの構成要件を理解している組織の情報技術 (IT) スタッフと協力することをお勧めします。
このアーキテクチャでは、ロード バランサーまたはリバース プロキシ サーバーが構成され、組織へのゲートウェイとして動作します。Web 層認証を使用する場合は、ArcGIS Web Adaptor が必要です。Web サーバーの可用性が高い場合は、ArcGIS Web Adaptor をゲートウェイにすることもできます。可用性が高くない場合は、もう 1 つの ArcGIS Web Adaptor を構成できます。この場合、Web Adaptor を構成する前に、ロード バランサーをポータルで構成する必要があります。Web 層認証を使用しない場合、ArcGIS Web Adaptor は必要ありません。
どちらのポータル コンピューターにも、コンテンツに関する情報を格納するシステム データベースが含まれます。1 台目のコンピューター上のポータル システム データベースは、変更内容を 2 台目のコンピューターのデータベースに複製します。インデックス サービスにより、両方のコンピューターでユーザーとアイテム検索の同期が維持されます。
ほとんどの場合、少なくとも 1 つの GIS Server サイトを使用して、ポータルのホスティング サーバーとして構成します。Esri では、ポータルとホスティング サーバー間のリクエストをロード バランサーを使用して分散することをお勧めします。これにより、GIS Server サイトからのリクエストは可用性の高い方法でポータルに送信されます。ロード バランサーをゲートウェイとして使用する一方で、ホスティング サーバーとの内部通信には使用しない場合は、内部通信専用のロード バランサーをもう 1 つ追加できます。ArcGIS Web Adaptor をゲートウェイとして使用する場合、すべてのパブリック トラフィックは ArcGIS Web Adaptor で処理され、すべての内部トラフィックは、追加したネットワーク ロード バランサーで処理されます。このネットワーク ロード バランサーは、2 台のポータル コンピューターの前に配置され、両方のポータル コンピューター上のポート 7443 に対して負荷分散を直接実行します。
このトピックでは、主に可用性の高い ArcGIS Enterprise の配置における Portal for ArcGIS コンポーネントの構成とアップグレードについて説明しますが、高可用性ポータルで構成する ArcGIS Server サイトもデータ ストアと同様に可用性が高くなるように構成する必要があります。「可用性の高い ArcGIS Enterprise の構成」は、その他のコンポーネントを構成するための概要とドキュメントへのリンクを提供します。
可用性の高いポータルを構成するための前提条件
高可用性ポータルのコンポーネントを次に示します。
ロード バランサー - 分散アルゴリズムを使用し、必要に応じて両方のポータル コンピューターの間でネットワーク トラフィックを負荷分散するサードパーティ製コンポーネント。ポータルのスケーラビリティと可用性を向上させるのに役立ちます。NLB は、コンピューターの障害を検出し、利用可能なポータル コンピューターにトラフィックを自動的に再分散することで、高可用性を実現する必要があります。ポータル管理 API を通じてアクセスする状態チェックを使用して、ポータル内のコンピューターの障害を検出できます。ArcGIS Web Adaptor を使用する場合、負荷のコンテキスト名は、ArcGIS Web Adaptor のコンテキストと同じにする必要があります (たとえば、ArcGIS Web Adaptor のコンテキストが https://lb.domain.com/portal の場合は、portal)。ArcGIS Web Adaptor をゲートウェイとして使用している場合、ロード バランサーはオプションです。
注意:
ArcGIS Web Adaptor を使用していない場合、ロード バランサーのコンテキスト名は 1 レベルだけ下であることを確認してください。たとえば、https://lb.domain.com/enterprise などのロード バランサーの URL は使用できますが、https://lb.domain.com/myorg/enterprise などのロード バランサーの URL は使用できません。
可用性の高いファイル サーバー - ポータルのコンテンツ ディレクトリを格納および共有するサードパーティ製のコンポーネント。選択するファイル ディレクトリには、両方のコンピューターと、Portal for ArcGIS のインストールに使用するアカウントからアクセス可能でなければなりません。両方のポータル コンピューターで、同じアカウントを使用する必要があります。
2 台の Portal for ArcGIS コンピューター - 高可用性を構成するには、Portal for ArcGIS がインストールされた 2 台の独立したコンピューターが必要です。これらのコンピューターは最小オペレーティング システム要件を満たしている必要があり、また同じアカウントを使用してポータル ソフトウェアをインストールする必要があります。
