このチュートリアルでは、ArcMap マップ ドキュメントを WMS サービスとして公開する手順を示します。WMS は、インターネット上でマップ イメージを提供するための仕様であり、OGC (Open Geospatial Consortium) によって公開されています。WMS を扱うのが初めてで、このチュートリアルに取り組む前に WMS について詳しく知りたい場合は、「WMS サービス」をご参照ください。
チュートリアルを始める前に
現在 ArcGIS Server をインストールしただけの状態であれば、ArcMap でサーバーに接続してサービスを公開する前に、いくつかの準備作業が必要です。
- ArcGIS Server サイトを構成する方法については、このヘルプ システムの「インストール後の作業」セクションをご参照ください。
- GIS リソースで参照されているデータをサーバーで利用できるようにする方法については、「データを ArcGIS Server でアクセス可能にする」をご参照ください。
WMS サービスの公開
ArcMap で WMS サービスを構成および公開するには、以下の手順に従います。
- ArcMap でマップ ドキュメントを開き、メイン メニューで [ファイル] > [共有] > [サービス] の順に選択します。
- [サービスとして共有] ウィンドウで、[サービスを公開] を選択します。[次へ] をクリックします。
- [サービスを公開] ダイアログ ボックスで、[ArcGIS Server に接続] をクリックして、サーバーへの新しい接続を作成します。
- [ArcGIS Server サーバーの追加] ウィンドウで、[GIS サービスを公開する] を選択します。[次へ] をクリックします。
- [サーバーの URL] に、接続する ArcGIS Server サイトの URL を入力します。URL の例は http://gisserver.domain.com:6080/arcgis です。
- [サーバー タイプ] ドロップダウン リストから、[ArcGIS Server] を選択します。
- 公開プロセス中に、サービス定義ファイルが作成され、ローカルのディスクに一時的に保存されます。公開プロセスが完了すると、サービス定義がサーバーにアップロードされ、ローカル ファイルは削除されます。このチュートリアルでは、デフォルトのステージング フォルダーを使用して操作を続けます。
- サーバー管理者がサイトのセキュリティを有効にしている場合は、[ユーザー名] と [パスワード] に値を入力します。[完了] をクリックします。
- 必要に応じて、[サービスを公開] ウィンドウでサービスの新しい名前を入力します。120 文字を超える名前や、英数字とアンダースコア (_) 以外の文字が含まれた名前を使用することはできません。[次へ] をクリックします。
- デフォルトでは、ArcGIS Server のルート フォルダー (root) にサービスが公開されます。サービスはルート フォルダー以下のサブディレクトリに整理することができます。サービスを公開するフォルダーを選択するか、サービスを格納する新しいフォルダーを作成します。[続行] をクリックします。
- サービス エディターが表示されます。[サービス エディター] を使用して、WMS サービスでユーザーが実行できる操作を選択し、サーバーがサービスを公開する方法を調整します。[ケーパビリティ] タブをクリックします。
- デフォルトでは、マッピングと KML が有効になっています。[WMS] を選択します。
- [サービス エディター] の左側のウィンドウで、[WMS] をクリックします。このパネルを使用して、WMS サービスのプロパティを構成する方法を選択します。WMS サービスのプロパティを設定することで、クライアントがサービス公開者の意図を理解しやすくなります。
- [URL] フィールドには、クライアントが WMS サービスへのアクセスに使用する URL が表示されます。URL の形式は、http://gisserver.domain.com:6080/arcgis/services/folder/service/MapServer/WMSServer です。
備考:
WMS サービスの URL をコピーして保存します。この URL は、このチュートリアルの別の手順で必要になります。
- システムが生成したケーパビリティ ファイルを使用して WMS サービスを公開する場合は、デフォルトの [以下にサービス プロパティを入力] オプションを使用します。[Name]、[Tile]、および [OnlineResource] フィールドは自動的に設定され、変更する必要はありません。必要に応じて、リストにあるフィールドを使用してその他のプロパティを設定します。詳細については、「利用可能な WMS サービス プロパティ」をご参照ください。
- WMS サービスを構成して外部のケーパビリティ ファイルを使用する場合は、[外部のケーパビリティ ファイルを使用] を選択します。このオプションを使用する場合は、WMS ケーパビリティ ファイルをあらかじめ作成しておく必要があります。詳細については、「WMS サービスでの外部ケーパビリティ ファイルの使用」をご参照ください。
