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ArcGIS Data Store 10.5.x の新機能

10.5.1 の新機能

ArcGIS Data Store 10.5.1 では、ディスク容量を節約するためにリレーショナル データ ストアの増分バックアップがデフォルトで無効化され、backupdatastore ユーティリティおよび restoredatastore ユーティリティの機能が拡張され、データ ストア構成ウィザードからの通信、または ArcGIS Data Store コンピューターと他の ArcGIS Enterprise コンポーネントの間の通信を行う場合に使用される SSL 証明書を置き換える新しいツールが含まれています。

増分バックアップがデフォルトで無効化されました

以前のリリースでは、リレーショナル データ ストアの増分バックアップが自動的に作成されていました。ArcGIS Data Store 10.5.1 以降、作成したリレーショナル データ ストアの増分バックアップは、デフォルトで無効化されます。

ArcGIS Data Store 10.5.1 にアップグレードした場合、リレーショナル データ ストアの増分バックアップは、有効化されたままになります。

webgisdr ユーティリティを使用して ArcGIS Enterprise の配置を別のコンピューターにバックアップする、または複製するには、リレーショナル データ ストアの増分バックアップを有効化する必要があることに注意してください。このユーティリティを新規作成された 10.5.1 のリレーショナル データ ストアで使用する予定である場合、またはリレーショナル データ ストアを特定の時点に復元する機能が必要な場合は、changedbproperties ユーティリティを使用して特定時点への復元を有効化します。アップグレードしたリレーショナル データ ストアで特定時点への復元または webgisdr ユーティリティが不要な場合は、changedbproperties ユーティリティを使用して特定時点への復元を無効化できます。

backupdatastore ユーティリティがバージョン間で移行できるように拡張されました

以前のリリースでは、リレーショナル データ ストアを別のオペレーティング システム上の ArcGIS Data Store のインストールへ、または異なるバージョンの ArcGIS Data Store へ復元したい場合、exportmanageddb ユーティリティを使用する必要がありました。10.5.1 では、backupdatastore ユーティリティを使用してバックアップを作成する際に、この機能が含まれており、exportmanageddb ユーティリティは非推奨になりました。復元するときは、オペレーティング システム間または ArcGIS Data Store のバージョン間で移行する場合でも、restoredatastore ユーティリティを使用します。importmanageddb ユーティリティも、非推奨になりました。

ハードウェア障害の後にビッグ データ ストアを復元する際の機能が改善されました

ビッグ データ ストアで 1 台以上のコンピューターが故障した場合、新しいコンピューターに復元する必要があります。ほとんどのビッグ データ ストアには複数のコンピューターと大量のデータが含まれているため、すべてのデータを 1 台の新しいコンピューターに復元しようとすると失敗する可能性があります。10.5.1 では、restoredatastore ユーティリティに新しい操作 (--loaddata) が追加されました。ほとんどのビッグ データ ストアの場合、データを読み込まずに復元するために、この操作を false に設定し、1 つ目の新しいビッグ データ ストア コンピューターを作成します。そうすることで、すべてのデータをバックアップ ファイルに格納するために、ビッグ データ ストア内で追加のコンピューターを構成し、--loaddata 操作を true に設定して再び restoredatastore ユーティリティを実行し、すべてのデータを復元できます。詳細については、「データ ストアの復元」をご参照ください。

SSL 証明書を更新するための新しいユーティリティ

認証機関から取得した SSL 証明書を使用してすべての Web 通信を認証する必要がある組織が、ArcGIS Data Store との通信に使用される自己署名 SSL 証明書を置き換えることができるようにするユーティリティが追加されました。

10.5 の新機能

ArcGIS Data Store 10.5 を使用すると、それぞれのタイプのデータ ストアを容易に構成および管理できます。この ArcGIS Data Store には、機能拡張された構成ウィザード、すべてのデータ ストア タイプのバックアップおよび復元機能、ディスクの容量不足によるデータ損失に対する保護機能、および複数のユーティリティの機能改善が含まれています。

特定のデータ ストア タイプの構成

データ ストアが果たす目的は、タイプによって異なります。必要とされる機能と使用するクライアントに応じて、異なるタイプのデータ ストアを構成します。バージョン 10.5 では、データ ストア構成ウィザードが更新され、構成プロセスが簡略化されてわかりやすくなっています。このウィザードでは、どのタイプのデータ ストアを作成して、GIS Server サイトに登録するかを指定します。リレーショナル データ ストア、タイル キャッシュ データ ストア、またはビッグ データ ストアを構成することを選択できます。