ArcGIS Web Adaptor - Portal for ArcGIS に含まれるオプション コンポーネントであり、Web 層認証の提供に使用できます。Web 層認証を使用しない場合、ArcGIS Web Adaptor は必要ありません。詳細については、「ArcGIS Web Adaptor について」をご参照ください。
ArcGIS GIS Server - Portal for ArcGIS には、ポータルに公開したサービスを実行するホスティング サーバーが必要です。また、スタンドアロン GIS Server サイトのアイテムを追加するか、他の ArcGIS Server サイトをポータルとフェデレートして、GIS Web サービスをポータル組織の他のユーザーが利用できるようにすることができます。ポータルで ArcGIS Server を使用すると、「Portal for ArcGIS でのサーバーの使用」に記載されているように、さまざまな利点があります。
ポータルの構成
可用性の高いポータルを構成するには、次の手順に従います。
注意:
可用性の高いポータルを 10.6.1 にアップグレードするには、このトピックの「アップグレード」セクションの手順に従います。
ステップ 1: ファイル サーバーでのポータル コンテンツ ディレクトリの設定
可用性の高い構成では、ポータルのコンテンツ ディレクトリを両方のコンピューターで共有します。コンテンツ ディレクトリは、両方のコンピューターと、Portal for ArcGIS のインストールに使用するアカウントからアクセスできるように設定する必要があります。両方のポータル コンピューターで、同じアカウントを使用する必要があります。
- ファイル サーバーで、ポータルのコンテンツ ディレクトリに使用するディレクトリを作成し、両方のポータル コンピューターからアクセスできるように、このディレクトリを共有します。たとえば、/net/share/portal/content。
- Portal for ArcGIS のインストールに使用するアカウントに、ディレクトリに対する 700 の権限を付与します。
- 両方のコンピューターで、アカウントからディレクトリにアクセスできることを確認します。
ポータルが構成された後にすぐ、コンテンツ ディレクトリの場所を変更する必要がある場合は、詳細について「ポータル コンテンツ ディレクトリの変更」をご参照ください。
ステップ 2: 1 台目のポータル コンピューターのインストールと構成
- 1 台目のポータル コンピューターでは、5701 ~ 5703、7005、7099、7654、7120、7220 の各ポートについて、ファイアウォールがトラフィックの通過を許可していること、他のアプリケーションが使っていないことを確認してください。可用性の高い配置では、コンピューター間の通信および同期にこれらのポートを使用します。
- 1 台目のコンピューターに Portal for ArcGIS をインストールします。詳細な手順については、「Portal for ArcGIS のインストール」をご参照ください。
- ポータル Web サイトを開き、ポータルを作成します。Web サイトに対応する URL の形式は、https://p1.domain.com:7443/arcgis/home です。ポータルを作成する場合は、初期管理者アカウントの情報と認証情報を定義し、コンテンツ ディレクトリの場所を指定します。どちらのポータル コンピューターからもコンテンツ ディレクトリの場所にアクセスできることを確認します。初期管理者アカウントは、オペレーティング システム アカウントではないため、Portal for ArcGIS のインストールに使用されるアカウントとの関連性はありません。
ポータルの可用性を真に高めるには、コンテンツ ディレクトリを高可用性ファイル サーバーに配置する必要があります。
- ポータルを作成すると、ポータルが再起動されることを示すメッセージが表示されます。[OK] をクリックします。
ステップ 3: 2 台目のポータル コンピューターのインストールと構成
- 2 台目のポータル コンピューターでは、5701 ~ 5703、7005、7099、7654、7120、7220 の各ポートについて、ファイアウォールがトラフィックの通過を許可していること、他のアプリケーションが使っていないことを確認してください。可用性の高い配置では、コンピューター間の通信および同期にこれらのポートを使用します。
- 2 台目のコンピューターに Portal for ArcGIS をインストールします。インストールする場合は、1 台目のコンピューターにソフトウェアをインストールしたときと同じアカウントを使用します。手順の詳細については、「Portal for ArcGIS のインストール」をご参照ください。
- ポータル Web サイトを開き、このポータルを 1 台目のコンピューター上に作成したポータルに参加させます。Web サイトに対応する URL の形式は、https://p2.domain.com:7443/arcgis/home です。ArcGIS Web Adaptor を介してポータルに参加することはできません。両方のポータル コンピューターで Portal for ArcGIS のバージョンが同じであり、どちらのインストールも同じレベルでライセンス認証されていることを確認します。
