インターネット接続を使用できない環境や、インターネット接続が組織により禁止されている環境で Portal for ArcGIS を構成する場合は、次のような問題が発生する可能性があります。
- Web マップの印刷またはプレビューが失敗します。
- Web マップでの住所の検索が失敗します。
- 面積の計算やジオメトリの描画を正しく実行できません。
- ポータル Web サイトで Web マップ アイテムの範囲を指定できません。
- マップ ビューアーに OGC WMS サービスを追加するときに、ベースマップが表示されません。
- ソーシャル メディアへの共有を有効にしているときに、これらのリンクを開くと 404 エラーが表示されます。
これらの問題を解決するには、特定の HTTPS 設定を構成し、ポータルをローカル リソースに再ポイントする必要があります。作業を開始するには、次のセクションをご参照ください。
HTTPS 設定の構成
非接続環境でポータルを設定する場合は、必ずポータルがユーザーの証明機関の証明書を信頼するようにする必要があります。詳細については、「証明機関の証明書を信頼するようにポータルを構成する」をご参照ください。
ローカル リソースへのポータルのポイント
ローカル リソースへのポイントが必要なアイテムには、ポータルのユーティリティ サービスと Web サイト固有のプロパティが含まれます。ユーティリティ サービスの設定は、ポータルを使用して構成します。Web サイトには、変更する必要のある独自の構成ファイルが存在します。
ユーティリティ サービス
ローカル サービスをポイントするようにユーティリティ サービスを更新する方法については、「ユーティリティ サービスの構成」の手順をご参照ください。必要な変更点の概要を次に示します。
印刷サービス - ポータルのマップ ビューアーで [印刷] をクリックすると、印刷サービスを使用してマップをプレビューおよび印刷できます。デフォルトでは、ArcGIS Online のサービスが使用されます。非接続環境では、ArcGIS Server の印刷サービスを使用するようにポータルを構成する必要があります。それ以外の場合は、Web マップを印刷およびプレビューできません。ArcGIS Server の事前に構成された印刷サービスか、サーバーでホストされているカスタム印刷サービスのいずれかを指定できます。
ポータルのホスティング サーバーを指定すると、ホスティング サーバーの印刷サービスが自動的にポータルに構成されます。印刷サービスを起動および共有して、そのサービスをポータルで使用するだけです。ただし、以前に印刷サービスをポータルに構成している場合、ホスティング サーバーの指定時にその URL は更新されません。サービスを起動して、サービスを共有し、ユーティリティ サービスとしてサービスを構成する必要があります。
ジオコード サービス - Portal for ArcGIS は、ArcGIS Online でホストされている World ジオコード サービスを使用するように事前に構成されており、住所や場所名を検索およびマッピングできます。非接続環境では、独自の ArcGIS Server ジオコード サービスを設定して、住所を検索する必要があります。
ジオメトリ サービス - バッファー処理や面積の計算などの空間解析を行うために必要な計算を実行します。Portal for ArcGIS では、デフォルトで ArcGIS Online のジオメトリ サービスが使用されます。非接続環境では、独自の ArcGIS Server ジオメトリ サービスを設定する必要があります。ArcGIS Server の事前に構成されたジオメトリ サービスか、サーバーでホストされているカスタム ジオメトリ サービスのいずれかを指定できます。
ルート サービス - ルート サービスでは、2 つ以上の場所間のルート案内を検索できます。ポータルのルート ユーティリティ サービスが、Web マップで利用できる [ルート案内] 機能に使用されます。デフォルトでは、ポータルにはルート サービスが構成されていません。非接続環境でマップ ビューアーからルート案内を取得するには、独自の ArcGIS Server ルート サービスを公開する必要があります。
Web サイトのプロパティ
extentService: "<ローカル マップ サービスの URL>" - extent サービスは、ポータル Web サイトの [範囲の設定] ダイアログ ボックスで、Web マップ アイテムの範囲を更新または設定するために使用されます。デフォルトでは、ArcGIS Online の範囲サービスが使用されます。非接続環境では、ArcGIS Server のマップ サービスを使用するようにポータルを構成する必要があります。サービスは、WKID (Well-Known ID) が 4326 の WGS 1984 地理座標系を使用する必要があります。
