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ArcGIS GeoAnalytics Server を使用したビッグ データ解析の実行

バージョン 10.5 以降では、ArcGIS GeoAnalytics Server で提供されるツールによる分散コンピューティングを使用して、フィーチャ解析を実行できます。これらのツールは、空間と時間の両方を対象にパターンを解析してデータを集約でき、ユーザーは、これらのツールを利用して、次のような疑問に答えることができます。

  • 数十年にわたって蓄積された何百万もの緊急通報によると、緊急通報の発生率が最も高いのはどのエリアですか?
  • ニューヨーク市内でタクシーの乗客に最も人気がある場所はどこですか?また、この傾向は週単位でどのように変化しますか?
  • 記録された GPS トラックに属するフライト パスはどれですか?また、これらのフライト パスのうち、2015 年に 100 km の飛行禁止区域内に出現したパスはいくつありますか?

GeoAnalytics ツールへのアクセス

ArcGIS GeoAnalytics Server のフィーチャ解析ツールは、Map ViewerArcGIS ProArcGIS API for Python、および ArcGIS REST API で使用できます。ポータル メンバーは、次に示す手順を使用してこれらのツールにアクセスできます。

ArcGIS REST API を介したツールの実行の詳細については、ArcGIS REST API のドキュメントをご参照ください。ArcGIS Pro でのツールの実行の詳細については、ArcGIS Pro のドキュメントをご参照ください。

Map Viewerからのツールへのアクセス

  1. GeoAnalytics フィーチャ解析権限を持つメンバーとしてポータルにログインします。
  2. [マップ] をクリックしてMap Viewerを開きます
  3. [解析] をクリックして、[GeoAnalytics ツール] を選択します。
注意:

[解析] ボタンまたは [GeoAnalytics ツール] タブがMap Viewerに表示されない場合は、ポータル管理者に問い合わせてください。お使いのポータルが ArcGIS GeoAnalytics Server で構成されていないか、ユーザーにツールを実行する権限がないことが考えられます。ツールに必要な権限がない場合、ツールは表示されません。

ArcGIS API for Python からのツールへのアクセス

ArcGIS API for Python を介して、GIS アナリストやデータ科学者は、組織で利用可能な高性能の GeoAnalytics ツールを使用した空間データの検索、視覚化、解析、変換を実行できます。この API の解析機能の詳細については、ドキュメント サイトをご参照ください。

これらのビッグ データ解析ツールには、geoanalytics モジュールからアクセスできます。

解析用のデータの準備

GeoAnalytics ツールは次のデータ タイプに対して実行できます。

  • フィーチャ レイヤー (ホストされている場合、ホスト フィーチャ レイヤー ビューの場合、およびフィーチャ サービスから提供される場合)
  • フィーチャ コレクション
  • ArcGIS GeoAnalytics Server に登録されているビッグ データ ファイル共有

GeoAnalytics ツールの出力

実行中の GeoAnalytics ツールからの出力は、ポータルのホスティング サーバーに登録済みのビッグ データ ストアにデータが格納されているホスト フィーチャ レイヤーです。

ツールの概要

各ツールの概要については、以下をご参照ください。各解析ツールは、複数のカテゴリに分かれています。これらのカテゴリは、論理的にグループ分けされており、ツールのアクセス方法や使用方法にはまったく影響しません。

データ サマリー

これらのツールは、範囲内または他のフィーチャの近くにおいて、フィーチャおよびそれらの属性の合計の数、長さ、面積、および基本的な説明的統計解析を計算します。

ツール説明

ポイントの集約 (Aggregate Points)

ポイントの集約 (Aggregate Points)

このツールは、ポイント フィーチャのレイヤーと、エリア フィーチャのレイヤーまたはビンの計算用の距離を使用して、どのポイントがどのエリア内に含まれるのかを特定し、各エリア内の全ポイントの統計情報を算出します。必要に応じて、時間のスライスをこのツールに適用することもできます。

例:

  • 犯罪事件のポイント位置を基に、国やその他の行政区域別に犯罪数をカウントします。
  • 100 km のクラスを使用して、フランチャイズ場所の最も高い/低い月間収益を検索します。

多変数グリッドの構築 (Build Multi-Variable Grid)

多変数グリッドの構築 (Build Multi-Variable Grid)

[多変数グリッドの構築 (Build Multi-Variable Grid)] ツールは、四角形または六角形のビンのグリッドを生成し、1 つ以上の入力レイヤーの近接に基づいて各ビンの変数を計算します。

例:

  • 公共交通インフラストラクチャの複数レイヤーがある場合、公共交通が最もアクセスしにくいのは都市のどの場所か?
  • 水路 (湖、川など) のレイヤーの場合、米国の各場所に最も近い水系の名前は何か?
  • 世帯収入のレイヤーの場合、50 マイル圏内で収入のばらつきが最大なのは米国のどこか?

