ダウンタイムを最小限に抑える必要がある組織では、多くの場合すでに障害復旧またはフェイルオーバー戦略を導入済みです。 ArcGIS Enterprise が提供するツールを使用すると、これに複製された環境の維持、高可用性の構成、あるいは両方の組み合わせを含めることができます。
アップグレードを行うと、ダウンタイムの削減にさらなる課題が発生する可能性があります。 通常、ArcGIS Enterprise のアップグレード方法には運用環境のアップグレードが含まれますが、この間は組織で環境を使用できなくなります。 組織が 10.8.1 または 10.9.1 からアップグレードする場合、可用性が高い場合、または複数のフェデレーション サーバーや画像解析などの追加機能を備えたサーバーがある場合、アップグレードにかかる時間は長くなる可能性があります。
同一の独立したスタンバイ環境がある組織の場合、このダウンタイムを回避できます。 管理者は、運用環境に引き続きアクセスしながらスタンバイ環境をアップグレードできるため、リスクを軽減し、組織が利用できない時間を最小限に抑えることができます。 予期しない事態が発生した場合は、以前のバージョンにロールバックするのではなく、調査に時間をかけることができます。

アップグレードが完了し、環境についての必要な品質保証を実施したら、プライマリーのアップグレード中もユーザーが新しい機能を使用できるようにトラフィックをスタンバイ環境に送信することができます。
必要に応じて、運用環境を読み取り専用モードにして、組織がそのままアクセスできるようにしながらデータの差異の発生やデータ損失の可能性を管理するリスクを排除することができます。
組織に複製された環境がない場合は、WebGISDR ツールを使用して新しいコンピューターまたはコンピューターのセットに移行することで、環境を複製することができます。
可用性の高い、複製された環境には追加の手順を行いアップグレードする必要があります。 以降のセクションで、各配置パターンの手順を説明します。 これらのセクションの手順を実行する前に、以下のトピックで提供されるアップグレードの準備に関するガイダンスを確認し、関連する手順を実行してください。
高可用性向けに構成された組織のアップグレード
可用性の高い ArcGIS Enterprise 配置内のコンポーネントをアップグレードするには、次の手順を実行します。
- 可用性の高いポータルをアップグレードします。
- ArcGIS Web Adaptor をアップグレードします (Portal for ArcGIS 用)。
ポータルの URL を指定する際には、いずれかのポータル コンピューターの URL を入力します (例: https://p1.example.com:7443)。 この URL を使用して、高可用性構成の両方のコンピューターを検出し、これらのコンピューターを ArcGIS Web Adaptor に登録します。
- ホスティング サーバーとして構成された高可用性 ArcGIS Server サイトのアップグレード
- ArcGIS Web Adaptor をアップグレードします (ArcGIS Server 用)。
- 可用性の高い ArcGIS Data Store をアップグレードします。
- 組織にその他のフェデレーション サーバーが含まれる場合は、これらをアップグレードします。
ほどんどのフェデレーション サーバーは、ベースの ArcGIS Enterprise 配置のバージョンに一致する必要があります。 フェデレーション サーバーのサポートされているバージョンに関する詳細は、「サーバー サイトのフェデレーション」をご参照ください。
アップグレードが必要なフェデレーション サーバーのタイプに関する次のアップグレード情報をご参照ください。
複製された環境のアップグレード
プライマリー環境とスタンバイ環境のコンポーネントをアップグレードするには、次の手順を実行します。
- 任意で、プライマリー環境を読み取り専用モードに設定します。
- 次の手順により、スタンバイ環境をアップグレードします。
- Portal for ArcGIS をアップグレードします。 組織が高可用性向けに構成されている場合、「可用性の高いポータルのアップグレード」をご参照ください。
- ArcGIS Web Adaptor をアップグレードします (Portal for ArcGIS 用)。
組織が高可用性向けに構成されている場合、ポータルの URL を指定する際にいずれかのポータル コンピューターの URL を入力します (例: https://p1.example.com:7443)。 この URL を使用して、高可用性構成の両方のコンピューターを検出し、これらのコンピューターを ArcGIS Web Adaptor に登録します。
- ポータルのホスティング サーバーとして機能する ArcGIS Server サイトをアップグレードします。
- ArcGIS Web Adaptor をアップグレードします (ArcGIS Server 用)。
- ArcGIS Data Store をアップグレードします。
- 組織にその他のフェデレーション サーバーが含まれる場合は、これらをアップグレードします。
ほどんどのフェデレーション サーバーは、ベースの ArcGIS Enterprise 配置のバージョンに一致する必要があります。 フェデレーション サーバーのサポートされているバージョンに関する詳細は、「サーバー サイトのフェデレーション」をご参照ください。
アップグレードが必要なフェデレーション サーバーのタイプに関する次のアップグレード情報をご参照ください。
- 読み取り専用モードを使用している場合、プライマリー環境を読み取り専用モード以外に設定し、スタンバイ環境を読み取り専用モードに設定します。
- トラフィックをスタンバイ環境に送信します。
- 手順 3 に従ってプライマリー環境をアップグレードします。
可用性の高いポータルのアップグレード
両方のコンピューターに Portal for ArcGIS をインストールし、いずれかのコンピューターでアップグレードを続行します。
アップグレードするには、次の手順を実行します。
- Portal for ArcGIS を両方のポータル コンピューターにインストールします。
プライマリーまたはスタンバイのコンピューターがどちらであるかを考慮する必要はありません。両方のコンピューターでセットアップを同時に実行できます。
- いずれかの Portal for ArcGIS コンピューター上で ArcGIS Enterprise 組織を開き、アップグレードを続行します。
組織の URL の形式は https://organization.example.com:7443/arcgis/home です。
アップグレードを続行する手順は、1 台のコンピューターからのみ実行する必要があります。 プライマリーまたはスタンバイがどちらであるかを知る必要はありません。
- 現在のライセンス ファイルへのパスを指定して、[ポータルのアップグレードの継続] を選択します。
- アップグレードが完了したら、[OK] をクリックして、ポータルが再起動することを確認します。
- ポータルが再起動してアクセス可能になったら、アップグレード操作を開始したコンピューター上でアップグレード後の操作を実行し、両方のコンピューターで健全性チェックを実施します。