gcsBasemapService: "<ローカル マップ サービスの URL>" - GCS ベースマップ サービスは、Web メルカトル座標系をサポートしない OGC WMS サービスのベースマップとして使用されます。デフォルトでは、ArcGIS Online の GCS ベースマップ サービスが使用されます。非接続環境では、ArcGIS Server のマップ サービスを使用するようにポータルを構成する必要があります。サービスは、WKID (Well-Known ID) が 4326 の WGS 1984 地理座標系を使用する必要があります。
showSocialMediaLinks: false - Facebook および Twitter のリンクをアイテム詳細ダイアログ ボックスに表示するかどうかを示します。デフォルトは false で、リンクは表示されません。インストール後に、このプロパティを true に設定している場合は、非接続環境でリンクを無効にする必要があります。
webSearchEnabled: false - Web での検索 (Google 検索など) をポータル内のコンテンツに対して許可するかどうかを示します。デフォルト値は true です。非接続環境では、Web 検索を無効にします。
これらのプロパティを含むファイルは、<Portal for ArcGIS installation directory>/customizations/<version number>/webapps/arcgis#home/js/esri/arcgisonline/config.js にあります。変更する前に、このファイルのバックアップ コピーを作成することをお勧めします。
ヒント:
ファイルのプロパティを変更したら、編集内容を適用するためにポータルを再起動し、ブラウザーのキャッシュ (cookie など) を消去して、ポータル Web サイトの変更を確認する必要があります。詳細については、「高度なポータル オプションの設定」をご参照ください。
これらのプロパティに対する変更はアップグレードで維持されません。config.js ファイルへの変更は、アップグレード後に再適用する必要があります。
ArcGIS API for JavaScript
Portal for ArcGIS には、インストールの一部として ArcGIS API for JavaScript のバージョン 3.15 が含まれています。ポータルおよび Web アプリケーション テンプレートは、インストールされた API を自動的に参照します。通常、ローカルにインストールされる API は https://webadaptor.domain.com/arcgis/jsapi/jsapi で使用できます。
ユーザーは、独自のバージョンの ArcGIS API for JavaScript をダウンロードおよびホストして Web AppBuilder for ArcGIS の開発者向けエディションで使用したり、最新の API 機能を利用したりできます。
また、ローカルにホストされた API を使用して、Services Directory の ArcGIS Server サービスをプレビューすることもできます。詳細については、「ポータルへの ArcGIS Server Services Directory の接続」をご参照ください。
Web アプリケーション テンプレート
Portal for ArcGIS には、さまざまな Web アプリ テンプレートが含まれています。ユーザーは、それらをポータルで公開するか、Web サーバー上にダウンロードしてホストできます。詳細については、Portal for ArcGIS ヘルプの「構成可能なアプリケーション テンプレート」をご参照ください。
デフォルトでは、ユーザーがポータルに公開する Web アプリケーション テンプレートは、ローカルでホストされている ArcGIS API for JavaScript を使用するように自動的に構成されます。ユーザーが Web アプリケーション テンプレートをダウンロードして、Web サーバーでホストされるアプリケーションの作成に使用する場合は、テンプレートにバンドルされている readme ファイルの手順に従う必要があります。
ベースマップ
Portal for ArcGIS には、事前に構成された ArcGIS Online のベースマップのコレクションが付属しています。これらのベースマップは、非接続環境での使用がサポートされていません。その代わりに、ユーザー独自のカスタム ベースマップを作成し、ベースマップ ギャラリーでこれらのベースマップを提供するようポータルを構成することができます。詳細については、「ベースマップのカスタマイズ」をご参照ください。
Operations Dashboard for ArcGIS
Operations Dashboard for ArcGIS は、組織サイト内のイベントやシステムを監視するための共通の操作写真を提供するアプリケーションです。ポータルで Operations Dashboard を配置し、オペレーション ビューを構築できます。このビューには、リアルタイム地理データを表示して追跡するためのマップ、リスト、チャート、およびその他のツールが含まれています。詳細については、「Portal for ArcGIS への Operations Dashboard の配置」をご参照ください。