フィーチャの結合

フィーチャの結合 (Join Features) ツール

ポイント/ライン/エリア フィーチャのレイヤーまたはテーブルと、ポイント/ライン/エリア フィーチャのもう 1 つのレイヤーまたはテーブルを使用して、指定されたリレーションシップを示すフィーチャを結合します。空間、時系列、属性の各リレーションシップを使用して、フィーチャを 1 つに結合し、必要に応じて要約統計量を計算できます。

例:

  • 犯罪事件のポイント位置と時間を基に、それぞれ 1 キロメートル以内で発生し、それぞれ 1 時間以内に発生した犯罪の空間リレーションシップを指定して犯罪データ同士を結合し、一連の犯罪のうち、空間と時間で互いに近接している犯罪があるかどうかを確認します。
  • 郵便番号と人口統計情報のテーブルおよび住居用の建物を表すエリア フィーチャを基に、人口統計情報を住宅と結合して、住居ごとに情報を保持できるようにします。

トラックの再構築 (Reconstruct Tracks)

トラックの再構築 (Reconstruct Tracks)

このツールは、時間対応のポイント フィーチャまたはポリゴン フィーチャのレイヤーを使用して、どの入力フィーチャがトラックに属するかを特定し、入力を時系列に並べ替えます。次に、各トラックに属するすべての入力フィーチャに関する統計情報を計算します。

例:

  • ハリケーンの計測値であるポイント位置と時間を基に、ハリケーンの平均風速と最大風圧を計算します。

属性の集計 (Summarize Attributes)

属性の集計

このツールは、フィーチャまたは表形式のデータを使用して、フィールドの統計情報を集約します。

例:

  • 食料雑貨店の場所とフィールド COMPANY_NAME を基に、会社名別に店舗を集約して、それぞれの会社の統計情報を算出します。
  • 食料雑貨店のテーブルとフィールド COMPANY_NAME および COUNTY を基に、会社名別および国別に店舗を集約して、それぞれの国におけるそれぞれの会社の統計情報を算出します。

エリア内での集計 (Summarize Within)

エリア内での集計 (Summarize Within)

2 つのレイヤーで重なり合うエリア (とエリアの部分) を検索し、重複部分の統計情報を計算します。

例:

  • 集水域のレイヤーと、土地利用タイプ別土地利用エリアのレイヤーを基に、各集水域の土地利用タイプの総面積を計算します。
  • 郡の土地区画のレイヤーと都市の境界線のレイヤーを基に、各都市内にある空の土地区画の平均値のサマリーを作成します。

場所の検索

これらのツールは、指定した任意の数の条件を満たすフィーチャを検索します。通常、これらのツールは、サイトの選択に使用されます。その目的は、複数の条件を満たす場所を検索することです。

ツール説明

インシデントの検出 (Detect Incidents)

このツールは、特定時点を表すポイント、ライン、エリア、またはテーブルの時間対応レイヤーを操作します。このツールでは、トラックと呼ばれる順番に並んだフィーチャを使用して、対象となるインシデントのフィーチャを決定します。インシデントはユーザーの指定する条件によって決まります。

例:

  • 10 分間隔でのハリケーンの GPS 計測値があるとします。GPS 計測値ごとに、ハリケーンの名前、場所、記録時刻、および風速が記録されています。これらのフィールドを使用してインシデントを作成し、計測値が風速 208 km/時を超えると「Catastrophic」というタイトルのインシデントにすることができます。
  • センサー測定レイヤーがあり、値が 3 つ前までの値の平均値を超えるたびにインシデントを作成するとします。

類似フィーチャの検索 (Find Similar Locations)

類似フィーチャの検索 (Find Similar Locations)

[類似フィーチャの検索 (Find Similar Locations)] ツールは、指定した条件に基づいて、1 つ以上の参照場所に対する検索候補レイヤー内の場所の類似性を測定します。

例:

  • 従業員数と年間売上を調べて、最も類似している 10 か所の店舗を検索します。
  • 人口、年間人口増加率、税収間のリレーションシップを調べて、最も類似している 100 の都市を検索します。

テーブルから場所をジオコーディング

テーブルから場所をジオコーディング

住所を座標に変換します。このツールは、ビッグ データ ファイル共有テーブルに対して使用します。

パターンの解析

これらのツールを使用すると、データ内の空間パターンを識別、定量化、および視覚化できます。

ツール説明

密度の計算 (Calculate Density)

密度の計算 (Calculate Density)

[密度の計算] ツールは、ある現象の既知の数量 (ポイントの属性として表す) をマップ上に展開することによって、ポイント フィーチャから密度マップを作成します。結果として、密度を表すエリアのレイヤーが生成されます。

例:

  • ある地域内の病院の密度を計算する場合。結果レイヤーは、病院までのアクセスの良し悪しを示し、この情報を使用して、新しい病院を建設する場所を決定することができます。
  • 過去に森林火災があった場所に基づいて、森林火災のリスクの高いエリアを特定する場合。
  • 新しい道路を建設する場所を計画するために、主要道路から遠い地域を特定する場合。

ホットスポット分析 (Find Hot Spots)

ホット スポット分析 (Find Hot Spots)