- SLD ファイルを WMS サービスにバインドする場合は、ディスク上のファイルの場所を参照するか、[SLD パス/URL] フィールドに URL を入力する必要があります。詳細については、「WMS サービスでの Styled Layer Descriptors の使用」をご参照ください。
- マップ ドキュメントのレイヤー名を WMS サービスに反映させるには、[マップ ドキュメントからレイヤー名を使用する] を選択します。マップ内のすべてのレイヤー名は一意でなければなりません。また、名前に &、<、>、"、および ' の文字を使用することはできません。
ヒント:
[サービス エディター] を使用して WMS サービス プロパティを設定する方法については、「WMS サービス」をご参照ください。サービスの最適な実装方法については、「サービスのチューニングと構成」をご参照ください。
- [URL] フィールドには、クライアントが WMS サービスへのアクセスに使用する URL が表示されます。URL の形式は、http://gisserver.domain.com:6080/arcgis/services/folder/service/MapServer/WMSServer です。
- [統計情報の更新] をクリックします。マップ ドキュメントを WMS サービスとしてサーバーに公開できるかどうかが検証されます。
ヒント:
WMS サービスを構成するときに表示領域を広くするには、[サービス エディター] の上部にある [折りたたみ] ボタンをクリックします。
- [準備] ウィンドウでエラー を修正します。エラーの修正は、マップを WMS サービスとして公開する前に行う必要があります。さらに必要であれば、警告メッセージと情報メッセージに従って問題を修正し、サービスのパフォーマンスと外観を改善します。これらの問題の解決の詳細については、「GIS リソースの分析」をご参照ください。
備考:
サーバーが確実にデータを認識して使用できるように、フォルダーとジオデータベースを ArcGIS Server サイトに登録することができます。以下の手順を続ける場合、未登録のフォルダーまたはジオデータベースからマップ ドキュメントが参照するデータはすべて、公開時にサーバーにコピーされます。これは、サーバーがサービスで使用されているすべてのデータにアクセスできることを保証するための予防的な処置です。フォルダーまたはジオデータベースを ArcGIS Server サイトに登録する手順については、「ArcGIS Desktop を使用したデータの ArcGIS Server への登録」をご参照ください。
- 必要に応じて、[サービス エディター] で [プレビュー] をクリックします。Web 上でマップがどのように表示されるかを確認することができます。詳細については、「マップのプレビュー」をご参照ください。
- マップ ドキュメント内のエラーを修正したら、[公開] をクリックします。
WMS サービスの使用
ArcMap ドキュメントが WMS サービスとして正常に公開されたことを確認するために、ArcMap でサービスをすぐに試してみることができます。これを行うには、次の手順に従います。
- ArcMap でカタログ ウィンドウを開き、[GIS Servers] ノードを展開します。
- [WMS サーバーの追加] をダブルクリックします。
- [WMS サーバーの追加] ウィンドウで、[URL] テキスト ボックスに WMS サービスの URL を貼り付けます。
- [レイヤーの取得] をクリックし、WMS サービスへの接続を待ちます。正常に接続したら、レイヤー ツリーが WMS サービスのメタデータとともに表示されます。
- [OK] をクリックします。
- カタログ ウィンドウの [GIS Servers] ノードの下に、WMS サービス接続のノードが表示されます。使用する WMS サービスを表すノードを展開して、サブノードのいずれかを選択します。選択したサービスを ArcMap の[コンテンツ] ウィンドウにドラッグして、サービスを表示します。
- 必要に応じて、ツールバーの [個別属性] ツールを選択し、マップ上の適当な場所をクリックして、WMS サービスのフィーチャの個別属性を表示します。
このチュートリアルでは、ArcMap のカタログ ウィンドウを使用して WMS サービスに接続しますが、ArcCatalog で WMS サービスを追加するプロセスもほぼ同じです。ArcMap のカタログ ウィンドウで接続済みであるため、ArcCatalog で [GIS Servers] ノードを展開すると、WMS サーバー接続を利用できます。カタログ ツリーでサービスを選択して [プレビュー] タブをクリックすると、WMS サービスをプレビューできます。使用する接続が表示されない場合は、[WMS サーバーの追加] をダブルクリックし、このチュートリアルと同じ方法で新しい接続を追加します。