GeoAnalytics Tools ボックスには複数のツールがあり、これを使用して条件式を適用することができます。
- [バッファーの作成 (Create Buffers)] におけるバッファー条件式
- [トラックの再構築 (Reconstruct Tracks)] におけるバッファー条件式
- [フィーチャの結合 (Join Features)] における結合条件
- [インシデントの検出 (Detect Incidents)] におけるインシデント条件
- [フィールド演算 (Calculate Field)] におけるフィールド値の計算
条件式を使用する GeoAnalytics Tools の用途や、適用できる条件式の制限事項はそれぞれに異なります。 11.1 では、ArcGIS GeoAnalytics Server で使用されているすべての条件式が Arcade をサポートしています。
[インシデントの検出 (Detect Incidents)] における条件式
条件式は、[インシデントの検出 (Detect Incidents)] ツールでインシデントの開始条件と終了条件の指定に使用されます。 [インシデントの検出 (Detect Incidents)] 条件の結果は、常に true か false のどちらかになります。 条件を使用して、インシデントにフィーチャを含める必要があるかどうか確認します。 条件は各フィーチャに対してテストされ、インシデントとするフィーチャを決定します。 ArcGIS GeoAnalytics Server 上で解析が実行される際に、計算が実行されます。 使用できる条件式の例については、以下のセクションをご参照ください。
数学演算子および数学関数の例
条件式は、数値を数学的に処理することができます。 以下の表は、使用可能な演算のサンプルを示しています。
演算子 | 説明 | 例 | 結果 |
---|---|---|---|
a + b | a 足す b。 | fieldname には、1.5 の値が含まれています。 $feature["fieldname"] + 2.5 | 4.0 |
a - b | a 引く b。 | fieldname には、3.3 の値が含まれています。 $feature["fieldname"]- 2.2 | 1.1 |
a * b | a 掛ける b。 | fieldname には、2.0 の値が含まれています。 $feature["fieldname"] * 2.2 | 4.4 |
a / b | a 割る b。 | fieldname には、4.0 の値が含まれています。 $feature["fieldname"] / 1.25 | 3.2 |
abs( a ) | a. の絶対値 (正の値) を返します。 | fieldname には、-1.5 の値が含まれています。 abs($feature["fieldname"]) | 1.5 |
log( a ) | a の自然対数 (底を e とする) を返します。 | fieldname には、1 の値が含まれています。 log($feature["fieldname"]) | 0 |
sin( a ) | a の正弦が返されます。 入力の角度の単位はラジアンです。 | fieldname には、1.5707 の値が含まれています。 sin($feature["fieldname"]) | 1 |
cos( a ) | a の余弦が返されます。 入力の角度の単位はラジアンです。 | fieldname には、0 の値が含まれています。 cos($feature["fieldname"]) | 1 |
tan( a ) | a の正接が返されます。 入力の角度の単位はラジアンです。 | fieldname には、0 の値が含まれています。 tan($feature["fieldname"]) | 0 |
sqrt( a ) | a の平方根を返します。 | fieldname には、9 の値が含まれています。 sqrt($feature["fieldname"]) | 3 |
min( a, b ) | a と b のうちの小さい方の数値を返します。 | fieldname には、1.5 の値と -3 の値が含まれています。 min($feature["fieldname"], -3) | -3 |
max( a, b ) | a と b のうちの大きい方の数値を返します。 | fieldname1 には、1.5 の値、fieldname2 には -3 の値が含まれています。 max($feature["fieldname1"], $feature["fieldname2"]) | 1.5 |
constrain(<value>,<low>,<high>) | 入力値が制限範囲内にある場合、入力値を返します。 入力値が下限値よりも小さい場合、下限値を返します。 入力値が上限値よりも大きい場合、上限値を返します。 | constrain($feature["distance"], 0, 10) constrain($feature['Store dist'], 6, distance) | distance が 0 よりも小さい場合は 0 を返し、distance が 10 よりも大きい場合は 10 を返し、それ以外の場合は distance を返します。 Store dist が 6 よりも小さい場合は 6 を返し、Store dist が distance よりも大きい場合は distance を返し、それ以外の場合は Store dist を返します。 |
インシデントを検出する条件のための乗算の例。
$feature["Distance"] * 2 > 50
テキスト関数の例
[インシデントの検出 (Detect Incidents)] の式は、テキストを処理することができます。 以下の表は、使用可能な演算のサンプルを示しています。
演算子 | 説明 | 例 | 結果 |
---|---|---|---|
