ArcGIS Enterprise は、発生するイベントと、それらのイベントに関連するエラーをログに記録します。 ログは、組織の問題を監視してトラブルシューティングするための重要なツールです。 ログの情報は、エラーを特定し、問題の対処方法を理解するのに役立ちます。 ログは、時間の経過に伴うイベントの履歴でもあります。
たとえば、次のイベントはログに記録されます。
- ソフトウェアの認証やポータルの作成など、インストールおよびアップグレードのイベント
- ホスト サービス、Web マップ、データ アイテムなど、サービスとアイテムの公開
- アイテムの共有、アイテムの所有権の変更、およびアイテムの追加、更新、移動、削除などのコンテンツ管理イベント
- 組織サイトにサイン インするユーザー、ユーザーの作成、削除、無効化、ユーザー ロールの作成と変更、HTTP および HTTPS 設定の更新、セキュリティ証明書のインポートとエクスポート、ポータルのアイデンティティ ストアの更新などのセキュリティ イベント
- グループの追加と構成、ユーザーのグループへの追加または削除、ギャラリー、ベースマップ、ユーティリティ サービス、フェデレーション サーバーの構成、ログ設定の構成やログの削除などの組織管理イベント
- ポータルの検索インデックスの更新やポータルの再起動などの一般イベント
次のイベントは、ログに記録されません。
- 組織サイトからログアウトするユーザー
- ArcGIS Server サイトとポータルのフェデレーションとフェデレーション解除
- アイテムを編集およびクエリする REST リクエスト
Portal Administrator Directory から ArcGIS Enterprise コンポーネント全体のログを検索できますが、すべてのイベント フィルターをサーバー ログで使用できるわけではありません。 その他のフィルター オプションについては、ArcGIS Server Manager からサーバー ログを検索します。
インストールおよびアップグレードのログの動作
ArcGIS Enterprise をインストールまたはアップグレードすると、各コンポーネントのログ レベルは [冗長] に設定されます。 これは、インストールまたはアップグレード プロセス中にメッセージが非常に詳細にログに記録されるという意味です。
Portal for ArcGIS のインストールまたはアップグレード時に障害が発生し、トラブルシューティングのためにログを調べたい場合は、Portal Administrator Directory にアクセスできるかどうか確認します。 アクセスできる場合は、ログをクエリ検索してメッセージを確認します。 アクセスできない場合は、ハードディスク上のログ メッセージを確認します。 ハードディスク上のログにアクセスするには、ログ ディレクトリを参照して、最新のログ ファイル (たとえば、C:\arcgisportal\logs\<machine name>\portal\portal-20150101.095803-8596-0.0.log) を開きます。 必要な場合は、この情報を Esri Support と共有できます。
インストールまたはアップグレード プロセスの完了後、各コンポーネントのログ レベルはデフォルトで [警告] に設定されます。 これは、重要度が中~大の問題のみがログに記録されるという意味です。 ユーザーから問題が報告された場合は、その特定の問題についてより詳細なメッセージをキャプチャするようログ レベルを変更する必要があります。 ログのレベルを変更する方法の詳細については、「ポータル ログ設定の指定」および「サーバー ログ設定の指定」をご参照ください。
ログについて
すべてのイベントでは、ログ レベルの種類、イベントの発生時間、イベントをログに記録したソース コンポーネント、イベントが発生したコンピューター、イベントに関連付けられたユーザー、ログ コード、プロセス ID など、具体的情報が記録されます。 これらすべての情報は、トラブルシューティングを効果的に行ううえで役立ちます。 次のセクションでは、これらの情報について詳しく説明します。
ログの種類
ログに記録されるイベントは、迅速な対処を必要とする問題を示す [重大] から、組織サイトの通常の使用を通じて生成される詳細な情報メッセージである [冗長] まで、その詳細のレベルが異なります。
ログ レベルには次のタイプがあります。
レベル | 説明 | メッセージの例 |
---|---|---|
Severe | 迅速な対処を必要とする重大な問題。 このレベルには、重大メッセージのみが含まれます。 | The 'System/GPServer/PublishingTools' service is stopped or ArcGIS Server is not started. Verify these components are started and try again. |
警告 | 対処を必要とするがそれほど深刻ではない問題。 このレベルには重大メッセージも含まれます。 | Organization updated: HTTP access disabled. The portal can only be accessed through HTTPS. |
情報 | 更新される組織サイトの設定に関するメッセージなど、一般的な管理メッセージ。 このレベルには重大メッセージと警告メッセージも含まれます。 | User 'asmith' signed in to the portal. |