- [既存のポータルに参加] をクリックします。
- 参加する既存のポータルの URL を [ポータルの URL] に入力します。この URL の形式は、https://p1.domain.com:7443 です。
- 既存のポータルの管理者ユーザー名と管理者パスワードを [管理者のユーザー名] と [管理者のパスワード] にそれぞれ入力します。
- [参加] をクリックします。
- 必要に応じて、ポータルのフェイルオーバー プロパティを定義できます。可用性の高いポータルでは、ポータル コンピューターでエラーが発生したかどうかを確認するチェックが実行されます。次の手順に従って、コンピューターのステータス チェックを実行する間隔 (秒単位) と頻度を設定できます。これらのプロパティは、ポータル コンピューターごとに変更する必要があり、両方のコンピューターで同じにしなければなりません。
- <installdir>/arcgis/portal/framework/etc に移動して portal-ha-config.properties を開きます。
- portal.ha.monitor.interval プロパティを編集して、1 回のチェックが実行されてから次のチェックが実行されるまでの待機時間を設定します。デフォルト値は 30 秒です。
- portal.ha.monitor.frequency プロパティを編集して、フェイルオーバーが行われるまでのチェックの実行回数を設定します。デフォルト値は 5 回です。
- *portal-ha-config.properties ファイルを保存します。
- ポータルを再起動し、変更内容を反映させます。
- 2 台目のポータル コンピューターでも、これらの手順を繰り返します。
注意:
両方のポータル コンピューターで正確に同じフェイルオーバー プロパティを使用します。
ステップ 4: ArcGIS Web Adaptor のインストールと構成
Web 層認証を使用する場合は、ArcGIS Web Adaptor をインストールして構成する必要があります。ArcGIS Web Adaptor は、Web サーバーのポート 80 および 443 のみで使用できます。別のポートの使用はサポートされていません。Web 層認証を使用しない場合、ArcGIS Web Adaptor は必要ありません。
- Web サーバー コンピューターに ArcGIS Web Adaptor をインストールします。詳細な手順については、Java (Linux) のインストールに関するトピックをご参照ください。
- 1 台目のポータル コンピューターで ArcGIS Web Adaptor を構成します。[ポータルの URL] を指定する際には、一方のポータル コンピューターの URL を入力します (たとえば、https://p1.domain.com:7443)。手順については、Java (Linux) の構成に関するトピックをご参照ください。
注意:
ArcGIS Web Adaptor を介してポータルを作成したり、ポータルに参加したりすることはできません。ポータルを作成する場合とポータルに参加する場合には、https://portal.domain.com:7443 形式のポータル Web サイトの URL を使用します。
ステップ 5: ポータル コンピューター向けのロード バランサーの構成
- ArcGIS Web Adaptor を使用する場合、ロード バランサーのコンテキスト名は ArcGIS Web Adaptor のコンテキストと同じにする必要があります。ArcGIS Web Adaptor を使用しない場合は、ロード バランサーのコンテキスト名を選択し、ロード バランサーを構成して使用します。
- ロード バランサーで HTTPS を構成します。Portal for ArcGIS では一部の通信に HTTPS が必要となるため、この構成を行わなければなりません。ロード バランサーの製品マニュアルで、HTTPS の設定方法を確認してください。
- リクエストを両方のポータル コンピューター (p1.domain.com と p2.domain.com) に分散するように、ロード バランサーを構成します。
- 負荷構成で、X-Forwarded-Host ヘッダーを設定します。Portal for ArcGIS は、ロード バランサーから送信されるヘッダー内に設定されているこのプロパティを確認して、ロード バランサーの URL に一致するリクエストをロード バランサーに返します。たとえば、Portal for ArcGIS の REST エンドポイント (https://lb.domain.com/arcgis/sharing/rest) に対するリクエストは、同じ URL としてクライアントに返されます。このプロパティが設定されていない場合、Portal for ArcGIS は、リクエストが転送された内部コンピューターの URL を返すことがあります (たとえば、https://p1.domain.com/arcgis/sharing/rest ではなく https://lb.domain.com/arcgis/sharing/rest)。このような場合は、クライアントがこの URL にアクセスできなくなる (一般的に、ブラウザーの 404 エラーとして知られている) ため、問題が起こりがちになります。また、クライアントはその内部コンピューターについての情報の一部にアクセスすることにもなります。