concatenate( <values>, <separator>) | 値を 1 つに連結して、文字列を返します。
| fieldname には、GeoAnalytics の値が含まれています。 Concatenate ([$features["fieldname"], "is", "great!"], ' ') | GeoAnalytics is great! |
find(<searchText>, <text>, <startPos>) | 文字列内の文字列を検索します。 ワイルドカードはサポートされていません。
| fieldname1 には 14NorthStreet の値、fieldname2 には North の値が含まれています。 find($feature["fieldname2"], $feature["fieldname1"]) | 2 |
lower(<value>) | 文字列を小文字にします。
| fieldname には、GEOANALYTICS の値が含まれています。 lower($feature["fieldname"]) | geoanalytics |
find および lower を使用するテキストの例。
find(("north"), lower("146NorthStreet")) == 2
日付関数の例
日付を使用する式から [インシデントの検出 (Detect Incidents)] を使用できます。 以下の表は、使用可能な演算のサンプルを示しています。
Arcade では、月は 0 (1 月) ~ 11 (12 月)、日は 1 ~ 31、時は 0 (午前 12 時 00 分) ~ 23 (午後 11 時 00 分)、分と秒は 0 ~ 59、ミリ秒は 0 ~ 999 の範囲の値を取ります。Arcade の日付は、GeoAnalytics Server の場所に基づく時間値を返します。
演算子 | 説明 | 例 | 結果 |
---|---|---|---|
date( <value>, <month>, <day>, <hour>, <minute>) | 値または値のセットを構文解析して日付文字列に変換します。
| fieldname には、 1476987783555 の値が含まれています。 例 1: Date($features["fieldname"]) 例 2: Date(2017,0,14,0) 例 3: Date() | 例 1: 20 Oct 2016 11:23:03 am 例 2: 14 Jan 2017 12:00:00 am 例 3: 現在の時間を返す |
DateDiff(<date1>, <date2>, <units>) | ある日付から別の日付を減算して、その差を指定の単位で返します。
| 例 1: DateDiff(Date(2017,1,14,0), Date()) 例 2: DateDiff(Date(2017,1,14,0), Date(), "Years") | 結果は、このコマンドをいつ実行するかによって変わります。 例 1: -20532129137 例 2: -0.6546783768647119 |
Year(<dateValue>) | 所定の年を返します。
| 例 1: fieldname は、09 Oct 2017 04:30:43 pm の値を持つ Date タイプのフィールドです Year($feature["fieldname"]) 例 2: fieldname は、2012-09-27 の値を持つ ISO 8601 文字列として書式設定された文字列フィールドです | 例 1: 2017 例 2: 2012 |
条件付き演算子
条件付きステートメントでは、以下の演算子を使用できます。
演算子 | 説明 | 例 | 結果 |
---|---|---|---|
a > b a < b | a が b よりも大きい a が b よりも小さい | 10 > 2 | False |
a >= b a <= b | a が b 以上である a が b 以下である | abs(-10) >= 10 | True |
a != b | a が b と等しくない | abs(-3) != -3 | True |
a == b | a が b と等しい | abs(-5) == 5 | True |
<condition1> || <condition2> | 条件 1 または条件 2 が満たされる。 | (abs(-5) == 5) || (10 < 2) | True |
<condition1> && <condition2> | 条件 1 および条件 2 が満たされる。 | (abs(-5) == 5) && (10 < 2) | False |
論理演算子の例
条件付き演算子に加えて、[インシデントの検出 (Detect Incidents)] に高度な論理演算子を使用することもできます。
関数 | 説明 | 例 | 結果 |
---|---|---|---|
iif(<condition>,<true value>,<false value>) | 条件が true と評価されると 1 つの値を返し、条件が false と評価されると別の値を返します。 <true value> および <false value> は、次の値にすることができます。
| iif($feature["field1"] > $feature["field2"], $feature["field1"], 0) iif($feature["field1"] > $feature["field2"], iif($feature["field2"] = 0, $feature["field3"], $feature["field4"]), 0) | field1 が field2 よりも大きい場合は field1 を返し、そうでない場合は 0 を返します。 field1 が field2 よりも大きい場合は 2 番目の iif 関数の結果を返し、そうでない場合は 0 を返します。 |
