ArcGIS Notebook Server は、ArcGIS Notebooks をホストする目的でライセンス付与および構成された ArcGIS Server ロールです。 このサーバー ロールは Docker コンテナーを使用してノートブックをホストおよび実行し、ホスト オペレーティング システムの処理を妨げずに、隔離およびセキュリティ保護された環境をノートブックに提供します。
ArcGIS Notebook Server での Docker とそのロールの詳細
ArcGIS Notebook Server を実行するためのシステム要件とハードウェア要件を次に示します。
ハードウェア要件
Windows コンテナーを使用する ArcGIS Notebook Server ノードでは、4 コア以上のプロセッサ、32 GB 以上の RAM、100 GB 以上のディスク容量が必要です。
Linux コンテナーを使用する ArcGIS Notebook Server ノードでは、4 コア以上のプロセッサ、16 GB 以上の RAM、75 GB 以上のディスク容量が必要です。
運用環境では、このソフトウェアのユーザーおよびビジネス要件が異なる場合があるため、ハードウェア要件が記載されていません。 これらの要件は、パフォーマンスとスケーラビリティの要求を満たすハードウェア要件を決定する際に検討する必要があります。
ファイアウォールの設定
ArcGIS Notebook Server はポート 11443 で通信します。 ソフトウェアをインストールする前に、ファイアウォール上でこのポートを開く必要があります。
フェデレート先である ArcGIS Enterprise ポータルと通信するために、ArcGIS Notebook Server はポータル コンピューター上のポート 7443 にアクセスする必要があります。
注意:
このコンポーネントは、ArcGIS Enterprise 配置の一部にすぎません。 ダイアグラムおよび Enterprise ポータル内の他のコンポーネントとの通信に必要なポートに関する情報へのリンクについては、「ArcGIS Enterprise のシステム要件」をご参照ください。
オペレーティング システム要件
以下の 64 ビット オペレーティング システムは、必要なオペレーティング システム要件を満たしています。 32 ビット オペレーティング システムはサポートされていないため、セットアップが実行されるのは、オペレーティング システムが 64 ビットの場合のみです。
サポートされているオペレーティング システム | 最新の更新内容またはテスト済みサービス パック |
---|---|
Windows Server 2022 Standard および Datacenter | |
Windows Server 2019 Standard および Datacenter | 2022 年 5 月更新 |
注意:
ArcGIS Notebook Server と Windows コンテナーでサポートされているオペレーティング システムは Windows Server 2022 のみです。
注意:
現在、Windows Server 2016 を実行しているコンピューター上で ArcGIS Notebook Server をアップグレードする場合は、オペレーティング システムも Windows Server 2019 または Windows Server 2022 にアップグレードする必要があります。 手順については、「ArcGIS Notebook Server のアップグレード」をご参照ください。
Windows 10 Pro、Windows 10 Enterprise、および Windows 11 は、単一コンピューター サイトの基本的なテストとアプリケーション開発用途でのみサポートされています。 Windows 10 および 11 は、実稼働環境での配置には推奨されておらず、複数コンピューター サイトもサポートしていません。 また、Windows 11 で ArcGIS Notebook Server を使用するには、Hyper-V を有効にする必要があります。
アンダースコアが含まれているコンピューター名はサポートされていません。 コンピューター名にアンダースコアが含まれていることが検出されると、セットアップが実行されません。
ArcGIS Notebook Server コンピューターのオペレーティング システムが ArcGIS Enterprise 配置内の他のコンピューターのものと異なる場合があります。 これが発生する最も一般的なシナリオは、ArcGIS Notebook Server を Linux コンピューターに配置する一方で、残りの ArcGIS Enterprise 配置に Microsoft Windows コンピューターを使用した場合です。
いくつかのインターネット ホスト名に関する仕様では、アンダースコア文字を規格外と定めています。 Microsoft Windows ではコンピューター名にアンダースコアを使用できますが、これにより、他のサーバーやプラットフォームを操作するときに問題が生じる可能性があります。 このため、ホスト名にアンダースコアが含まれるサーバーでは ArcGIS Notebook Server はインストールされません。
ArcGIS Notebook Server はドメイン コントローラー上ではサポートされません。 ArcGIS Notebook Server をドメイン コントローラー上にインストールすると、機能に悪影響が出る可能性があります。
特に指定がない限り、これらのオペレーティング システムのバージョンに関して過去と今後のアップデートまたはサービス パックはサポートされています。 また、オペレーティング システムのバージョンとアップデートはオペレーティング システムのプロバイダーでもサポートされている必要があります。
クラウドの実装
クラウド内に ArcGIS Notebook Server を配置できます。 クラウド プラットフォームを利用すると、ArcGIS Notebook Server 配置の機能を増やすことができます。たとえば、コンピューターの処理能力を変更したり、パフォーマンスを上げるために複数のインスタンス間でアプリケーションのネットワーク トラフィックを自動的に分散したりすることが可能になります。
Esri イメージ
Esri が提供する ArcGIS Enterprise Microsoft Azure イメージには、ArcGIS Notebook Server のインストールが含まれています。 ArcGIS Enterprise Cloud Builder for Microsoft Azure を使用することはできますが、手動で Docker をインストールし、インストール後に Docker を構成する必要があります。Cloud Builder ではこれらの手順は実行されません。
注意:
