ArcGIS Enterprise on Amazon Web Services の使用を開始する前に、関連する用語と概念を習得します。
Amazon Machine Image (AMI)
Amazon Machine Image という事前構成済みのテンプレートを使用すると、Amazon Elastic Cloud Compute (EC2) 上に仮想コンピューターを作成できます。
Esri AMI は、AWS (アマゾン ウェブ サービス) Marketplace を介して使用できます。各 AMI には ArcGIS ソフトウェアと DBMS (データベース管理システム) が含まれており、スタンドアロン ArcGIS Server サイトの管理されたデータベースに使用できます。
ArcGIS Enterprise Cloud Builder Command Line Interface for Amazon Web Services
ArcGIS Enterprise Cloud Builder Command Line Interface for Amazon Web Services は、AWS CloudFormation テンプレートを使用して AWS 上への ArcGIS Enterprise の配置を自動化できるコマンド ライン ユーティリティです。
ArcGIS Server Cloud Builder on Amazon Web Services
注意:
ArcGIS 10.6.1 は、ArcGIS Server Cloud Builder on Amazon Web Services の最後のリリースです。ArcGIS Server サイトを配置するには、代わりに ArcGIS Enterprise Cloud Builder Command Line Interface for Amazon Web Services を使用します。
ArcGIS Server Cloud Builder on Amazon Web Services は、AWS 上での ArcGIS Server サイトの構築に役立つ、無料でダウンロードできるアプリです。このアプリはデスクトップ上で動作し、アプリにログインする際に Amazon アクセス キーとシークレット アクセス キーが必要です。このアプリにログインしたら、ArcGIS Server サイトで使用するオペレーティング システム、サイトに収容できるコンピューターの数、その他のパラメーターおよびオプションを選択します。
ArcGIS Server を使用して ArcGIS Server Cloud Builder on Amazon Web Services サイトを作成したら、アプリで作成した既存のサイトを編集することもできます。
AWS CloudFormation
テンプレートをコピーし、個別の要件に合わせて修正すること、あるいは、独自のテンプレートを作成して独自の配置パターンを実装することも可能です。
Esri は、ArcGIS Enterprise およびスタンドアロン ArcGIS Server サイトを配置できる CloudFormation サンプル テンプレート を提供しています。
AWS マネジメント コンソール
AWS マネジメント コンソールは、Amazon EC2 インスタンスを管理するための Amazon の Web ベースのインターフェイスです。AWS マネジメント コンソールを使用して、AWS 上の ArcGIS Enterprise および ArcGIS Server の配置を管理できます。たとえば、ストレージ ボリュームの追加、セキュリティ グループの調整などを行うことができます。
AWS マネジメント コンソールには、クラウドを利用するために Amazon で設定したアカウントを使用してログインする必要があります。AWS マネジメント コンソールでは、ユーザーのアカウント情報や累積料金を表示できます。
DynamoDB
Amazon DynamoDB は、AWS によって管理される NoSQL データベース サービスであり、リクエストに応じてテーブルのデータおよびトラフィックを複数のサーバーに分散します。
DynamoDB は、AWS 上の高可用性 ArcGIS Server サイトの構成ストアに使用できます。
EC2 インスタンス
EC2 インスタンスは、Amazon Elastic Compute Cloud 上に作成できる仮想コンピューターです。ArcGIS では、オペレーティング システムで事前に構成された AMI と、インストール済みの ArcGIS ソフトウェアを使用してインスタンスを作成します。
EC2-Classic と EC2-VPC の 2 つの Amazon EC2 インスタンス タイプがあります。ArcGIS Server Cloud Builder on Amazon Web Services または Esri の CloudFormation サンプル テンプレート を使用して配置する場合、EC2-VPC インスタンスが使用されます。
インスタンスの作成後は、そのインスタンスへのログインが可能になります。たとえば、Windows リモート デスクトップ接続を使用して Windows インスタンスにアクセスできます。
EC2 インスタンスは、コンピューターをシャットダウンおよび起動する場合とほとんど同じ方法で停止および起動できます。また、インスタンスは、不要になれば削除させることもできます。インスタンスを削除すると、そのインスタンスに関するすべての情報が失われます。このため、インスタンスにアタッチされた Amazon EBS (Elastic Block Store) ボリュームにデータを格納しておくことをお勧めします。また、必要に応じて、Amazon S3 (Simple Storage Service) を使用してデータをバックアップするようにしてください。
EBS (Elastic Block Store) ボリューム