when(<expression1> , <result1> , <expression2> , <result2> , ... , <expressionN> , <resultN>, <default>) | 1 つの条件式が true と評価されるまで、一連の条件式を順次評価します。
| when(($feature["field1"] + 10) > 1, 1,($feature["field2"] + 10) > 2 , 2, $feature["field3"]) | field1 + 10 が 1 よりも大きい場合、1 を返します。 そうでない場合、field2 + 10 が 2 よりも大きいかどうかをチェックします。 大きい場合は 2 を返します。 そうでない場合は field3 を返します。 |
decode(<conditional val> , <case1> , <result1>, <case2>, <result2>, ... <caseN>, <resultN>, <defaultValue> ) | decode 関数は条件式を評価し、その値を以降のパラメーターと比較します。 式が一致した場合、次のパラメーター値を返します。 何も一致しない場合、最後のパラメーターがデフォルトの戻り値になるオプションがあります。
| decode($feature["field1"] + 3 , $feature["field1"], 1, $feature["field2"], 2, 0) | conditional val の field1 + 3 と case1 の field1 の間の等式を比較します。 true の場合は 1 を返します。 false の場合は、field1 + 3 と field2 の間の等式を比較します。 true の場合は 2 を返し、そうでない場合は 0 を返します。 |
トラック対応の例
さらに、[インシデントの検出 (Detect Incidents)] や [フィールド演算 (Calculate Field)] など、一部の GeoAnalytics Tools は Arcade でトラック対応方程式を使用できます。
関数 | 説明 | 例 | 結果 | ||||||||||||
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TrackStartTime() | トラックの開始時間をエポックからの経過秒数をミリ秒で計算します。 | 2017 年 1 月 2 日に開始するトラックを使用します。 TrackStartTime() | 1483315200000 | ||||||||||||
TrackDuration() | トラックの開始から現在の時間ステップまでの期間をミリ秒単位で計算します。 | 2017 年 1 月 2 日に開始するトラックを使用し、現在時間は 2017 年 1 月 4 日です。 TrackDuration() | 172800000 | ||||||||||||
TrackCurrentTime() | トラック内の現在の時間を計算します。 | 2017 年 1 月 3 日の午前 9 時に発生したフィーチャを使用します。 TrackCurrentTime() | 1483434000000 | ||||||||||||
TrackIndex | 計算されているフィーチャの時間インデックスを返します。 | トラック内の最初のフィーチャに対してこの値を計算する。 TrackIndex | 0 | ||||||||||||
TrackFieldWindow(<fieldName>, <startIndex>, <endIndex>) | 所定のフィールドの指定された時間インデックスの値の配列を返します。 window 関数を使用すると、時間を前後に移動できます。 式はトラックの各フィーチャで評価されます。
| MyField は、[10, 20, 30, 40, 50] の値を順番に並べ替えました。 式はトラックの各フィーチャで評価されます。 開始フィーチャを含め、終了フィーチャを除外した結果が返されます。 例 1: TrackFieldWindow("MyField,-1,2) 例 2: TrackFieldWindow("MyField,-2,0)[0] 例 3: TrackFieldWindow("MyField,0,3)[2] | 例 1: 各フィーチャで評価されると、表には次の結果が表示されます。
例 2: インデックス 2 (値は 30) で評価されると、10 が返されます。 例 3: インデックス 2 で評価されると (値は 30)、50 が返されます。 | ||||||||||||
TrackGeometryWindow(<startIndex>, <endIndex>) | 指定された時間のインデックスのジオメトリを表す値の配列を返します。 window 関数を使用すると、時間を前後に移動できます。 式はトラックの各フィーチャで評価されます。
| MyField は、[10, 20, 30, 40, 50] の値を順番に並べ替えました。 フィーチャのジオメトリは [{x: 1, y: 1},{x: 2, y: 2} ,{x: null, y: null},{x: 4, y: 4}, {x: 5, y: 5}] です。 式はトラックの各フィーチャで評価されます。 開始フィーチャを含め、終了フィーチャを除外した結果が返されます。 例 1: TrackGeometryWindow(-1,2) 例 2: ポリライン データセット上の TrackGeometryWindow(0,1)[0] 例 3: ポリゴン データセット上の TrackGeometryWindow(0,1)[0] 例 4: 前のポイントの X 値となります (TrackGeometryWindow(-1,0)[0]["x"]) | 例 1: 各フィーチャで評価されると、表には次の結果が表示されます。