クラウド プラットフォーム上の Esri ソフトウェアにつきましては、Esri テクニカル サポートをご利用いただけます。 ただし、Microsoft Azure コンピューター イメージが標準の Esri またはオペレーティング システムの更新に関係なく変更された場合、サポートが提供されないことがあります。 Esri でリリースされたソフトウェアは変更しないことをお勧めします。
異なる構成が必要な場合は、次のセクションをご参照ください。
その他のイメージ
Esri が提供したものとは異なるオペレーティング システム、異なるコンピューター タイプ、または異なるクラウド プラットフォーム上に ArcGIS Notebook Server を配置するには、ご使用のクラウド プロバイダーから提供されるインスタンス上にソフトウェアをインストールして構成する必要があります。 そのインスタンスは、このページに記載されているハードウェア、ソフトウェア、ファイアウォール、SSL 証明書、およびドメイン名の各要件を満たしていなければなりません。 ArcGIS Notebook Server 用に独自のクラウド インスタンスをインストールして構成する場合は、次の点に注意してください。
- Amazon Web Services での Windows コンピューター上への ArcGIS Notebook Server の配置はサポートされていません。 Amazon Web Services を利用する場合は、ソフトウェアを Ubuntu コンピューター上に配置することをお勧めします。
- サポートされている Windows または Linux プラットフォームを実行している Azure 仮想マシン上に ArcGIS Notebook Server を配置できます。
- 独自の Microsoft Azure Windows インスタンスを配置する場合は、コンテナー イメージを含む Microsoft Server 2016 Datacenter が推奨されます。
SSL 証明書
ArcGIS Notebook Server には、自己署名証明書が事前に構成されています。これを使用してサーバーで初期テストを行い、インストールが成功したことをすばやく確認できます。
信頼された認証機関 (CA) からの証明書を要求し、それを使用するように ArcGIS Notebook Server を構成する必要があります。 これには、組織が発行したドメイン証明書または CA 署名証明書を使用できます。 証明書は SAN (Subject Alternative Name) を構成する必要があります。構成しない場合、ArcGIS Notebook Server は正常に動作しません。
注意:
IIS を使用して作成された証明書には、SAN を含めるオプションがありません。 「ドメイン証明書の作成」のスクリプトを使用します。この場合、作成される証明書に SAN が含まれます。
Portal for ArcGIS には、事前に構成された自己署名証明書も付属しています。 ArcGIS Notebook Server サイトをポータルとフェデレートするため、信頼された CA に証明書を要求し、それを使用するようにポータルを構成する必要があります。
ソフトウェアの前提条件
ArcGIS Notebook Server をインストールする前に、少なくとも ArcGIS Enterprise の基本配置を準備する必要があります。 セットアップ プロセス中に、新しい ArcGIS Notebook Server サイトを ArcGIS Enterprise ポータルとフェデレートします。 ArcGIS Notebook Server は、(同じバージョンの) 他の ArcGIS Enterprise ソフトウェアがインストールされているコンピューター上にインストールできます。
- Windows コンテナーで ArcGIS Notebook Server を使用するには、 Mirantis Container Runtime をインストールする必要があります。 詳細については、「ArcGIS Notebook Server (Windows コンテナー) 用の Mirantis Container Runtime のインストール」をご参照ください。
- Linux で ArcGIS Notebook Server を使用するには、Docker Desktop for Windows (バージョン 4.4.4 以降) をインストールする必要があります。 適切なエディションの Docker をインストールするには、「ArcGIS Notebook Server (Linux コンテナー) 用のコンテナー エンジンのインストール」の手順に従います。
- ArcGIS Notebook Server を実行するには、Windows Server および Windows 10 に Hyper-V ロールがすでにインストールされている必要がある場合があります。 Windows Server および Windows 10 に Hyper-V ロールをインストールする方法については、Microsoft のドキュメントをご参照ください。
注意:
特定の仮想化環境では、Windows で Hyper-V を有効にして処理することができません。 その結果、その環境では ArcGIS Notebook Server をインストールして処理することはできません。 ArcGIS Notebook Server では、ゲスト OS 用にハードウェア補助仮想化 (入れ子になった仮想化) が有効になった VMware vSphere 6.7 以降でホスティングされている仮想化環境をサポートしています。 ArcGIS Notebook Server をインストールする前に、Docker がコンピューター上にインストールされ、Linux コンテナーをサポートしていることを確認します。
- バージョン 10.8 以降では、IIS Web サーバー上で実行される ArcGIS Web Adaptor のインスタンスは、デフォルトで WebSocket プロトコルを有効化します。 アクションは必要ありません。 以前は、WebSocket の有効化は、ArcGIS Notebook Server のインストールに欠かせない部分でした。ノートブックで Web Adaptor を操作するためにこのプロトコルが必要だからです。
ドメイン名システムと完全修飾ドメイン名に関する推奨事項
組織のドメイン名システム (DNS) は、ArcGIS Notebook Server サイトの完全修飾ドメイン名 (FQDN) エントリを含むように構成することをお勧めします。 Portal for ArcGIS は、フェデレートの際にサイトの FQDN を要求します。
サポートされる Web ブラウザー
ArcGIS Notebook Server 構成ウィザードおよびノートブック エディターを使用する場合、以下の Web ブラウザーがサポートされています。
- Google Chrome バージョン 111 以降
- Microsoft Edge バージョン 111 以降
- Mozilla Firefox バージョン 113 以降
- Mozilla Firefox バージョン 102 (ESR)
- Safari バージョン 15 以降