- Web 層認証を使用しない場合は、リクエストをポート 7080 (HTTP) と 7443 (HTTPS) に分散するようにロード バランサーを構成します。Portal for ArcGIS は、デフォルトでこれらのポートを使用して通信を行うため、これらのポートを構成の一部として含める必要があります。たとえば、Apache の場合は、httpd.conf および httpd-ssl.conf の構成ファイルでポートを指定します。詳細については、「Portal for ArcGIS で使用されるポート」をご参照ください。
- Web 層認証を使用している場合、リクエストをポート 80 (HTTP) と 443 (HTTPS) に分散するようにロード バランサーを構成します。ArcGIS Web Adaptor では、Web サーバーのポート 80 および 443 しか使用できません。別のポートの使用はサポートされていません。Web Adaptor から 200 の応答ではなく 401 の応答を想定するように状態チェックの URL を更新します。
- ロード バランサーのコンテキスト名 (WebContextURL プロパティ) を設定します。
- Web ブラウザーを開き、ArcGIS Portal Directory に組織の管理者としてサイン インします。ArcGIS Portal Directory の URL の形式は、https://portal.domain.com:7443/arcgis/portaladmin です。
- [System] > [Properties] > [Update Properties] の順にクリックします。
- [Update System Properties] ダイアログ ボックスで、次の JSON を挿入し、ユーザー独自のロード バランサーの URL に置き換えます。
{ "WebContextURL": "https://lb.domain.com/arcgis" }
- [Update Properties] をクリックします。
- 状態チェックの URL を使用するようにロード バランサーを構成します。これにより、1 台のコンピューターが使用不能になった場合にロード バランサーが各ポータル コンピューターをチェックするようになります。
ステップ 6: 可用性の高い Web サーバー層を実現するための 2 つ目の ArcGIS Web Adaptor のインストールと構成
2 つ目の ArcGIS Web Adaptor を構成できるのは、ポータルで WebContextURL プロパティがすでに構成されている場合に限ります。
- Web サーバー コンピューターに ArcGIS Web Adaptor をインストールします。詳細な手順については、Java (Linux) のインストールに関するトピックをご参照ください。
- ポータルで使用できるように ArcGIS Web Adaptor を構成します。[ポータルの URL] を指定する際には、一方のポータル コンピューターの URL を入力します (たとえば、https://p1.domain.com:7443)。手順については、Java (Linux) の構成に関するトピックをご参照ください。
ステップ 7: ポータルのホスティング サーバーの構成
Portal for ArcGIS には、ホスト Web レイヤーの公開やポータル Web サイトのMap Viewerへの CSV ファイルの追加などのタスクをメンバーが実行できるようにするためのホスティング サーバーが必要です。1 つのポータルに 1 台のホスティング サーバーを指定できます。
2 台目のロード バランサーを GIS Server とポータル間の通信を許可するように設定することで可用性を高め、GIS Server サイトをポータルのホスティング サーバーとして設定します。
- ステップ 5 の手順に従って、2 台目のロード バランサーを設定します。このロード バランサーは、両方のポータル コンピューター上のポート 7443 にリクエストを直接送信します。
ステップ 5 の例で、コンテキストは arcgis に設定されているため、ロード バランサーのコンテキスト名は arcgis に設定する必要があります (例: https://lbprivate.domain.com:7443/arcgis)。
- privatePortalURL プロパティを設定します。
- Web ブラウザーを開き、ポータル組織のデフォルトの管理者ロールのメンバーとして、ArcGIS Portal Directory にサイン インします。ArcGIS Portal Directory の URL の形式は、https://portal.domain.com:7443/arcgis/portaladmin です。
- [System] > [Properties] > [Update Properties] の順にクリックします。
- [Update System Properties] ダイアログ ボックスで、次の JSON を挿入し、ユーザー独自のロード バランサーの URL に置き換えます。