[ホット スポット分析 (Find Hot Spots)] ツールは、データの空間パターンに、統計的に有意なクラスターが存在するかどうかを判定します。

  • ポイント データ (犯罪事件、樹木、交通事故) は本当にクラスター化されているか。どのようにすれば確認できるか。
  • 統計的に有意なホット スポット (消費、乳児死亡率、一貫して高いテスト スコア) を本当に発見したか。あるいは、シンボルを変更したら、マップから得られる情報は変化するか。
[ホット スポット分析 (Find Hot Spots)] ツールを使用すると、これらの質問に自信を持って答えることができます。

ポイント クラスターの検索 (Find Point Clusters)

ポイント クラスターの検索 (Find Point Clusters)

[ポイント クラスターの検索 (Find Point Clusters)] ツールは、空間分布に基づき周辺ノイズ内でポイント フィーチャのクラスターを検索します。

例:

  • 駆除作業を支援するために、害虫が蔓延する世帯群を検索します。
  • 自然災害またはテロ攻撃をフォローする、ジオロケートされたツイートを使用し、世帯群の規模と位置に基づいて、救助と避難のニーズを知らせ、行動します。

時空間キューブの作成 (Create Space Time Cube)

時空間キューブの作成 (Create Space Time Cube)

このツールは、時間対応のポイントの集合を各時空間クラスに集約することによって netCDF 構造に集約します。

例:

  • ある都市内のすべての犯罪を月ごとに 1 km のクラスに集約します。
  • 年間の時系列ビンを使用して、ある郡で過去 50 年間に発生した警察への緊急通報をすべて 100 km のビンに集約します。
注意:

[時空間キューブの作成 (Create Space Time Cube)] は、Map Viewer では実行できません。[時空間キューブの作成 (Create Space Time Cube)] を使用するには、ArcGIS REST API または ArcGIS Pro で実行してください。

近接解析

次のツールを使用すると、「近くにあるのは何か」という空間解析で最も一般的な質問の 1 つに答えることができます。

ツール説明

バッファーの作成 (Create Buffers)

バッファーの作成 (Create Buffers)

バッファーとは、ポイント、ライン、またはエリア フィーチャから特定の距離をカバーするポリゴンです。

例:

  • 線形の河川フィーチャを使用して、それぞれの河川を 50 倍の川幅でバッファー処理し、提案された流域境界を決定します。
  • 各国を表すエリアを基に、それぞれの国を 200 海里でバッファー処理し、海上国境線を決定します。

データ管理

これらのツールは、地理データと表形式データの日々の管理に使用します。

ツール説明

データのアペンド (Append Data)

データのアペンド (Append Data)

このツールは、既存のホスト フィーチャ レイヤーにデータを追加します。

例:

  • あなたは、大手保険会社の社員で、毎月販売記録を作成しているとします。年次報告書では、月次データを分析用に集計する必要があります。販売の分析を開始するには、月次番号が利用可能になったら、[データのアペンド (Append Data)] を利用して、AnnualReport_2018 レイヤーを更新します。組織では毎月同じスキーマが維持されていることがわかっているため、デフォルトのフィールド マッピング手法を使用し、フィールドの名前とタイプに基づいて効率的にフィーチャを追加できます。
  • 10 の環境団体それぞれが、管轄区域内で数十万もの気候測定値を収集しています。これらの組織は、地域および全世界のパターンをより詳しく把握するために、データを集計したいと考えています。組織ごとに、データセットのスキーマが決定されます。各組織には、気温と風速データに指定された異なるフィールド名があります。データセット間でフィールド名の違いがある場合、[フィールドの割り当て] を利用して、気温と風速の測定値を個々のフィールドに追加する方法を指定できます。

フィールド演算 (Calculate Field)

フィールド演算 (Calculate Field)

新規または既存のフィールドの値を計算して、ArcGIS Enterprise 上のコンテンツ内にレイヤーを作成します。

例:

  • totalという名前の既存のフィールドを収益のフィールド total_2016total_2017total_2018 の合計に変更します。
  • 新しいフィールドを作成して、windspeedpollutant などのフィールド値に基づいてハザード レベルを分類します。

データ ストアにコピー (Copy to Data Store)

データ ストアにコピー

入力フィーチャ レイヤーまたはテーブルを ArcGIS Data Store にコピーして、ユーザーの Web GIS 内にレイヤーを作成します。

例:

  • ビッグ データ ファイル共有に含まれる CSV ファイルのコレクションを視覚化のために時空間データ ストアにコピーします。
  • 現在のマップ範囲内のフィーチャのうち、ビッグ データ ストアに格納されているフィーチャをリレーショナル データ ストアにコピーします。

オーバーレイ (Overlay Layers)

オーバーレイ (Overlay Layers)

[オーバーレイ] は、複数のレイヤーを 1 つのレイヤーに結合します。

例:

  • 100 年の氾濫原内にどのような土地区画があるか (ここでいう「内」は「上」と同じ意味です)。
  • どのような土壌タイプの上にどのような土地利用があるか?
  • 軍用基地の跡地にどのような井戸があるか?