詳細 | 操作名や受信したリクエストなど、組織サイトの使用による一般的なメッセージ。 このレベルには重大メッセージ、警告メッセージ、情報メッセージが含まれます。 | Account settings updated. |
冗長 | 組織サイトで操作やリクエストがどのように実行されるかについての詳細を提供するメッセージ。 このレベルには重大メッセージ、警告メッセージ、情報メッセージ、詳細メッセージが含まれます。 | Setting log level to VERBOSE before creating new site. |
デバッグ | トラブルシューティング時に組織サイトの状態を適切に確認したい開発者やサポート技術者向けに設計された、非常に詳細なメッセージ。 このレベルを運用環境で使用しないでください。パフォーマンスの低下を招くおそれがあります。 問題のトラブルシューティングを行うのでなければ、代わりに [警告] レベルを使用してください。 | Failed to update index for item '44b37137e1f64de2bec832ab82043b86'. |
オフ | ログをオフにします。 イベントは組織サイトでログに記録されません。 | N/A |
メッセージ
ログに記録されたイベントに関連付けられているメッセージです。 メッセージは、ログ レベルの種類に応じた詳細のレベルによって異なります。
時間
ログに記録されたイベントが発生した時刻。 イベントは時系列で整理され、一番最近のイベントが最初に表示されます。 時間形式は yyyy-mm-ddThh:mm:ss です。
ソース
ポータルでログに記録されるイベントのソースは、次のいずれかです。
- [Sharing] - 公開およびユーザーに関連するイベント。
- [Portal Admin] - セキュリティおよびインデックスに関連するイベント。
- [Portal] - ソフトウェアのインストールに関連するイベント。
サーバーでログに記録されるイベントのソースは、サービスまたはサーバーです。 サービスに関連付けられているイベントの場合は、名前とサービスの種類がソース プロパティとして表示されます。 サーバーに関連付けられているイベントの場合は、メッセージをログに記録したフレームワーク コンポーネントの名前がソース プロパティとして表示されます。
以下に例を示します。
- SampleWorldCities マップ サービスに関係のあるイベントは、SampleWorldCities.MapServer と表示されます。
- サイトでサーバー クラスターが正常に作成された後、メッセージをログに記録したコンポーネントとして Admin が表示されます。
コンピューター
イベントが発生したコンピューター。
ユーザー
ログ メッセージを生じたリクエストを出したユーザーの名前。 このプロパティは、セキュリティが有効になっている場合に個々のユーザーの行動を追跡するときに役立ちます。
コード
メッセージに関連付けられたログ コード。 これらのコードは、固有の範囲と内容を備える 7 つのカテゴリに分かれています。
次の表に、ポータルのログ コードを示します。 サーバー ログ コードを確認するには、「ログ コード」をご参照ください。
カテゴリ | 範囲 | メッセージの内容 |
---|---|---|
公開 | 200000-201999 | ホストされたサービスの公開と削除 |
コンテンツ管理 | 202000-203999 | アイテムの追加、削除、更新、および移動 アイテムの所有権の変更 すべてのユーザー、組織、およびグループとのアイテムの共有 |
セキュリティ | 204000-205999 | 組み込みまたは組織固有のユーザーのログイン ポータル トークンの生成と構成 アカウントのサイン アップの無効化と有効化 ArcGIS Portal Directory の無効化と有効化 セキュリティ証明書のインポートまたはエクスポート ユーザーの作成、削除、および無効化 ユーザーのロール権限の変更 カスタム ロールの変更と削除 HTTPS および匿名アクセスの無効化と有効化 アイデンティティ ストアの更新 |
組織管理 | 206000-207999 | 組織サイトのホーム ページのカスタマイズ ギャラリー、ベースマップ、表示単位、ユーティリティ サービス、およびフェデレーション サーバーの構成 グループの作成と削除 グループへのユーザーの追加とグループからのユーザーの削除 グループへのユーザーの招待またはグループへの招待の受理 ArcGIS Pro ライセンスの構成 ArcGIS Web Adaptor 構成 ポータル コンテンツ ディレクトリの場所の変更 フォワードおよびリバース プロキシ サーバーの構成 ポータルの使用が認証された指定ユーザー数の超過 ログ設定の編集とログの削除 |
インストールとアップグレード | 208000-209999 | ソフトウェアのインストールとアップグレード、ポータル Web サイトの作成、およびソフトウェアの認証 |
検索インデックス | 210000-211999 | ポータルのアイテムの検索インデックスの生成 |
一般 | 212000-219999 | ポータルの再起動 可用性の高いポータルの構成 ポータルの通常の使用を通じて生成されるその他の一般的メッセージ |
処理
イベントをログに記録したコンピューターのプロセス ID
リクエスト ID
送信された各リクエストに付属している一意の ID 文字列です。この ID は、システムで該当するリクエストのライフサイクル全体を通して使用されます。