{ "privatePortalURL": "https://lbprivate.domain.com:7443/arcgis" }
注意:
この URL には、X-Forwarded-Host ヘッダーを設定しないでください。
- [Update Properties] をクリックします。
- ArcGIS Server と可用性の高いポータル配置をフェデレートするには、「ArcGIS Server サイトとポータルのフェデレーション」をご参照ください。
- 以下の手順に従って、このフェデレーション サーバーをポータルのホスティング サーバーとして構成します。
ステップ 8: 追加の ArcGIS Server サイトのフェデレート
追加の GIS Server サイトをポータルとフェデレートしたり、別の ArcGIS Server サイト (ArcGIS GeoAnalytics Server、ArcGIS GeoEvent Server、ArcGIS Image Server サイトなど) をフェデレートしたりすることができます。これらの追加サイトでは、2 台目のロード バランサー (ステップ 7 で構成したロード バランサー) を使用して、ポータルと通信できます。
可用性の高いポータルのアップグレード
以下のセクションの手順に従って、可用性の高いポータルを 10.6.1 にアップグレードします。
両方のコンピューターでインストーラーを実行
可用性の高いポータルをアップグレードするには、両方のポータル コンピューターに 10.6.1 10.6.1 ソフトウェアを、2 つ目 (スタンバイ) コンピューターから先にインストールします。
レガシー:
10.6.1 より前のバージョンでは、スタンバイ コンピューターで Portal for ArcGIS ソフトウェアをアンインストールした後、再インストールして、アップグレード後のプライマリ コンピューターに結合する必要がありました。この必要がなくなったので、この方法でアップグレードしようとすると、エラー メッセージが表示されます。
- 2 つ目のポータル コンピューターに Portal for ArcGIS 10.6.1 をインストールします。詳細な手順については、「Portal for ArcGIS のインストール」をご参照ください。
- インストールが完了したら、新しい認証ファイルを使って Portal for ArcGIS を認証する必要があります。
- 1 つ目のポータル コンピューターで、インストールと認証の手順を繰り返します。
ポータルのアップグレードの継続
両方のコンピューターでインストーラーの実行を完了したら、構成の 1 つ目の (プライマリ) ポータル コンピューターでアップグレードを継続します。スタンバイでアップグレードを実行しようとすると、エラー メッセージが表示されます。
- 1 つ目のポータル コンピューターの Web サイトを開いて、[ポータルのアップグレードの継続] を選択します。Web サイトに対応する URL の形式は、https://p1.domain.com:7443/arcgis/home です。初期管理者アカウントのユーザー名、パスワード、電子メール、および本人に関する質問と答えを指定します。アップグレードでは、コンテンツ ディレクトリの場所は変更できないため、ポータルのコンテンツ ディレクトリの場所に関するダイアログ ボックスはグレー表示になります。[作成] をクリックします。アップグレードが起動し、ポータルのコンテンツ、サイト情報、およびセキュリティ設定のバックアップが作成されます。この手順は、完了するまでに数分かかります。このプロセスを中断しないでください。初期管理者アカウントはオペレーティング システム アカウントではないため、Portal for ArcGIS のインストールに使用するアカウントとの関連性はありません。
注意:
初期管理者アカウントに入力する情報は、以前のバージョンのポータルで指定したアカウント情報と一致する必要はありません。新しい情報を入力した場合、この手順により新しいアカウントが作成され、既存の初期管理者アカウントは維持されます。以前のバージョンと同じアカウント情報を入力した場合、既存のアカウントが初期管理者として使用されます。
- アップグレードが完了すると、ポータルが再起動されることを示すメッセージが表示されます。[OK] をクリックします。
アップグレード後の手順の実行
可用性の高いポータルのアップグレードが完了したら、以下のアップグレード後の手順を、再び 1 つ目のポータル コンピューターで実行します。
- ArcGIS Portal Directory を開き、初期管理者アカウントでサイン インします。URL の形式は、https://p1.domain.com:7443/arcgis/portaladmin です。
- ディレクトリ ページに、コンピューターが完全にはアップグレードされていないという警告メッセージが表示されます。[OK] をクリックしてアップグレード後の操作を実行します。
- [System] > [Indexer] > [Reindex] の順にクリックします。
- [Mode] ドロップダウン リストをクリックして、[Full] を選択します。