以前のリリースでは、このウィザードで、常にリレーショナル データ ストアとタイル キャッシュ データ ストアの両方が構成され、このウィザードをビッグ データ ストアの作成に使用できませんでした。

すべてのタイプのデータ ストアのバックアップおよび復元

すべてのデータ ストア タイプについて、自動と手動のバックアップが可能になりました。新しい configurebackuplocation ユーティリティを使用すると、各データ ストアの共有ネットワーク ロケーションを構成できます。ビッグ データ ストアのバックアップ用の共有ネットワーク ロケーションを構成するには、configurebackuplocation ユーティリティの register 操作を使用する必要があります。リレーショナル データ ストアとタイル キャッシュ データ ストアのバックアップ用の共有ネットワーク ロケーションを指定するには、change 操作を指定した configurebackuplocation ユーティリティを使用します。

バックアップ場所を設定したら、backupdatastore ユーティリティを使用して、リレーショナル、タイル キャッシュ、またはビッグ データ ストアのバックアップを手動で作成できます。リレーショナル データ ストアに対して backupdatastore ユーティリティを実行すると、完全バックアップが作成されます。

以前のリリースと同様に、リレーショナル データ ストアについては、デフォルトでバックアップが自動的に作成されます。タイル キャッシュ データ ストアとビッグ データ ストアについては、これらのデータ ストアに対して共有ネットワーク上のバックアップ場所を設定した後に、updatebackupschedule ユーティリティを実行して、バックアップ スケジュールを設定できるようになりました。

手動または自動で最初に作成されるビッグ データ ストアのバックアップは完全バックアップです。ビッグ データ ストアは、サイズが非常に大きくなる可能性があるため、後続のバックアップで作成されるバックアップ ファイルには、最初の完全バックアップ以降の変更のみが含まれます。

同様に、手動または自動で最初にタイル キャッシュ データ ストアのバックアップが作成されるとき、バックアップ コピーは、既存のすべてのタイル キャッシュ データ ストア データベースから作成されます。後続の手動または自動バックアップでは、前回のバックアップ作成以降に作成されたタイル キャッシュ データ ストア データベースのバックアップ コピーが作成されます。

また、restoredatastore ユーティリティも、バックアップ ファイルが保持されているすべてのデータ ストア タイプを復元できるように拡張されています。

リレーショナル データ ストアの読み取り専用モード

リレーショナル データ ストアが作成されたコンピューターでディスク容量が不足した場合、そのリレーショナル データ ストアは使用できなくなり、データが失われる可能性があります。この状況は、「リレーショナル データ ストアの自動バックアップはリモートの共有ディレクトリに作成されるように構成する」という推奨手法に従わなかった場合に発生する可能性が高くなりますが、データ ストアのサイズが非常に大きくなった場合や、空きディスク容量がほとんどないコンピューター上にリレーショナル データ ストアを作成した場合にも発生します。

プライマリ リレーショナル データ ストアが実行されているコンピューターのディスク容量が一定のサイズを下回ると、データの損失を防ぐために、プライマリ リレーショナル データ ストアが読み取り専用モードに設定されます。デフォルトでは、このサイズは 1024 MB ですが、この値は、disk-threshold-readonly 操作を指定した changedbproperties ユーティリティを使用して変更できます。読み取り専用モードになると、クライアントは、ホスト フィーチャ レイヤーの公開などの操作を完了することができなくなり、結果としてデータがリレーショナル データ ストアにコピーされます。

データ ストアが読み取り専用モードになる前に、リレーショナル データ ストアのディスク容量が低下していることを示す警告が、ホスティング サーバーのログ ファイルに表示されます。デフォルトでは、プライマリ リレーショナル データ ストア コンピューターの残りのディスク容量が 10 GB に達した場合、これらのメッセージがログに現れ始めます。ArcGIS Data Store は、ディスク サイズを毎時間チェックします。その結果、メッセージが 1 時間ごとにログに記録されます。

残りのディスク容量が 1024 MB、または changedbproperties ユーティリティを使用して指定したサイズを下回ると、リレーショナル データ ストアは読み取り専用モードに設定されます。

