Amazon Web Services (AWS) における複数コンピューターの ArcGIS Enterprise の配置でのソフトウェアの更新は、オンプレミスでのソフトウェアの更新に似ています。ソフトウェア アップデートを My Esri から Amazon Elastic Compute Cloud (EC2) インスタンス上にダウンロードして、既存の配置にアップデートを直接適用します。各コンピューター上にあるすべての ArcGIS Enterprise コンポーネントは、同じソフトウェア バージョンで実行されている必要があります。
備考:
CloudFormation テンプレートを使用して配置を作成した場合、CloudFormation テンプレートを使用してアップグレードできる可能性があります。アップグレードするソフトウェアのバージョンが CloudFormation テンプレートを使用して実行できるかどうかを判断するには、「Amazon Web Services 上での ArcGIS のアップグレード」をご参照ください。
コンポーネントの更新の準備
ArcGIS Enterprise 配置をアップグレードする前に、配置のバックアップを作成します。
- 新しいバージョンの Portal for ArcGIS、ArcGIS Web Adaptor、ArcGIS Server、および ArcGIS Data Store を My Esri からダウンロードします。また、Esri から新しいライセンスも取得します。
- ポート 5701 ~ 5703、7005、7099、7199、7654、7120、および 7220 がファイアウォールで許可されており、現時点で別のアプリケーションで使用されていないことを確認します。可用性の高い配置では、コンピューター間の通信および同期にこれらのポートを使用します。
- 誰も ArcGIS Enterprise ポータルまたは ArcGIS Server サイトに接続していないことを確認します。
注意:
Portal for ArcGIS サービス、ArcGIS Server サービス、または ArcGIS Data Store サービスを停止しないでください。これらのサービスを停止すると、webgisdr ユーティリティが配置のバックアップを作成できなくなります。
- Portal for ArcGIS とともにインストールされた webgisdr ユーティリティを使用して、配置の完全バックアップを作成します。これが、アップグレード プロセス中に問題が起きた場合に、以前のソフトウェア バージョンの再配置に使用できるバックアップになります。
備考:
配置にビッグ データ ストアが含まれている場合は、ArcGIS Data Store backupdatastore ユーティリティを使用して、ビッグ データ ストアのバックアップを作成してください。これは、ビッグ データ ストアが webgisdr ツールによって作成されたバックアップに含まれないためです。
Portal for ArcGIS のアップグレード
まず、Portal for ArcGIS をアップグレードします。
備考:
ポータルのコンテンツ ディレクトリが S3 バケットにあり、10.6.1 以前のリリースのポータルからアップグレードする場合は、10.7.1 にアップグレードします。10.7 へのアップグレードは既知の欠陥 (BUG-000121142) により失敗するため、行わないでください。
- Microsoft Windows 上の Portal for ArcGIS コンピューターへのリモート デスクトップ接続 (Linux) または SSH (AWS) 接続を作成します。ポータルの可用性が高い場合、AWS 上のいずれかの Portal for ArcGIS コンピューターに接続します。arcgis ユーザーとして接続します。
Windows 上の AWS で初めて Portal for ArcGIS をアップグレードする場合は、arcgis ユーザーのパスワードを変更します。この変更は配置内のすべてのコンピューターについて行う必要があり、パスワードはすべてのコンピューターで同じである必要があります。
AWS マネジメント コンソールを使用して ArcGIS Enterprise を配置した場合、Portal for ArcGIS のアップグレード手順でコンテンツ ディレクトリの一時的な格納に Amazon Simple Storage Service (S3) バケットが作成されるため、このコンピューターで AWS バケットを S3 アカウントに作成できることを確認します。Esri が提供する CloudFormation テンプレートを使用して配置した場合、これはテンプレートによってすでに構成されています。
- 新しい Portal for ArcGIS と ArcGIS Web Adaptor のインストールおよび新しい Portal for ArcGIS ライセンス ファイル (該当する場合) を、このコンピューターに配置します。
- ポータルに 1 台の Portal for ArcGIS コンピューターのみが含まれている場合は、次の手順に従って Portal for ArcGIS をアップグレードしてポータル コンピューターとその Web アダプターを更新し、必要に応じて新しいライセンス ファイルで Portal for ArcGIS を認証します。
- ポータルの可用性が高い場合は、2 台目の Portal for ArcGIS コンピューターにステップ 1 と 2 を繰り返します。次に、次の手順に従って可用性の高いポータルをアップグレードしてソフトウェアを更新し、必要に応じて新しいライセンス ファイルで各コンピューター上の Portal for ArcGIS を認証します。
備考:
10.6 では、可用性の高いポータルは 5701 ~ 5703 の利用可能なポートを使用して、コンピューター間でアイテム、グループ、およびユーザー情報の同期を維持します。このポートの範囲は、以前のバージョンよりも狭くなっています。可用性の高いポータルをアップグレードする場合、これらのポートを開いて、コンピューター間の通信を可能にします。
ArcGIS Server のアップグレード
