ArcGIS Enterprise 10.7.1 では、製品全体にわたって新機能、安定性の強化、および機能改善が導入されています。
機能比較表
ArcGIS Enterprise の製品概要については、関心のあるバージョンを確認してください。
ポータルでのデータ ソースの追加、管理、および公開
ArcGIS Enterprise 10.7.1 では、ユーザー管理のデータ ソースからデータを登録および公開するための方法が新しく導入されました。管理者および公開者は、ArcGIS Enterprise ポータルにデータ ストア アイテムを追加し、クラウド ストレージ、ファイル共有、およびデータベースへの接続を作成できるようになりました。
ポータルにデータ ストア アイテムを追加する方法は簡単です。データを登録し、アクセス可能に設定してワークフローを公開できるようにします。これまでのリリースと同様の機能を使用して、ArcGIS Server Manager 内からデータ ストアを登録することも可能です。ArcGIS Server Manager を介してデータ ストアを登録する場合は、これまでと同様にその他のワークフロー (ArcGIS GeoAnalytics Server で使用するためのビッグ データ ファイル共有の登録など) も必要です。
データ ストア アイテムを追加すると、ポータルは、1 つ以上のフェデレーション ArcGIS Server サイトにユーザー管理のデータ ストアを登録します。クラウド ストレージまたはファイル共有を登録すると、ポータルのメンバーは、ポータルまたは ArcGIS Pro のいずれかから、そのデータのイメージ レイヤーを公開できるようになります。
データ ストア アイテムの所有者は、データベース内のフィーチャクラスおよびテーブルからポータルに、フィーチャ レイヤーおよびマップ イメージ レイヤーを一括で公開できます。データ ストア アイテムを共有すると、同じデータベース認証情報を使用するユーザーまたはファイル共有の権限を持つユーザーは、データ ストアを個々に登録しなくても、ArcGIS Pro または ArcMap からフェデレーション サーバーの 1 つにデータを公開できます。
この新機能により、公開のワークフローが促進され、ユーザー管理のデータ ストアからレイヤーを一括で作成できるようになりました。
パーセル データの共有
ArcGIS Enterprise 10.7.1 では、組織は、パーセル ファブリックを利用して、マルチユーザー環境でパーセル データを管理、編集、共有できます。このリリースでは、パーセル ファブリック レイヤーは、フィーチャ サービスとして公開でき、ArcGIS Pro を通じて編集できます。詳細については、「パーセル ファブリックの準備および公開のワークフロー」をご参照ください。
備考:
Parcel Fabric Server REST API リソースは、このリリースではサポートされていません。
大容量のフィーチャ レイヤーの探索
フィーチャ ビニングは、大量のポイント フィーチャをビンと呼ばれる動的なポリゴンに集約する機能です。この機能が ArcGIS Pro 2.4 以降から ArcGIS Enterprise 10.7.1 に公開されるマップ サービスでサポートされるようになりました。フィーチャ ビニングは大きなデータセットを探索できる視覚化ツールであるとともに、数千または数百万のポイント フィーチャを含むレイヤーの描画パフォーマンスを最適化します。ビンが有効なレイヤーは、マップ イメージ レイヤーとして ArcGIS Enterprise 10.7.1 ポータル、またはマップ サービスとしてスタンドアロン ArcGIS Server 10.7.1 サイトに公開できます。ビンが有効なフィーチャ レイヤーを公開する前に、レイヤーのソース データベースを ArcGIS Server サイトに登録する必要があります。
ドキュメント
各ソフトウェア コンポーネントの完全な ArcGIS Enterprise ヘルプが利用可能になるように、インストールされたドキュメントが更新されています。新しいドキュメントは ArcGIS Enterprise Web サイトにあるバージョンと同じものになります。すべてのコンポーネントについて検索できるこの新しいドキュメントは、組織のファイアウォールの背後にあるインストール済みのディレクトリからアクセスできます。
それぞれの主要なソフトウェア コンポーネント (ArcGIS Server、Portal for ArcGIS、ArcGIS Data Store、ArcGIS Enterprise Builder) が新しいドキュメント形式に対応できるように更新されました。
ArcGIS Enterprise Builder
ホスティング サーバーおよび ArcGIS Enterprise ポータルに独自の Web Adaptor 名を指定し、ArcGIS Enterprise Builder を使用して新しい配置を構成できるようになりました。詳細については、「ArcGIS Enterprise Builder のインストール手順」をご参照ください。