ディスク容量をプライマリ データ ストア コンピューターに追加した後、changedatastoremode ユーティリティを実行して、リレーショナル データ ストアを再び読み取り/書き込みモードに設定します。次に updatebackupschedule ユーティリティを実行して、リレーショナル データ ストアの自動バックアップを再設定します。

また、コンピューター上でメンテナンス タスクを実行する間、changedatastoremode ユーティリティを使用して、プライマリ リレーショナル データ ストアを読み取り専用モードに設定することもできます。

describedatastore ユーティリティをプライマリ リレーショナル データ ストア コンピューター上で実行すると、データ ストアが読み取り専用モードまたは読み取り/書き込みモードのいずれであるかを示す追加の情報行が返されます。

タイル キャッシュ データ ストアとビッグ データ ストアのディスク容量の監視

ArcGIS Data Store は、タイル キャッシュ データ ストア コンピューターとビッグ データ ストア コンピューターについても残りのディスク容量を監視します。残りのディスク容量が 10 GB を下回ると、ディスク容量を追加する必要があることを知らせる警告がログに記録されます。データ ストアのディスク容量が 1024 MB を下回ると、データの損失を避けるために、そのデータ ストアが停止します。

データ ストア コンピューターにディスク容量を追加した後は、そのコンピューター上のデータ ストアのタイプが、タイル キャッシュ データ ストアまたはビッグ データ ストアのみである場合、コンピューター上で startdatastore.sh ツールを実行します。このツールは、ArcGIS Data Store のインストール ディレクトリにあります。または、ホスティング サーバーの ArcGIS Server Administrator Directory にサイン インし、start REST 関数の start を使用して、タイル キャッシュ データ ストアまたはビッグ データ ストアのコンピューターを再起動できます。

ArcGIS Data Store コマンド ユーティリティに対する変更

コマンド ユーティリティに加えられた変更の大部分は、3 つすべてのデータ ストア タイプの管理を改善するためのものです。

異なるデータ ストア タイプの管理を明確化および簡素化する上での改善の一部として、どのタイプのデータ ストアを登録解除または削除するかを指定できる新しいオプションが unregisterdatastore および removemachine ユーティリティに追加されました。これは、同一のコンピューター上に複数のタイプのデータ ストアがインストールされている場合に便利です。たとえば、タイル キャッシュ データ ストアを登録解除する際に、リレーショナル データ ストアを登録解除せずに済みます。同様に、他のデータ ストアに影響を与えることなく、1 台のビッグ データ ストア コンピューターを削除できます。

backupdatastorerestoredatastoreupdatebackupschedule ユーティリティが、3 つすべてのデータ ストア タイプで使用できるようになりました。その結果、それぞれのユーティリティの構文が変更されています。

すべてのデータ ストア タイプのバックアップを作成できるようになったため、listbackups ユーティリティを実行して、作成されたバックアップに関する情報をデータ ストアのタイプごとに表示できます。

describedatastore ユーティリティからの出力は、データ ストアのタイプごとに情報をよりわかりやすく示すように拡張および変更されています。

listmanageduser ユーティリティの使用により、3 つすべてのデータ ストア タイプについて、データ所有者のユーザー名とパスワードが返されるようになりました。

changedbproperties ユーティリティは次のように変更されています。

  • changedbproperties ユーティリティを実行するときにどのデータ ストア タイプを構成するかを指定できるようになりました。
  • リレーショナル データ ストア コンピューターが、ディスク容量のサイズの制約により、いつ読み取り専用モードになるかを制御する disk-threshold-readonly 操作が追加されています。
  • ビッグ データ ストアに固有の 2 つのオプションの名前が変更されました。reallocation オプションは rebalancemax-allocation-off オプションは max-rebalance-off という名前になりました。これらの新しい名前は、これらのプロパティが設定されたときにビッグ データ ストアが実行する処理をより正確に反映しています。

新しい changedatastoremode ユーティリティを使用すると、リレーショナル データ ストアを読み取り専用状態にした後、そのリレーショナル データ ストアで再びクライアントによるデータの書き込みや編集を可能にする準備ができたときにデータ ストアを読み取り/書き込み状態に戻すことができます。

changebackuplocation ユーティリティは非推奨になりました。既存のスクリプトが動作できるように changebackuplocation ユーティリティは引き続き存在しますが、ユーザーは、このユーティリティの代わりに configurebackuplocation ユーティリティを使用する必要があります。


このトピックの内容
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