- [Reindex] をクリックします。この手順で、ポータルのアップグレードが完了します。ポータルのユーザー数およびコンテンツのボリュームによって、インデックスの再構築が完了するまでにかかる時間は異なります。インデックスの再構築プロセスを中断しないでください。インデックスの状態を監視するには、新しいブラウザー ウィンドウ (またはタブ) を開き、[System] > [Indexer] > [Index Status] の順に移動して、そのページを更新します。[store] と [index] のカウントが同じであれば、インデックスの再構築とアップグレードは完了しています。
- 管理者としてサイン インしている間に、ArcGIS Living Atlas of the World コンテンツをアップグレードします。[組織] > [サイト設定] > [ArcGIS Online] の順に選択します。[Living Atlas コンテンツの構成] セクション内にある [コンテンツのアップグレード] をクリックします。ポータルで [ArcGIS Online] コンテンツのアップグレードが終了するまで、[ArcGIS Online] ページを閉じないでください。[保存] をクリックして、[組織] ページに戻ります。Living Atlas コンテンツにアクセスするようにポータルが構成されていない場合、この手順は必要ありません。
ルート証明書の置換
Portal for ArcGIS 10.3 または 10.3.1 からアップグレードした際に、1 台目のポータル コンピューターと 2 台目のポータル コンピューター間の証明書を信頼するようにポータルが構成されていた場合は、アップグレードの後で、プライマリ ポータル コンピューターとセカンダリ ポータル コンピューターの両方にもう一度証明書をインポートする必要があります。
Portal for ArcGIS 10.4、10.4.1、または 10.5 からアップグレードした際に、1 台目のポータル コンピューターと 2 台目のポータル コンピューター間の証明書を信頼するようにポータルが構成されていた場合は、アップグレードの後で、セカンダリ コンピューターにもう一度証明書をインポートする必要があります。
ArcGIS Web Adaptor のインストールと構成
ArcGIS Web Adaptor を使用している場合は、次の手順に従って、新規の ArcGIS Web Adaptor をインストールし、ポータルで使用できるように構成します。
注意:
ArcGIS Web Adaptor を使用せず、以前のバージョンの高可用性ポータルの前段でロード バランサーが使用されていた場合、ポータル内に構成されている ArcGIS Web Adaptor の登録を解除し、システム プロパティを更新して、ロード バランサーの URL を示すWebContextURL プロパティを追加します。
- Web サーバー コンピューターに ArcGIS Web Adaptor バージョン 10.6.1 をインストールします。詳細な手順については、Java (Linux) のインストールに関するトピックをご参照ください。
- ポータルで使用できるように ArcGIS Web Adaptor を構成します。[ポータルの URL] を指定する際には、一方のポータル コンピューターの URL を入力します (たとえば、https://p1.domain.com:7443)。手順については、Java (Linux) の構成に関するトピックをご参照ください。
- WebContextURL プロパティを設定します。
- Web ブラウザーを開き、ポータル組織のデフォルトの管理者ロールのメンバーとして、ArcGIS Portal Directory にサイン インします。ArcGIS Portal Directory の URL の形式は、https://portal.domain.com:7443/arcgis/portaladmin です。
- [System] > [Properties] > [Update Properties] の順にクリックします。
- [Update System Properties] ダイアログ ボックスで、次の JSON を挿入し、ユーザー独自のロード バランサーの URL に置き換えます。
{ "WebContextURL": "https://lb.domain.com/arcgis" }
- [Update Properties] をクリックします。
- WebContextURL プロパティの設定が終了したら、1 つ目の ArcGIS Web Adaptor を再構成します。
- 2 つ目の ArcGIS Web Adaptor をインストールし、ポータルで使用できるように構成します。
残りの ArcGIS コンポーネントのアップグレード
配置環境にある残りの ArcGIS コンポーネントを 10.6.1 にアップグレードします
- ArcGIS Server (10.6.1 のセットアップを実行してアップグレードします)。
- ArcGIS Data Store (10.6.1 のセットアップを実行してアップグレードします)
ヒント:
「Portal for ArcGIS のアップグレード」には、配置環境を 10.6.1 にアップグレードする際のその他の注意事項が記載されています。