Web GIS のコンポーネントをバックアップ ファイルにエクスポートして、後でハードウェアの故障やデータの損失が発生した場合に配置の復旧に使用できます。このファイルには、ポータルのアイテムと設定、ホストされている Web レイヤー、フェデレーション/ホスティング サーバー設定、および ArcGIS Data Store の使用時は、ホスト フィーチャ レイヤー データとホスト シーン レイヤー キャッシュが格納されます。バックアップ ファイルのサイズと作成にかかる時間は、ポータル内にあるアイテムの数、存在するホスト Web レイヤーの数とタイプ、存在するフェデレーション サーバーの数、およびホスティング サーバーとフェデレーション サーバーに属する GIS サーバーの数によって異なります。データもサービスも含まない配置のバックアップ時に生成されるファイルのサイズはおよそ 380 MB です。作成されるファイルは常にこれより大きいサイズになります。
Web GIS のバックアップを作成するには、エクスポート操作とプロパティ ファイルを指定した webgisdr ユーティリティを使用します。このユーティリティは、Portal for ArcGIS ツール ディレクトリにあります。このユーティリティを使用するには、次の条件が満たされている必要があります。
- 指定した共有ディレクトリは、エクスポートされたファイルを格納するのに十分な大きさである必要があります。Web GIS のテスト エクスポートを実行して、ファイルがどのくらいの大きさになるか把握した後、共有ディレクトリに維持する予定のファイル数を決定し、それに従ってディレクトリのサイズを指定します。
- ArcGIS Server、Portal for ArcGIS、および ArcGIS Data Store サービスの実行に使用するドメイン アカウントは、バックアップ ファイル用に指定する共有ディレクトリに対する書き込み権限を備えている必要があります。
次の手順に従って、Web GIS の配置のバックアップを作成します。
- テンプレート プロパティ ファイルのコピーを作成します。コピーは、テンプレートと同じディレクトリまたは新しいディレクトリに保存できます。
テンプレート プロパティ ファイルである webgisdr.properties はデフォルトで C:\Program Files\Portal\tools\webgisdr にインストールされます。
この例では、ファイルのコピーは、mywebgis.properties という名前で C:\propfiles に保存されます。
- プロパティ ファイルのコピーを開き、サイトに固有の情報を含むようにそのファイルを編集します。
- SHARED_LOCATION = <バックアップ ファイルの場所>
バックアップ ファイルを作成する共有場所を指定します。ArcGIS Server、Portal for ArcGIS、および ArcGIS Data Store サービスを実行するドメイン アカウントはこの場所に対する書き込みアクセス権を備えている必要があります。 この場所がバックアップ ファイルを保持するのに十分な大きさであることを確認します。ファイルは、圧縮されるとはいえ、存在するデータの量とタイプによっては非常に大きなサイズになることがあります。ホスト シーン レイヤーおよびキャッシュが存在し、INCLUDE_SCENE_TILE_CACHES を true に設定している場合は特に、ファイルのサイズが大きくなる可能性があります。この場所がフォルダーである場合、障害復旧ツールが最新のバックアップ ファイルをインポートします。SHARED_LOCATION プロパティが特定のバックアップ ファイルを参照している場合は、そのファイルが災害復旧ツールによってインポートされます。
レガシー:
Portal for ArcGIS 10.4 では、このプロパティは SHARED_FOLDER という名前でした。
- PORTAL_ADMIN_URL = <ポータルの管理ディレクトリの URL>
Portal for ArcGIS 管理ディレクトリの URL を指定します。形式 https://portalhostname.domain.com:7443/arcgis を使用します。
- PORTAL_ADMIN_USERNAME = <ポータル管理者のユーザー名>
Esri 定義の管理者ロールに割り当てられるポータル メンバーのユーザー名を指定します。
- PORTAL_ADMIN_PASSWORD = <ポータル管理者のパスワード>
ポータル管理者アカウントのパスワードを指定します。
- PORTAL_ADMIN_PASSWORD_ENCRYPTED = <true | false>
初めてファイルに管理者パスワードを設定するときは、このオプションを false に設定します。ファイルを保存すると、パスワードが暗号化され、PORTAL_ADMIN_PASSWORD_ENCRYPTED の値が true に設定されて、パスワードが暗号化済みであることが示されます。パスワードを将来変更する必要がある場合は、PORTAL_ADMIN_PASSWORD_ENCRYPTED = false に設定して、新しい管理者パスワードを指定し、ファイルを保存します。
- INCLUDE_SCENE_TILE_CACHES = <true | false>
ホスト シーン レイヤーをポータルに公開して、シーン キャッシュ データをバックアップに含める場合は、INCLUDE_SCENE_TILE_CACHES を true に設定します。true に設定した場合は、最後のバックアップ以降に作成された新しいキャッシュ データだけではなく、すべてのシーン キャッシュ データがバックアップに含まれる点に注意してください。最後のバックアップ以降に新しいシーン キャッシュが作成されていないことがわかっている場合や、シーンをポータルに公開しない場合は、INCLUDE_SCENE_TILE_CACHES を false に設定できます。
この例では、URL が https://portalhostname.domain.com:7443/arcgis のポータル、そのポータルのホスティング/フェデレーション サーバーのサービスと設定、および ArcGIS Data Store に格納されたホスト フィーチャ レイヤー データが、\\mybuserver\\wgbackups にあるバックアップ ファイルに出力されます。INCLUDE_SCENE_TILE_CACHES が false に設定されているため、ArcGIS Data Store のシーン レイヤー キャッシュは含まれません。
SHARED_LOCATION = \\\\mybuserver\\wgbackups PORTAL_ADMIN_URL = https://portalhostname.domain.com:7443/arcgis PORTAL_ADMIN_USERNAME = admin PORTAL_ADMIN_PASSWORD = Th3.Ad.Pass PORTAL_ADMIN_PASSWORD_ENCRYPTED = false INCLUDE_SCENE_TILE_CACHES = false
- SHARED_LOCATION = <バックアップ ファイルの場所>
- プロパティ ファイルを保存します。
このファイルを指定して webgisdr ユーティリティを実行すると、ファイル内で PORTAL_ADMIN_PASSWORD の値が暗号化され、PORTAL_ADMIN_PASSWORD_ENCRYPTED が true に設定されます。
- Portal for ArcGIS コンピューター上でコマンド ウィンドウを開き、webgisdr ユーティリティがある場所にディレクトリを変更し、エクスポート オプションを指定した webgisdr ユーティリティを実行します。
webgisdr ユーティリティのデフォルトの場所は、C:\Program Files\Portal\tools\webgisdr です。
webgisdr の構文は、次のとおりです。
webgisdr --{export | import} --file <location and name of properties file>
上述のように、プロパティ ファイル (mywebgis.properties) は、ユーザーが作成したフォルダー C:\propfiles に保存されました。
webgisdr --export --file C:\propfiles\mywebgis.properties
- Web GIS にマップ サービスまたはホスト タイル レイヤーのキャッシュが含まれている場合、キャッシュ タイルが格納されているすべてのディレクトリ (たとえば、C:\arcgisserver\directories\ または <ArcGIS Server installation directory>/arcgis/server/usr/directories の下の arcgiscache ディレクトリ全体) のコピーを手動でバックアップします。
これらのディレクトリには、マップ キャッシュ タイルおよびタイル スキーマ ファイル conf.xml が含まれます。キャッシュ ディレクトリには、構築済みのタイルに関する情報を含む、ファイル ジオデータベースの status.gdb も格納できます。
このファイルを使用して、Web GIS を復元できます。