備考:
ArcGIS Enterprise Builder を使用してアップグレードを実行する場合は、既存の Web Adaptor 名を変更することができません。
ArcGIS Notebook Server
10.7 では、ArcGIS Enterprise ユーザーが ArcGIS Notebook Server ロールを利用できるようになりました。ArcGIS Notebook Server では、ArcGIS Notebook のホストと実行に専用のサーバー フレームワークが使用され、リソースを区分するためにノートブックのユーザーごとに固有のサーバー コンテナーが提供されます。
ArcGIS Notebook は、ArcGIS Enterprise ポータルと統合された Web インターフェイスであり、データ サイエンスおよびデータ管理スクリプトを作成、共有、実行することができます。ノートブックの作成者は、ArcGIS Enterprise とその解析エンジン、ArcGIS 地理空間解析ライブラリ、オープンソースの解析、統計、およびコンピューター ラーニング ライブラリにアクセスできます。ArcGIS Notebook で ArcGIS API for Python および ArcPy ライブラリを実行できます。
10.7.1 では、複数コンピューターの ArcGIS Notebook Server サイトがサポートされるようになりました。これにより、管理者は、ノートブックのホストに使用できるコンピューター リソースを拡大できます。
ユーザー タイプ
柔軟に ArcGIS Enterprise で機能とアプリをライセンス認証できるよう、メンバー レベルがユーザー タイプに代わりました。組織は、メンバーのニーズに合わせて、ユーザー タイプを使用し、ID、権限、アプリを割り当てることができます。ユーザー タイプが割り当てられたメンバーにライセンスを付与するだけでなく、組織全体でユーザーのニーズに合わせてより柔軟にアドオン アプリとアプリ バンドルを選択することもできます。
カスタム ロールの管理権限
10.7.1 では、ユーザーが組織をより柔軟に管理しやすくなりました。ポータル設定を管理するための管理権限を指定したカスタム ロールを作成できます。これにより、管理者は、デフォルトの管理者ロールで完全な権限をユーザーに付与することなく、特定の管理作業をユーザーに委任することができます。たとえば、[組織の Web サイト] 権限を含むカスタム ロールを付与されているユーザーは、セキュリティやサーバー設定の管理などの管理タスクを実行する権限はありませんが、ポータルの Web サイト設定を管理できます。
新しいタイル パッケージ形式
ArcGIS Enterprise 10.7 には、拡張子が *.tpkx のタイル パッケージ ファイル形式が新たに導入されました。この形式では、キャッシュ タイルが最適な compactv2 格納形式で格納されます。この形式は単純なファイル構造になっており、ネットワーク ファイル共有またはクラウド ストア ディレクトリを経由してアクセスした場合に優れたパフォーマンスを発揮します。
[マップ タイル パッケージの作成 (Create Map Tile Package)] または [マップ サービス キャッシュのエクスポート (Export Map Server Cache)] ジオプロセシング ツールを実行して、ArcGIS Pro 2.3 でタイル パッケージを作成する場合は、出力形式を *.tpk または *.tpkx ファイルのどちらにするかを指定できます。どちらのファイル タイプも ArcGIS Enterprise 10.7 で使用できます。
*.tpkx ファイルはオープン規格のため、ファイルを直接 *.tpkx ファイルで読み書きできます。これにより、ユーザーはカスタムのサードパーティ ソリューションをタイル パッケージ向けに開発して配置することができるようになりました。
この新しい形式は、下位互換性がないので、ArcGIS Enterprise 10.7、ArcGIS Pro 2.3、ArcGIS Online、および ArcGIS Runtime 100.5 でのみ使用できます。
追跡中の位置
位置の追跡は組織全体で利用できる機能になり、ユーザーの現在地と過去の位置を記録できます。位置追跡フィーチャ サービスは、記録した位置をビッグ データ ストアにポイント フィーチャとして保存します。トラックは位置追跡サービス内で安全に保たれています。ユーザーには自身のトラックのみが表示され、他のユーザーのトラックを表示するには追加の権限が必要となります。トラックを状況認識と解析に使用すると、ユーザーがどの場所にいたかに関する質問に答えることができます。