例 2: ポリラインは次の形式で返されます: [{"paths":[[[-180,-22.88],[-177.6,-23.6]],[[180,-18.099999999999994],[179.7,-18.4],[179.4,-18.7],[178.9,-18.9],[178.5,-19.3],[178.2,-19.7],[178.4,-20],[178.8,-20.2],[178.9,-21.8],[179,-22.2],[179.4,-22.7],[180,-22.88]],[[-178,-17],[-178.8,-17.3],[-179.2,-17.5],[-179.6,-17.8],[-179.9,-18],[-180,-18.099999999999994]]]}] 例 3: ポリゴンは次の形式で返されます: [{"rings":[[[-7882559.1197999995,6376090.883500002],[-7893142.474300001,6042715.216800004],[-8544018.775999999,6045361.0554000065],[-8544018.775999999,6376090.883500002],[-7882559.1197999995,6376090.883500002]]]}] 例 4: インデックス 2 (値は 30) で評価: 2 | ||||||||||||
TrackWindow(<value1>, <value2>) | 指定された時間のインデックスのジオメトリとすべての属性を表す値の配列を返します。 window 関数を使用すると、時間を前後に移動できます。
| MyField は、[10, 20, 30, 40, 50] の値、および objectID、globalID、instant_datetime フィールドの値を順番に並べ替えました。 フィーチャのジオメトリは [{x: 1, y: 1},{x: 2, y: 2} ,{x: null, y: null},{x: 4, y: 4}, {x: 5, y: 5}] です。 式はトラックの各フィーチャで評価されます。 開始フィーチャを含め、終了フィーチャを除外した結果が返されます。 例 1: TrackWindow(-1,0)[0] 例 2: geometry(TrackWindow(-1,0)[0]["x"] | 例 1: 各フィーチャで評価されると、表には次の結果が表示されます。
例 2: インデックス 2 (値は 30) で評価: 2 |
次のトラック式を使用して、トラックの距離、速度、加速度を計算します。
距離の計算はメートル法、速度はメートル/秒、加速度はメートル/秒二乗ですべて計算されます。 距離は測地距離を使用して計測されます。
関数 | 説明 |
---|---|
TrackCurrentDistance() | 最初の観測から現在の観測までの移動距離の合計。 |
TrackDistanceAt(値) | 最初の観測から現在の観測までの移動距離の合計に特定の値を加算。 |
TrackDistanceWindow(値1, 値2) | 最初の観測 (0) についてのウィンドウ内の最初の値 (含まれる) から最後の値 (含まれない) までの距離。 |
TrackCurrentSpeed() | 前の観測から現在の観測までの速度。 |
TrackSpeedAt(値1) | 現在の観測を基準とした観測時の速度。 たとえば、値 2 では、現在の観測から 2 観測後の観測時の速度です。 |
TrackSpeedWindow(値1, 値2) | 最初の観測 (0) についてのウィンドウ内の最初の値 (含まれる) から最後の値 (含まれない) までの速度値。 |
TrackCurrentAcceleration() | 前の観測から現在の観測までの加速度。 |
TrackAccelerationAt(値1) | 現在の観測を基準とした観測時の加速度。 |
TrackAccelerationWindow(値1, 値2) | 最初の観測 (0) についてのウィンドウ内の最初の値 (含まれる) から最後の値 (含まれない) までの加速度値。 |
距離、速度、加速度の計算例は、次の図の例を使用します。
関数 | 結果例 | ||||||||||||||
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TrackCurrentDistance() |
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TrackDistanceAt(2) |
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TrackDistanceWindow(-1, 2) |
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TrackCurrentSpeed() |
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TrackSpeedAt(2) |
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TrackSpeedWindow(-1, 2) |
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TrackCurrentAcceleration() |
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TrackAccelerationAt(2) |
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TrackAccelerationWindow(-1, 2) |
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