ArcGIS Enterprise に付属している Portal for ArcGIS と ArcGIS Online での組織向けサブスクリプションは、Web GIS の補完的な実装方法です。これらの方法は、マップ ビューアーやシーン ビューアーを使用したポータル Web サイト、コンテンツ リポジトリ、開発者向けの共通 API などの同じような機能を提供します。その一方で、これらが実行されるインフラストラクチャは、別々の方法で管理されています。
ArcGIS Online のすべてのコンポーネントは、Esri が管理する Software as a Service (SaaS) モデルのクラウド インフラストラクチャで実行されます。つまり、計算およびデータ格納リソース、Web サイト、システムのその他すべての側面は、Esri が拡張性の高い環境でホストしています。ユーザーは、マップとアプリを作成して使用し、組織内で共有したり、パブリックに共有したりする場合に、ArcGIS Online を使用します。
ArcGIS Enterprise は ArcGIS Online と同じような機能を提供しますが、ユーザー独自のインフラストラクチャで実行されます。このインフラストラクチャは、ユーザーが所有し、直接操作することもできますが、必要に応じて、アマゾン ウェブ サービスや Microsoft Azure などの他のクラウド プロバイダーが管理しているインフラストラクチャを利用することもできます。ArcGIS Enterprise は、マップおよびアプリの作成、使用、共有を社内で行う場合に使用します。
Portal for ArcGIS は、ArcGIS Pro を使用して特定タイプの GIS サービス (3D シーン レイヤーなど) を ArcGIS Server サイトに公開する場合のエントリ ポイントにもなります。
通常、次の要件のうち 1 つ以上が適用される組織は、ArcGIS Enterprise を実装します。
- 特定のサービス レベル契約 (SLA) を維持するために、ポータルを実行するハードウェアを完全な制御下に置く必要がある。
- サービスを Web サイトから公開できるが、社内データを社外で物理的に保管することが禁止されている。
- 組織内のコンピューターがインターネットに接続されていないか、信頼度の低いインターネットに接続されている。
- Portal for ArcGIS と ArcGIS Pro の組み合わせでしか実現できない機能 (独自の 3D シーン レイヤーの公開など) を使用したい場合もあります。
ArcGIS プラットフォームの顧客の多くは、すべての地理空間アセットを包括的かつ堅牢に管理できるシステムを実現するために、ArcGIS Online と ArcGIS Enterprise の両方を使用しています。このように、これらの組み合わせは、社内外の関係者だけでなく、拡張性と柔軟性のある安全な環境でのワークフローにも完全に対応できます。
ヒント:
実装に関するその他の考慮事項とベスト プラクティスについては、「ArcGIS プラットフォームの設計: ベスト プラクティス」をご参照ください。