ポータルのホスティング サーバーおよびポータルとフェデレートした追加 ArcGIS Server サイトをアップグレードします。
10.4.1 以前のバージョンからアップグレードしている場合は、ポータルのホスティング サーバーをアップグレードするときに、ArcGIS GIS Server のライセンスを指定します。フェデレーション サーバーをアップグレードする場合に指定するライセンスは、ArcGIS Server が配置内で果たしている役割に応じて変わります。
備考:
ArcGIS Server サイトは、ArcGIS Data Store のアップグレード前にアップグレードする必要があります。
- ポータルのホスティング サーバーの ArcGIS Server SITEHOST コンピューターへのリモート デスクトップ接続 (Windows) または SSH (Linux) 接続を、arcgis ユーザーとして作成します。
- 新しい ArcGIS Server と ArcGIS Web Adaptor のインストールおよび ArcGIS GIS Server ライセンス ファイルを、このコンピューターに配置します。
- ArcGIS Server サイトに 1 台のコンピューターのみが含まれている場合、「ArcGIS Server のアップグレード」の手順に従って、単一コンピューターのサイトをアップグレードします。
- ArcGIS Server サイトに複数のコンピューターが含まれている場合、各コンピューターにステップ 1 と 2 を繰り返します。次に、「ArcGIS Server のアップグレード」の手順に従って、複数コンピューターのサイトをアップグレードします。
- 追加 ArcGIS Server サイトをポータルと手動でフェデレートした場合、それらのコンピューターに接続し、それらのサイトのソフトウェアおよびライセンスもアップグレードします。
ArcGIS Data Store のアップグレード
ポータルのホスティング サーバーを使用して構成された複数のタイプのデータ ストアが存在する場合、それらの各データ ストアをアップグレードします。
可用性の高いリレーショナルまたはタイル キャッシュ データ ストアをアップグレードするときは、スタンバイ コンピューターをアップグレードする前にプライマリ コンピューターをアップグレードします。
- ArcGIS Data Store がインストールされている各コンピューターへのリモート デスクトップ接続 (Windows) または SSH (Linux) 接続を、arcgis ユーザーとして作成します。
- ArcGIS Data Store のインストール ファイルを各コンピューターに配置します。
- 配置が Windows 上の AWS で実行されている場合、「ArcGIS Data Store のアップグレード」の手順に従ってデータ ストアの各タイプを更新します。
- Linux 上の AWS で 10.5 以降の配置をアップグレードしている場合、「ArcGIS Data Store のアップグレード」の手順に従ってデータ ストアの各タイプを更新します。
- Linux 上の AWS で 10.3.1、10.4、10.4.1 の配置をアップグレードしている場合、各コンピューター上で hostidentifier.properties ファイルのコピーを作成してからアップグレードを開始する必要があります。ファイルをコピーして ArcGIS Data Store をアップグレードするには、次の手順に従います。
- ArcGIS Data Store の各コンピューター上で、ディレクトリを <ArcGIS Data Store installation directory>/arcgis/datastore/framework/etc に変更します。
- 各コンピューターの hostidentfier.properties ファイルのコピーを作成し、そのコピーを安全な場所に配置します。
- 各コンピューター上に ArcGIS Data Store の新しいバージョンをインストールしますが、データ ストア構成ウィザードは実行しません。
- 各コンピューター上で stopdatastore.sh コマンドを実行して、ArcGIS Data Store を停止します。
このコマンドは <ArcGIS Data Store installation directory>/arcgis/datastore にあります。
- 各コンピューター上で、hostidentfier.properties の <ArcGIS Data Store installation directory>/arcgis/datastore/framework/etc ファイルを手順 b で作成したファイルのコピーに置き換えます。
- 各コンピューター上で startdatastore.sh コマンドを実行して、ArcGIS Data Store を起動します。
このコマンドは <ArcGIS Data Store installation directory>/arcgis/datastore にあります。
- リレーショナルおよびタイル キャッシュ データ ストアの場合は、プライマリ コンピューターでデータ ストア構成ウィザードまたは configuredatastore コマンド ユーティリティを使用してアップグレードします。ビッグ データ ストアの場合、任意のコンピューターからデータ ストア構成ウィザードまたは configuredatastore コマンド ユーティリティを実行してアップグレードできます。
- アップグレードされた配置をテストします。
アップグレードされた配置をテストします。
アップグレードされた ArcGIS Enterprise の配置をテストし、すべてのサービスが実行されてアクセス可能になっており、通常のワークフローが引き続き機能することを確認します。
テストが正常に完了したら、アップグレード前に作成したバックアップは、アップグレード後のコンピューターの復元には使用できないため削除できます。
備考:
このバージョンの配置のベース バックアップを確保するために、webgisdr ユーティリティを使用して、正常にアップグレードされた配置の完全バックアップを作成します。