Amazon EBS (Elastic Block Store) ボリュームは、EC2 インスタンスにアタッチしてデータ格納領域を追加できる仮想ディスク ドライブです。Esri Windows AMI は EBS ボリュームを作成し、そのボリュームを D: ドライブとしてインスタンスにアタッチします。Esri Ubuntu AMI では、インスタンスにマウントされる /gisdata という EBS ボリュームが作成されます。
これらの事前にアタッチされたボリューム上にデータを格納するか、別のサイズのボリュームにそれらのボリュームを置き換えるか、追加ボリュームをアタッチすることを選択できます。
ユーザー独自の EBS ボリュームを作成する場合は、ドライブのフォーマットとそのドライブのアタッチという作業を実行する必要があります (たとえば、EBS ボリュームを Windows 上のドライブ E: として構成できます)。ドライブは、必要なだけの領域が確保されるように構成できます。
EBS ボリュームは、ご利用のソフトウェアとは無関係に、クラウド内のデータを管理できる優れた方法です。たとえば、簡単に EBS ボリュームをあるインスタンスからデタッチして、別のインスタンスにアタッチできます。インスタンスを終了すると、以前にアタッチされた EBS ボリュームが後に残されますが、ユーザーは必要に応じてこれらのボリュームを他のインスタンスにアタッチできます。
EBS ボリュームのスナップショットを作成すると、まったく同じボリュームをすばやく生成することができます。スナップショットは、Amazon アベイラビリティ ゾーン間でデータを共有する必要がある場合や同じデータを複数の Amazon アカウントで使用できるようにする場合に便利です。最終的に、スナップショットはデータのバックアップ手段になります。何らかの理由でボリュームが破損した場合は、特にデータを失うこともなく、元のスナップショットから新しいボリュームを配置できます。
Elastic Load Balancer
Amazon Elastic Load Balancer は、複数の EC2 インスタンス間に作業を分散させるための方法です。サイトへのすべてのリクエストがこのロード バランサーを経由し、使用可能な EC2 インスタンスへと均一に分散されます。参加している EC2 インスタンスは、ロード バランサーに対していつでも追加/削除できます。ArcGIS Server Cloud Builder on Amazon Web Services を使用してサイトを構築すると、ロード バランサーがユーザー用に構成され、その下に ArcGIS Server インスタンスが配置されます。
リージョンおよびアベイラビリティ ゾーン
Amazon EC2 は、世界中に配置された複数のデータ センターを利用して、エンタープライズ アーキテクチャが抱える課題の解決に取り組んでいます。
- Amazon のリージョンは、米国、ヨーロッパ、アジアなど、地理的に分散した場所にあるデータ センター施設を表しています。
- Amazon アベイラビリティ ゾーンは、リージョン内の特定の場所のことで、他のアベイラビリティ ゾーンで発生した障害から隔離されるように設計されています。複数のゾーンでアプリケーションを構成することで、ゾーンの 1 つで障害が発生した場合の可用性を強化することができます。
Relational Database Service
Amazon Relational Database Service (RDS) は、データベース インスタンスへのアクセスを提供する Web サービスです。Amazon は、データベース ソフトウェアにパッチを適用し、データベースのバックアップを作成します。このバックアップは、デフォルトでは 1 日間保持されます。ArcGIS Server または ArcGIS Server Cloud Builder on Amazon Web Services が提供する CloudFormation テンプレートを使用して Esri サイトを構築した場合は、Amazon RDS for Microsoft SQL Server インスタンスまたは Amazon RDS for PostgreSQL をサイトに含めることができます。
AWS マネジメント コンソールを使用してサイトを構築し、Amazon RDS for Microsoft SQL Server インスタンスまたは Amazon RDS for PostgreSQL を使用する場合、[エンタープライズ ジオデータベースの有効化 (Enable Enterprise Geodatabase)] ジオプロセシング ツールを使用してジオデータベースを RDS インスタンス内に手動で作成し、それを GIS Server サイトの管理されたデータベースとして登録します。
S3
Amazon S3 (Simple Storage Service) は、クラウド内のデータ格納専用に設計された AWS サービスです。この格納オプションは、クラウドの内外にデータを移行できるようにするために、複数のデータ移行ワークフローをサポートしています。S3 内のデータはバケットに格納され、それらのバケットは、データが存在するリージョンおよびデータにアクセスできるユーザーを定義するように構成されます。
ArcGIS Enterprise on Amazon Web Services の配置では、S3 を以下の容量に使用できます。
- データのバックアップを格納するため
- オンプレミスの配置と EBS ボリュームの間のデータ転送用の中間地点として
- ArcGIS Server Web サービス用のデータ ソースとして登録
- 作成した EBS ボリュームのスナップショットを格納するため
- ArcGIS Server 構成ストア用の高可用性オプションとして
- ポータルのコンテンツ ディレクトリ用の高可用性オプションとして