Tracker for ArcGIS は Track Viewer Web アプリと Tracker for ArcGIS モバイル アプリという新しい 2 つのアプリで位置の追跡サービスを使用する新製品です。Track Viewer Web アプリを使用すると、管理者はトラック ビューを作成し、追跡対象のユーザーとそのトラックを表示できるユーザーを定義できます。Tracker モバイル アプリはバックグラウンドでの位置の追跡に最適化されており、デバイスのバッテリーへの影響を最小限に抑えます。このモバイル アプリでは、データ接続とは独立してトラックが記録され、モバイル ユーザーは追跡される期間と追跡されない期間を制御できます。
ArcGIS Excalibur
ArcGIS Excalibur は、ArcGIS Enterprise 10.7 の新しい Web アプリケーションであり、直感的な操作性で画像ベースのワークフローが最新化および機能拡張されています。このような操作性を備えた統合ワークフロー内で画像を検索、検出、操作することができます。ArcGIS Excalibur では、画像処理プロジェクトが導入され、画像ベースのタスクを一元的に実行するために必要なリソースを動的に整理できます。画像処理プロジェクトには地理空間参照レイヤーが含まれています。このレイヤーは、画像処理タスクにコンテキストを提供するとともに、画像ベースのワークフローを効率化する一連のツールを提供します。
詳細については、ArcGIS Excalibur ヘルプをご参照ください。
再設計された組織ページ
組織ページが、組織の管理と情報の検索に役立つように再設計されました。新しい [概要] タブには、利用できるライセンス、メンバーの数やタイプなど、組織に関する情報が表示されます。[メンバー] タブでは、ロールとレベルを基準にメンバーをフィルタリングし、一度に複数のメンバーのメンバーシップを無効化/有効化することができます。
オフライン マップ エリア
オフラインで作業する場合に、マップ エリアを作成してマップをオフラインにすることができるようになりました。Web マップの特定領域からデータをパッケージ化すると、そのデータをすばやくダウンロードして、Collector for ArcGIS および ArcGIS Runtime SDK カスタム アプリでオフラインで使用できるようになります。
モデルの共有
コラボレーションへの参加者と Insights for ArcGIS モデルを共有できるようになりました。モデルを共有することで、受け取り側はモデルのデータとパラメーターを調整し、データを調査および解析することができます。
ポータル アクティビティの監視
ポータル管理者として、Webhook を作成して管理し、ポータルのアイテム、ユーザー、およびグループのアクティビティを監視できます。Webhook を使用すると、アプリケーションから他のアプリケーションにイベント ドリブン型の情報をペイロードで送信できます。ペイロードは、イベントが実行された日時やイベントをトリガーしたユーザーなどのイベント情報を含む JSON メッセージであり、指定のペイロード URL に送信されます。
ArcGIS Server
「ArcGIS Server の新機能」および「ArcGIS Server ライセンス ロール」をご参照ください。
ArcGIS Enterprise ポータル
マッピング、解析、および共有ワークフローで多数の新機能と機能拡張を利用できるようになりました。また、ポータルのユーザー エクスペリエンスが強化され、小さい画面上でポータルにアクセスした場合のポータルの応答性が高くなりました。機能と機能拡張の詳細なリストは、「ArcGIS Enterprise ポータルの新機能」をご参照ください。
ArcGIS Data Store
「ArcGIS Data Store の新機能」をご参照ください。
ArcGIS REST API
開発者の新機能については、「ArcGIS Server 管理」、「ポータル管理」、「ArcGIS Services Directory」をご参照ください。
システム要件
ArcGIS Enterprise が Standard エディションおよび Datacenter エディション向けの Windows Server 2019 (64 ビット) オペレーティング システムでサポートされるようになりました。
個々の ArcGIS Enterprise コンポーネントの詳細については、システム要件に関するトピックをご参照ください。
クラウドの配置
10.7 以降、使用頻度の高いジオプロセシング サービスの場合、ArcGIS Server 管理者は、サービスに使用するジョブ ディレクトリを ArcGIS Server サイト上のローカル フォルダーから Microsoft Azure Blob ストレージ コンテナーに変更することができます。
ArcGIS Enterprise および Amazon Web Services への Microsoft Azure の配置に使用するツールと画像が 10.7 および 10.7.1 に合わせて改善されました。これらのプラットフォーム上の ArcGIS Enterprise の新機能と機能拡張の詳細については、次のトピックをご参照ください。